魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第12話

--壮介side--

 

アリナはウワサを着込み、とんでもない姿になった。それを見て俺や健太、そして皆が驚いていた。

 

健太「なっ......なんだありゃあ......」

 

いろは「あれって......アリナさん......」

 

壮介「まるであん時のマミさんと同じような姿をしてやがる...。もしかしてあいつは......」

 

ねむ「「毛皮神のウワサ」を着込んでる......。消えたと思っていたのに......。」

 

うい「それって、どうなるの......?」

 

健太「......ウワサの内容次第って事だな......?」

 

ねむ「あのウワサは凍える人を暖めて寿命を奪う...。アリナは被膜を収縮させてイブを包み込む時に毛皮神のウワサも使ったんだ......。だけど、イブには寿命という概念はないはず......。」

 

うい「じゃあ、何が起きるか......」

 

ねむ「うん、僕にもわからない......。」

 

アリナ「それはアリナが教えてアゲル。ライフタイムを奪うってのは自由を奪うのと同じなんだヨネ。」

 

ねむ「イブの自由を奪う......?」

 

巧「そうだ。今のアリナにとってこのイブという存在はペイントブラシになるんだ。」

 

久之「そして、このイブを利用して神浜を潰す。どうだ?良い案だろ?ハッハハハハ!!」

 

俊「一体何を言っているんですか......?意味が分かりませんよ......!」

 

久之「理解力が乏しいなてめぇは...、簡単に言えば人は滅びを望んでいる。こう言うことだ。」

 

俊「なっ...!?」

 

やちよ「意味がわからないわ。彼らは何を言っているの...?」

 

十六夜「人が滅びを望んでいるだと?」

 

悠太「くだらん理由だ。人が滅びを望んでいるだと?誰も滅びを望んでいる訳ではないんだ。」

 

巧「じゃああんたは何故魔法少年になるときに、まるで神浜を消してくださいと言わんばかりの願いを叶えた?」

 

悠太「......何故それを知っている?」

 

巧「さぁねぇ~...。でもさあんたは大東の人間であるが故の悩みとかあったんだろ?あんたが魔法少年になる前に中学の時に大東の半グレ集団を束ねて各地で暴れまわってた。そしてあんたの魔法少年としての転機が来たのが高校1年、既に半グレ集団のリーダーとしての名が広がって煙たがられていたその時、たまたま同じように生徒達から煙たがられていた少女がいた。それが八雲みたま、あんたのパートナーだ。」

 

悠太「......その事を知っているのはみたまと十六夜、そして藤村と七海の4人だけだ。何故貴様が......。」

 

巧「おっと、話が逸れちまった。まぁ、要するにこうなったきっかけがあんたの中にもあるんじゃねぇか?だとすれば俺らの滅びを受け入れるはずだぜ?」

 

悠太「......そうだ。」

 

悠太さんはそう言って、目を瞑った。何を考えているのだろうか......?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--悠太side--

 

奴の言う通り、確かに自身も滅びを望んでいないにしろ、それ紛いの事を願った覚えがある。

 

俺自身、大東で愚連隊を率いてた事もあり評判はよくなかった。当事の俺自身、評判は気にしておらず、大東に喧嘩を売る奴を片っ端から殴りまくっていた。その反面、成績事態はよかったが素行が悪いせいで大東学院行きになる。愚連隊に加入していた連中の数人も大東学院に来た事もあり、他の連中から阻害されてはいたが仲間がいたことで俺はコミュニケーションが取れていた。そして、転機が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

--大東学院 3F--

 

--宇佐見悠太 当事16歳--

 

 

 

 

 

 

 

 

悠太「......」

 

男子1「こっちだ!」

 

男子2「急げ急げ!」

 

悠太「......(何やら騒がしいな...、何かあったのか......?)」

 

その時の学園は珍しく騒がしくなっていた。そんなとき愚連隊の舎弟が現れた。

 

悠太の舎弟「悠太さん!!」

 

悠太「ん?おぉ、どうした?」

 

舎弟「下の階で今すごいことになってるんです!見に行きましょうよ!」

 

悠太「どうせ他者同士の喧嘩だろ?なら行く必要はないだろ?」

 

舎弟「違うんですよ!それが本当に面白いんすよ!」

 

悠太「......本当だろうな?」

 

舎弟「はい!面白いです!約束します!」

 

悠太「はぁ、わかった。行こう。」

 

舎弟「ありがとうございます!こっちです!」

 

舎弟に案内され2階に降りる。

 

 

 

 

--大東学院 2F--

 

 

下の階に降りるとその場所だけ人混みがあった。それを掻き分けて進み広い場所に出ると、4人の男女と二人の女子がいた。二人の女子側で一人は消火器を振り回そうとしており、もう一人が必死で止めていた。その二人こそ八雲みたまと和泉十六夜だ。話によれば陰口が原因でみたまの堪忍袋がキレて爆発したらしい。あのみたまとやらのキレ方を見れば尋常じゃないほどの怒りだ。余程何か言われたのだろう。そう思って静かに静観するつもりでいた。「それ」を聞くまでは......。

 

十六夜「止すんだみたま!」

 

みたま「離して!どうして何も関係ない家族まで脅されないといけないのよ!私だって貴方達の期待に答えようとして必死で努力して...!どうして...!!」

 

みたまは怒り、泣きながら必死で向かおうとしていた。あのまま行けば目の前の4人は、半殺しだろうな。すると事情を知っている奴が話しかけてきた。

 

情報通の男子「あのみたまって女子、最初は大東学院の初等部から学費免除の対象として水名学園の中等部に受かったらしいんだけど一部の連中が大東から来たのが気にくわなかったらしい。」

 

悠太「そうなのか...。だがあのみたまという女子は何故怒り狂うほどまでキレた?」

 

情報通の男子「どうやら、ここの一部の生徒から期待されながら行ったんだけど信頼していた友達に裏切られたらしくてさ、その友達に階段から蹴り落とされたらしいんだ。んで何とか身を交わしたんだが、たまたまそこに別のクラスメイトがいたんだって。その子が階段から転げ落ちて大怪我を負ったんだ。」

 

悠太「......ただの逆ギレではないな。」

 

情報通の男子「まぁな、続きがあって、みたまが落としたって事になったらしくてさらに水名学園から退学勧告されたらしい。んで戻ってきたは良いけど、まぁひどいわ。手のひら返しでみたまにボロクソ言ってああなったというわけだ。」

 

悠太「......そのボロクソ言った奴があの4人か?」

 

情報通の男子「そうそう。声が大きいから本当にヤバかったからなぁ。なんか裏切り者だの評判がどうのこうの、んで極めつけは面汚しだとさ。」

 

悠太「.........」

 

情報通の男子「あんだけ期待しといて手のひら返しとか頭おかしいんじゃねぇのか?って思ったよ。......やりにいくのか?」

 

悠太「......ああ。今の話を聞いてる限り明らかに悪いのはあの4人だ。みたまが奴等を傷つけるのは良くねぇ。......情報ありがとな。」

 

そう言って俺はみたまの持っていた消火器を掴む。暴れていたみたまの体は止まり、振り返った。

 

みたま「っ!?貴方は......?」

 

悠太「ただの通りすがりだ。......こんなクズ共の為にお前が攻撃する必要はない。」

 

みたま「えっ...?」

 

十六夜「お前は、悠太か?」

 

悠太「会長、先に言っときます。すんません、暴力を働きます。」

 

十六夜「なっ!?」

 

みたま「どうして...関係ない貴方が...?」

 

悠太「とある人間から情報もらってな。どこかのチンピラの風上にもおけないゴミがピーチクピーチクほざいてるって聞いたからゴミ掃除に来たんだ。」

 

男子「あっ?それは俺らの事か?」

 

男子「ふざけんな!誰がゴミだ!?」

 

悠太「お前ら以外にいねぇだろ。期待するだけしといていざみたまがしくじったら手のひら返して誹謗中傷......。ふっ、くだらなさ過ぎて笑えるぜ。」

 

男子「んだと?」

 

女子「あんたどうしてそんな奴の味方すんのよ!?そいつは西に魂売ったクズなのよ!?」

 

女子「そうよ!そいつは大東の面汚しよ!!」

 

悠太「......本当の面汚しはどっちだろうな。」

 

女子「なんですって!?」

 

悠太「お前らは夢見てるようだからしっかり起こしてやるよ。人間ってのは、外面で判断しちゃあいけないんだ。ならどこで判断するか。それは「心」だ。確かにお前らの言う通りな所もある。」

 

みたま「っ!?やっぱり貴方も......!」

 

悠太「まぁ聞け、俺達大東の人間はここに住んでるだけで蔑んだ目で見られ、嫌われ続けてる。でもな、みたまは、多分だが、中等部に入って大東の印象を変えようと努力したんだろうよ。それにみたま自身、そんな怨根で突き落とすほど、こいつだって短気な性格じゃねぇよ。その中等部の一番信頼していた友達が嘘っぱち吹いて学校内部で拡散されたんだろう。」

 

男子「そんなの、わかんねぇだろ...!」

 

悠太「じゃあ逆に問う。お前がみたまの何を知っている?」

 

男子「.........」

 

悠太「言えないだろ?......こう言うことだからお前らはいつまでも成長しねぇんだよ。」

 

男子「.........」

 

悠太「人の内情を知らない奴が、人の努力をバカにする価値はない。......俺に殴られたくないなら消えろ!!二度とみたまの前に現れるな!!」

 

バカにした4人は蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。囲んでいた群衆も散らばった。

 

舎弟「悠太さん!かっこよかったっすよ!さすが愚連隊の総長なだけありますね!」

 

悠太「声が大きい、あまりデカイ声で言うな。」

 

舎弟「あっ、すんません......。」

 

悠太「ふぅ......。」

 

一息ついてみたまに近づく。

 

悠太「......」

 

みたま「な、何...?」

 

悠太「......改めて、俺は宇佐見悠太。あんたの事は生徒から聞いた。辛い状況の中、良く帰ってきてくれた。お帰りなさい、八雲みたまさん。」

 

みたま「っ!?......ぁり...がと...ぅ......!」

 

十六夜「良くやった悠太。八雲の為にありがとな。」

 

悠太「気にするな。情報通の奴のおかげだ。そいつから話を聞いた時にあいつらが気にくわなかったからな。ここにいててもストレスが溜まる。外に出ようか。」

 

十六夜「そうだな。」

 

みたま「ぇえ......。」

 

そう言って俺達は学院の外に出る。

 

 

 

 

 

みたま「空虚だわ......悠太君、十六夜......。水名だけじゃなくて地元でも裏切られたのね......。憎しみが沸々と沸いてくる感じ......。」

 

悠太「恨んだところでどうにかなる町でもない。急速に発展する町には歴史が存在する。......とはいえ、行動や言葉は人から生じるもの......。やはり個人を恨むほかないか......。」

 

みたま「そうね......。」

 

悠太「......」

 

その日の夜、久方ぶりに夜景を見て落ち着くため、とあるマンションの屋上に向かった。そしてドアを開けるとみたまがいた。そこには良くわからない生物もいた。その白い生物はみたまに何かを伝えていたが遠くて聞こえなかったが、奴は願いを叶えるという事は聞こえた。そしてそれが聞こえた瞬間、突発的に飛び出した。

 

みたま「っ!?悠太君!?」

 

キュゥべぇ「君もいたのかい、宇佐見悠太。」

 

悠太「今、みたまに言った願いとやらは何でも叶えてくれるのか?」

 

キュゥべぇ「もちろんだよ、その代わり、女性は魔法少女、男性は魔法少年になってもらうけどね。」

 

みたま「悠太君......、何を叶えるの?」

 

悠太「俺はもう、腹は括ってる。お前はさっき「神浜を滅ぼす存在」になるといったな?」

 

みたま「えっ、ええ...。」

 

悠太「なら、俺は「滅ぼす存在を守護する存在」になる。」

 

キュゥべぇ「正確にいえば八雲みたまを守る力が欲しいという事かい?」

 

悠太「ああ、出来るか?」

 

キュゥべぇ「もちろんだよ。」

 

 

 

 

そのあとからは時間が早く進んでいる気がして堪らなかった......。俺自身も滅びを望んでいたのかもしれない......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--壮介side--

 

悠太さんは考えているのか?そう思った時、再び目を開けた。

 

悠太「確かに、あの時の俺は甘かったのかもしれない。そしてこれが人生の転機を図るチャンスかもしれないな。」

 

やちよ「悠太君!?」

 

悠太「まだ答えは出していない。......十六夜、みたま、お前達は町の滅びを望むか?」

 

十六夜「.........」

 

みたま「今の姿を見ても何も思わない?」

 

悠太「......ふっ、愚問だったな。結論は出た!俺達は貴様らの滅びは受け入れられないな!!」

 

アリナ「そ、残念。」

 

悠太「逆に問うが何故貴様らは滅びを求める?」

 

久之「そんなもん簡単さ。人類がそう望んでいるからだよ。しかも同じ人間同士で殺し合いするんだぜ?ならいっそまとめて消した方が効率的でいいしなぁ~。」

 

健太「ふざけんな......!人類が滅びを望んでいるだと?笑わせんな!誰もが思ってる訳じゃねぇんだよ!」

 

いろは「ふざけないで!!」

 

やちよ「制御してるアリナさえ討てば!」

 

いろは「お願い!」

 

健太「届けぇぇぇ!!」

 

久之「っ!?」

 

巧「しまった!!」

 

アリナ「ぐぅっ!?......アハッ」

 

健太「なっ!?聞いてないだと!?」

 

壮介「そもそも届いてねぇんだ!!」

 

俊「それにウワサを着込んでるせいで......!!」

 

悠太「あれだけの高所じゃ俺の技でも届かん......!」

 

アリナ「アナタ達にはバトルするパワーもないヨネ?」

 

久之「ほらほらぁ、さっさと倒してみろよ正義気取りの魔法少年少女達よぉ!?キャハハハハハハハ!!」

 

巧「今やった所で無駄だがなぁ!!」

 

鶴乃「私の炎も届かない...!まだ消えてないはずなのに......!」

 

さな「アリナの場所まで行ける人は......。」

 

フェリシア「おれ...オレじゃあ......」

 

ももこ「アタシも無理だ......。」

 

十六夜「自分も空を飛ぶような芸当は出来ない......。」

 

みたま「それに、曲芸みたいに戦う魔力は、もう残ってないわ......。」

 

さな「......誰も......。」

 

ねむ「......ウワサを着せた者として、僕が責任を取らないといけないね。」

 

灯花「ねむ?......あっ、毛皮神のウワサのページを消せばいいよ!」

 

ねむ「それは気付いた瞬間に試したよ。」

 

灯花「え......」

 

ねむ「毛皮神のウワサはアリナに制御されて僕の指示が聞かないんだ。」

 

灯花「じゃあどうするの?ねむはただでさえウワサを作りすぎてアリナを止める力何てないのに......。」

 

藤吉「そうですねむ殿。あまり不用意な事態で突出は禁物でございますぞ。」

 

ねむ「それでも、作ったウワサの分だけ、魂を痛め付けた分だけ僕の本の中につまっている。」

 

灯花「っ!?待ってねむ!」

 

うい「ねむちゃん......?」

 

ねむ「魔法少女になってから僕の余命は僅かだった。その命を伸ばして得たこの時間後悔することも謝罪する事もあったけど、こんな僕を許して欲しいな。」

 

うい「やだ...ねむちゃん...!」

 

壮介「よすんだねむちゃん!」

 

ねむ「逝こう、創造の子供達。」

 

そう言ってねむちゃん達が行ってしまう。くそ!飛べない自分が腹立たしい......!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--ねむside--

 

 

 

 

 

 

アリナ「アリナのベストアートに......。」

 

久之「もうすぐだ......」

 

巧「あと少しで、完成する......。」

 

ねむ「させないよ。」

 

高く登った所に何とか間に合ったみたいだ。さぁこれ以上、健太お兄さんといろはお姉さんに迷惑をかけないためにも、全ての力を出しきって、終わらせる!!

 

久之「今さら何しに来やがった裏切り者が!」

 

巧「あいつらのように地面で這いつくばっておけよ!」

 

ねむ「それは出来ないよ。だって......アリナ自身、強大なイブを使役するのに、耐えられなさそうだから。」

 

久之「耐えられないか......。なら決まってるよなぁ?」

 

巧「ああ、アリナが異常を来す前にさっさと終わらせてやるよ!」

 

アリナ「ウワサ通りに、ぐっちゃぐちゃに引き裂いて絵の具の塗料にしてあゲル!!」

 

ねむ「僕は本に記された全てのウワサでアリナを迎え撃つ!!!アリナァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

アリナ「アーッハハハハハハハハハハ!!!」

 

僕の本に記された全てのウワサで迎え撃つ。けど、僕のウワサはひとつ足りなかったみたいだね......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで許されるかな......これで赦されるのかな......。もしも贖罪が聞かないなら、僕は無限の地獄を受け入れるよ......。

 

うい「ねむちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

灯花「ねむぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みがない......僕は、死んだの.........?でも、どうして.........。僕は、目を開けた。けど、僕の予想とは、真反対だった。なぜなら.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健太「..................」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕を抱き締めていたから......。それも、僕を庇って盾になってくれた。けど、僕には理解が出来なかった。

 

 

 

 

ねむ「どうして......?お兄......さんが......?」

 

健太「......うぅ......勝手に......先走って、死のうと......してんじゃ......ねー......よ......。」

 

お兄さんはそう言うと意識を失い、そのまままっ逆さまに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねむ「そんなぁ......お兄さぁぁぁぁぁん!!!!」


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