ヤンデルモンスト〜書いたら出るを添えて〜   作:千銀

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新轟絶のイデアちゃんエッチな漫画に出てくるアンドロイドみたいですき。


解放(ビナー)

 

 

 

 

 

 一体…どこで間違えてしまったのでしょう…。

 

 

 貴方さえいなければ、私は神の奴隷で良かったと言うのに…。

 

 

 

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「どうだ?明日着る結婚式の衣装だ。」

 

 ウリエルが明日の結婚式のために着る服を持ってきてくれた。

 

 

「う〜ん…。似合うかな?」

 

「せっかくの結婚式なんだ。これぐらい派手でなければな。」

 

「お待たせしました!アクセサリーも届きましたよ!」

 

 ガブリエルが箱の中に入ったネックレスを僕に見せてきて、身に付けさせる。

 

 

「あんなに小さかったのに…こんなに立派になって…。あっという間に大きくなってしまいましたね。」

 

「相変わらず、小さい時と同じ細い体つきだけどね。」

 

 ラファエルがしみじみと昔を思い出しているところに、ミカエルが横槍を入れ、背を叩いた。

 

 僕は明日結婚する。それも普通の人じゃない。神様の娘とだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕の本当の両親は知らない。まだ赤子の頃に捨てられていたそうだ。

 

 それでも、神様の娘が僕のことを拾ってくださり、僕の未来の姿を見て一目惚れされて、育て上げて結婚すると言い出したそうだ。

 

 僕の事はビナーが母親の代わりとなって育ててくれたらしい。昔から母さんの事はよく聞かされていた。

 

 悪しき天聖達の中で唯一神様を最後まで守り抜いた人物で、今は天界の王をしている。

 

 僕は昔こそやんちゃな子だったらしい。今思えば恥ずかしいような思い出もあった。そのおかげでウリエルやガブリエルなんかとも仲良くなれたが。

 

 しかし育つにつれ、僕はよく母さんのことを見るようになった。

 

 堂々としていて威厳に溢れ、それでも他の天使達には優しく、神様の使命を必ず守る。

 

 その背中をずっと見ていて、僕もいつか母さんのような人になるのだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結婚の話を聞かされたのは、神様の娘本人からだった。お眼鏡にかなう人として育っていた僕は、神様の娘にとても喜ばれた。

 

 なんでも願いを聞いてやると言われたので、僕は母さんの役に立ちたいと言った。

 

 ここまで育ててくれた母さんに、何か恩返しがしたかった。そう言うと神様は、僕を天使にしてくれた

 

 

「母さん!僕、近いうちに神様の娘と結婚するんだ。それで天使にしてもらったんだよ!」

 

 翼は無くとも、天使になった僕の姿を見て、母さんは驚いていた。

 

 

「これでもっと母さんの役に立てるようになったんだ!」

 

 気持ちが昂って柄でも無く大きな声で話していた。

 

 

「……あなたは…それで良いの?」

 

「…?大丈夫だよ。母さんの役に立てるのは嬉しいし、天使の皆にも恩返し出来るようになったしね。」

 

「そう…。」

 

 そう言った母さんの顔は、少し物憂げに見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、ビナーはまだ来ていないの?」

 

 ミカエルがこの場に母さんがいないことを神妙な面持ちで告げた。その言葉に、他の3人も顔つきを変える。

 

「仮にも自分の息子の結婚式なのに、なにをやってるんだ…。」

 

「まぁまぁ…。結婚式は明日ですから。」

 

「とにかく!明日までにビナーを部屋から出しときなよ!いざとなったらボクが力ずくで引きずり出してやる!」

 

「分かったよ。じゃあまた明日。」

 

 怒るミカエルや他の人達に別れを告げ、自分の家へ帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ルシファー。」

 

「ああ、お前か。」

 

 家に帰ると、ルシファーが廊下を歩いていた。

 

 

「今日はどうだった?」

 

「駄目だな。ビナーめ、自分の部屋に絶対不可侵の領域を創っている。私の力でも無理だな。」

 

「そうですか…。母さん…どうして…。」

 

「あとは任せた。」

 

 そう言ってルシファーは帰っていき、僕は母さんの部屋の前に向き直る。

 

 

「母さん…明日なんだ…。もし良かったら来て欲しい。」

 

 扉は依然として開かない。聞こえているのかは分からないが、話を続けた。

 

 

「それに、ここで暮らすのも最後になる。神様のもとで暮らす事になったんだ…。だから、最後の日くらい母さんと一緒に過ごしたいよ…。」

 

 それでも扉は開かなかった。

 

 

「………そっか。おやすみ、母さん。」

 

 自分の部屋に戻ってベッドに寝転がる。ずっと過ごしてきたこの部屋も、いつかすっかり片付いて無くなってしまうのだろう。

 

 風呂にも入っていないし、腹も空いていたが、今はこの惰眠を貪りたかった。

 

 

 

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 神のご息女が、人間の赤子を拾ってきました。その子を自分の夫として迎えるために。

 

 その子を育てよと、ご息女は私に命じ、私はその子を預かりました。

 

 私は子供の世話をした経験が無く、他の周りのものに助けられながら、なんとか育てていくことができました。

 

 ただ、子育てというものは存外に辛いものでした。

 

 小さなものであれば何でも口の中に入れてしまい目が離せず、言葉を話すことができないので、何とか意思を汲み取らなければなりません。

 

 ノックの音や部下の天使の声に驚いて泣き出してしまうこともあり、驚かなくなるまで他の者には気を使わせてしまいました。

 

 夜になれば夜泣きが激しく、眠れない日がある事も。抱き上げていればよく髪を噛まれていました。

 

 ようやく喋れるようになったとき、あの子は私の事を『ママ』と呼ぶようになりました。2人でいるときならば良いものの、他の天使がいるときに言われるのは流石に恥ずかしかったです。

 

 歩けるようになれば少し目を離した隙に、ふらふらと何処かへ行ってしまう事もありました。

 

 辿々しく走る事がなくなってきたとき、あの子はよくミカエルやガブリエルと一緒に遊ぶようになりました。

 

 ミカエルの仕事を怠る口実に使われたりと、苦労が絶えませんでした。ルシファーも迷惑そうにしていましたが、あれ程優しく笑う彼女は見た事がありませんでした。

 

 その頃の事、あの子は私に絵を描いて贈ってくれました。とても歪な私とあの子が描いてありましたが、どんなに優秀な絵師からもらった絵よりも嬉しかった事を覚えています。

 

 私の事を『母さん』と呼ぶようになり、少し寂しかった事も覚えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 顔立ちも礼儀もすっかり完璧になった頃、あの子は突然天使になって帰ってきました。

 

 

「これでもっと母さんの役に立てるようになったんだ!」

 

 あの子はとても喜んでいました。しかし私には、心の奥底で何か黒いモヤを感じました。

 

 だからつい、聞いてしまいました。

 

 

「……あなたは…それで良いの?」

 

「…?大丈夫だよ。母さんの役に立てるのは嬉しいし、天使の皆にも恩返し出来るようになったしね。」

 

「そう…。」

 

 そうであれば、私の役目はもう終わり。私にはもう何も関係が無くなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 関係を断った。それなのに私はいつもあの子の事を心配し、考えていました。

 

 それが私の心の奥底の黒いモヤを大きくするようで、目を背けようと、私は必死でした。

 

 もう私には何も残っていない。あの子がくれた絵も燃やしてしまった。あの時の喜びが、私の心を苦しめるから。髪も短く切ってしまった。あの子が噛んでいた事を思い出してしまうから。

 

 それでも私の心をさらに強く締め付けていました。

 

 堪らず私は、絶対不可侵の領域を創り、外への関係の一切を断ちました。それでもあの子の声は聞いていたかったので、あの子の声だけは通していました。

 

 そうしてあの子の声だけを聞いているうちに、私はこの黒いモヤの正体を知りました。

 

 

(そんな…そんな筈は無い!あの子はただ大人になるまで育てていただけ!ただそれだけの関係なのだから!)

 

 私は、その状態に対して、激しい否定を起こしていました。

 

 そうしていつの間にか結婚前夜に、私はあの子のことばかり考えては激しい自己否定に陥っていました。

 

 

「母さん…明日なんだ…。もし良かったら来て欲しい。」

 

 知っている。知っているとも。ずっと大切に育ててきた子なのだから。

 

 

「それに、ここで暮らすのも最後になる。神様のもとで暮らす事になったんだ…。だから、最後の日くらい母さんと一緒に過ごしたいよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の中で、その黒いモヤはどす黒い何かに姿を変え、私の心を蝕んでいきました。

 

 

(あの子が…いなくなる?)

 

 考えた事など、一度たりとも無かった。あの子のいない生活を考えた瞬間、気が狂いそうになった。

 

 

(何処へ…?何処へ行くのですか…?)

 

 

 

 何故こんな気持ちになるのだろう?

 

 

 

(私を一人にしないでください…。)

 

 

 

 誰のせいだ?

 

 

 

(あの子は何も悪く無い…。)

 

 

 

 もう分かっている。

 

 

 

(あの子に何も罪は無い!)

 

 

 

 あの子と出会っていなければ。

 

 

 

(だめ…!言葉にしないで‼︎)

 

 

 

 あの子さえいなければ。

 

 

 

 あの子のせいだ。

 

 

 

 あの子のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(あの子のせいだ‼︎)」

 

「あの子さえ!あの子さえいなければ‼︎」

 

「私は何も感じなかったのに‼︎」

 

「私は神の奴隷であっても構わなかったのに‼︎」

 

 もう…私は…抑えきれません。

 

 

 

 あの子と共にいられるのなら…。

 

 

 

 私は禁忌を…犯しましょう…。

 

 

 

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 目が覚めると、僕は青空を見ていた。木陰の隙間から入ってくる光が、顔を照らした。

 

 

「…ここは…。」

 

「ここは…私達の新しい世界ですよ。神の威光の届かぬ、私達だけの…。」

 

 とても久々に聞いた感じがする、母さんの声だった。

 

 

「…母さん?」

 

 様子がおかしい。こんなにも濁った目をしていただろうか。こんなにも、機械的に喋っただろうか。

 

 

「あなたは…、まだ私の事を母と呼ぶのですね…。」

 

「……?母さ………………⁉︎」

 

 そんな独り言のような声が聞こえた瞬間、母さんは僕に覆い被さった。

 

 驚きで目を見開いた。母さんが…僕にいきなり口づけをしたからだ。

 

 それも普通のものでは無い。まるで…。

 

 

「あぁ…そう…。これが…私のしたかった事…。あなたは私のもの…。私が育ててきた…私だけのもの…。でももう…お母さんはおしまい…。」

 

「…母さん……?」

 

「あ……やめて…やめてやめてやめて‼︎私を母さんって呼ばないで‼︎」

 

 馬乗りになった母さんに叩かれる。母さんは目を見開いて泣いていた。

 

 

「ねぇ…?なんであなたは生まれてきたの?なんで私の前に現れたの?なんで私が育てたの?」

 

「あなたさえ…あなたさえいなければ…!私は戒律を破る事も、神を裏切る事もなかったのに‼︎」

 

「………痛いよ……母さん…。」

 

「私はあなたのお母さんじゃない‼︎」

 

 そう言って彼女は泣き崩れた。僕は震える彼女を、どうする事もできなかった。

 

 

「でも…もう良いの。ここはもうあなたと私以外誰もいない…。誰も来ることはない…。」

 

「すべて…すべて最初から始めましょう…?私とあなたの新しい世界を…。」

 

 今まで見た事がないほど優しい顔で、彼女は笑っていた。

 

 

 

 

 

 






真面目なお顔の真アマテラスちゃんに淫語言わせまくってエッチなことしたい(捨てきれぬ煩悩)

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