地下大墳墓のクレリック   作:中村信宏
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10話:ガゼフ戦士長、神官の協力を得る

アインズとヘロヘロは村長の招きを受け、今、家の中でこの国の情勢の説明を受けていた。フィレアナはどうかと言うと、今はユリと、来る途中で助けた姉妹の姉であるエンリと妹のネムと共に、荒らされた村の後片付けを手伝っていた。アルベドが後詰めで駆けつけてきており、アルベドは村長の家の扉の前で門番の様になっている。女性用の黒の全身鎧を装備しており、翼や角を隠していた。フィレアナとユリが村の片づけを手伝っているのは、両名揃って人間と全く変わらない容姿だからである。

 

(……まさか、あんなことになるなんて)

 

フィレアナは、村の後片付けをしてる最中、自分のした『ある事』について考えていた。村を片付けている最中、家の中に小さな子供の死体を発見したのである。アインズやヘロヘロに、村の広間に来る最中、死者を蘇生させるのは、後々問題になるかもしれないため止めておいた方がいいと諭された。しかし、できる事ならば、助けた方がいいに決まっている。そう考えたフィレアナは、こっそり蘇生魔法を使って、家の中にいた子供を助けようとしたのだ。死んだと思っていたが、奇跡的にまだ息があった。なので、高位の回復魔法を使って助けたとでも言い訳すればいい、と考えたのである。そして、ヘロヘロの魔力温存の重要性の意見もわかったので、妥協して第七位階の蘇生(リザレクション)詠唱し、蘇生を試みた。しかし、助けようとしたその子供は、魔法をかけたら灰となってしまったのである。その時、何故こうなったと仰天し、今の光景を誰かが見ていなかったか、急いで周囲を確認した。家の中だったのが幸いであった。もし、外だったら確実に見られていただろう。フィレアナは誰にも見られていない事を確信し、ほっと安堵した。

 

(まさか、死体が灰になるなんて……ひょっとして、デスペナ?)

 

フィレアナはあの現象が、デス・ペナルティがこの世界で再現されると、ああなるのではないかと推測を立てた。ユグドラシルの主要な蘇生魔法は主に三つ、死者復活(レイズデッド)蘇生(リザレクション)真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)だ。後者に行けば行くほど、レベルダウンのデス・ペナルティの度合いが小さくなる。ここで重要なのは、真なる蘇生(トゥルー・リザレクション)とてデス・ペナルティは避けられない事だ。では、この世界でレベルダウンが発生した場合一体どうなるのか。あの子供はただの村人だ。戦士としてのレベルは0だろう。

 

(まさか、下がるべきレベルが無い場合、対象の人が灰になる?もしそうなら、ダメじゃないか。蘇生(トゥルー・リザレクション)ですら蘇生できるかどうかわからないほどの低レベルの可能性もあるんだ。それに、蘇生に挑戦したら灰になって、遺体すら残りませんでした、では村の人が激怒するぞ。下手すると、蘇生するには、デスペナ軽減の課金アイテムが必要になるかもしれない。そうなったら、完璧にお手上げだ。)

 

フィレアナは助けたくても、助ける事が事実上不可能に近い事、また蘇生魔法も万能ではない事を知り、もしこういった場合に人助けをするなら、犠牲が大きくなる前に助けなければならない事を痛感する。ユリが考え事をしていたフィレアナの様子を不審に思ったのか、何があったのかと話しかけてきた。

 

「フィレアナ様、どうなされましたか?」

「いえ、ちょっと考え事をしてまして…気にしないでください。それより、あちら…ネムちゃん達は大丈夫でしょうか?」

 

村の安全が確保出来た後、あの姉妹は親を探しに行った。残念ながら、姉妹の両親は帰らぬ人となっていた。両親が地面に伏し、倒れていたのである。彼らが死んでいる事を悟り、二人は悲痛な声をあげて涙を流していた。フィレアナが彼女達の両親を助ける事ができないのは、こっそり蘇生魔法を試した事で実証済みだ。蘇生魔法をかけたら恐らく灰になる。

 

「ネムちゃんは家の中で泣いているようですね……そっとしておきましょう」

 

恐らくまだ10歳にもなっていない子だし、無理もないとフィレアナは判断する。そして、遠くの空に浮かんでいる自分の天使達を見上げた。

 

(もしかして、消滅しない限りずっとあのまま?うーん、デスナイトはナザリックに引き上げればいいかもだけど、ナザリックに天使……全然似合わない、どうしよう?)

 

フィレアナが天使達の処遇に悩んでいたら、男性が歩いて村長の家へ歩いて向かう様子がふと目に入った。しばらくすると、村長とアインズ達が家から出てくる。そして、アインズとヘロヘロはアルベドを連れて、こちらへ歩き出した。

 

「そこそこ有益な情報が手に入った。やはり、ここがユグドラシルではない事はは確定だ。周辺国家や町の名前を聞いたが、ユグドラシルでは何処にも無い国名や町の名前だらけだ」

「結果的には、この村を助けて正解でした。基本的な情報が手に入りましたからね」

 

アインズ達は村長から手に入れた周辺国家の名前、近辺の街、貨幣、種族等様々な基礎的な情報をフィレアナとユリ、アルベドに話した。アインズが手に入れた情報を説明していると、八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)が目の前に現れた。

八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)?何故ここにいる?」

「アルベド様の命で、後詰に参りました。アルベド様、何者か、人間の戦士団がこの村に向かっています」

「またですか…」

 

ヘロヘロが、辟易した様子でその報告に対して愚痴を零し、アルベドがいきなり物騒な事を言い始めた。

 

「アインズ様、殲滅いたしますか?ご命令とあれば、下等な人間如き、即殲滅いたしますが」

「やめておけ、殲滅するのは簡単だ。とりあえず様子を見るぞ。ただ、迎撃する準備だけはしておけ。とりあえずユリ、村長を呼んでくれ。その戦士団には村長が相手をしてもらった方がいいだろう。私達は近くで隠れて様子見だ」

 

ユリはこの場を下がって、村長を探しに行った。しばらくすると、ユリが村長を連れてきたが、近くには村長の様子を心配した村人も付いて来ていた。アインズは村長に現状を説明する

 

「さて、村長遠くから何者か、戦士達が来ているそうです。対応をよろしくお願いします。よそ者より、この村の者が相手をした方がいいでしょう」

「え、ええ…し、しかし……」

 

どうやら、村長はその戦士団を警戒しているらしい。騎士達に虐殺されたばかりなのだから、無理もない。付いて来た村人達もそれは一緒のようだ。

 

「ご安心ください。私達も脇で待機しています。もし何かあれば私達が対処しましょう。そちらの方たちは、村人達を何処か安全な場所、村長の家がいいでしょう。そちらに身を隠してください。私達と村長は広間で戦士達を待ちます。

 

アインズが指示を出すと、村人達はすぐに指示通りに動いた。一応、アインズはデスナイトを家の死角に隠し、フィレアナも天使二体を同じように別の家の死角に隠した。よく見れば、チラチラと村人達が様子を不安げに見ている。

 

(撃退したあの騎士達程度の強さならいいのですが……)

 

フィレアナは戦士団の強さを想定していた。しかし、不安はそこまでない。何しろ、今ここには前衛となるアルベドにユリにヘロヘロ、後衛にはアインズと自分がいる。攻撃役とその補助役が完備、隙のない態勢である。

やがて、戦士団達の姿がはっきりと見えるようになった。彼らは騎兵であり、数は二十名程度、村の中央を進んでこちらへやってくる。その中の一名が、集団を離れて馬に乗ってこちらへやってきた。戦士達の代表者と思われる人物は、村長の前に来ると、口を開く。

 

「私は、リ・エスティ―ゼ王国、王国戦士長のガゼフ・ストロノーフだ。この近辺を荒らし回っている帝国の騎士達を討伐するために、王の御命令を受け、村々を回っているものである」

「……王国戦士長?」

 

村長が呟く。彼がどのような人物なのか、アインズが詳しく聞こうと村長に話しかけていた。

 

「かつての王国の御前試合で優勝を果たした人物で、王直属の精鋭兵士達を指揮する方だとか?」

 

村長はそのように答えた。ガゼフと言う男は、アインズ達を見渡し、彼らが何者であろうかと判断しようとしていた。やがて戦士長を名乗る人物は、村長に質問を投げかける。

 

「村長、横にいる者達が、一体誰なのか教えてもらいたい」

「それには及びません。初めまして、王国戦士長殿。私はアインズ・ウール・ゴウン。この村が騎士に襲われておりましたので、助けに来た魔法詠唱者です。隣にいるのは、私の配下や友の者達です」

 

それに対し、王国戦士長を名乗るガゼフは馬から降りて、アインズに対し頭を下げ、礼を言った。

 

「この村を救っていただき、感謝の言葉もない」

 

堂に入った様子で、アインズ達に礼を言った。よく見れば後ろの騎士達が驚いている。見た感じ礼儀もしっかりとしており、人柄的にもよくできた人物らしい。王国戦士長と言うのは嘘ではなさそうだとフィレアナは思っていた。恐らく、隣にいる仲間達もそうだろう。

 

ガゼフは礼を言うと、奥に視線を飛ばした。その先には、アインズが隠したデスナイトと、フィレアナの隠した威光の主天使と安寧の権天使がいる。

 

「失礼ですが、あそこにいる天使達とアンデッドらしきものは…」

「私が呼び出したシモベ達です」

 

アインズは自分が召喚したアンデッドや天使であると説明した。ガゼフは感心するような声を上げ、アインズを鋭い視線で観察するように見た。続けて、彼はフィレアナも観察するように見始める。こちらに来てから初めて遭遇した騎士達とは違い、下品な表情や視線でフィレアナを見る事は無い。その事で、フィレアナは彼に対し少し好感を持った。なお、ガゼフがフィレアナや傍にいるユリに見惚れなかった訳ではない。単に普段から彼女らに匹敵する美姫に見慣れていたため、耐性が少しあったのである。アルベドにも視線が向かったが、全身鎧なので鎧の構造的に恐らく女性だろうと判断した程度だろう。

 

「さて、では椅子にでも座りながら詳しい話を聞かせてもらおうか。それと、もし構わなければ時間も時間なので、この村で一晩休ませてもらいたいとも思っているのだが…」

 

フィレアナがガゼフの後ろを見ると騎士が大慌てて走ってくる。息は乱れており、形相も必死だ。どうしたのかと思っていると、大声で緊急事態を告げた。

 

「戦士長!周囲に複数の人影!村を囲むような形で、接近しつつあります!」

「なんだと!!」

 

配下の報告に驚くガゼフである。そして、すぐにアインズの方へ向き、話を再開した。

 

「すまないゴウン殿、少し話がある。村長、そちらの家を貸して欲しい」

 

そう言ってガゼフは近くに有った家の中へアインズを誘った。今後の事でアインズと相談がしたいのだろう。その様子を見ていた、ヘロヘロがメッセージでフィレアナに話しかけた。。

 

(フィレアナさん、私達も遊んでないで情報を集めましょう。ほら、あそこの戦士達に話しかけてきてください。フィレアナさんなら、たぶん余裕で話を聞けますよ?)

(えっ、どうしてですか?)

 

ヘロヘロのいきなりのメッセージを聞き、キョトンとするフィレアナである。

 

(あれって、野郎共の集団じゃないですか。フィレアナさんは、超が付くほどの美少女だって自覚あります?しかもその胸、はっきり言ってその爆乳は兵器です。微笑みながら、胸を強調するように腕寄せながら話しかけたら。きっとベラベラ喋ってくれますよ?)

 

いきなりとんでもない事を言う。つまり、男性の性欲に訴えて話を聞いて来いと言うのだ。

 

(……やってみますけど、期待はしないでくださいね?)

 

ヘロヘロの言う通り、少し腕を中央に寄せ、胸が強調されるようにしながら戦士達の方へ歩く。戦士達がフィレアナに気づくと、見惚れて顔を見たり、ヘロヘロの言う通り彼らの視線が胸に行くのがわかった。人によっては、じーっと胸を注視しているのもいる。

 

(俺も男だったからわかるけど、あんたらもうちょっと女性へのマナーってのを……)

 

自分の性癖を棚に上げて、目の前の戦士達の醜態を内心で責めるフィレアナであった。そして、近くにいた戦士に挨拶をする。

 

「こんにちは、あの、少しよろしいですか?」

「え、あ、は、はい!な、なんでしょう!?」

 

目の前の男性が慌てていた。視線は基本顔にいっているが、チラチラと胸を見ているのがわかる。女性が男性の視線に敏感という話をよく聞くが、その通りなのだとフィレアナは痛感した。視線が自分の顔にあまり来ていない。

 

(敵が何者か聞いてみてください。さっき村長はバハルス帝国って国の騎士だと言ってましたが、どうもそうとは限らないみたいなんです。もしかしたら違うかもしれないって追及してみていただけませんか?ちょっとそこが気にかかりまして、その辺詳しくお願いします。そこがわかれば、後は自由にお願いします)

 

メッセージでフィレアナの頭の中に指示が飛んだ。フィレアナはその指示に従う。

 

「あの、戦士様?私のご主人様が帝国の騎士を倒したのですが、帝国の騎士ではないかもしれない、と言っていたのです。あの、彼らは何者なのでしょうか?」

「えっ?いや、そんなはずは…いや、まさか法国の…」

 

目の前の戦士が、重要そうなキーワードを言った気がする。その戦士は後ろを振り返り、遠くに見える敵と思われる集団を見始めた。

 

「あの、法国とは?」

「えっ!?あっ、いや……」

 

まずい事を言ったかもしれないと思って目の前の戦士は口ごもったようだが、ここまで来たら関わり合いにならざるを得ないのか、法国に関して話し始めた。

 

「法国というのは、スレイン法国という国の事ですよ。そこに浮かんでいる天使によく似たのがあっちにも沢山いるでしょう?法国で間違いないと思います。うちの戦士長は、王国最強なんて言われてましてね。そのため、色んな国に恨まれてるんですよ。味方としては頼もしいですが、敵としてみれば、最悪ですからね」

「まあ…‥」

 

フィレアナは王国最強、という言葉に反応して驚いて見せた。確かにそこそこできそうな人物ではあったが…アルベドの方が圧倒的に強いのではないだろうか?

 

「ははは、大丈夫ですよ。皆さんの事は、私達が守りますから」

 

目の前の戦士は自分達を守ると笑いながら答えるが、遠くに見える敵の数を見ると、どう見ても不利である。仮に同じ戦力だとするなら、圧倒的に不利であり、勝ち目があるとは思えない。

 

「あの……失礼だとは思いますが、本当に大丈夫なのですか?その、スレイン法国という国の魔法詠唱者…‥だと思うのですが、あんなに沢山いるのですよ?」

 

本当に勝てるのか、とフィレアナは不安そうに戦士に問いかける。そうすると、その戦士は曖昧な表情を浮かべ、その問いに答えた。

 

「…正直に言いますと、かなり厳しいかと。これはあくまで私の私見ですが、戦士長はハメられたんですよ。実は、ここに来るまでにあちらこちらの村が襲撃されてまして、ほとんど壊滅状態だったんですが、一部生き残った方がいたんです。その方達を安全な場所に案内するために人を使ったので、少しづつ人数が減っていきまして、今では……」

 

今では、この通りの数になってしまったと言うのだろう。フィレアナは、途中で村が襲撃され壊滅状態だったという言葉に眉を顰めた。

 

「…戦士様は、逃げないのですか?きっと、死んでしまいますよ?」

「ははは、逃げませんよ。逃げたら…」

 

その時、家の扉が開き、戦士長であるガゼフが家から出てきた。目の前の男は「おっと」と言い、フィレアナから視線を外した。

 

「では、これにて」

 

フィレアナに挨拶をして、目の前の戦士は後ろに下がり、馬に乗ろうとしていた。途中、同僚の戦士達に捕まって、何か言われていた。恐らく、内容は自分と話した事を冷やかされたのだろう。

 

(あの人たち、たぶんこのままだと死んでしまいますよね……)

 

フィレアナは、村で見つけた少年の死体を思い出していた。仮に死んでも、彼らなら蘇生魔法を使えば助かるかもしれない。だが、助からないかもしれない。また、あそこまでしたスレイン法国の者達が、この村をそのまま放置するとも思えない。放置しなかったら、次は自分達と彼らが戦闘になるだろう。そして、恐らく自分達の勝利は揺るがない……はずだ。

 

(戦うのは怖い、でも…)

 

フィレアナがいくら強かろうと、所詮中身は元一般人である。だが、一般人なりに勇気を振り絞り、ある事を決意した。ガゼフは配下の戦士達に合図を出して、戦士達を連れて、村を出ようとしていた。フィレアナは、戦士団を急いで呼び止めた。

 

「戦士様、私を連れて行ってはいただけませんか?」

 

戦士長のガゼフに自分も連れて行った欲しいと呼び止めた。その言葉に、「何?」と戸惑いの声がガゼフから上がる。それは仲間達とて同じ事であり、アインズからフィレアナに制止の声が入った。

 

「待て!フィレアナさん、どういうつもりだ!!」

 

アインズからフィレアナの意図を問う声が上がった。どうやら、フィレアナの提案には反対の立場らしい。フィレアナは、アインズを説得すべく、自分の案を話した。

 

「アインズ様、敵の強さを心配されているようですが、先ほどの戦士達の強さを鑑みるに、恐らく私単独でも問題ないかと思われます。私が彼らに対して『全力で』相手をしますので、それで敵の強さを判断するというのはいかがでしょうか?もし、私の力で敵いそうもないなら、アインズ様の魔法で私を強制的に撤退させる。これでどうでしょう?」

 

アインズは腕を組み、今の提案の有効性を考える。先ほど、戦士長のガゼフには協力を拒んだばかりだが……と考えていると、隣にいたユリから、フィレアナに助け船が入った。

 

「アインズ様、ここから見える敵がこの村を襲撃した程度の戦力だといたしますと、フィレアナさん単独でも問題なく勝てますが」

 

ユリが、別に問題ないだろうとフィレアナの提案に賛同する。アインズは隣のアルベドを見てアルベドに意見を聞くと、アルベドもユリの意見に賛同した。

 

「ユリの言う通り、彼女、フィレアナ……さんが負ける事は無いと思いますが。格が違いすぎます」

 

ユリとアルベドという強者二名から、何も問題が無いと太鼓判を押された。アインズはフィレアナとガゼフを交互に見ると、やがて口を開く。

 

「ガゼフ戦士長、先ほどはああ言ったが、そちらのフィレアナを貸し出そう。彼女を連れて行くといい」

「何!?いや、しかし、彼女はその……メイド?」

 

ガゼフは見た感じ、ただのメイドであるフィレアナを見て、首を傾げた。見た目美しいただの少女である。男性を魅了する容姿や豊満な胸を見るに、権力の誇示の為に雇っているだけではないか、と思っていたのである。権力者では美女を囲う事はよくある話なのだ。彼女が強者だというイメージは全く湧いてこない。

 

「ご安心を、先ほど村長の家の奥にいた天使を見たでしょう?あれは彼女が呼び出したものです。実力は保証いたしますよ?」

「何!?」

 

ガゼフは驚きの声を上げ、目の前の少女を見た。先ほど見た天使は二体いたが、そのうち一体は、自分でも勝てるかどうかわからないものだったからだ。まさかこの少女が、と戸惑いながら見ていると、フィレアナがガゼフに挨拶をした。

 

「では、ガゼフ戦士長様、改めて自己紹介をさせていただきます。私、フィレアナ=ストダートと申します。私、今はアインズ様のメイドを務める身ではございますが、幾らか戦闘の心得もございます。どうかご遠慮等なさらず、そちらの戦士の方々同様、戦力として扱ってくださいますようお願いします」

 

フィレアナは両手でスカートの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げて腰を曲げ、頭を深々と下げ、膝を曲げ礼をする。

ガゼフはフィレアナの様子を見て、どうしたものかと天を仰いだ。




次回、ニグンさんボロ負け







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