銀魂 追憶に咲く花を   作:うにに

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お待たせ致しました( ˊᵕˋ ;)
なかなか最新話の執筆が進まない…


侍の国
江戸という町


首謀者は警察庁長官

利用されたとはいえ多くの警察組織が反乱に関わった。幕府はこの責任を佐々木1人に負わせ混乱を早期におさめるべきだった。

 

しかし報をきいた将軍喜々は激昂

 

佐々木旗下の警察組織全てを潰し警察機構そのものを一新しようとする。

これにより喜々のやり方に疑問を持ち始めていた者達が崩れ始める。

処分が下る前に喜々を見限り出奔する者が続出したが、これを取り締まる警察も機能しなかった。

 

予めこの事態を予測していた松平公は彼らの受け皿を密かに用意し、茂々公が築いた反幕勢力に周到に取り込んでいく。

 

新政権が樹立して3ヶ月。早くもはがれ落ちていく幕府の信頼の一方で、世の倒幕の気運は確かに高まり始めていた。

 

「江戸から出奔しろ? 真選組に江戸を捨てろってのか」

 

 

桂と真選組局長、近藤勲と副長、土方十四郎が今後の動きについて、桂の屋敷で話し合いの機会を設けた。

桂の案を聞いた土方は眉間に皺を寄せている。

 

「この政情下で江戸にとどまれば死地から取り戻した近藤、松平公、そして真選組(おまえたち)の命も危うい。事成さずして死ぬるが本当に江戸を見捨てる事だ土方。」

 

分かっている

分かってはいるが…受け入れ難い事実であるのも確かだ。

 

「喜々は絶対にお前達を見逃さん。幕府の面子を潰しその信用を地に貶めた謀反人を捨ておけば新政府はたちゆかぬ。今頃必死にお前達を探していることだろう。今や松平、そして真選組は喜々と戦う者、革命勢力の象徴なのだ。これを再び失えば国を変えんとする革命の炎は今度こそ消える。

この国を本当に想えばこそ、今はこの国から離れ生き残る事を考えねばならぬ。」

 

真選組の役目は、中央から離れ各地で反乱勢力を扇動し取り込み、革命軍の中枢としてその基盤を築く事。江戸を護るために江戸を捨てる。頭では理解できても受け入れがたい事だった。

それは、今迄真選組が護り続けてきた者達との別離。支え続けてくれた者達との別離。

 

そして…真選組であった時分との別離を意味していたから

 

「桂、お前には世話になったな」

「あぁ…。 俺達攘夷志士の最大の敵はいかなるものであったか、しかと見させてもらったよ」

 

かつて最大の敵同士とは思えない程穏やかな時が流れていた。

黒縄島での出来事を思い出す。近藤は桂によって救われたと言われても過言では無い。桂のその行動には感謝してもしきれなかった。

大きな借りを作っちまったなと笑う土方に、そんなこと気にせんでもいい。と桂が返す。

 

「失礼します、お茶を持って参りました」

 

しばらくすると、桔梗が日和をおぶって茶を差し入れに来た。 日和の存在に気付いた近藤は嬉しそうに手を振ってみせた。手を振られた日和は、それを不思議そうにじっと見つめている。

 

「桔梗さん、俺達は江戸を出ることになったよ。世話になりましたなぁ。そして出産おめでとう!!」

「ありがとう近藤さん! そうねぇ。真選組(あなた達)がいないと江戸が静かになっちゃう」

 

桔梗は悲しそうに笑った。

かつて攘夷志士の敵だったとはいえ、真選組には多々世話になっている。

江戸の仲間がひとり去るこの悲しみは、桔梗の胸にも大きく響いたのであろう。

 

「そうだ、この子を抱っこしてやってください。小太郎(この人)と約束したんでしょう?」

 

江戸に帰ったら子供を抱かせてくれと、そう近藤と約束したことを桔梗に話したとき、笑顔で首を縦にふってくれた。

 

小さな赤子を傷付けぬよう、そっと抱く。

日和は近藤の大きな腕にすっぽりと納まり、心地が良いのかふわっと大きな欠伸をひとつ。

 

「やっぱり赤子は可愛いなあ!トシもそう思うだろ?!ほら!!」

「ガキの名前はなんて言うんだ?」

「ガキじゃない日和だ。平和な日本の世で生きてほしいと…そう願ってな。」

「日和…いい名前をもらったな」

 

強面の土方が微笑んでいる…だと?!

これは面白いものを見させてもらった。

近藤は相変わらず優しく日和を抱き、時々小さな頭を撫でていた。

 

「両親がこんなに美形なんだ、きっとこの子も相当美人に育ちますよ‼いやあ、成長が楽しみだ‼」

 

──────────────────

 

 

江戸から発つ日…

 

 

桂をはじめとする攘夷志士がその背中を見送った。

朝日が登り始める頃、真選組の先頭に立った近藤は刀を抜き、江戸を照らす朝日を映し出す。

 

「学もねェ、身分もねェ。信じられるのはてめェの剣だけ、剣1つで一旗あげてェ。そうして俺達は江戸に集まった。その江戸を俺達は今日去らなきゃならんが俺達の夢は終わりゃしねェ。帰ってこよう必ず…真選組の故郷に。」

「何度だって誓ってやらぁ。俺達ゃ江戸で真選組(さむらい)になるんだ。」

 

そう、真選組(まこと)の夢はここから始まる。

真選組の道の行く末は、まだ…はるか遠い

 

 

──────────────────

 

「やはり寂しいな」

「どうしたの?」

「この町から友が消えるというのは寂しいものだ。」

「そうね。こんなにも静かな町…久しぶりかもしれない」

 

真選組が江戸を旅立ち、ひと月が経とうとしている。

 

あんなにも賑やかな江戸の町は、今や静寂の時が流れていた。

将軍の死に始まり、真選組の解散。チンピラだらけのこの町に鳴り響いていたサイレンの音は風が木の葉を揺らす音へと変わり、賑やかであった町中は、今や武装した天人が町を占領し、人々を恐怖に陥れている。

 

「失礼します桂殿、まだ起きておられますか?」

「あぁ。どうかしたか?」

「幕府にこの屋敷の存在が嗅ぎつけられるのも時間の問題かと…。 」

 

新政権を揺るがした裏切り者を粛清せんと、徳川喜々は怒りに狂っていた。

反逆者は真選組、見廻組…そして攘夷志士。

 

しかし今や攘夷志士など喜々の眼中に無いようであった。真選組、そして見廻組隊士を血眼になって探しているようだ。

だから今でこそ、桂達攘夷志士は江戸のかぶき町で療養生活を送れているが、捕えられるのも時間の問題であった。

今回の件で重症を負っていた桂とその部下達は、まだ遠くの町へ行けるだけの体力が戻っておらず、止むを得ずかぶき町で潜伏をしていたのである。

 

「あぁ。お前達の怪我もだいぶ良くなってきたようだし、潜伏場所をそろそろ変えねばならんな…。何処へ行こうか。」

 

地図は何処だと立ち上がった桂であったが、腹を押さえながらガタッと膝を着いてしまった。

 

「か、桂さんどうされました?!」

「立ち上がり動作が…少し傷に響いただけさ…」

 

この広い屋敷で、部下はゆっくりと療養させていた。しかし組織の将である桂に休んでいる暇など無かったのだ。

真選組の動きを考えたり、喜々の動きを把握し、攘夷志士達の行動計画を練る日々に追われ、睡眠も充分にとれてはいなかった。

案の定傷口はなかなか塞がらず、顔色も悪い桂の傍に寄る部下であったが、桂は平気だよと笑ってみせている。

 

「いつつつ…まだ治らんか。俺も歳をとったものだ。昔はこんな傷すぐに塞がっていたのに」

「桂さん、あまり無理せず今日はもう横になっていたらどうですか?夜も遅いですし…」

 

重症を負いながらも動き続ける桂の姿に、自分達も何か出来ることはないのだろうか?と、部下達は皆自分達のやるせなさに唇を噛んでいた。

 

「全くその通りね」

 

部下の後ろから声が聞こえたと思えば、桔梗が治療箱を持ってやって来た。

 

「免疫力が下がっていれば塞がる傷も塞がらないよ。あなたに今1番必要なものは休息だっての」

 

やれやれと大きなため息をつきながら、スタスタと桂の元へ向かうと、頭をポンと叩く。

そして両手で頬をぐりぐりと潰し、ジトッとした目で桂と目を合わせる。

 

「痛み止めを飲んでるとはいえ…傷は塞がってないの!!感覚を麻痺させてるだけなのよ!!分かってるよね?分かってるわよね~?!」

「わ、分かってまふ分かってまふゥ!!」

 

休みなさいという忠告を、なかなか聞かずにいた桂に桔梗は少し怒っているようだった。

傷を見せて!!と頬を膨らませながら桂にいうと、直ぐに桔梗の言うことを聞き入れて上半身の着物を脱ぎ始める桂であった。

 

「ほら…まだ傷が塞がらない。この脇腹の傷は特に酷いんだから寝ないとダメよ。熱だってあるでしょ?私の手当が下手なばかりに…」

 

落ち込んだ様子で桂に謝る桔梗であったが、慌てて桂が訂正をする。

 

「何を…桔梗のせいではないだろう。俺がお前の忠告を聞かずにいるからこうなったんだ。桔梗には感謝してもしきれんくらいに助けられているよ」

「あなたの部下達は皆優秀なんだから、もっと頼ったっていいんじゃない?あなた1人で全部やらなくても、部下達の怪我はだいぶ回復してるし」

 

そうです…そうなんです桔梗さん!!と、首を力強く縦に振る部下は、キラキラとした目で桂を見ている。

自分にもできることがあればお手伝いしたい。その想いは桔梗に伝わったようだ。

 

「そうだな…アキバ辺りに宿を手配してもらいたいのだが…いいか?」

「は…はい!! 勿論です喜んでっ!!!!」

「でも今日はもう遅いから休みましょう。あなたもゆっくり休んでちょうだいね。今は休むことが1番大事よ。」

 

分かりました!!明日、朝一番で手配しますと笑顔で部屋を去る部下は、嬉しそうであった。

 

「あなたを信頼してついてきてくれてるんだもの、あなたのお願いとあらばきっと喜んで受け入れてくれるから」

「そうだな…。もう少し俺も部下を頼らねばな」

 

分かってくれただろうか。不安げに桂を見上げる桔梗であったが、心配をかけてすまなかったと桂が優しく抱きしめる。

桂の胸に顔をうずめ、心臓の拍動にどこか安堵感を覚えた桔梗は静かに桂に身を預け、しばらくそのままでいた。

 

そろそろ寝るかと準備した布団に桔梗を運ぶと、ゆっくりと下ろして布団を掛けた。

隣りには日和もいる。まだ可愛い目をパチッと開けていて、両親の様子を観察しているようだ。

 

「小太郎ももう寝る?」

「一通の手紙だけ書いたらすぐ布団に入るよ。灯火が明るくて眠れんか?」

「手紙?誰に?」

「坂本だ。坂本辰馬。彼奴の協力を得ねば今回の騒ぎは治まらん。チャランポランに見えて人脈が多いのと頼りになるのが坂本だ、きっと今回も助けになってくれるであろうよ」

 

────────────────

 

「桔梗、手紙は書き終えたよ。眠っているか?」

 

しばらくして手紙を書き終えた桂は、静かに布団で横になる桔梗に声をかける。

寝ていると思っていた桔梗は目をゆっくり開けて桂を見ると、静かに微笑んだ。

 

「ううん…起きてたよ。日和の隣に寝て。川の字になって寝たい。やっと家族3人揃ったんだから」

 

桂、日和、そして桔梗の順で並んで横になる。

その光景は文字通り「川」の字を描き、間に挟まれた日和の寝顔をみて、桂も桔梗もクスリと笑う。

 

「懐かしいな…。俺も幼い頃は…両親が生きていた頃はこうして川の字になって寝たものだ。丁度俺の位置に父上が居て、桔梗の位置に母上が居た。」

「小太郎の父上と母上はどんな人だったの?」

「随分昔の話だからなあ。あまり鮮明には覚えておらんが…母上はとても綺麗な人であった。父上はとても頭のいい方でな、よく書物を一緒に読んだよ」

「この子にも色々教えてやってね。あなたに似てきっと頭のいい子だろうから」

「この子は将来何になるんだろう?学者か?可愛いからアイドルだろうか?それとも政治家か?楽しみだなあ桔梗」

「元気に育ってくれればいいよ。この子が選ぶ道を静かに見守ってあげましょう」

 

何も考えていない、安らかな寝顔の日和を見ながら言う。

私達の子だ。きっとこの子なら…どんな困難も乗り越えていける。これから先どんな人と出会って、どんな人生を歩むのだろうか。

私に残された時間で…日和の成長をどれだけ見届けられるのだろうか……

 

「…小太郎…私ね……」

 

すーすーと寝息が聞こえ、小太郎はもう眠っていた。

そうだよね。小太郎は普通に振舞ってるけど、あの怪我じゃ相当疲れが出ているはずだ

 

「…おやすみ。日和もゆっくりおやすみ」

 

部屋の灯火を静かに消すと、髪を結わいた紐を解きながら布団に入り、ゆっくりと目を閉じた。

 

じわりと痛む、胸を押さえながら……

 

──────────────

 

一方、万事屋達は……

 

「イッテェ!! 何すんだ神楽!!」

「起きたアルか銀ちゃん。でもいま治療の途中ネ。まだ眠ってるヨロシ」

「治療って何だ?まさか唾つけて治そうってんじゃねェだろうな?」

「よくわかったアルな!!」

「ふざけんな!! 唾なんかつけたって治らねぇ!!迷信を信じるな!!」

「いや、私は治ると確信してるヨ」

「こんな汚いこと女の子がするんじゃない!! つーか誰に教わったんだ?こんなこと…」

「バーさんが唾付けときゃ治るって言ってたアル。」

「あのババア…変なこと教えこみやがって…」

「待っててヨ銀ちゃん、私今ならめっさいい唾出せそうネ!!」

「オイやめろよ神楽…ダメだよそんなことしちゃ…」

「カァァァァァァァ」

「ちょ、まっ…神楽それ…唾じゃなくて痰じゃ…」

 

 

「ペッ!!!!!!!!!!!!」

「いだァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

神楽の勢い余る痰攻撃が銀時の刀傷に命中し、断末魔が響いたのは言うまでもない。

 





神楽ちゃんはお登勢に言われたことはだいたい信じてしまうと思います。だから銀時に唾をつけて怪我を治してあげようと思ったんですね。
優しい子(?)

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