とある歴戦のサイボーグ兵士の悩み

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落ちのない一発ネタです!


ある強襲降下兵の悩み

 成層圏外、俺たちは旧型戦闘艦(オンボロバトルシップ)から、槍一本とわずかな装甲だけで惑星降下を強いられる。

 メカ生命体に占領された惑星アルファ……そのB21地区を解放するための電撃作戦……兵士の生存率を無視した無謀な作戦であった。

 重りを背負った人をミサイルに見立て、高高度上空から目標地点に放たれるのは質量攻撃(メテオアタック)

 あるいは、戦乙女の一撃(ヴァルキリーストライク)と揶揄られるそれ。

 身の丈をこえるゴテゴテとした長大な機械の槍は体を包み込むシールドを発生させるが、被弾してエネルギーを使い果たせば、空中で焼け死ぬか地表に叩きつけられてミンチになるかのどちらかだ。

 メカ生命体の対空砲撃でシールドと心の正気ゲージを削られながら降下する。

 数分後、天に届くほどの土煙の爆発があがり、俺はカミカゼという名の着地に成功した。

 クソ重たい装備そのままに、出来立てほやほやの大穴(クレーター)から這いずるように地表へ出た。

 辺りを見回す……敵らしき姿は見当たらない。

 何らかの建造物と思わしきフレーム(・・・・・)だけが残っていた。

 俺たちの命がけの攻撃で、敵拠点の防衛バリアと施設の大半を破壊することに成功したようだ。

 すぐ近くで友軍シグナル。

 首だけで振り向くと200メートルほど後ろに、重々しい音をたてて、槍と甲冑にも似た装備をパージしているアラブ系の女がいた。

 近くであがった爆発の光が月明かりのない夜を煌々と照らしだす。

 薄スキンのコンバットスーツを着込む、魅惑のボディラインが闇にうっすらと浮かびあがる。

 艶やかな黒髪と褐色の肌、伏せがちの泣いているように見えるうるんだ瞳と厚みのあるぽてっとした唇が、ぞくぞくするほどセクシィだった。

 出撃前に飲んだ栄養剤の影響か性欲がたぎる。

 こんな戦場じゃなかったら飲みに誘いたくなるほどの蠱惑的な美人であった。

 

 ふと彼女と視線が合う……しかし、残念ながらロマンスは生まれないようだ。

 

 俺は彼女に近づきながら無用の長物となった装備を破棄し、空間圧縮された重機関砲二門を解凍して両手に持つ。

 その際、無意味に揺れる、自分のでけぇおっぱいをうっとく感じた。

 アラブ系美女も俺と同じく重機関砲を両手に構え、でけぇおっぱいを揺らしていた。

 そうして無言で見つめ合い立っていると、俺たちの周囲にわらわらと小柄な兵士たちが集まってくる。

 本当に全員が小柄で俺の腰ほどくらいしか背丈がない。

 

「集合! 集合なのですよっ!!」

 

 その中の一人が手をあげ甲高い声で叫んだ。

 いや、実際には声にだしているわけじゃない。

 無線通信の暗号回線越しにそう聞こえるだけだ。

 降下した兵士たちの集合が完了する。

 何人かは作戦中に食われたが、それでも六十体ほど残っていた。

 

「これから敵残存勢力の殲滅を開始するのですっ!!」

『はい、なのですっ!!』

 

 一斉に答える甲高い声。

 最初に声をだした兵士は指揮用のアイパッチゴーグルを着用していた。

 その兵士――隊長の口元にはシガレットチョコが咥えられている。

 全員、隊長に対して、アサルトライフル片手に敬礼。

 俺たち二人は重機関砲で両手が塞がっているので免除された。

 

「では、みんな! 交戦開始なのです!!」

『イエッサー! なのです!!』

 

 そして一斉に敵基地に走りだす……幼女たち。

 そう、こいつらは薄スキンのコンバットスーツをつけた幼女たちだ。

 全員に指示をだした隊長……そいつも幼女だ。

 俺たち以外の兵士は全員幼女だった。

 重い武装をもって幼女たちの後ろをついていく。

 短い足なのに、幼女たちの移動速度は異様に速い。

 加速……俺たちの、でけぇおっぱいが無駄に揺れる。

 やがて、半壊した基地から敵残存兵力が続々と姿を見せた。

 

「ギギギギギギギギギギギ――」

 

 サーボモータ音、何重にも響くマシンノイズ。

 それは外宇宙まで進出を果たした人類が、初めて遭遇した異星人の……メカ生命体。

 人と似たシルエット……だが、まるで人間の骨格だけで構成されたような冒涜的なボディをしており、武装らしきものは何も持たぬ、一見は無防備な姿だ。

 そんなメカ生命体たちの体の一部が、ムクッリと滑らかに起き上がる。

 筒であった、そいつはなんの変哲もない筒。

 しかし、こちらのコンバットスーツのシールドを貫通する威力をもつビーム兵器。

 そのビーム砲は奴らの二本の足の間に……何故か股間に装着されていた。

 無表情なシンプル顔とスカスカのスケルトンフレームをもつ……一部の口さがない者からは『中華キャノン』と呼ばれているメカ生命体だ。

 

「そーれ! やっちゃうのですっ!!」

『はーいっ! なのですっ!!』

 

「ギギギギギギギギギギギギギギギギ――ぴこぴこぴこぴこ~♪」

 

 マシンノイズがメルヘンチックな音に変化する。

 それは、やつらの攻撃開始音。

 ……くる!

 交戦(エンゲージ)、一斉に銃火があがった。

 武装した幼女とメカ生命体の戦いが始まったのだ。

 

「このファック野郎が! ……あなたをファックなのですよ! ファックなのですよ!」

「えーん、当たっちゃったよ~衛生兵~」

「おー! びゅーてぃふぉーなので~す!!」

 

「ぴこぴこ! ぴこぴこ! ぴこぴこぴこぴこ~♪」

 

 断続的な爆音と、幼女たちの甲高く無秩序な叫び声が戦場に木霊する。

 メカ生命体の機敏に動けるのが不思議なシンプルボディがバラバラに吹き飛んだ。

 俺は制圧射撃をするべく、両腕に装着された重機関砲を持ちあげた。

 メカ生命体の群れに目掛けてトリガーを引くと、ドドドドっと雪崩のような音と振動が腕に伝わり、でけぇおっぱいが無意味にぶるんと揺れた。

 今時、HENTAIアニメーションですらないってレベルで上下左右にぶるんぶるんと激しく揺れまくった。

 ブラジャーはつけていない。

 そのオプション(・・・・・)をつけることだけは俺のプライドが許さなかった。

 あるいはこの重武装の支援型サイボーグボディ。

 無駄にでっけえおっぱいは心臓部を守る胸部装甲のほかに、衝撃吸収クッションなどの重量バランサーとしての役目も兼ねているのかもしれない。

 そうだそうにちがいない、そう思わないと気が狂いそうになる。

 俺の支援を無駄にせず、水のような滑らかな動きで進撃していく幼女たち。

 俺の隣で、俺と同じように、でけぇおっぱいを派手に揺らしながら支援射撃をするアラブ系美女。

 正直に言おう……猛烈に挟んでもらいたかった。

 なにおって? ナニをだよ!

 戦場で、戦闘中だというのにイライラしてしまう。

 ちくしょう銃弾切れだ。

 オートマチックで行われるエネルギー再装填のわずかな合間、俺と彼女の視線が再び絡み合う。

 ――彼女の目は、とてもいい感じで死んでいた。

 思わず肉声(・・)で話しかける。

 

「あんたもか?」

 

 第三者には意味不明な問いかけ……しかし彼女は何も答えず顔をそむけた。

 それだけで悟る。

 オレと同じ境遇であると。

 多分、俺の目も彼女と同じように死んでいる。

 

 戦争は変わった……。

 

 マッチョボディのタフネスサイボーグだった俺が戦いで負傷し冷凍睡眠についた、わずか十年で様変わりしてしまった。

 サイボーグボディの性能向上と、素材の使用率削減の省エネ化。

 軍の民間へのイメージアップ作戦。

 戦争によっておこった人類の致命的なほどの人口の減少……そのため、そういう層(・・・・・)への新兵募集など様々な事情により変わってしまったのだ。

 マッチョなサイボーグボディのいかつい漢たちと、流線型ボディのメカモンスターが戦う、そんなワイルドな戦場は終わりを告げ残ったのは……。

 人類科学の最先端であるサイボーグ幼女と、それに最適化してしまったメカ生命体箱型ロボットが戦う、ファンシーでメルヘンな戦場だけであった。




主人公は重武装の支援型女サイボーグ(パツキンむちむち大人ボディ)となっております
ご安心ください、幼女の中身は全員、訓練されたおっさんです!


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