ハイスクールDxD ー歪な想いー   作:北海海助

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第十三話『修行開始』

オレは今。

何故だか長い坂道を歩いている。

周りは森で、辺りに家などはない。

 

「どうしてこうなった」

「俺が、……きき、たいです、よ。はァ、はァ」

 

隣で大荷物を抱えたイッセーが息切れしながら歩いていた。ちなみにオレは全てイッセーに持たしてある、最初はコイツが調子に乗ってオレの分まで運ぶと言ったからだ。

と、まぁその話は置いてといて。

なんでこんな森の中を進んでいるのかを話そうと思う。

 

1

 

ライザーは去り際にこう言った。

 

「そうだな、十日間、猶予をやろう。そしてその日が俺とお前達の決闘の日だ、せいぜい頑張るんだな」

 

余裕そうな顔で出ていった。

うーん、これは負けの予感。

 

「んで?どうするんだグレモリー、ハッキリ言うと今の戦力じゃ勝てないと思うけど」

「バカね、そのための十日よ」

 

バカですか。

もしかして修行とかすんの?

 

「山篭りよ!」

「絶対、ドラグ・ソボール読んだろ」

 

こうしてグレモリーの一言によって、オレ達はグレモリーが持つ別荘があるという森へと修行しにやって来たのだ。

 

2

 

しっかし、十日でどうにかなるもんかね。

イッセーはまだ伸び代がある。

木場も塔城も。

しかし相手はライザー。

聞いた所によるとフェニックス、つまりは不死鳥の名を冠する悪魔らしい。

 

「そんな奴にたった十日で勝てんのかね」

「何弱気になってんすか!」

「お前はいつも熱いな」

 

まぁ、イッセーの言いたいこともわかる。

グレモリーの事だったらなんでもやりそうだし。

 

「みんな、着いたわよ」

 

先頭のグレモリーが告げる。

ここで坂道は終了。

イッセーは完全に息切れ、その場に倒れ込む。

 

「や、と着い、た」

「何やってるのイッセー、まだまだこれからよ?」

「え?」

 

イッセーは予想外な顔をする。

うん、せめてアイツらと互角に戦える程の戦力が欲しい、じゃないと確実に負けるからな。

その為の時間が今はすごく惜しいし。

 

3

 

結果的に言えばイッセーはダメダメだった。

剣術は木場との練習は早々に退場。

これは塔城との体術の練習も同じ。

そして朱乃による魔力講座を受けるも、生成できる魔力は米粒くらいのモノだった。

 

「24ッ……25ッ……26ッ……ッ!」

 

今は筋トレで精一杯てか。

ダメだな、このままじゃ確実に負ける。

というかグレモリー、イッセーは牛じゃないんだから乗るなよ。

 

「グレモリー、イッセーの上に乗るのは流石にやりすぎだろ、お前重そうだし」

「この間から思ってたけど、私は貴方に何かしたの?」

 

何もされてないぞ。

ただお前をいじるのが面白いだけだ。

 

4

 

そして、その日の夜。

朱乃の手作りカレーを食し、プチ反省会。

やはり、イッセーをどうするかで持ちきりだった。

 

「あと九日、割と少ない期間だからな、思いつきでもいいから、なんでもしてみたらどうだ?」

「思いつき、ですか」

 

イッセーは腕を組んで悩む。

すると、グレモリーら女子達は一斉に立ち上がった。

 

「そろそろお風呂に入るわ」

「お、おお、お風呂!!」

「もう、お前に助言するのはやめるよ」

 

呆れる。

とことん呆れる。

グレモリーは悪戯な笑みを浮かべた。

 

「ふふ、イッセーも一緒に入りたいの?」

「も、もちろんです!!」

「グレモリー、……ビッチみたいだからやめとけ」

「う、うっさいわね!」

 

グレモリーは顔を赤くしながら言った。

その後に、朱乃も同じように俺を誘い始めた。

 

「ふふ、どうですか?」

「却下、そして俺を誘ってしまったら、木場が空気になるぞ、可哀想だろ」

「なんでそこで僕なんですか」

 

木場は苦笑しながら答えた。

するとグレモリーはまたも、悪戯な笑みを浮かべてイッセーに問うた。

 

「そうねぇ、小猫が良いって言ったら一緒に入ってあげるわ、どう?」

「嫌です」

 

即答、うん、これが普通の対応だ。

そしてイッセーは泣きながら床に膝を着く。

その姿を思いっきりスルーしてグレモリー達は浴場へと行ってしまった。

 

「イッセーくん、覗かないでね」

 

ここで木場が爆弾発言。

やめて差し上げろ、イッセーが死ぬぞ。

 

「死に腐りがれ!!!」

 

イッセーは部屋を飛び出して行った。

木場、お前は悪魔か。

いや、悪魔だ。

まぁ、顔のビジュアル的にそっち系も行ける口なのかもしれない。

 

「お前なら一生ネットの晒し者になっても、強く生きていそうだな」

「どいうことですか?」

 

分からないならいいや。

オレは水を飲みに台所へと向かった。


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