今度こそは
君は長期休業時に思ったことはないだろうか?
自由だ、普段のルーチンの様な日常とは異なり、自分の意思さえあれば何でもやれる_やり始める事ができる。こんな日常が続けばいいのにと世の中の人々は幼い頃に一度は思ったのではないだろうか?
しかし、どんなに願っても休みの終わりと共に現実と向き合う時間が訪れる。機械のように決められた毎日をこなす日々に訪れる安息の時間、そして再び訪れる日常とのギャップは人の心に大きなストレスを与える。だからこそ休み明けには退職者や自殺者が増加し、特に普段の日常が辛い境遇にいるものほどそうなるのだ。
週明けには夏休みも終わり大学が始まるという現実を再認識して、軽く現実逃避を試みるも余計に虚しく感じてしまう。
木山と言うぱっとしない苗字、178と低くもなければ高くもない身長に基礎的な筋トレで程よく鍛えられた体・偏差値50程度の頭脳を持つ大学一年性のフツメン男子を自称している俺は今二流大学に通っている学生だ。
サークル活動に注力していて、サバゲー(SBG)研に所属している。所属しているメンバーはなぜかイキった奴ばかりで最初は躊躇していたが接するうちに彼らの言動・態度にも慣れてゆき、何時の間にか俺も(部長曰く)立派なイキリストになっていた。
サークルで知り合った同志たちとの日々はどこか他者と自分との感性の違いに疎外感を感じていた自分の心に安らぎをあたえてくれたのだが_ある時俺は気付いてしまった。
サークルのメンバーしかり、世の中のイキっている人たちはマナーや法律などの社会的ルールーを窮屈に感じつつもそれを破るような行為は抑制している。せめてもの反抗でそういった態度や言動を口にして自分の心に折り合いをつけているだけなのだと。
俺は世間でいうトチ狂った猟奇的犯罪者たちと同じ思考なのだと、ルールなんか糞くらいだ!やりたいからっ、俺はこう思ったからやった。彼らの言い分は俺が常日頃から抱いていた思い_そのものだった。彼らとの違いは行動に移したか否かの違いだけだ。
( ムカついたからやった、なんか文句あるか?そんな無法がまかり通る世界があればなんと心躍るだろうか )
そんなことを考えていた数日後、一枚の手紙によってそんな世界に迷い込むことになることなど今の俺には思いもつかなかった。
朝.ポストを確認すると一枚のハガキが入っていた。差出人は不明で切手も貼ってない怪しさ満点の代物。
内容は
『 拝啓 木山様 厳正な審査のもとに見事<異世界移住権>を当選なされたことをここにご報告いたします。つきましては権利の使用方法と概要をご説明したいため。後日職員がご自宅にお伺いします。ご不在であられた場合、了承いただいたと当方は判断し、即時手続きを行わせていただくことになりますのでご了承ください。』
「 うさんくっさ 」
どうせ小中学生のイタズラと判断し、ごみ箱にハガキを捨てたのだった。
変なところで終わってしまったので明日でキリのいいところまで進めたいと思っています。