【戦闘妖精雪風×ストライクウィッチーズ】妖風の魔女 Re:boot   作:ブネーネ
<< 前の話 次の話 >>

4 / 6
ジャムだ、間違いない。

ロマーニャの四月は未だに少しだけ肌寒く、窓には鉄格子が嵌められているだけで冷え切った風は素通りして入ってくる。

軟禁されているこの部屋には簡易的なベッドと毛布がある他には何もない、壁は堅牢な石造りで、木造の扉はその重厚な音からして重く頑丈であり監視の目を盗んで突破することは難しいだろう。

窓の外には海が見える、フェアリイ星では感じられない濁りのような、地球の生物が作り出す血の匂いを感じた。

「…既に軟禁されて二日程か。そろそろMIA《作戦行動中行方不明》認定されてるだろうか、ジャック」

「南極で俺達が確認されていないのなら、恐らく超空間通路に向かう際中に何かしらの事故が起きた事になるだろう」

FAFは地球防衛の任務を受けてフェアリィ星に在るわけだが、地球側からすればジャムやFAFは既に空想上の産物という扱いを受けている。

身近にある端末を起動させ、気になるワードを検索すればいい、「ジャム」「FAF」「超空間通路」。

当たり障りのない浅い情報が関の山で、いつの間にかはぐらかされて情報が途切れるようになっている。

覚えているとして国連や各国の政府機関の一部、《ジ・インベーダー》の著者であるリン・ジャクスンを始めとした様々な思惑で動く政治的、あるいは軍事的なジャーナリスト達、そしてアングラな情報に釘付けのマニア位のものだろう。

誰もがジャムの存在と脅威を、FAFの重要性を忘れさろうとしてしまっている、ジャムはもはや現実的では無かった。

しかし人類史最高峰ともいえる高性能な戦闘機が突如消息不明となれば波紋を呼んで各方面は大きく動く。

「そういう時には決まってクレームを入れてペナルティを課し、予算を減らす事が好きな人間がこぞって寄ってくる」とジャックは続けた。

 

「零、もしこの状況がジャムの仕業だとしたらどうだ?」

「ジャムの仕業か、例えそうだとしてどこまでがジャムの仕業だと信じられる」

「何?」

「この世界はジャムの造った物なのか、それともジャムに誘導されたのか、俺達は別の所に居てこの幻を見ているのか。分かるのはその答えを握っているジャムだけで、今その答えに近づけるのは雪風だけだ」

「そなえよつねに、という事か」

雪風は「対ジャム戦の遂行」と「友軍の生死に関わらず、援護する事もなく必ず情報を保持して帰還せよ」を至上命令として組み込まれた自律型の戦闘知性体だ。

恐らくジャムはこちらの戦闘機械の解析の為にアクションを仕掛けた、雪風は己の存在意義として全能力を以てジャムと戦うだろう。

その時自分達は何が出来るのか、妖精の眼を持たない人間の、ただ一人の存在として。

雪風に乗って空を飛ぶ時、そんな悠長な事等考えられずに居られた、一瞬の認識の遅れが即ち死に繋がるからだった。

だがむざむざと死ぬわけにはいかない、生存競争だ、生きるのなら戦うしかないならどうであれ戦い続けるしかない、逃げる場所なんてもう何処にもないのだから。

 

 

 

 

 FFR-41MR【メイヴ】、パーソナルネーム雪風は501JFW基地の格納庫、その一角にてシートを被せられ監視を付けられた状態で封鎖されていた。

今の雪風は特殊戦司令部内にある【戦術コンピュータ】や本部の【中枢コンピュータ】どころか、既存のコンピュータネットワークの全てから外れた状態にある。

その上で戦術偵察機としてフライト中のエンジンの燃焼率や空気抵抗などのエアデータ、本体に内蔵された高解像度の可視光カメラによる地形データの照合、アナログな無線通信や高性能な指向性集音マイクにより得られる情報の解析。

その上で各種空中波やジャミング、あるいは不可解な干渉に対してECMセンサーや対電磁防御等を構えていた。

彼女は一秒と休まずにジャムとの戦闘を続けていた、武装の応酬は無かったが、確かに対ジャム戦を展開していた。

パイロットの居ないコックピットに、ディスプレイの中で淡く点滅する一つのメッセージ。

 

〈Home on JAM〉

 

 

 




世界観や設定の疑問やご指摘、誤字脱字、感想等の貴重なご意見は常に募集しております。
皆様からのメッセージを励みにこれからも投稿していきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。


※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。