女だけどアムロ(女)になったから頑張って一年戦争する   作:めんつる
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修羅の双星

「ホワイトベース、ルナツー基地、微重力圏を離脱。衛星軌道上到達までサラミスの航跡を自動追尾します」

「よしミライ、休んでくれ。オムル、今操舵を代われるか?」

『すぐ行きます』

「オスカ、マーカー。進路上の警戒怠るな!」

 

 何やらブリッジが忙しそうだ。私は料理長のタムラさんって人に頼まれてブリッジに食事を渡しに来た。

 バスケットを開けるとまぁ美味しそうなハムとサラダのサンドウィッチだ。一つ頂いたけど美味しかった。

 ちょくちょくフラウが持ってきてくれる食事にハズレはなかったし、タムラさんはシェフか何かだろう。

 今度直接ご飯を食べに行こう。

 

「食事でーす、はい、えっと、オスカさんと、マーカーさん」

「ああ、ありがとう」

「サンキュー」

 

 高いところにいるレーダーの人、オスカさんとマーカーさん。確か金髪のほうがマーカーさんだっけ?

 そう言えば地球に行くって言ってたけど、地球に行ってからもこの二人は高いところにいるんだろうか?

 だとしたら結構危ないかも……。

 

「っと……」

「了解、速度は600を維持」

 

 セイラさんはサラミスっていう筒みたいな船と通信中だ。

 後にしようと、ブライトさんに食事を渡す。

 するとセイラさんはデスクの右側を人差し指でトントン、とした。

 

「あ、なるほど」

「周辺宙域異常なし」

 

 私はその付近にサンドウィッチを浮かせる。宇宙って便利だ。

 食器いらずだもの。

 

「……あの船、あれは味方ですよね?」

 

 私は暇そうにしてるブライトさんに声を掛ける。

 

「ああ、サラミスという船だ。巡洋艦だな」

「じゅんよーかん」

「連邦軍で流行りの船って認識で良い」

「ふーん……」

 

 軍艦についてはよくわからないが、あれが連邦軍っていううちの軍の船でよく使われる船らしい。

 ホワイトベースとは違って何だか小さくて、船っぽい感じがする。

 というよりホワイトベースが船っぽくなさすぎるんだろう。

 

「あ、アムロ!」

 

 ポケーっとサラミスを見ていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

 ハヤトくんだ。

 

「ハヤトくん」

「君付けはやめてくれよ。カイさんが面倒くさがってさ。訓練しよう」

「分かった、すぐ行くね」

「僕はガンキャノンのシミュレーターを使うから、アムロもガンダムで頼むよ」

 

 カイさん、さっきは手伝うとか言ってたけど……。

 ま、いいか。とにかくハヤトくんの頼みだ。シミュレーターなら怖くないだろうし。

 私はすれ違ったアフロの人に食事を渡し、空になったバスケットを持ってハヤト君について行った。

 

 

「アムロ、宇宙は大丈夫なのかい?」

「へ?宇宙?」

「あの時の事だよ……覚えてない?」

 

 あの時……あの時あの時あの時……えっと……。

 ……宇宙で、支障がある……ん?酸素ボンベが……。

 

「あ、あぁ……酸素?」

「そうだよ、一時期異様なまでに怖がってたじゃないか」

「……まぁ、そう……だけど……でもまぁ、今は大丈夫みたい」

「……ならいいけど」

 

 廊下を二人で話しながら私達はモビルスーツが置いてあるところへ向かった。

 ガンダムとガンキャノンたちの整備は終わっている。どうやって直しているのか知らないけど綺麗だ。

 まるで新品みたいだ。

 

「ガンキャノンとガンダムのシミュレーターを使わせてくれますか?」

「ん?シミュ?はいはい、待ってなよーっと」

「よ、よろしくおねがいしまーす?」

 

 ガンダムの脇腹の回路を見てメモを取っている整備員さんにハヤトくんは声を掛ける。

 父さん以外の整備士さんだ。父さんとは違って現場作業員って感じの女の人。

 青い上着に父さんと同じ「AE」のマークが刻まれている、黒い肌の健康的な人だ。

 

「レイ主任の娘さん?」

「はい。アムロ・レイです!」

「へぇ~……あ、あたしはアニー・ブレビッグ。さっきこっちに乗船したばっかの新人だよ」

「は、はい!よろしくおねがいします!」

「あの人も中々強引だね。モビルスーツの引き渡しだけを武器に人事まで決定させるんだからさ」

 

 …………。あの時のあれか。

 G-3ガンダムの件でだいぶゴネて、黒人のすんごい偉い人に通信までしたんだっけ。

 その時にその偉い人推薦の腕利きを一人ホワイトベースに引き入れるとか……。

 

「う、うちの父がご迷惑をおかけして……」

「いいんだよ。モビルスーツが触りたくて入隊したんだ。むしろ有り難いくらいさ」

「そう言っていただけるとありがたいです……」

「どっちにしろ地球に行く予定だったしね。っと…すぐ起動させるよ」

 

 アニーさんはウィンクしてガンダムのコクピットとガンキャノンのコクピットを開ける。

 シミュレーターにはモビルスーツそのものを使ったシミュレーションと、

 ホワイトベースの備品のシミュレーションマシーンみたいなのがある。

 父さんいわくモビルスーツを使ったシミュレーターの性能のほうが良いらしい。

 どっちも触ったけど、正直どっちも変わらなかったが……。

 

「シチュエーションはどうする?」

「え?あ、じゃあ、アムロと対戦で」

「オッケー、模擬戦シミュ。フィールドは最新のルナツー近辺を呼び出すよ、ハッチ閉じな!」

 

 アニーさんがシミュレーターの制御装置みたいなのを動かしながらハヤト君に尋ねる。

 指示に従ってハッチを閉め、ガンダムとガンキャノンが起動する。

 最初はメインカメラが移した映像が出るが、間もなくしてモニターがぶつんと消え、

「Simulation Mode」の緑色の文字が浮かび上がる。

 

『ガンダムは白兵戦、ガンキャノンは中距離支援のMSだから、その辺意識しなよ?』

「はくへーせん……?」

『近距離での戦い。さ、シミュレーション開始だ!』

『アムロ、手加減はいらないぞ!』

「勿論!泣いても知らないから!」

 

 仮想空間のような機械的な線がいっぱい現れたと思ったら、ガンダムはホワイトベースのカタパルトに乗っていた。

 私は操縦桿を引き、スラストレバーを思い切り踏む。

 カタパルトが動き出し、シミュレーションの戦場へとガンダムが飛んだ。

 

 

 

 ★

 

 

 

「……シミュレーション中ですか?」

「そうらしい」

 

 アムロとハヤトという少年は練度向上の為、シミュレーターでトレーニングをしているようだ。

 アムロの実力は言わずもがな、ハヤト少年の実力も中々のものだ。ガンキャノンの性能を引き出している。

 部下は私の端末のモニターを見る。ガンダムの追加装備の案の一つだ。

 大気圏突入ユニットをオミット、外付けの換装装備にするもの。有事以外のガンダムの軽量化を図るものである。

 

「それで、この装備ですが……」

「数日でなるものではないだろう、キャパシティ分配やビームサーベルの装備位置を再検討しなければならん」

「ええ。懸念点はやはりそこですね」

「だが基本設計はこれで問題ない。データは保存しよう。地球に降りたら研究再開だ」

「了解です、ところで主任、セカンドロットの開発計画は?」 

「ルナツーの通信設備で06の案をジャブローとオーガスタに送ったよ。04と05は先に提出した企画案をもとにオーガスタが開発を進めているらしい」

 

 空間戦闘特化のG04、G05。G05の開発は概ね順調らしいがG04の開発は難航しているそうだ。

 どうもジェネレーターの出力がメガビームランチャーの発射可能出力に到達しないらしい。

 補助ジェネレーターは未完成かつ、一定以上のエネルギーを開放させるとコア部分が圧壊するとの事だ。

 

「全く、私一人では手が回らん。私自身何時までこうして研究できるか分からないと言うのに」

「はぁ。確かに娘さんが居なければ我々も……」

「本当に。いつの間にか成長するものだよ。子供っていうのは」

 

 私はガンダムを見る。完成されたフォルム、赤い彗星をも退ける性能。

 それを引き出す我が娘アムロ。まだガンダムも完璧とは言えないが、我ながら素晴らしいMSだ。

 

「よし、作業を再開しよう。ジョブ君のガンキャノンは酷くやられたからな」

「了解です。おーい皆!始めるぞー!」

 

 私は端末をスリープ状態にし、ジョブ・ジョン君のガンキャノンの作業指示を行う。

 彼は部隊指揮も含め最もよく働いてくれたが、その代償は大きかったようだ。

 装甲板は第5層までマシンガンがめり込み、パプアの爆発に巻き込まれたせいで表面装甲は全損と言えるほどの損傷。

 更にマニュピレーター損傷により左手首の内部部品は全交換だ。

 

『アムロ!今のはずるいだろう!』

『ずるくないでしょ、間合いが甘いの』

『だいたいガンキャノンには近接武器が……』

『ずるいも何も私は射撃苦手なんだから避けて刺すに決まってるじゃない』

『苦手って……両腕撃ち抜いて何が苦手だよ!』

 

 ちょうどアムロとハヤト君のシミュレーションが一段落したようだ。

 結果を見ているコーウェン少将推薦のアニー上等兵は目を丸くしている。

 

『ほーらガキ共、落ち着きな』

『……』

『……』

『1戦目はアムロが瞬殺、これはハヤトの読みが甘かったんだと思うよ』

『不意討ちの上にコクピットを……』

『踏みやすい位置に倒れるのが悪い』

 

 ……そろそろアムロには装甲修復の大変さを教えてやったほうが良いかもしれない。

 そう考えていると、突然艦内に警報が響き渡った。 

 

【総員戦闘配置!敵部隊接近!アムロはガンダムで待機!!】

【ホワイトベース各銃座攻撃用意!ザク2機視認!】

 

 またしても敵機。私は全員に作業の中断を指示し、

 ガンダムのセッティング全作業員を配置させる。 

 

「アムロ、ノーマルスーツに着替えてきなさい」

「またシャア?」

「おそらく違う、シャアに予備機はないはずだ、急ぐんだ!」

 

 そう言うとアムロは頷きパイロット更衣室に向かう。

 

「換装急げ!A装備!」

 

 ビームライフル、シールドの基本装備。

 ザク2機なら射撃な苦手なアムロとて外すことはないだろう。

 

 

 ★

 

 

「ザク2機……何だろ?」

 

 ノーマルスーツに着替え、ガンダムのコクピットに座った私は考えた。

 が、当然ながら何も思い浮かばず、とりあえずガンダムを起動する。

 いつものトンッという音が聞こえ、ブゥゥゥンとシートの下から駆動音が響く。

 

『アムロ、聞こえて?』

「あ、はいセイラさん」

『敵はザクが2機。ホワイトベース前方を塞ぐように布陣しているわ』

 

 なるほど。通せんぼ戦法か。

 

「その2機を壊せば良いんですか?」

『ええ。お願い』

「分かりました。がんばります!」

『メカニックマン退避完了!』

『了解、カタパルトへ!』

 

 私はガンダムを動かし、カタパルトの上に乗る。

 これはさっきみたいなハヤトくんとの模擬戦じゃない。

 ナメてかかったら死ぬ。改めて私は息を呑み込み。ガンダムの重心を下げる。

 

『敵は物陰に隠れる戦法を駆使してるみたい。サラミスが危ないわ』

「はい!……アムロ、行きます!!」

 

 スラストペダルを踏み込み、私は宇宙に出る。

 やっぱりシミュレーションのカタパルトとは違う。体が押し付けられる。

 宇宙に出た私がまず見たのは、あの筒みたいな宇宙戦艦サラミスが変な色の爆発を起こした瞬間だ。

 隕石の影からサラミス向けて黄色い弾のようなものが飛んでいってる。

 

「セイラさん!サラミスが!」

『急いでアムロ!』

「はい!」

 

 誰かを守る戦いなんてしたことないけど……。

 仕方ない。行くしかないか。

 

 

 

 ★

 

 

 

「こちらカート、木馬らしき戦艦とサラミス級巡洋艦を確認」

『こちらロビン、こっちも確認した。シャアに伝えるか?』

「シャア「少佐」だ。命令では発見次第攻撃せよとの事だ」

『簡単に言ってくれやがるぜ……』

 

 北米地球降下大隊に合流する小隊、最後尾のツケが回ったのか、

 合流寸前に同じく衛星軌道に進軍中の「ファルメル」から緊急通信が入った。

 ファルメルが追いかけている連邦軍の新造戦艦「木馬」の足を止めろとの事だ。

 

 俺達はまずサラミスに攻撃をかける。抵抗が少ないが装甲の厚い底部を狙う。

 戦車砲並みと言われている120ミリマシンガンを1マガジン分、ほぼ同じ位置に撃ち続ける。

 間もなくして弾薬に引火したのか、底部からピンク色の爆発が発生。破片を撒き散らし始めた。

 

 それを確認したのか、木馬から発進したモビルスーツがこちらに向かってくる。

 白を主としたトリコロールカラーのモビルスーツ。恐らく視認性向上の為に塗装された試作品だ。

 右手には大型のライフル。左手には巨大な赤いシールド。どちらも見たことのない兵装だ。

 

「出た、情報通りだ」

『あれが白い奴ってか』

「攻撃をかける、奴は木馬の大事な荷物だ。置いては行けんだろう」

『了解……ったく、』

 

 いつも通り、手頃な物陰を探し、その場を仮の拠点とする。

 付近のデブリ、この分厚さ、そしてこの広さならば大丈夫だろう。

 F型のザクと言えど戦い方を工夫することでS型にも劣らない戦いができる。

 俺達はこの戦法でルウムを生き残ったのだ。

 

「ロビン、バズーカだ」

『サンキュウ。クラッカーはいくつあるよ』

「2つだ。バズーカは?」

『4発。お互い同じだ』

「了解した。行くぞ!」

 

 50発の強化型ザクマシンガン、これならば白い奴の足を止めるのに不足はないだろう。

 これでもう少し装弾数が多ければ確実に止められただろうが。

 文句を言っても装弾数は増えない。俺は初弾を装填し、安全装置を解除。

 白い奴に向けて発砲した。  

 

「効かないか」

『戦艦並みだな』

 

 これもまた情報通りだ。確実にマシンガンの弾は白いやつに命中した。

 しかし奴は全く怯む素振りすら見せず、右手のライフルを放つ。

 ビームはデブリに命中したが貫通には至らない。奴のそれは戦艦の主砲とほぼ同じ威力か。

 あのビーム砲を喰らったらザクとて一撃で撃破されるだろう。しかし。

 

「モビルスーツの性能が全てではない!」

『おーおー、絶好調だな!』

「無駄口を叩くな!フォーメーションクライシスタイム。継続だ」

『いつも通りだろ?わぁかってるって!』

 

 白い奴の射撃が止み、俺とロビンはデブリ影から出る。

 一斉射撃をかけるも、奴のシールドに阻まれる。

 シールドの強度もザクとは比べ物にならない堅牢なんてものではない。

 驚異的な強度だ。

 

 となると奴を撃破するにはヒートホークか、バズーカしかないだろう。

 奴の上下左右に、一見適当に見える予想できない機動を読み、バズーカを当てるか。

 奴の拳をいなし、コクピットがあるであろう腹部をホークで叩き割るか。

 

「チッ」

 

 俺達以上の実力を持つシャア・アズナブルがS型に乗っていながら仕留めきれなかった理由がわかった。

 モビルスーツ同士の戦いのノウハウがない上に、対MS用兵装が無いのだ。

 Fザクは航空機の部類で言う対艦攻撃機にあたる機体だ。真正面からでは単純に分が悪い。

  

「移動だ!」

『了解!』

 

 マシンガンのセーフティーをかけ、攻撃を避けながら移動する。

 とんだ貧乏くじだ。早めに合流しておけばこんなことにはならなかっただろう。

 

『もう遅刻しないようにしようぜ』

「全くだ」

 

 

 

 

 

「……!」

 

 シャアとは違う。シャアは動き回るけどこの二人は動き回らない。

 隕石に隠れては攻撃を繰り返し、近づけば斧で切りかかってくる。

 切りかかったと思えばまた隕石に隠れて、隣のやつを撃つともうひとりが撃ってくる。

 

「何なの……こいつ!」

 

 私はビームサーベルを抜き、ビームの刀身を展開させる。

 左側の隕石に隠れているザクに向けて斬りかかるが、いつの間にか居なくなっていた。

 すると今度は真後ろからザクのマシンガンの弾が当たる。

 ダメージはないけど、単純にムカつく戦い方だ。

 

「このや……っ!?」

 

 後ろを振り向くと、カメラに十字の形をした何かが映る。

 隕石?と思い払いのけようとした瞬間。

 

「っぅう!?」

 

 カメラの映像が真っ白に、そのうえ音が消えた。

 それと同時にコクピットに前後左右と万遍ない揺れを感じる。

 

「何!?」

 

 操縦桿を動かすも、ガンダムが動いてる感じがしない。

 モニターの表示の殆どに赤黒い文字で「WARNING」と表示されている。

 しばらくしてモニターの真っ白が回復するも、ガンダムが動かない。

 

「嘘……!動いて!?」

 

 さっきのザク爆弾のせいだろう。ガンダムのどこかが故障したのかうんともすんとも言わない。

 いや、一応ビービーとかピロロロとか言っているけど、腕も足もジェットも動かないのだ。

 物陰に隠れているザクが一斉に私に向けてマシンガンを撃つ。動くことが出来ない私はそれを全部受けてしまった。

 

 ガンガンという音共にコクピットが激しく揺れ、ガンダムが火花を散らす。

 

「う……!!うぅう!!」

 

 その時、前のモニターに青色の文字が表示された。私はそれを読む暇もなくガンダムの操縦桿を前に倒す。

 ガンダムが動いた。何だかよくわからないがエラーが回復したのだろう。

 右側のザクがでっかい筒みたいな武器を構えている。私はとっさにそれに向かってビームライフルを撃つ。

 

「っ!」

【何!?】

 

 ビームのピンク色が奇跡的に筒を通り抜けた。黒い筒がオレンジ色に発光し、ザクの右腕を巻き込んで大爆発を起こす。

 ……今の筒、もしかしてザク専用のバズーカ砲みたいなものなのだったのかな。

 だとしたら蜂の巣にされてボロボロのガンダムがあれを受けてたらエラいことになってたかも……。

 

「左手も動かない……壊れちゃったのかな……」

 

 ガンダムはボロボロだ。足は動くけど動くたびに中から変な音が響く。

 ビームライフルは無事だけど、左側のビームサーベルが半分にされてやばい音を出している。

 今引っこ抜いたら背中ごと吹っ飛ぶかも。

 

【ロビン!無事か!】

【ああ、ドジっちまった。俺は生きてるがザクはもうダメだな】

【撤退は出来るか?】

【そこまで世話ぁ焼かせねぇよ。時間は稼げた。トンズラだ!】

【了解。先に行け、俺が時間を稼ぐ】

 

 右腕と左手首が壊れたザクはすばやく私に背を向け、ものすごいスピードで逃げていった。

 その背中をビームライフルで撃つが、上下左右に避けながら逃げるせいで当たらない。

 あのザクはシャアの部下とは違ってすごい人が乗ってたみたいだ。

 

『マダガスカル被弾!艦内炎上止まりません!』

『ええい……!こんな目立つ艦のお守りなどするからこんな目に遭うのだ!』

『ザク1機撤退!もう1機が本艦に接近中!来ます!!』

『ホワイトベース!若造!!貴様ら何をしている!対空機銃を撃たんか!!』

 

 もう1機のザクが私から逃げ、とんでもないスピードと回避でサラミスに向かう。

 ホワイトベースは素人目から見ても少ない銃撃でザクを狙うが当たらない。

 私もビームライフルと頭のバルカンで応戦するも、動き回ってるザクに為す術もない。

 

「は、速っ!?」

『迎撃急げ!迎撃!!』

 

 斧を左手に、バズーカ砲を右手に持ちながら、星のような速さでサラミスを蹂躙する。

 縦横無尽に動き回る様は、私と戦っているときよりも明らかに動きが良い。

 まるで私との戦いが本気でなかったかのようだ。

 

『速い……!』

 

 サラミスがピンク色の炎を噴く。

 宇宙の炎は地球の炎とは違いピンク色だ。酸素とか、そんな感じのあれではないものが炎になっているんだろう。

 空気のない所で火を噴くということは、それだけやばいものが燃えているんだろう。

 炎に包まれる緑色のザクは、サラミスのブリッジに当たる部分で一つ目を光らせる。

 

「鬼……みたい……」

『ブライト少尉!!受け取ったか!!武運を祈る!!』

『リード中尉!!』

 

 ザクはバズーカ砲を捨て、マシンガンを構える。

 

【ロビン撤退完了、目的は達成した。少佐。任務完了です】

【了解した。貴様も撤退しろ】

【了解】

【捨て駒かと思ったが、予想以上の働きだ……まさに修羅と呼べる】

【修羅……】

 

 ビームライフルの引き金を引く。それと同時にマシンガンの弾丸が1発発射される。

 ザクはマシンガンを手放し、宙返りしながらさっきのザクが逃げた方向へと飛び去っていった。

 ビームライフルがザクのマシンガンを溶かし、真っ赤に染まる。

 

 サラミスのブリッジは明かりが消え、ザクの弾が貫通した穴からまたピンク色の炎が吹き出した。

 

「……」

『……サラミス撃沈……アムロ……』

「えぇ……」

 

 私はしばらく操縦桿を握ったままぼんやりしていた。

 シャアじゃないザクはビームライフルを適当に撃っただけで爆発するザクが殆どだと思っていた。

 でもあのザクたちは色々な戦法を駆使してガンダムを圧倒していた。

 それどころじゃない、圧倒した上に守らなきゃいけない船をもぶっ壊していく。

 

「つ、強かった……」

 

 ボロボロのガンダムの中で、へし折れて爆発していくサラミスを見上げる。

 あれが送ってくれないと、私達地球に帰れないんじゃないかなぁ……?

 

『アムロ、とにかく帰還して頂戴』

「セイラさん……」

『エースパイロット相手によく戦った。ブライトはそう呟いてたわ』

「そうですか……ブライトさんは?」

『今は話しかけないほうがいいわ。いきなりの事でかなり参ってるみたい』

 

 ……ブライトさんには悪いことをしてしまった。

 今日一日の出来事で、ブライトさんは私に逆ギレされて二発も殴られ、

 その上味方の軍人さんがたくさん乗っていたサラミスを壊されてしまった。

 

「サラミスの人たちは?」

『……』

「……そう……死んじゃったの……ね」

『ええ……』

 

 これが負け。

 かなり心にズシッと来るものだ。私は操縦桿を引き、ガンダムを振り向かせる。

 あのザクはわざとホワイトベースを狙わなかったのか、ホワイトベースは新品同様の姿をしている。

 

 手加減されてたってことか。完全に負けね。

 

「ジオン軍に勝たないと……ですね」

『そうね、腐っては駄目よアムロ』

「はい」

 

 ……サラミスの人たちの面識はさっぱり無いが、私は目を瞑る。

 この人達も人間だ。私が駄目なせいで皆死んでしまった。

 これが戦争とはいえ、こうやって目の前で人が死ぬのはいい気分じゃない。

 ザクの奴らは敵だから黙祷なんかしないけど。

 

「アムロ、戻ります」

『後方ハッチに進入して。着艦次第ホワイトベースは衛星軌道に向けて出発するわ』

「え?でも」

『リード中尉が最後に敵勢圏外を進むルートを送信してくれたのよ』

 

 誰?

 

「……その人に感謝しないとですね」

『ええ。アムロもゆっくり休んで』

「ありがとうございます、セイラさん」

 

 私はホワイトベースのお尻にあたる部分に向かい、

 ハッチが開いている所にガンダムを着陸させる。

 着陸すると同時にガンダムが自動操縦に切り替わり、元のガンダムが設置されている所に向かって移動した。

 

「はぁぁ……」

 

 今回も死ぬかと思った。でも、生きている。

 これだけでも成果かな……。

 

 

 




今回のアムロの行動の結果

・アニー・ブレビッグ上等兵(機動戦士ガンダム戦記)ホワイトベース乗艦。
・テム・レイ、ガンダム4号機、ガンダム5号機、ガンダム6号機の開発支援。
・MS-06F搭乗の修羅の双星(スピリッツオブジオン)ホワイトベース隊奇襲。
・RX-78-2ガンダム小破
・サラミス轟沈、リード中尉戦死、戦死直前に衛星軌道上へのルート送信。

以上の結果となりました。







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