前回から大分間が空いてしまいました・・・。
言い訳を言ってしまうと、前日まで風邪でした・・・。
みなさん、夜は暖かくして、決して窓なんて全開にしないで寝ましょう^_^
みどりさんの運転する車でアカデミアにやってきた3人は、まず最初にその大きさに驚いた。
「でっか!?本校の校舎よりでっか!?」
「2倍・・・いえ3倍はあるかしら・・・」
「・・・」
3人ともに呆けていると、みどり先生が手を叩く。
「はいはい、気持ちはわかるけどそろそろ戻って来なさい。女子2人は左の通路の先、遊雅は右の通路の突き当たりが借りる部屋だから、さっさと荷物置いて来なさい。その後はPDAで呼ぶまでは自由にしてていいわよ」
はーい、と元気に返事をする遊雅と頷く女子陣。二手にわかれ、それぞれに部屋へと向かう。
「おっじゃまっしまーす。・・・まあ誰もいませんけどネ!」
自分の部屋に来た遊雅は、誰もいない部屋へと意気揚々と上り込む。本校の頃と同じく、シンクロ・エクシーズをなるべく見られないための1人部屋である。
「さーて、んじゃまあ散歩行ってくるわ」
『私はついて行きますよ』
「じゃあ他の奴らはおとなしくしてな」
『『『はーい(うーい)』』』
あいも変わらずキャラ崩壊気味の精霊たちに軽く心配しつつもアバターを連れ周囲を散策する遊雅。すると、中庭らしき場所でレインと明日香が会話しているのを見つける。
「・・・と、ところでレインちゃん、あなたって遊雅とどんな関係なのかしら?」
「・・・?」
遊雅と別れ、2人部屋へ荷物を置き、中庭へ出た所で明日香はレインに尋ねる。レインは、一瞬キョトンとするが、少し考え答える。
「・・・恩人。になる予定」
「予定?」
明日香はよく分からないと首をかしげるが、レインとしてはそれしか言うことが見当たらない。マスターであるゾーンから遊雅にサポートをしろ、とは言われているが、そんな話を明日香にするわけにはいかない。
「よく分からないけど、まあいいわ。・・・レインちゃん、私と友達になってくれない?」
「・・・友達?」
「そう、友達」
自分を指差して繰り返すレイン。明日香としては純粋に友人関係になりたい気持ちと、ほんの少しの下心があった。そんなことになった理由は、例の友人2人からのアドバイスだった。
『あのレインって子、遊雅にすごい懐いてますよね』
『そうね・・・。!ま、まさか彼女・・・!?』
『いえ、私のリサーチによると、遊雅さんの編入生への態度は、どちらかというと・・・への接し方のようでしたわ』
『リサーチって・・・。ま、まあいいけど・・・』
『私の殿方リサーチの正確性は保証しますわ!』
『そうだ、明日香様!ここはあの娘と仲良くなって、明日香様の恋愛の手伝いをしてもらいましょうよ!』
『れれ、恋愛!?べ、別に私遊雅のことはあくまでライバルとして・・・』
『またまたそんなこと言って!大丈夫です、私達は分かってますから!』
『え、えぇ・・・』
そんな下心を頭を振って打ち切る明日香。
(別に手伝って欲しいわけじゃないし?た、ただお友達になりたいだけで・・・そう、これはあくまで友人作りよ。そうなのよ)
内心自分に言い聞かせている明日香を見つつ、レインは思案する。ここで断るメリットはあまり考えられない。デメリットとしては、今後しばらく共に行動する中での気まずさが残るであろうこと。そこまで考えたところで、遊雅が前に言っていたことを思い出す。
『せっかくアカデミアで生活してるんだし、だれか友人でも作ってそいつと一緒に過ごしてみたらどうだ?』
「・・・いいよ」
「!ほんと!?嬉しい!これからよろしく、レイン!」
「・・・よろしく」
明日香の嬉しそうな表情を見ていると、これまで感じたことのない感覚に包まれるレイン。
(・・・?不具合?・・・異常なし。じゃあこの暖かい感じは・・・?)
「何してんだ?」
「ひゃあ!?」
「・・・おはなし」
2人が話していると、いつのまにか背後に来ていた遊雅が話しかける。明日香は度肝を抜かれ、最初から分かっていたレインは普通に答える。
「いいいい、いつから!?」
「今。さっき。なんか明日香が百面相してんのがおもろかったんで・・・ブフッ」
「ちょ、笑うな!」
明日香が怒り、遊雅がヘラヘラ笑いつつ受け流し、レインは黙って見守る。なんだかんだでいい雰囲気になっていたところへ、突然声がかけられる。
「hey!You達!Japanのアカデミア生徒だロ?」
「んぁ?『誰だ?あいにくこっちの2人は英語そんなに出来ないから日本語で頼むわ』」
「オーケーオーケー、分かってるサ!」
日本語に切り替えてそう話しかけてきたのは、陽気なようでどこか他人を見下しているような態度の生徒だった。背後には取り巻きもいる。遊雅や明日香の警戒心あらわな態度を見てもヘラヘラ笑っている。チンピラどもとはまた違った感じで嫌だな、と遊雅は感じた。
「meの名前はデイビット・ラブ!このアカデミア1のデュエリストさ!」
「聞いてないけどな。というか日本人って分かってるんなら初めから日本語で喋れや」
「いやいやすまないネ。まさか英語すら話せない程度の生徒が来るとは思ってなかったから」
ニヤリと悪辣な笑みでそう言うデイビッドに、明日香と遊雅はムッとする。レインはそもそも話を聞いていない。
「・・・喧嘩売ってんのか?」
「まさか。いいかいJapanese、喧嘩ってのは同じレベルの者同士で起きるんだゼ?」
「そうかい・・・そりゃそうだ。悪かったな。たしかに俺らがお前なんかと同レベルなわけないしな!」
「・・・あ?」
「・・・お?」
「そこの2人!そこまでにしといたほうがいいんじゃないか?」
互いにメンチを切り合い、すわ殴り合いか、というくらいの近さになったタイミングで、横槍が入る。やってきたのは、爽やかなイケメンの男性だった。
「hey、Mr.コーヨー!こいつらはあんたの連れかい?」
「まあそんなとこだ。さあ、さっさと講義に行きなよ、また遅れたらリチャードが今度こそ切れるぞー」
「あのジジイ教師か・・・そいつは大変だナ。じゃあなJapanese共」
そう言って取り巻きと共に去っていくデイビッドを、遊雅はずっと睨み続けていた。
「助けてもらってありがとうございます。えっと、ひょっとしてプロデュエリストの響紅葉さんですか?」
明日香が感謝もそこそこにそう言いよる。その目には強い憧れの色が見える。
「まあね。姉さんに頼んで、今回の対戦相手の子に会いに来たんだ」
そう言って笑う紅葉に、明日香はテンションmaxになる。
「あ、あの、サイン下さい!」
「いいよ。何に書こうか?」
「ありがとうございます!遊雅も書いて・・・遊雅?」
遊雅サインが欲しいだろうと振り向くと、そこではベンチに座ってうなだれている遊雅がいた。レインが頭を撫でている。
「・・・何してんのよ」
心なしか不機嫌な明日香がそう聞くと、遊雅はそれと同じくらい、いやそれ以上に不機嫌そうに答える。
「いやまあ・・・ナチュラルに喧嘩に乗っちまった自分にがっかりしてる。俺ってもうちょい大人だと思っていたんだがな・・・」
前世を含めれば精神だけはすでに三十路を過ぎようとしていると思っていた遊雅は、自身の先ほどの行動に項垂れる。そんな遊雅に、紅葉は笑いかける。
「まあまあ、何も言い返さなければそれはそれで男らしくないし、むしろ胸を張りなさい。そんなテンションで俺とデュエルされてもこっちが気後れしちゃうよ?」
そう言う紅葉に、これが実年齢での大人との違いか・・・と訳のわからないことをのたまい遊雅は立ち上がる。そこへ、今度は女子のアメリカ生徒がやってくる。
「あら、コーヨー来てたのね!」
「やあマック・・・授業はどうしたんだい?」
紅葉がそう聞くと、その生徒は肩をすくめつつ答える。
「つまんないから出てきちゃったわ。ねえ、そっちの子達は?」
「ああ、彼らは留学生ってとこかな。みんな、こちらはマック。レジー・マッケンジーだ」
「hi、ヨロシクね、日本語はマダ少し苦手だけどネ」
「どーも、遊雅だ」
「明日香です」
「・・・レイン」
自己紹介をお互いすませると、レジーはあからさまにがっかりする。
「ナンダ、噂のカイザーはいないのネ・・・」
「・・・さっきからなんなんだよ、アメリカ生徒ってのは大体失礼なのか?」
「?さっき?」
「今さっきまでデイビッドがいたんだよ」
「ああ、デイブが・・・。ところデ、留学なんてしてくるんだから貴方達優秀なんでしょ?なんでオシリスレッドがいるノ?」
デイビッドの名前を出すと妙に納得し、同情するような表情になる。しかしすぐに元の顔に戻り、突然爆弾発言をぶっこむ。その一言で明日香は顔をしかめ、紅葉はやれやれとため息をつく。
「・・・マック、彼に失礼だろう?」
「遊雅は強いわよ。レッドとかブルーとか関係なく。勝手に決めつけないで」
「でも私知ってるわ。日本のアカデミアではレッド生徒って意気地なしばっかりなんでしょ?」
さらに畳み掛けるマックに、紅葉はもちろん、明日香もさらに反論しようと口を開くが、そこを遊雅が止める。
「だったら試してみるか?俺が意気地なしかどうか」
「へぇ・・・?」
その言葉に、マックはニヤリと笑う。その目には、デュエリストとしての闘志が垣間見える。
「まあ、留学生ごときに負けるのが怖いならいいんだが・・・」
「いいわ、やりましょう。このアカデミア最強の私が負けるわけないもの!」
さらに挑発する遊雅に、マックはその気になる。というかデイビッドも最強とか言っていたが、アカデミア最強が2人いるのはどういうことか。明日香はため息をつきつつも少し2人から離れ、観戦の体制に入る。紅葉も、自分が戦う相手のデュエルに興味が湧いたため、静止せず事態を静観する。ちなみにレインは興味がないのでベンチでずっと休憩している。
遊雅とマックはお互いにデュエルディスクを構え正対する。
「準備はいいな?」
「ええ!負けないわよ!」
「上等!」
「「デュエル!」」
遊雅
vs
マック
「私の先攻ネ!ドロー!手札からヘカテリスを捨て、デッキから神の居城ヴァルハラを手札に!」
「天使か・・・」
「そうヨ。貴方に天使の裁きを味あわせてあげる!手札から永続魔法神の居城ヴァルハラを発動!そして効果!私の場にモンスターが存在しないため、手札の天使族モンスターを特殊召喚できる!私は光神テテュスを召喚!通常召喚でコーリングノヴァを守備表示召喚!さらに永続魔法天空の泉を発動!そして手札からカードを2枚伏せ、ターンエンド!」
マック
手札0枚
場2枚
伏せ2枚 神の居城ヴァルハラ 天空の泉
「さあ、かかってきなさい?勝てるものならね!」
「俺のターン!」
挑発してくるマックをスルーし、遊雅は自分のターンを始める。ムスッとしているマックを尻目に、遊雅は手札を確認する。
(思ったより悪い・・・)
「手札からマジックカード、調律を発動!デッキからクイックシンクロンを手札に加え、デッキトップを墓地へ!」
落ちたカードを確認して遊雅は顔をしかめる。
(まただ、落ちたのが罠カード・・・精霊達がいないからか?)
手札がこれまでで最高に事故っており、自身がいかに精霊達に支えられていたかを痛感し歯噛みする遊雅。しかし、いないものはどうしようもないと、切り替えてデュエルを続ける。
「手札からマジックカード、暗黒界の取引を発動。お互いに1枚ドローし、1枚墓地へ」
「ちょっと、私なんてデッキから墓地へ送るのと同義じゃない」
「知るかよ、墓地肥やしできて最高じゃねえか。手札を一枚捨て、クイックシンクロンを召喚。墓地に送っていたボルトヘッジホッグを効果で召喚」
「チューナー・・・。それって確か例の新しい召喚法の・・・!」
驚愕するマックに、遊雅はニヤリと笑ってみせる。
「いくぞ!レベル5、クイックシンクロンで、レベル2、ボルトヘッジホッグをチューニング!シンクロ召喚!こい、ニトロウォリアー!」
遊雅の場に緑の鬼のようなモンスターが現れる。
「これがシンクロ召喚・・・!」
「そして手札からフィールド魔法、スターライトジャンクションを発動。バトル!ニトロウォリアーでテテュス攻撃!効果でこのターン魔法カードを使用したため、こいつの攻撃力をダメージ計算時一度だけ1000アップさせる!」
「!リバースカードオープン、ガードブロック!戦闘ダメージを0にし、デッキから1枚ドロー!」
「だが破壊はするぜ!そしてこいつが戦闘で相手モンスターを破壊した時、相手の表側守備表示モンスター1体を攻撃表示にし、もう1度攻撃できる!」
「なんですって!?・・・でも天空の泉の効果で、テテュスを除外することでその攻撃力分ライフを回復!」
マックLP4000→6400
「ちぃ!だがコーリングノヴァを攻撃!」
マックLP6400→5000
「コーリングノヴァが破壊されたため、デッキからオネストを特殊召喚!天空の泉の効果でコーリングノヴァを除外して回復!」
マックLP5000→6400
「・・・カードを1枚伏せターンエンド」
遊雅
手札1枚
場1枚
伏せ1枚 スターライトジャンクション
「私のターン!オネストを効果で手札に!ヴァルハラの効果で手札から裁きの代行者サターンを特殊召喚!リバースカードオープン、奇跡の光臨!除外されているテテュスを召喚!さらにフィールド魔法天空の聖域を発動!スターライトジャンクションは破壊されるわ!」
(そういやそうでござんした!くそっ)
「テテュスで攻撃!ダメージステップ時に、手札のオネストの効果!オネストを捨ててニトロウォリアーの攻撃力分テテュスの攻撃力を上げるわ!」
「リバースカードオープン、ガードブロック!戦闘ダメージを0にし、1枚ドロー!」
「でも破壊よ!そしてサターンでダイレクトアタック!」
「手札の速攻のかかしの効果!こいつを捨ててバトルフェイズを強制終了する!」
「あら残念。でもこれであなたのフィールドはガラ空きね。さあ、どうするかしら?ターンエンド」
得意げな笑みを浮かべるマックに、遊雅はニヤリと笑って答えた。
「まだまだ、お楽しみは俺だけだ、ってのを思い知らせてやる」
レインをメインに書いた閑話とか、アバターの1日とか、ストーリーのだいぶ先の展開は考えついても、目先のデュエル内容を考えるのでかなり悩む今日このころ。
デイビッドとかマックの性格が上手く描けない・・・漫画買い直そうかな・・・。