元英雄が紡ぐ物語   作:因幡の黒兎。

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※これは本編とは関係はありません。


少し前に、この季節にしっかり咲いている銀木犀を見つけたんですよ。珍しいと言うか、普通有り得ないですよね。こんな寒いのに…。

良い香りだったんで、これをネタになんか書けないかな~?って言う…思い付きです。

楽しんでいってくれると嬉しいです。

ちなみに、リュー編です!




気紛れなSS
SS 銀木犀の香りは二人の為に


アオイ「ふぅ…。今日はここまでにしよっか?」

 

リュー「はっ、はい……」

 

 

呼吸が乱れる中、絞り出した声で返事をする。

 

二人の早朝の特訓。

 

季節は冬。外では震えるほどに寒く、暖房やカイロに有難みを感じるような真冬だ。

 

 

アオイ「汗、早めに拭かないと風邪ひくぞ。ほら…」

 

リュー「ありがとうございます…」

 

 

首に掛けていたタオルを渡すと、リューは顔や首などを拭いていく。

 

頬が火照っていて、とても色っぽい。

 

 

アオイ「…そう言えば…」

 

リュー「どうかしましたか?」

 

アオイ「ここの銀木犀って、時期遅れだよなって思ってさ」

 

 

庭に生えている1本の銀木犀。花咲かす枝を軽く撫でながら、疑問を浮かべる。

 

 

リュー「時期遅れとは?」

 

アオイ「銀木犀は秋、9月後半から10月にかけて咲くんだ。でも、今ってバリバリの冬じゃん?」

 

リュー「そうなのですか…」

 

アオイ「リューは好きか? 銀木犀の香り」

 

 

銀木犀の花が放つ、優しく甘い香り。芳香剤に似た匂いがすると言う人もいるが、俺はこの香りが好きだ。

 

 

リュー「えぇ、落ち着く良い香りだと思います」

 

 

そう微笑むリューが、彼女に重なった。

 

『銀木犀って、とっても良い香りだよね。なんか、心が落ち着く…みたいな感じでさ』

 

 

アオイ「だよな」

 

 

そんな時…

 

 

リュー「ッ…!」

 

アオイ「寒っ…」

 

 

強い風が吹いた。カサカサと揺れる銀木犀の細枝、小さく儚い花が何十も宙を舞う。

 

 

リュー「!」

 

 

凍るような突風で眼を閉じていたリュー。風が止み、ゆっくり眼を開くと…

 

 

アオイ「あははっ♪ リュー、髪にいっぱい花がついてるよ?」

 

 

それは私の台詞です…と、声に出さずに心の中でそう思う。

 

アオイの黒と白の髪には大量の星が散りばめられ、只でさえ心臓に悪い満面の笑みを更に引き立てていた。

 

リューの心拍数がドクンドクンと早く高鳴る。

 

 

アオイ「どうした、リュー?」

 

リュー「えっ…?」

 

アオイ「顔赤いぞ? もしかして風邪か…?」

 

リュー「――ッ!?/////」

 

 

心配そうな表情でゆっくりと顔を近付けてくる。

 

一体何が!? と、リューは縛るように強く眼を閉じた。

 

 

…額に温かい何かが当たった。

 

 

なんだろうと、恐る恐る眼を開くと…

 

 

アオイ「あー、確かにちょっと熱いかも…。最近は寒いんだから、汗はしっかりと拭かなきゃ駄目だぞ?」

 

 

人形と間違えてしまいそうな彼の整った顔、その心配そうな表情が視界いっぱいに広がっていた。

 

前髪を上げられ、互いに額を触れさせている状態。

 

アオイにとっては只の体温検査なのだが、本当に心臓に悪い。

 

 

リュー「あの…アオイ……?」

 

アオイ「ん?」

 

リュー「…か、顔が…近いです…/////」

 

アオイ「熱計ってんだし、普通だろ?」

 

 

これが普通であってたまりますか! …リューが声に出せないのは何時もの事だ。

 

彼の息が頬を擽り、鼓動が加速する。

 

 

アオイ「あ、もっと熱くなった」

 

 

もうおかしくなりそうだ。

 

銀木犀の甘い香りと二人っきりの誰も居ないと言う()()()()()()()()()この展開にリューの理性は削られ、視点はいつの間にかアオイの艶々とした唇に……

 

 

リュー「アオイ…///」

 

アオイ「どうs……」

 

 

『チュッ……』

 

途中までの声は、リューの唇で防がれた。

 

何時ものような舌を絡める様なねっとりとしたキスでは無く、本当にただ唇を合わせるだけのキス。

 

唇を放したと同時に、羞恥心で俯いてしまう。

 

 

リュー「…そ、その…すみません…」

 

アオイ「………」

 

 

返事が無い。怒らせてしまったのだろうかと、不安になりながら顔を上げる。

 

リュー「えっ…」

 

アオイ「/////」

 

 

本当に稀に見せる紅潮した彼の表情。口元を片手で隠し、恥ずかしそうに視線をそらすアオイを見て、リューも顔が熱くなるのを感じた。

 

 

アオイ「(柄にも無く、不意付かれた…)/////」

 

リュー「(何時もなら余裕そうなのに…こんな時だけズルいです…)/////」

 

 

銀木犀が早朝。たった二人の為だけに、その甘い香りを辺りに漂わせた。

 

恥ずかしそうな二人の髪に銀色の星を散らばすと言う、細やかなおまけも付けて…

 

 




こう言うの、リアルに無いからこそ良いよなぁ~。

サブタイトルにSSって入れてる程なんで、短かったですよね。たったの1500文字。

どうでも良いかもですけど、タイトルにSSって付いてる物は本編には殆ど関係が無いですので、SSはSSとしてお楽しみ下さい。


皆さんは、銀木犀の香りは好きですか?


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