ドラクエの戦士がダンジョンに潜るのは間違ってるだろうか?   作:流れる素麺
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レベルアップの宴会

 あれから僕達は二つ名が決まったことを報告しに行ったら、どうやらギルドの方でも二つ名は連絡が来ていたようで、それならと僕とガズロは豊饒の女主人のところへと向かった。

 

 「いや〜それにしても、お得意さんが有名になるのは嬉しいですねえ。」

 

 シルさんはほろ酔いの顔でまじまじとこちらを見ながら呟く。未だに有名になった気はしないのだが、ガズロも言っていた。短期間でのレベルアップによってかなり注目されていると。

 でもこの人達の僕達の扱いは変わらず、こうして普通に接してくれた。それが何故か嬉しかった。

 

 『おい見ろよ、リトル・ルーキーだぜ。』

 

 『あんなガキがレコードホルダーとはな。世も末だぜ。』

 

 今でもこうして横目を投げられている中、彼女たちの扱いは本当に嬉しい。

 

 「一躍人気者になってしまいましたね、ベル様。」

 

 「そ、そうなの?何だかすごく落ち着かないんだけど……。」

 

 「名をあげる者の宿命だ。お前に限った話じゃねえし、我慢しろ。」

 

 笑いかけるガズロとリリに、僕は情けない笑みを浮かべる。

 

 「シルさんよぉ、本当にいいのか?この忙しい時に店開けて。」

 

 「私達の代わりにたくさん食べるように、と言われてます。」

 

 やっぱり強かな人だなあと思う。カウンターの奥で不敵に笑うミアさんも。

 それからすぐに僕達は乾杯してそれぞれのグラスをぶつけあった。

 様々な料理が運ばれ、そのほとんどがガズロの胃の中に消えていき、僕達はそれを苦笑いで見つめたりと、僕達はこの時間を楽しんでいた。

 

 「クラネルさん、今後はどうするんですか?」

 

 「?」

 

 「今後の探索だよ。ベル。」

 

 「あ、とりあえず明日はリリと一緒に装備品を揃えに行こうかと。」

 

 しかし、リリが話に割り込んでくるなり、ごめんなさいと頭を下げた。なんでも、下宿先の仕事が立て込んだために同伴できないという。

 ガズロでもいいのだが、ガズロは隙あらば高い商品を買ってこようとするから困るのだ。ガズロ曰く『装備品をケチると死ぬ』と言うが。

 それにシルさんが着いてくると言い出して、ミアさんにズパァン!とシルさんに叩かれていた。

 

 「そう簡単に休まれちゃこっちが堪んないよ。」

 

君あたしに話も通さないで休みの相談とはどういう了見だい、とミアさんは続けた。

 テーブルに伏せた彼女はゆっくりと起き上がり、おそらくミアさんを睨んだ。

 

 「で、ベル。中層はどうするんだ?」

 

 ガズロのストレートな問いに、少しの間キョトンとする。ガズロはそれをみて一度酒臭いため息を吐いて言い直した。

 

 「だからよ、次から行くのか行かないのかって話したなんだが。」

 

 その言葉にやっと僕はガズロの意図を掴んだ。リリと一度顔を見合わせてからガズロに向き直る。

 

 「ひとまず11階層で様子を見るよ。簡単そうだったら12、って感じかな。」

 

 「ええ、それが賢明でしょう。」

 

 リューさんは冷静に言った。彼女は慎重にことを進めることを勧める人だ。

 彼女は中層と上層は明らかな違いがあると言う。中層から先は、どう足掻いてもソロでは処理しきれなくなる。中層とはそういう場所だ、と彼女は言った。

 

 「要するに、あなたはパーティを組むべきだ。」

 

 ギルドは少なくともスリーマンセルの形式を基本としている。だからギルドから出版されたことのある本には大抵3人以上の連携が書かれていた。

 最低でも前衛、中衛、後衛が必要と言われている。ガズロ風に言うなら、ダメージディーラーとタンク、そしてヒーラーがいれば一番安定するという。

 人数が少い方が逃げやすくはなるが、そもそもパーティを組んでいれば逃げなければならないことはないという。

 そこへ。

 

 「話は聞いたぜ!仲間が欲しいんだって?」

 

 「えっ!?」 「あ?」

 

 今度こそ驚いた。

 見知らぬ赤の他人が、いきなり自分のパーティに誘い出したのだから。

 ところが。

 

 「さっさと去ね、雑魚ども。」

 

 ガズロの一言に彼らは静まり返った。決して大人しく引き下がったわけではない。静かにキレているのだ。

 

 「……俺たちゃLv2になって2年は経ってるぜ?それでもレベルアップしたてのお前らより弱いってか?」

 

 「何遍も言わすな。去ね雑魚ども。」

 

 その一言に彼が手を振りかぶった時、ガズロは捉えられぬ程の速度で動きその場でモルド?と呼ばれていた男性を極東でよく見られるとかいう柔?で倒してしまった。

 

 「………は?」

 

 「仏の顔も三度までだぜ、去ね。」

 

 何が起こったかわかっていなかった男性も、すぐに何が起きたか理解して顔を青ざめ、尻尾を巻いて逃げ出した。

 

 「バカタレ!金は置いてくんだよ!」

 

 「はっ、はいいい!?」

 

 仲間の一人がお金の詰まっているであろう袋を投げて逃げ去ってしまった。

 

 「さっ、飲み直しだ。」

 

 ガズロはその後も平然と飲み続けた。








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