女だけどアムロ(女)になったから頑張って一年戦争する   作:めんつる
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つかの間の休息

 ガンダムを元の場所に戻し、私はホワイトベースに戻った。着艦って言うらしい。

 しかし私はしばらくガンダムから出られなかった。怖いから、とかではない。

 私はアムロが色の薄い水色よりのジーパンを履いていることを呪う。

 

「……どーしよ……これ……」

 

 色の薄いジーパン……私のジーパンの一部が濃ゆい色になっている。

 この人生で初めてシャアと戦ったんだ……やってしまっても仕方ない。

 きっとアニメのアムロもあんな怖い思いしてるんだから、アニメ以外の場所でもやってるはず。

 

「……そもそも私も父さんも替えのパンツ持ってたかな……」

『アム』

「今取り込み中!」

 

 危ない。今の私は誰であろうと見られる訳にはいかない。

 しかしガンダムの周りを見るも、男しか居ない。

 危機的状況だ。女として男にこのズボンを見られる訳にはいかない。

 

「……漏らしたまま放置してたら痒くなるし……脱ぐ……いやそれはマズイ」

 

 コクピットの洗浄は勿論私自身の洗浄も必要。

 ……シャアと戦った時以上に絶望していると、コクピットの目の前に……

 

『アムロ!アムロ!?大丈夫!?』

 

 赤い服、ものすごく短いスカート……ではなくそういうファッションの服だ。

 そんな服を着ている私と同い年くらいの女の子……アムロの記憶いわく「フラウ・ボゥ」という子だ。

 この子の顔を見た瞬間、この子と過ごした記憶がぎゅぅうううん!と蘇った。妙な気分だ。

 

 だいぶぞんざいに扱っていたらしい。アムロはフラウちゃんのことを。

 

「あ、えっと「フラウ」?あの、その……」

『アムロ!!大丈夫!?どうしたの!?』

「えーーっと……その、あ、その袋は!?」

 

 まさか……

 

『え?あ。替えの服と下着だけど……』

 

 神やこの子。

 

「すぐ頂戴!できればそこに置いて、ちょっと離れて!!」

『え?……うん、いいけど……?』

 

 フラウは不思議そうな顔をして袋をコクピットの目の前に置く。

 

『……どうしたの?』

「早く!」

 

 今はこの子にも私がやってしまった事を悟られる訳にはいかない。

 ……というか、すでに悟られているかもしれない。

 いや、それでも私がやってしまいました。なんてことを自己申告したくない。

 

 ガンダムから離れ、物陰からちらりと覗いているのが見える。

 ガンダムっていうのは左右もバッチリ見える……。すごいジトーっと見られている。

 ……だが、この子は着替えを持ってきてくれたんだ。そのご厚意に甘えなければ。

 よっこいしょとコクピットを開け、着替えを受け取る。

 

「……青い服?」

 

 すかさず下着を変え、フラウから渡された変な制服のような服を着る。

 ……汚れた服は、同じ袋に入れて後で洗濯機があれば突っ込んでおこう。

 

 

 ★

 

 

「ごめん、おまたせ」

「アムロ!」

 

 慣れない服に着替えた私は、フラウの元へ向かう。

 するとフラウはいきなり私に向かって抱きついてきた。

 いきなり何だ、と思ったが、その体はとても震えていた。

 

「ふ、フラウ・ボゥ?」

「も……もう……会えないかと……!」

「え……?」

「……ぁぁぁあ……!うぁぁああ……!」

 

 フラウ・ボゥ。私、というよりアムロの幼馴染だ。

 かなり面倒見のいい子で、よくアムロはフラウを泣かせていた。

 しかし、あのコロニーにザクが突っ込んできた時、この子を逃してアムロはガンダムに乗った。

 という経緯らしい。アムロの記憶いわく。

 

 いきなり抱きついたフラウは私の胸で泣き続けた。

 アムロであってアムロでない私的には複雑な気分だ。

 しかし、フラウ的には幼馴染がガンダムに乗って戦って戻ってこないと考えれば、当然だろう。

 待たせてしまった。父さんだのガンダムだの以前に、待たせてる人に会うべきだったか。

 

「……ごめん、フラウ……待たせて……」

「無事で良かった……アムロ……」

「……私達、これからどうなるのかな……?」

「分からない……分からないわ……」

 

 肩を震わせているフラウを優しくさすり、私の今後を考える。

 私はアムロとして、アムロらしく振る舞わなければならない。それは当然だ。

 しかし私。アムロではない「私」は元に戻ることが出来るのだろうか?

 というか私、シャアの初戦でお情けで見逃してくれたっていうのに……。

 

 私、死ぬんじゃないの……?

 

「っ」

「アムロ……?」

「いや……大丈夫。フラウ、落ち着いた?」

「えぇ……ごめんなさい」

「いいの、私もごめん……着替えありがと」

 

 今は考えないようにしよう。

 死を考えるのは本当に死ぬ時に考えよう。今はその時じゃない。

 

 そう心に誓って、ホワイトベースを移動する時に使うグリップみたいなのを掴み、

 すぅーっと二人で移動した。

 

「アムロ」

「何?」

「洗濯、しといてあげるわね」

「えっ」

「フフっ……大丈夫。みんなには内緒にしてあげるから」

 

 やっぱりバレてた。顔が赤くなるのを感じる。

 

「ご、ごめんっ……お願い」

「いいわよ、皆ブリッジに集合してるわ。先にブリッジに行ってて。私も後で行くから」

「う、うん!……ブリッジってどこ?」

「その先にエレベーターがあるわ、それに乗ればすぐよ!」

「分かった。ありがと、フラウ。後でお礼するから!」

 

「楽しみしてるわね~」っとフラウは嫌な顔ひとつせずに私とは別の方向に消えていく。

 私はそのフラウの優しさに涙をこぼしそうになりながらブリッジ?とか言うとこに向かうエレベーターに乗る。

 エレベーターのボタンの「ブリッジ」と書かれているボタンを押し、扉を締めるボタンを押す。

 

「……はぁ……」

 

 ふと、エレベーターにある鏡で自分の制服姿を見る。ブリッジとかいう場所に向かう前に身だしなみを整えるためだろうか。

 青色の服だが、女性が着ることを想定されているのか胸の部分にスペースがある。服としてはとても着やすく動きやすい。

 白いズボンも見た目の割にかなり動きやすい。恐らく全力疾走しても平気だろう。これも宇宙向けの服なのだろうか。

 

「あ、着いた」

 

 エレベーターが到着し、扉が開く。少し進むとそこはさっきから続いていた狭い空間とは違い、とても広い空間に出た。

 ここは、軍艦の中心部となる部屋だろうか。高い所に椅子があったり、船のグルグルするやつがある。

 そんな部屋に何やら男女問わずかなりの人達が集まっている。見た感じ殆どが一般人。

 その集団に宇宙服を脱いで制服姿になっているブライトさんと父さんがなにか言っている。

 

「……シャアの艦、ムサイはまだ離れない。このままルナツーに逃げ込むのは危険です」

「奴が攻撃してこないということは奴にも余裕がない、恐らくしばらくしてから補給を行うだろう」

 

 父さんがブライトさんの説明に補足する。

 

「ムサイの搭載限界数は6機。アムロが撃破、撃墜した3機にシャア機の4機を搭載していると思われる」

 

 ブリッジの床は液晶パネルになっているらしい。そこに父さんはムサイという船の図面を出す。

 敵の船なのに図面を用意できるのか。筒抜けじゃない。

 

「うち2機のスペースにはガトル宇宙戦闘機を4機搭載しているだろう。連邦軍部で予想されているMS構成だ」

「なるほど……つまりシャアには予備機がない……と?そういう事ですか?」

「そうなる。もしもシャアがガトルのスペースに2機のMSを搭載しているのなら話は変わるが」

「数ではどっちにしろ勝ってるってことかい?」

 

 ブライトさんと父さんの会話に、何やら軽そうな声が割り込んできた。

 

「なら、俺も乗るぜ」

「君は?」

「カイ・シデン。ホワイトベースのエース少女のクラスメートだよ」

 

 紺色の髪の毛をした、言っちゃ悪いが小汚目の男の子が集団の中から出る。

 するとまた、私の記憶がギューーン!と彼のことを思い出し始める。

 アムロの同級生の……カイ・シデン。結構ヤな奴らしい。

 

「……ふむ、君、確か重機で……」

「ヘッ。アムロちゃんを連れ回したカイ・シデン様だよ、アムロの親父さん」

 

 ……何やら不穏な空気だ。

 

「……」

「別にチャラにしろとは言わねぇよ、女の子におんぶ抱っこじゃカッコつかねぇってだけさ」

「有り難い、君にはガンキャノンを任せよう」

「な、なら、僕も!」

 

 そしてもう一人。カイくんよりも小さな男の子が手を挙げる。

 この子は……アムロのお隣さんらしい。名前は……。

 

「ハヤト・コバヤシ!アムロにだけ頼りっぱなしなのは僕も嫌です!」

「……君たち……ありがとう。今は頼らせてもらうよ」

「レイ大尉…!」

「責任は私が負う!パオロ艦長……よろしいですね?」

 

 ブライトさんは父さんに反対気味だ。しかしパイロットが居ない以上、こうして人員を補充するしかない。

 それは多分ブライトさんも分かっているだろう。

 さっきからベッドに寝転んでいる艦長って人が父さんに答えるようにうめきながら上体を起こした。

 

「か……カイくん、ハヤトくんと言ったね……?うぐっ……!」

「え?へぇ、そうです」

「はい!」

 

 かなり辛そうだ。思わず私はその艦長に寄り添い、背中を支えた。

 

「……アムロさん、君も……」

「はい……」

「い……今……ホワイトベースに乗っている民間人の皆さんは……先の戦闘で……家や家族を失って、行く場所の無くなった人だ……」

 

 うめきながら、艦長はホワイトベースの現状を話した。たしかに数が少ないが、普通の服を着た人がたくさんいる。

 父さんいわく民間人の人たちの大半はコロニーに残ったらしい。

 しかし行くあてのない人たちは臨時乗組員という名目で特別にホワイトベースに乗ることになった。

 これはこの艦長の提案で、ルナツーという基地で保護してもらうための一時的な措置だそうだ。

 

「無力な我々に代わって……どうか……頼む……レイ主任、ブライト少尉……」

 

 父さんとブライトさんは無言で気をつけの体制を取る。軍人だなぁ……。

 

「子供達を頼む……」

「はっ、お任せください」

「技術者として彼らを死なせません。ご安心を」

 

 二人は敬礼して、そして父さんは目で私を整列させる。

 私は艦長を寝かせ、集団の一番端っこに立つ。

 

「聞いてのとおりだ。アムロさん、カイ君、ハヤト君、頼むぞ」

「アムロはガンダムに、カイ君にはガンキャノン、ハヤト君にはガンタンクに搭乗してもらう」

 

 私達は「はい!」と返事をする。

 正直もう返事したくないが、今すぐ作戦が始まるってわけではないので、返事をしておく。

 

「残りの搭乗員はホワイトベースのパイロット候補生、乗組員が担当する。作戦は開始時に説明するから今は体を休めるように。追ってレイ主任からのレクチャー、シミュレーションを行う。以上だ!」

 

 そして私達はもう一度大きな声で「はい!」と声を上げた。

 ……あのボロボロのガンダム、作戦開始までに修理完了するのかなぁ……。

 

 

 

 ★

 

 

 

『夕べは貴様の作戦完了を祝おうと待っていたが……いや、それはいい。なにか用か』

「はい。連邦軍のV作戦をキャッチしました」

 

 通信モニターに継ぎ接ぎだらけの顔をした大男。ドズル・ザビが映る。少佐は俺達の成果の報告を始めた。

 

「部下が持ち帰った映像があります」

 

 死んだスレンダーが遠方より撮影した映像が、ドズル閣下の元へと届く。

 閣下はそれを見ると、驚愕した様子で声を漏らした。

 

『素手か、前時代的だが、堅牢さを裏付けるものだ』

「はい。映像を確認した所、これほどの打撃を与えているにもかかわらず」

『あー。そうだな、機体のマニュピレーターの損傷が見られん』

「推測するに、この白いモビルスーツは我々のザクとは全く別種の装甲を使用しております」

 

 確かに、俺が受けた打撃は非常に強力な攻撃でありながら、奴の機体に損傷は見られなかった。

 素手で攻撃しているにもかかわらず、俺のザクのパイプを引きちぎるような繊細な操作まで成す。

 ザクとは比べ物にならない、5倍以上の出力を出しながら、更に防御力まで備えている。

 

「加えて、宇宙での戦闘もこなし、主兵装に携行ビーム兵器を使用している模様です」

「こちらも部下が持ち帰った映像があります」

 

 続いて少佐は宇宙での白い奴との戦闘を撮影した映像を送信する。

 これもスレンダーが撮影した映像だ。

 

『……この色のメガ粒子か、連邦らしい』

「見掛け倒しではありません、炉に直撃していないにもかかわらず、奴は」

『一撃で撃破か……』

「ええ。運動性能もザクとは比べ物になりません」

『……それで、何が言いたい』

「ご覧になられました映像の通り、現時点での我々の兵装では奴の撃破、鹵獲は不可能です」

『……ほう』

「新型機を下さい。とは言いません。しかし、十分な補給物資、ザク、人員を頂きたい」

 

 少佐は中将である閣下相手にもかかわらず、まっすぐに無茶な補給要請をする。

 特務仕様のムサイとはいえ、人員、物資、モビルスーツの補給を一度に行うのは非常識だ。

 ヤップや少量積載のパプアを利用して定期補給を待つのが一般的な補給だと言うのに。

 彼は事実上パプア級の補給艦一隻を自分のために用意しろと言っているのだ。

 

『……分かった、人員に関して希望はあるか』

「パイロットをお願いしたいと考えております」

『パイロットか……了解した、こちらで揃えておく』

「ありがとうございます」

 

 それをあっさり通すとは……。俺の目標であるシャア・アズナブル……。

 

『V作戦の明確化はジオンの勝敗に関わる。シャア、貴様の働きに期待しているぞ』

「はっ。必ず」

『では、吉報を待っている』

 

 閣下との通信が切れる。少佐は一息ついたあと、俺達の方を向く。

 

「ドレン。木馬の動きはどうか」

「はっ!現在も我々を追跡しておりますが、未だ動きありません」

「引き続き監視を続けろ。ジーン!」

「は、はぁっ!」

 

 突然俺が呼ばれる。営倉から出たばかりだというのにまた何かしでかしたのか、胃が痛くなる。

 

「早くて数時間後、補充パイロットと機体が来る」

「は、はぁ」

「恐らく新兵共だ、指揮能力と貴様のパイロット適性の向上の為、今からシミュレーションで鍛えてやる。来い」

 

 ……何だと?

 

「は、はっ!鍛えるので、ありますか」

「二度も言わせるな。フリーベリ。02格納庫のシミュレーターを起動する。オペレートを頼むぞ」

「は、はい!ジーン伍長のパイロットデータでよろしいですか?」

「私のデータを使う。でなければジーンの訓練にならんよ」

「えっ……?は、はい!了解です!」

 

 俺よりもあとに入った新兵の女オペレーターが少佐のデータを呼び出す。

 おぼつかない手つきでシミュレーターにデータを打ち込んでいく。

 ファルメルも新兵が増えた、と、艦長が嘆いていたな……そう言えば。

 ……まぁ、この女は近い内に地球送りらしいが……。お荷物が過ぎるそうでファルメルでは向かないそうだ。

 

 ご愁傷さまだな。

 

「行くぞ、ジーン」

「はっ!」

 

 シャア少佐を負かして、死んだ曹長とスレンダーよりも使えるってことを証明してやらなければ。

 ここで一丁いいところを見せて、あの白いやつにリベンジしてやる!

 

 

 

 

 

 

「う、うわあああああああああ!!」

『シミュレーション終了!』

『もっと積極的に動け!戦場で敵は待ってはくれんぞ!』

『シミュレーション開始!弾薬補充。』

「……!」

『遅い!』

「うわああああああああ!!!!」

 

 早く補給艦来てくれえええええぇぇ……。




アムロの行動の結果

・ホワイトベース避難民少人数
・ジーン、シャアに鍛えられる

以上の原作改変となりました。







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