日本帝国召喚   作:こたねᶴ᳝ᵀᴹᴷᵀᶴ᳝͏≪.O

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4話 エジェイ近郊防衛戦

クワ・トイネ公国の城塞都市、エジェイへ向けてロウリア王国約20000の兵力が侵攻しているとの情報を受け、日本軍とクワ・トイネ軍は迎撃の準備を整えていた。

日本軍の、クワ・トイネ軍を作戦の主力としようという方針は変わってはいなかったが、ロデニウス沖海戦での『ヘレフォード』の損害を受け、共に参加してより積極的に協同戦闘を行うことにしていた。

日本軍の主力は70式戦車。皇紀2670年採用であることから名前が付いた、我々の地球で言う10式戦車に相当する車両だ。

そしてクワ・トイネ軍、こちらの主力となる戦車は九八式軽戦車『ケニ』を改設計した戦車、T-1『プラウ』だ。

各々の車両に余剰となった武具を増加装甲代わりに貼り付けたために微妙に外見が異なった、緑色の迷彩色に塗られた車両たちが初陣の時を待っている。

日本軍の通常の戦法であれば迫撃砲を放ってから前進するところだが、今回はそうではない。戦闘の火蓋を切るのは、クワ・トイネ軍所属の航空機だ。

九八式軽爆撃機の改設計であるS-1『イルドヴァ』が編隊を組んで飛び、それを五式戦闘機ことキ-100の改設計であるV-1『ファーマー』が護衛する。

さらに編隊の上空には日本軍の60式戦闘機『突風』がカバーについていた。

敵軍上空に到達、S-1は次々に50kg爆弾を投下し、敵軍を焼き払う。

ロウリア王国軍からは矢が飛んでくることもあったが、届く前に重力に負けて落ちていく。

迎撃のワイバーンが上がる。V-1が次々に降下してワイバーンへ突撃。上空からの降下の勢いを乗せて射弾を叩き込む。

射撃して下に飛び抜けたV-1は勢いのままに急上昇、後から降下していく味方の後ろから再攻撃をかけることで、ローテーションのように途切れない一撃離脱戦法を行う。ロウリア王国のワイバーンは次々と空に血と臓物を散らして墜ちてゆき、全滅した。

少々の機銃掃射を加えたのちに航空機部隊は離脱し、陸の部隊に攻撃指令が下った。

 

 

 

ロウリア王国軍先遣部隊の指揮を執っていたジューンフィルア伯爵は混乱していた。突如としてクワ・トイネ軍旗の柄を描いた謎の飛竜と赤い丸を描いた謎の飛竜が飛来し、落とされた高威力な爆弾と放たれた魔導によって大損害を受けたためだ。

ジューンフィルアは指揮官として己を律し、辛うじて思考を保ったが、部隊は依然混乱していた。戦意を失わず、平静を保っている者もいたが、10000人以上の人数のすべてがそうとは行かなかった。

ああ、嫌な予感が当たってしまった。ジューンフィルアは心の中で嘆いた。

しかし、前進するより他はない。退いても地獄、進んでも地獄だ。ならば少しでも目のある方に賭ける。どの道ここにとどまっていても先ほどの飛竜が再びやって来て時間をかけて皆殺しにされるだけだろう。

ジューンフィルアは城塞都市エジェイへ向け渋々と軍を進めた。

 

 

 

ロウリア王国軍先遣部隊前進開始と時を同じくして、クワ・トイネ軍、日本軍も前進を開始していた。

二つの部隊は接触し、戦闘が始まった。

エジェイ近郊の戦闘地点には、隠れられるような場所はどこにもなかった。T-1などにとっては都合が悪いとされる地形だったが、今回の敵は弓矢や剣で武装した軍、ワイバーンは排除されている。歩兵が逃げ隠れできない分むしろ都合がよかった。

70式戦車、T-1軽戦車が榴弾を撃ち、砲塔上の機銃や同軸機銃を撃ちまくる。榴弾は騎兵や密集して盾で防御を固める隊形をとった兵士を吹き飛ばし、機銃が兵士たちを貫いていく。

さらに戦車はロードキルを使い、T-1の一部の車体前部に並べられた馬上槍が突き刺してゆくこともあった。

 

 

「なんだ、これは」

 

ジューンフィルアはあまりの光景に絶望していた。

部下たちが。

共に戦ってきた戦友が、歴戦の猛者が、優秀な将軍が、家族ぐるみの付き合いのあった上級騎士が、共に強くなるために汗を流した仲間たちが。

あまりにあっさりと、敵に何の損害も与えることなく殺されていく。

腰の引けていた兵士が魔導に撃ちぬかれた。勇敢にも槍を構え、愛馬と共に突撃した騎士が轢き潰された。地獄のような光景、いや、そこは地獄そのものだった。

臆病者は獲物、勇敢な者は無謀。皆効率的に殺処分されていく。これが地獄でなくて何だというのか。

 

死神は彼だけを逃がしてはくれなかった。目の前に70式戦車が迫る。

彼は絶望し、どうすることもできず、しかし体に染みついた動きが剣を構えさせ―――

次の瞬間、120mmの砲弾の直撃を受けて、ジューンフィルア伯爵はこの世から消え去った。




T-1『プラウ』
九八式軽戦車『ケニ』の改設計型の軽戦車。
近代化改修によって全体的な信頼性の向上と、加減速や旋回などの機動性などが向上するなど全体的な性能向上がなされた。
また、同軸機銃はホ-103に変更されている。

S-1『イルドヴァ』
九八式軽爆撃機の改設計型の攻撃機あるいは軽爆撃機。襲撃機とも。
T-1等他の兵器同様の性能向上がなされた。また、構造のいくらかを木製としている。
また、固定武装は機首にホ-103が1門となっている。

V-1『ファーマー』
五式戦闘機ことキ-100の改設計型の戦闘機。
他の兵器同様の性能向上がなされた。また、構造のいくらかを木製としている。

70式戦車
皇紀による命名がされているために名前が違うが、10式戦車と同じもの。


戦艦砲の射程を伸ばすか対艦ミサイルの射程を初期のものの短めとするか。
グラ・バルカス帝国と戦争させるか。しなかった場合や次の戦争相手を想像&強化したアニュンリール皇国としていいか。
色々と悩ましいです。

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