もしも、ベストマッチがもっと物騒だったら… 作:カブトロンガー
皆様のお声次第では続きもあり得るかも…
は〜い!みんなのアイドル、み〜たんだよ♪
な〜んてな。やぁ、読者諸君。みんな大好きエボルトだ。
今回も前みたいに戦兎の真似をしてみようと思んだが毎回同じだと飽きるだろ?
だから今回は我が娘 美空の真似でもしてみようかと思ったが……これ、かなり恥ずかしいな。
美空は毎回どこの誰とも知らないドルオタ共にこんな小っ恥ずかしい愛嬌を振りまいてたのか……。ほんと尊敬するぜ、美空には。
……しかし、今思えば美空に東都のボトルを浄化させた後で始末してしまえば良かったな。奴の命も最早、風前の灯火だったわけだしな……まぁ、終わった事をグダグダ言っても仕方ねぇか。
さて、今回は前話の世界の少し後の時系列だ。
前の話は本編の時系列で言えば万丈がクローズに変身した後くらいだな。あ、統合性なんかはパラレルワールドだから突っ込むなよ?これだけ俺好みのボトルが揃ってる世界なんだ。大筋はだいたい同じではあるだろうが細部は色々違うんだよ。
と、まぁ前置きで長々と話したがこれから本編だ。
内容としては21話……そう!記念すべきハザードフォームの初陣の話だ!!いやぁ、あの時の戦兎は面白かった。
自分が万丈を止めるとか言いながら結局、自分が暴走してるんだからな。しかも最後はヒーローにあるまじき行為までしてしまって……全く大爆笑だったぜ。
……おっと、話が脱線しかけたな。それじゃあ、ここから本編だ。楽しんで見てくれよな?じゃ、
◇◇◇◇
強大なエネルギーを秘めたパンドラボックスを巡り、東都と北都の戦争が勃発した。
仮面ライダービルド 桐生戦兎はなんとか戦争を止めようと奮闘するものの、北都の仮面ライダーグリスとその部下である北都三羽鴉は手強く、まるで相手にならない。
彼らに対抗するために桐生はグリスと同一のスクラッシュドライバーを作り出し、右往曲折の末に万丈がドライバーを使用、クローズチャージへと進化を遂げた。
しかし、スクラッシュドライバーは使用を続けら毎に使用者を凶暴化していく最悪のドライバーだった。
それにより次第に戦闘を求める狂戦士とかしていく万丈。
責任を感じた戦兎は苦渋の末、禁断の力に手を伸ばした。
《ハザードオン!》
「俺がお前を止める。この身をかけても!」
目の前でハザードスマッシュと化した三羽鴉と戦う万丈。
殴る、蹴るの原始的な方法で三体の敵を圧倒する様はまさに狂戦士。その姿に心を痛めながら戦兎はスタークから渡されたアイテム ハザードトリガーのコネクタをドライバーの空きスロットへと接続した。
そして次にラビットとタンクのボトルを装填する。
《ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!!》
普段の音声とは違う、しかしどこかいつもよりも陽気に感じる音声を耳にしながら戦兎はレバーを回転させる。
《ガタガタゴットン!ズッダンズダン! ガタガタゴットン!!ズッダンズダン!!》
レバーの回転と同時にドライバーのボルテックチャージャーより鋳型の様な専用フレーム ハザードライドビルダーが前後に出現した。
《
「変身」
明らかに尋常でない速度でハザードライドビルダーが戦兎をプレス。そして…
《アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!!ヤベーーイ!!!》
黒い煙と共に
ハザードフォームの力は圧倒的だった。
ラビットタンクスパークリングでも敵わなかった北都三羽鴉。しかもその強化された姿を全く寄せ付けない。
キャッスルハザードスマッシュを軽々と殴り飛ばし、オウルハザードスマッシュを蹴り飛ばす。
スパークリングとは比較にもならない。まさに禁断を冠するに相応しい強さだった。
……しかし、万丈は止まらない。
三羽鴉の一人、青羽を殴り飛ばし、戦争を止めるために北都へと走り出す。
戦兎はそれを止めようと立ちはだかった。
「俺の邪魔をする奴は誰であろうと容赦しねぇ!!」
「目を覚ませ!」
万丈の拳が戦兎へと繰り出される。
それを捌きながら暴走する万丈を必死に説得する。
しかし、狂戦士と化した者の耳にはその声は届かない。
咄嗟の前蹴り。それで一旦距離を取ろうとした、その時だった。
「うっ、意識が……」
戦兎の脳に未知の衝撃が走ったのは。
視界がグラく。段々と意識が薄くなっていく。
そして戦兎の脳裏に1人の男の声がリフレインした。
『戦闘が長くなると脳が刺激に耐えられなくなって理性を失う』
「オラッ!!」
ツインブレイカーの射撃。
それによって光弾が頭上のライトが割り、背後の壁が崩す。
何発かの光弾は確実にヒットした。しかしハザードフォームはビクともしない。
キィッ……キィッ……
頭上のランプが音を立てながら揺れる。視界のグラつきが大きくなる。
キィッ……キィッ……
頭上のランプが音を立てながら揺れる。段々と意識が希薄になっていく。
キィッ……キィッ……
『その瞬間、目に映る物全てを破壊する』
……厄災が始まる瞬間だった。
ハザードフォームは突然走りだした。
その走りに先程の様な迷いはない。
突然豹変した相手にクローズチャージは面食らい、動きを止めてしまった。
しかし、ハザードフォームは止まらない。
驚きで動きを止めた相手の鳩尾に容赦のない拳を叩き込んだ。
鈍いうめき声を無視してそのまま鳩尾を支点に万丈の体を持ち上げると左手でその喉を掴み上げた。
《マックス!ハザードオン!ガタガタゴットン!ズッダンズダン!》
そして空いている手で瞬時にハザードトリガーの上部についているスイッチを押し、レバーを最小限の動きで回した。
瞬間、ハザードフォームの体を万能強化剤 プログレスヴァイパーが覆い尽くし、強化モードであるオーバーフロー状態へと移行させた。
《Ready Go!》
凄まじき力を得たハザードフォームの行動は的確にして無慈悲だった。そのまま首を握っていた腕を離すと、重力に従って落ちる体に左手で叩きつける様に殴った。
そして、その体が地面に着く前に更にもう一度左で殴る。
《オーバーフロー!!ヤベーーイ!!》
すると万丈の体はサッカーボールもかくやという様に弾み、その体が更に浮いて来た所にハザードフォームは左足の蹴りを合わせ、万丈の体を大きく吹き飛ばした。
「グアアッッ……あっ、あぁ……」
強化剤によって途方も無い強化をされたパンチとキックを食らった万丈は変身が解除され、地面に転がるとあまりの痛みからか患部を抑えそのまま呻き、蹲ってしまった。
「……」
だが、そんな状態の万丈に対しハザードフォームはひたすらに無音であった。
仲間である万丈への心配の声も、駆け寄ると言った行動も、なにも無い。
ただひたすらに、機械の様にそこに佇む。
そして、ややあってその首を右に……敵対していたキャッスル、オウル、スタッグの三体のハザードスマッシュへと向けた。
「「うぁあああ!!!」」
キャッスル、オウル、二体が宙を舞い、無様に地面に体を打ち付けた。
そしてそんな二体を嘲笑うかのようにハザードフォームはゆっくりと歩を進めた。
「うぉおおお!」
ハザードフォームの背後からスタッグハザードスマッシュが斬りかかる。しかし、その攻撃はまるで予測していたかのように避けられ、代わりに痛烈な打撃を胸に食らって大きく吹き飛ばされる結果となった。
「うぅ……アイツ、バカ強いよ。赤ちゃん」
「あぁ、バカ強ェ……このままじゃ確実にやられる」
「じゃあ、どうするのさ?」
「どうもこうもねぇ。もう少ししたらきっとカシラが来てくれる筈だ。そうなれば百人力。それまで持ちこたえるぞ!」
「分かった。青ちゃん!カシラが来るまで頑張って持ちこたえるよ!」
「おう!分かった!」
言うが早いかオウルハザードスマッシュは特殊能力によって空に飛び上がった。
相手には見た感じ飛行能力の類は確認出来なかったため空から攻撃を加えて地上の味方のサポートをする算段だ。
それに呼応したようにキャッスルハザードスマッシュは自慢の頑丈な体を生かした突進を、スタッグハザードスマッシュは二本の剣を振り上げて斬りかかった。
だが、ハザードフォームの戦闘力はその上を行く。
回し蹴りで突っ込んできた二人のスマッシュを蹴り飛ばすといつの間にか手にしていた二本のボトルをドライバーに装填した。
《ハリネズミ!火炎放射器!スーパーベストマッチ!!》
即座にハザードライドビルダーがハザードフォームをプレスし、ファイヤーヘッジホッグハザードフォームへとフォームチェンジした。
「……」
するとハザードフォームはゆっくりとした動作で左手を空中のオウルハザードスマッシュへと向けた。
その奇怪な行動に、オウルハザードスマッシュは空中に浮遊しながら疑問符を浮かべたが、彼のその疑問が氷解する事は無かった。
何故なら彼は次の瞬間、
……彼らの目の前で何が起こったのかを理解できた者はこの場には居なかった。
ただ彼らが理解できたのは何かが焼けた焦げ臭さ。そして、突然抉られた山という異常な光景だった。
「……何が、起こったんだ……」
「あ、ありえねぇ……」
種明かししてしまうとハザードフォームのやった事は至極単純な事だった。
ただ自身の左手に宿った火炎放射器の力を使って20000度の炎を放出し、背後の山ごと黄羽を葬っただけの事。
その際に山が横幅にして200m程。縦にして50mほど、奥行きにして500m程蒸発してしまったが、敵の殲滅を優先とするハザードフォームにとっては取るに足らない瑣末事であった。
こうしてオウルハザードスマッシュこと黄羽は攻撃を知覚する事なく一瞬にして蒸発した。
カチャカチャという音の発生源が自身である事ににスタッグハザードスマッシュは気づいた。
視線を落とすと手が震えて手持ちの剣が自分の腿に当たって音を立てていたのだ。
その震えは断じて武者震いではない事はスタッグハザードスマッシュ自身が良く分かっていた。
……あれは化け物だ。決して相手にしてはならない化け物だ。
スタッグハザードスマッシュは本能で理解した。
黄羽があの相手に一瞬で殺された事に。そして彼我の力量差がいかに絶望的かを。
何より大切な仲間を殺された事に怒りはなかった。あったのはただの恐怖。強者を前にした弱者の恐怖であった。
「うう……うぁああああああああ!!!」
だが、もう一人の仲間であるキャッスルハザードスマッシュはどうやら恐怖よりも仲間を殺された怒りの方が優ったようだ。
……いや、ただ恐怖に飲まれて暴走しただけか?
だがそのどちらであろうとハザードフォームには関係はない。
ただ向かってくる敵を、目に付いた敵を殲滅する。
今の彼にはそれのみが、ただ唯一の行動原理なのだから。
ハザードフォームは向かってくる敵に向かって大きく両手を広げるとそのまま相手の速度を上回る速度で接近し、敵を抱擁した。
すると抱擁された敵から鋭く痛みの声が上がった。
見るとハザードフォームの前半身からは大小短長の針が無数に生え、キャッスルハザードスマッシュの全身を余す事なく刺し貫いていたのだから。
そのあまりの激痛から抱擁が解かれても尚キャッスルハザードスマッシュは痛みのあまりのたうちまわる。
「……」
ハザードフォームは敵を静かに見据えている。
その挙動はあまりに成果がなく、ただただ機械的だ。
《ゴリラ!ナイフ!スーパーベストマッチ!!》
再びハザードライドビルダーがビルドをプレスし、ゴリラナイフハザードフォームへとフォームチェンジした。
「……」
ハザードフォームはやはり無言のまま、叫び声をあげるキャッスルハザードスマッシュを無理矢理起こし、その拳で殴りつける。
すると驚いた事に響いた音は打撃音ではなかった。
上がったのは金属音。そして火花だった。
それもその筈、ハザードフォームの腕には螺旋状にナイフの刃が付いていた。
音の正体はドリルのように高速回転された刃がキャッスルハザードスマッシュの体を削る音だったのだ。
ギィィン!!ガキィン!!ギュィン!!
ハザードフォームの一撃一撃がキャッスルハザードスマッシュの体を比喩なしに削ってゆく。
それはまさにドリルによって削られていく城壁のような有様でとても見ていられる光景ではなかった。
スタッグハザードスマッシュも腰が抜け、恐怖のあまりハザードフォームから目が離せさえしなければ目を逸らしていたであろう凄惨な光景だった。
「あ……………あぁ……」
何度目かのパンチ。アッパーによって大きく吹き飛ばされたキャッスルハザードスマッシュは最早虫の息。いつ死んでもおかしくない。
だがハザードフォームは追撃の手を緩めはしない。
《マックス!ハザードオン!ガタガタゴットン!ズッダンズダン!
Ready Go! オーバーフロー!ヤベーーイ!!》
ビルドは更にレバーを回す。
《ガタガタゴットン!ズッダンズダン!Ready Go! ハザードフィニッシュ!!》
ハザードフォームは瞬時にレバーから手を離すと高々と振り上げ、そのまま勢いよく振り下ろした。
すると今に立ち上がろうとしていたキャッスルハザードスマッシュの周りの地面から長さが均一の刃物が生えた。
そしてトラバサミのように地面がキャッスルハザードスマッシュを挟みこむ……音は無かった。
幸いだったのは地面に挟まれる瞬間キャッスルハザードスマッシュこと赤羽の意識は既になく、痛みを感じる事なくあの世へと行けた事だろうか。
だが、そんな事などハザードフォームには関係なかった。
一体の獲物を仕留めたのなら次の獲物を探して狩るまで。
ハザードフォームは地面にめり込んだ腕を引き抜くとゆっくりと後ろを振り返った。
「ひいっ……」
情けない悲鳴だった。
戦場で戦う兵士が出すものではない。
そして恐怖にかられ、そのまま敵に背を向け、芋虫のように這って逃げようとするなどとてもではないが見れたものではなかった。
だが誰が彼を責められようか。
目の前で仲間が規格外かつ極めて残酷な方法で処刑される光景を見せられ、尚且つその処刑を執行した死神が自分を殺しにゆっくりと歩を進めているなど。
寧ろそんな状況で発狂してしまわない分、スタッグハザードスマッシュの精神は強固であると言えた。
《ドラゴン!ニュークリアボム!スーパーベストマッチ!!》
だが、やはりハザードフォームはどこまでも機械的で残酷であった。
手持ちのフルボトルの中で最も殺傷力のあるボトルをベルトに装填し、ニュークリアドラゴンハザードフォームへとフォームチェンジするとむんずと逃げようとするスタッグハザードスマッシュの足を掴んだ。
そして、全身に力を込めると思い切りスタッグハザードスマッシュを空へと放り投げた。
手持ちの中で最も殺傷力に長ける同時に最も怪力であるフォームによって彼は空高く空高く飛翔する。
《マックス!ハザードオン!ガタガタゴットン!ズッダンズダン!Ready Go! オーバーフロー!ヤベーーイ!!》
ハザードフォームの全身に眩い程の光が集まり出す。それは全身を覆う強化剤と相まってまるで神のような神々しさを醸し出している。
《ガタガタゴットン!ズッダンズダン!ガタガタゴットン!ズッダンズダン! Ready Go!ハザードフィニッシュ!!》
しかし、これから放たれる一撃はそんな神々しさとはかけ離れた悍ましい一撃。人間の業の集大成とも言うべき一撃だった。
ばっ!と擬音がつきそうな程素早く両の腕を前に突き出す。
掌が向かい合うように左が上、右が下に位置して構えはまる龍の顎。
その中央に白と黒の二色の色が混ざり合い、いくつもの核が対衝突を繰り返し、膨大なエネルギーを蓄積させていく。
エネルギーが増すごとにその光弾は輝きを増し、殺傷力を増していく。そのエネルギー量は対個として使うにはいっそあまりにオーバーキルでもあった。しかしハザードフォームは構わずエネルギーを蓄積させる。
そして、そのエネルギーが最大にまで高まり、ハザードフォームはそのエネルギーをスタッグハザードスマッシュへと向けて放った。
エネルギーの光弾はスタッグハザードスマッシュへと迫り……
…………世界は白に包まれた。
◇◇◇◇
どうだった?今回ははここまでだ。
……え?この後どうなったかってか?
まぁ、これだけは言っておくがあの光弾のエネルギーは最新の核爆弾の数倍のエネルギーを誇ってるって事と、あの形態のハザードフォームには核関連の攻撃は無効化されるって事だ。
つまりは相当楽しい事になってるって事だな。
ワックワクのドッキドキだね!(大竹のぶ代ボイスの声真似)
んん!どうだ?結構似てたろ?声の仕事は得意なんだよ!
……え?小説だからわかんない?おいおい、そこは嘘でも「うん!上手かったよ!」くらい言えよー。空気読めねぇなぁ。
まぁ、良いか。それじゃまた作者の気が向いた際に作られるかもしれない小説で会おう。
どうも。カブトロンガーです。
ここまで読んで頂いてどうもありがとうございました。
この続編は前に書いた小説の中問題点や課題を自分なりに直すために書いた…というのは建前で単に作者がハザードフォーム大好きだから書いたものです。
いやー。ハザードフォームはいいですね。
あの全身黒塗りの装甲から漂う危険な香りとそれに違わぬ強さと暴走は良かった。
ラビラビ、タンタンのせいで出番が無くなりましたが、それでもキードラゴンハザードが登場した時は思わずテンション爆上がりでした。
……個人的にはラビラビ、タンタンは必要なかったと思うんですよね。あれさえなければハザードフォームで新たなフォームが出演する機会がもしかしたらあったわけで。
まぁ、愚痴を言ってもしょうがありません。
これからも何か題材になりそうなものがあれば短編を上げていこうと思います。
そして十分に力がついたの作者が判断したらまた長編に挑戦していこうと思いますので、これからも応援よろしくお願いいたします。