女だけどアムロ(女)になったから頑張って一年戦争する   作:めんつる
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ガンダム大地に立ってザクをタコ殴り

「ん?何ここ……せっま……!?」

 

 目が覚めたら

 

「ってかどこここ!?」

 

 アムロ(女)になってた。

 

 

 

 

「何これ……何この……これ!?」

 

 目が覚めるや否や私はものすごい狭い空間に押し込まれていた。

 真っ暗だけど薄ぼんやりと光って「ピキョロ……ピキョロ……」と変な音がなる画面みたいなものが私のあちこちにある。

 それと私の足元には変な本がある。青色の背景に赤い「V」が書かれたやつだ。

 

「えー?何これ……?とりあえず電気……無いし」

 

 目が慣れてきたのか周りがだんだん見えるようになってきた。

 目の前と左右には大きなテレビ画面。上もテレビ画面だ。

 左右にはなんだか仰々しい前後ろに動くレバー……。

 

「何これ…ロボットのコックピット?」

 

 なんだろ、ガンダムのロボットみたいな感じなのかな。

 とりあえず足元の本を手に取り、パラパラとページをめくる。

 英語だ。すべて英語で書かれている。

 

「嘘……読める……」

 

 しかし私、こんなところに連れてこられて危機的状況にあるのか、ものすごく読める。

 それも何の違和感もなく、まるで最初から英語で話していたかのようなスラスラっぷりだ。

 人間本気を出すと人間が想像している以上の力が出るものなのかしら。

 

「えーっと、……ガンダム……ほんとにガンダムじゃん!?」

 

 ガンダム。ガンダムって言うとアムロとシャアが戦って、

 ガンダムって名前のロボットが暴れまわる話だ。そして、私はそのコックピットにいる。

 感触や座ってる感じからしてVRのゲームではないことは明らかだ。説明もないし。

 

 もしや私、何らかのアレでアムロになってしまった……?

 

「えーっと、何?夢?夢なの私夢なの?」

 

 ほっぺをつねる。痛い。頭を触る。なんだかモジャモジャしている。

 明らかに自分の頭じゃない。でも、くせっ毛なだけだ。胸もある。股も……ない。

 ……あ、アムロ……なの?私……アムロって男だったような……。

 

 アムロ……アムコ……?わからない。まぁ、女であることには変わらないか。

 

「……」

 

 ガンダム……ガンダムの話を思い出そうとするが、見ていないので分からない。

 結構前にテレビでやってた名作アニメ特集のあれから考えると……

 確か最初にアムロはガンダムに乗って…………何したんだっけ?

 

「とっりあえず……電源入れよっかな…っと……」

 

 このまま暗い部屋に居てもしょうがない。ドア開ける何かもないし、今はガンダムを動かすしかない。

 電源さえ入ればあとはドアを開けるボタンでも押してガンダムから降りないと。

 アムロかアムコかアコムかわからないけど私にガンダムの運転なんて出来ない。

 

「えっと……説明書の……これ?」

 

 ガンダムの説明書では、正面の光ってるボタンを押して、次に光る左右のボタンを押す……。

 ……で、左右のレバーの付け根、何とも押しにくい所にあるスイッチを押すと

 

「わぁ?!?」

 

 正面のモニターと左右のモニター、ついでに真上のモニターが点灯した。

 モニターには外と思える映像が映し出されている。

 まず目の前に飛び込んできたのは、自分をまっすぐ睨んでいる緑で一つ目のロボット。

 こいつ知ってる!!

 

「ザク、だっけ?敵の……!」

 

 そしてこの体勢、寝転んでいるのか、えらく視点が低い。実物大はもっと高い位置にあったはずだ。

 これ降りたら殺されるやつやで。

 

「ぶ、武器……探してる暇はないわ……立たなきゃ……!」

 

 説明書を足元に置き、操縦レバーと思われる左右のレバーを握る。

 さっきから座ってる椅子の下で何かが動いている音がしている。これなら動けるはず。

 

「これがレバーで、足元がアクセル?みたいなの?」

 

 レバーは前後ろだけでなく、持つ部分が上下に動く。試しに上にひねるとガンダムの上半身が腹筋みたいに動いた。

 これで立てるのか。その操作を行うとモニターに「Auto Stand Up」みたいな表示が出る。なるほど、こうやって立たせるのか。

 

「よし。立って頂戴!ガンダム!」

 

 レバーを上にひねり、気持ち後ろに引く。するとガンダムのエンジン音がコクピットに薄く響き、

 なんだか立っているような感じになる。銃をドンドンと撃っているザクの動きが止まり、こっちを向く。

 

「気付かれた!?」

 

 ザクはこちらを見つめて動かない。立つなら今しかない。

 巨大ロボットだって言うなら立って戦わなきゃ。

 マジンガーゼットとかいうのもロケットパンチで戦ってるんだし。

 

「よし立った!……の?」

 

 ガンダムの上半身は完全に立ち上がり、地面から離れた位置に操縦席がある事は明らかだ。

 目の前にはたじろいでいるザク、その奥にもザク。左右は色々壊されたり寝転んだりしてるロボット達。

 多分立ってる。

 

「……で……どうしよ……」

 

 手足の動かし方も分からなければアクセルみたいなの踏んでコケても困る。

 だからといってここから降りることも出来ない。ドアが何処にあるのかもわからない。

 あのザクを倒さないとどうにもならないのかもしれない。

 

「とりあえず……感覚で動かそう!私は一応アムロなんだから、主人公なんだから!!」

 

 

 

 ★

 

 

『で、デニム曹長!て、敵のモビルスーツが!』

 

 MS-06、ザクのパイロット、ジーンが大声でデニム曹長を呼ぶ。

 新兵であるジーンは命令違反を犯し、サイド7を攻撃していた。

 しかしそれはすべて敵艦に搬入する前の無人機、部品だと確信していたからである。

 

 しかし目の前にいる白いモビルスーツは確かに動いている。ものすごくぎこちない立ち上がり方だが、確かに動いている。

 

『何?みんな部品ばかりだと思っていたが……』

 

 上半身しかない赤いモビルスーツ、戦車の出来損ないのようなモビルスーツの中に混じっていた白いモビルスーツ。

 ジーンが破壊したモビルスーツは赤いモビルスーツと戦車の出来損ない。白いモビルスーツには手を付けていなかった。

 それもその筈だ。気付く前に、白いモビルスーツが立ち上がったのだから。

 

『ジーン!撤退するぞ!奴が動いたのならば分が悪い!』

『いや、パイロットは素人です!奴はまだうまく動けんようです!!』

『やりま……うわぁああああ!!!?』

 

 ジーンは手柄を立てるべく白いモビルスーツに向き直そうとした瞬間、白いモビルスーツがジーンのザクに文字通り突撃した。

 バーニアを思い切り吹かし、水平に、そのまま突っ込んだ。

 

『ジ…ジイーーン!!??』

『そ、そうちょおお!!!!??』

 

 コロニーの建造物に激突した2機はまるで子供に喧嘩のように揉み合う。ジーンのザクが下に、白いモビルスーツは馬乗りになっている。

 その姿は外から見ても分かるようなでたらめな動きだ。パイロットは操縦桿をデタラメに動かしているのだろう。

 しかしそのでたらめな動きは確実にジーンのザクにダメージを与えている。ついでにジーン自身にもダメージが入っているようだ。

 

『助けてください曹長!!モニターが消え……!操縦桿が!コクピットが!潰されてます!!』

 

 メチャクチャな動きでザクを殴る、踏む、体全体で踏み潰す、を繰り返す白いモビルスーツ。

 ひとしきりジーンのザクを蹂躙した後、白いモビルスーツはザクの顔を掴み、思い切り投げた。

 ジーンはそのまま吹き飛ばされ、デニムのザクに頭から落下する。

 

『じ、ジーン!!』

 

 ジーンのザクは見るも無残な姿となっていた。各部位が欠損しているわけではないがあちこちにビルの破片が突き刺さり、

 ほぼすべての部位が白いモビルスーツの打撃攻撃によって機能停止状態となっている。

 もはやジーンの乗っているザクはザクではなく、スチール合金によって補強された棺桶だ。

 

『ジーン!コクピットを開けられるか!』

『は、はぃ……何とかぁ……』

『よし!スレンダーのいるところまでジャンプする!手に乗れ!』

『はぃぃ!何だあのモビルスーツは……!』

 

 ジーンが棺桶から這い出し、デニムのザクの右手に乗る。

 白いモビルスーツはと言うと、ジーンとデニムのザクを指差し「どうだ参ったか」と言わんばかりに仁王立ちしている。

 その足元では、連邦軍の宇宙服を着た男性がエレカに乗って怒鳴り散らしている。

 

『スレンダー!ジーンのザクがやられた!脱出するぞ!記録はできているか!?

「はっ!完了しております!」

『も、申し訳ありません…デニム曹長』

 

 私、スレンダーは記録を中断、命令違反を犯した新兵ジーンのコクピットに押し込み、サイド7から脱出した。

 結果的に連邦のV作戦と呼ばれる作戦記録と機体データの概要を持ち帰ることには成功した。

 しかし、偵察任務成功の代償が貴重なザク1機の損失とは、予想外だ。

 

「少佐、偵察任務終了。帰還します!」

『了解した、報告は後で聞こう』

 

 白いモビルスーツ、武器も使わずザクを1機撃破するほどの威力を持つ。

 恐ろしいモビルスーツだ。

 

 

 ★

 

 

「ふぅ~……勝った……!」

 

 ザクが逃げていく。操縦桿を適当に直感的に動かすだけでガンダムはザクをボッコボコにしてくれた。

 馬鹿みたいに操縦が難しいロボットだと思っていたけど、やってみたら案外動かせるもんだ。

 ほとんど2本のレバーとアクセルしか使わなくてもここまでやれるとは。

 

『ガンダムのパイロット!無事か!』

 

 ガンダムの正面の上部分にあるモニターの一つが勝手に映った。そこには宇宙服を着ている…

 父さんが居た……父さん……?この人が?

 

「え?」

『あ、アムロ……!?』

「父さん……」

 

 私の父さん、というより、アムロの父さん……私の記憶とアムロの記憶がごっちゃになっている。

 私の父さんとは全く似つかない。というか私自身の記憶がぼんやりしていて思い出せない。

 わたしゃ誰だ?

 

『アムロ!』

「父さん……テム・レイ?」

『何でお前が……』

 

 ……まぁ、私もアムロでいいか。思い出せない物を無理して思い出しても仕方ない。

 とにかく私は操縦桿近くのマイクみたいなボタンを押して答える。

 

「何か、成り行きで乗っちゃったのっ!」

『乗っちゃったの…って……!とにかく、無事なんだな!?』

「う。うん!」

 

 テム父さん。アムロの記憶を思い出そうとするも、アムロ自身の記憶もぼんやりとしている。

 この人が私の父さんである事。凄く厳しい父さんとしか思えない。

 

『そうか……良かった……とにかく、機体から降りなさい。膝立ちになってハッチを開けるんだ』

「ひ、膝立ち……えっと」

『操縦桿のグリップを下に。その後レバーを内に引けばいい。出来るか?』

「こ、こう?」

 

 グリップを下に……レバーを内向きに……。

 言われた通りにやるとガンダムの視線がどんどんさがる。

 ……ハッチっていうのは……?

 

『よし、アムロ。ハッチを開けろ。コックピットのコンソールを見るんだ』

「コンソール?前の奴……?」

『そうだ、そこのパネル、右下の小さなパネルを見なさい』

 

 右下のパネル。これか、ハッチオープンとか色々なメニューが有る。

 タッチパネル式で青い背景……ハッチオープンのボタンは赤い表示だ。

 これをタッチすれば……。

 

「これ!」

 

 プシュッ!と空気が抜ける音がした。それと同時にすべての電気が消える。

 ガンダムの前が開き、何時間ぶりかの外が拝めるようになっ

 

「高ぁ!?ちょ!?」

 

 たが、久々の外の空気は地上数メートルの上空で味わうことになった。

 

「って…………」

 

 しかしその外の空気は、とても新鮮で、

 とても、不思議な空間だった。

 

「何……ここ……」

 

 筒のような世界。ガラスの先には真っ黒な空間。……真上にも建物がぶら下がっている……。

 ここは一体どこ……?

 

「アムロ!!」

「お、父さん……!」

 

 ガンダムが自動で手を私の目の前に差し出す。その手に乗り、私は地上に降りた。

 初めて見るテム父さん。なのに不思議な「父さん感」を感じる。

 明るい世界に放り出されて改めて見る私の格好。上下デニムに黄色い服……と凄まじく微妙な服。 

 でもなぜか馴染んでいるこの服……。

 

 あー。やっぱり私アムロになってるんだなって思った。

 しかも記憶もだいぶアムロ寄りに上書きされてるっぽい。

 

「あぁ、アムロ。無事で良かった……」

「父さん……」

 

 ヘルメット越しに私の顔を見る。ボサボサ一歩手前のくせっ毛に、何ともまぁ普通の女の子の顔。

 自分自身が何者かわからないけど、少なくとも元の私よりは美人……な気がする。

 そして、テム父さんの顔を見る。なんだか苦労してそうな顔だ。ヘルメットの緑色越しでよく見えないが。

 

「……ガンダム……凄いロボット……」

「ロボット……そう、ガンダムは凄いモビルスーツだ」

「うん……」

「…………アムロ、周りを見なさい」

「え……」

 

 父さんに言われ、私は周囲を見渡す。赤いロボットの上半身や下半身。

 それに色々なパーツの殆どが壊れた状態で転がっている。

 

「ガンダムの予備パーツ、それにガンキャノン、ガンタンクのパーツを回収しなければならない」

「……?」

「……私は生存者の保護やホワイトベースの出港準備とやることが山積みだ」

「なるほど……」

「アムロ……頼めるか、連邦軍モビルスーツのパーツを回収してくれ」

「は、はい…………えぇ!?」

 

 父さんが私の肩を叩き、ガンダムを指差す。

 なんだかよく分からずに首を縦に振ってしまった私は、

 なんだか良くわからないうちにガンダムに再び乗り込むこととなった……。

 

「ウッソでしょぉ……!?」

「ケンプ中尉が戦死しなければ……!」

「誰よケンプ中尉って……わかったわよ!」

 

 私はもう一度ガンダムの手に乗る。するとガンダムはまたも自動的に私をガンダムのお腹辺りまで運ぶ。

 地味にすごい技術だ。そしてもう一度コックピットに座り、タッチパネルを操作してドアを閉める。

 

 何で私がこんな目に合わないといけないのか。

 何でアムロが女なのか。

 何で私の記憶の殆どがアムロ寄りに上書きされてるのか。

 これから私はどうなるのか。

 

 テム父さんに手の使い方など色々教わりながら考えた。 

 

 

 

 

 




今回のアムロの行動の結果

・アムロは女
・ジーン、デニム生存
・テム・レイホワイトベース搭乗
・サイド7、ガンダム予備パーツ、ガンキャノン、ガンタンク損害軽微

以上の結果となりました。







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