【戦闘妖精雪風×ストライクウィッチーズ】妖風の魔女 Re:boot   作:ブネーネ
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魔女のテーブルマナー

軟禁されてから早十日目、遂に扉が開かれた。

遂に俺達の処遇が決まったようだ、後ろに武装した兵士を連れたミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐殿は以前の数割増しの険しい表情で抑揚なく告げる。

「貴方達に会いたいという人が来ています、後ろを向いて膝を付き、手を後ろに回しなさい」

「待ってくれ、誰なんだ一体、俺達に用がある人間というのは」

「会えば分かります、早くしなさい」

よほど嫌われているのだろう、取り付く島もなく後ろ手に手錠で拘束された、目隠しは無かった。

絶体絶命の状況だ、もしもFAFがジャムを鹵獲したらどうするだろうか、何であれ素直に巣へ返す事だけはないだろう。

零も一度妖精空間からの帰還を――重傷を負い、植物状態にはなったものの――果たしている、しかし奇跡的な状況が重なっただけであり二人ともそういった特殊な訓練は受けていない。

良くて処刑か、悪くて人体実験か、今のヴィルケ中佐の機嫌からすれば在り得なくもなさそうだ。

数日前にも通った石造りの廊下を通って取調室まで連行すると椅子に並んで座らされ、更に拘束を増やされた。

前回の中佐との取り調べの際には無かったもので、今回やって来るであろう人物の背景が大方の予測がついた。

数分後に再び取調室の扉が開き隙間から日光が差し込む、初めに制服の違う武装した兵士が入り、その次に長身の女性がブーツを鳴らして入って来た。

逆行が掛かり、長髪である事以外は分からなかったが対面に付いた時その線の細さに見合わない据わった目線がこちらを射抜いた。

「初めまして異世界人、人類連合軍所属501JFW統括、アドルフィーネ・ガランド中将だ」

年若い少女にしか見えないが中将であると彼女は言う、ヴィルケ中佐の階級と比べればありえない話ではない、あるいはFAFの様な階級制度の可能性もある。

重要なのは、自分達の今後を決めるのは彼女次第だと言う事だ。

「FAF、SAF五番隊所属のジェイムズ・ブッカー少佐です」

「同じくSAF所属の深井零中尉だ」

自己紹介をお互いに済ませたら互いの要件を済ませるだけだ、先に口火を切ったのはガランド中将からだった。

「さて、君達の立場と主張は聞かせてもらった。その上で言わせてもらえば貴方達の要求を飲む事は難しい」

「何故だ」

「まず初めに貴方達の存在が怪しすぎる、適当な身分をでっち上げたどこかの組織の工作員である可能性が否定できない」

「この世界の人間ではない事は確かだが、ここへ来たのは俺達の意思ではない。例え俺達が工作員であったとしても内側に招き入れたのはそこの中佐殿だ、中佐殿も査問会議にかけてみるか」

「いや、その必要はないな。なので一度その説は置いておこう」

非を指摘されたヴィルケ中佐の視線が一層鋭くなったように思えるが、零は動じない。

「そもそもだな、話にあった南極の通路も確認できていないし、貴方達が希望する燃料を給油する事も出来ない、その上協力を要請する根拠である国際法とやらを守る義務もない」

「……」

「そこで提案なんだが、こちらの話を聞いてもらえるだろうか」

そう言って机の上に並べたのは数枚の写真、一対のコーン状の鋼鉄の物体、海上で見た事があるこれは「確か…ストライカー、ユニットですか?」

「その通りだブッカー少佐、しかしコレは従来の物とは異なるユニット『ジェットストライカー』だ」

話が読めてきた、だからこそ自分達は今まで拘束されていたのだ、彼女らが未知なる技術を得る為に。

「貴方達は何故私達がこの技術を欲しているかを分かるか?」

「兵器は戦う為だろう」

「それは、そうだろう。しかし兵器は何と戦うかによって形を変える」

FAFが、特殊戦が対ジャム戦に適応したように彼女達も姿を変えるという。

「私達はネウロイを駆逐する為に戦う、これはこれまでの思想とはかけ離れた新たなる力、これは我々にとって戦況を打開する力になり得るのだ」

ジェットエンジンを搭載したストライカー、何も知らない自分達ではその価値は理解しきれないが彼女の言葉は徐々に熱をもっていく。

「私達はずっとこの敵と争い続けている、ウィッチは魔力を持った少女にしか成る事は出来ない、人類の中でも数%の人間しかネウロイに対して有効打を持たないのが現状だ」

「そもそもネウロイとは何だ」

「インベーダーさ、敵だよ。突然現れて国を焼き、人を襲う。この基地のウィッチは指折りのスペシャルだが他はそうじゃない、例え一桁の娘だって最前線に送らねばならない私の気持ちが分かるか?」

「…俺だって同じだ、何度でも仲間を最前線に送りだしてきた」

深井零が二度目の妖精空間に攫われた時、酷い焦燥感に教われた事を覚えている。

零とは友としての感情を抜きにしても、自分は安全な場所でふんぞり返っていると言う事はどうしても出来なかった。

「それならば私達の事情も分かっただろう。特別な事はいらない、理論の根幹さえ築く事が出来ればあとは自分達でやっていける」

「その為にジェットエンジンの基礎理論を教えろという事か」

「そうだ」

「…それは構わないが、雪風に手を出す事は許さない」

「契約成立だな」

 

 

 

―――――非常事態を告げる高鳴るサイレンの音が鳴り響く。

 

 

 

 

「…ネウロイか。丁度いい、ミーナ中佐は指揮を執りに向かい給え」

「坂本少佐が居ます、態々私が――――」

「君はいつからネウロイに対して余裕の態度を取れるようになったのかな?命令だ、ネウロイ戦において指揮をとりネウロイを確実に撃墜せよ、復唱」

「…ネウロイ戦の指揮を執り、確実にネウロイを撃墜します」

「よろしい」

ヴィルケ中佐が此方を一瞥するも、命令に逆らう事も出来ずに敬礼してその場を後にする。

 

 

「丁度いい。貴方達と私達の敵、ネウロイのおでましだよ」

 

 

 

 

 




遅筆ながら、この辺からやっと前作の流れに合流出来そうです。

世界観や設定の疑問やご指摘、誤字脱字、感想等の貴重なご意見は常に募集しております。
皆様からのメッセージを励みにこれからも投稿していきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。


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