魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第13話

--健太side--

 

 

 

 

 

健太「......どこだ...?ここは......?」

 

俺は今、どういうわけか白い空間にいた。何にもない真っ白で、ちょっとした汚れでも目立ちそうなくらい白い。

 

健太「確か......あん時に......」

 

あの時、アリナの攻撃からねむを守るために身を呈して守って......。

 

健太「......逆に俺があの世に来ちまったのか......?」

 

庇って意識を落としたのは良いがあの世にまで来るとは思わなんだ......。すると突然誰かの声が聞こえた。

 

「お兄ちゃん......」

 

健太「っ!?誰だ!?」

 

後ろを振り返るが誰もいない。だが明らかに声がした。しかも聞き覚えのある声が......。そして今度は近くから声がした。近くで聞こえた時、誰の声なのか判別する事が出来た。

 

「お兄ちゃん......」

 

健太「まさか......由美か?」

 

そう言って後ろを振り返るとそこにはうっすらとした由美の姿があった。

 

健太「由美......由美!!」

 

由美「久しぶりだね、お兄ちゃん。」

 

健太「お前......死んだ......のか......?」

 

由美「アハハハ......やっぱりそう言われちゃうよね......。」

 

健太「どうなんだよ!?死んだのか!?生きてんのか!?」

 

由美「......私は、死んでもないし、生きてもいないって感じかな。」

 

健太「どういう......事だ......?」

 

由美「簡単に言えば、私の魂は今生死の境にいるの。」

 

健太「生死の境だと?何があったんだ!?」

 

由美「......ごめんねお兄ちゃん。私に許されてるのはここまでなの......。」

 

健太「は!?許されてるだと!?どういうわけ何だよ!わけ分かんねぇよ!」

 

由美「「ある人」に、これ以上話しちゃうと「規約違反」って言われてるから......」

 

健太「ある人って誰なんだ...?ここに連れてきてくれ!兄ちゃんがその人に説教してやるからさ!!」

 

由美「お兄ちゃん!!」

 

健太「っ!?」

 

由美「......お兄ちゃんは今、みかづき荘のリーダーなんだよね?」

 

健太「あ、あぁ......。っていうか何でお前が......?」

 

由美「リーダーなら、まだこんな所に来ちゃダメだよ。まだ、終わってないんでしょ?」

 

健太「............そうだ、まだ、まだ終わってねぇ......!」

 

俺はまだ、今回の事件が終わってないことを思い出した。そして由美が俺の手を重ねる。

 

由美「暖かいな...、お兄ちゃんの手。......思い出して、お兄ちゃんの友達や仲間が必死に呼び掛けてる。だから、それに答えてあげて。」

 

bgm「ベジータ 覚醒」--ドラゴンボール超--

 

その場で静かに目を瞑り、皆の声を聞き取る。そしてそれぞれの仲間達がフラッシュバックのように現れる。

 

いろは「健太さん!」

 

やちよ・鶴乃「健太君!」

 

フェリシア「健太ぁー!!」

 

さな「健太さん......!!」

 

壮介「健太!!」

 

俊「健太さん!!」

 

悠太・十六夜「健太!」

 

みたま「健太君!」

 

ももこ「健太!」

 

レナ・かえで「健太さん!」

 

まどか・ほむら「健太先輩!」

 

さやか・恭介・杏子「先輩!!」

 

マミ「......健太君!」

 

由美「皆、待ってくれてる。」

 

健太「......ああ。」

 

由美「お兄ちゃん、私はずっと待ってるから、必ず皆を、神浜の人達を助けてあげて!」

 

健太「......わかった!」

 

その瞬間目の前が光りだし、そして真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

健太「ぐ......うぅ......。」

 

いろは「あっ、健太さん!!」

 

壮介「健太!!」

 

目が覚めるといろはと壮介がいた。どうやら気絶していたみたいだ......。

 

健太「いろは...壮介......。俺が気絶してからどうなった...?」

 

壮介「......戦局は、覆らなかった......。」

 

健太「くっ......。」

 

灯花「お兄様!!」

 

ねむ「お兄さん!!」

 

うい「お兄ちゃん!!」

 

健太「灯花...ねむ...うい......。」

 

俊「すいません、健太さん......。何とか応戦したんですが......。」

 

フェリシア「俺らの攻撃がぜんぜん効かねーんだよ!!」

 

鶴乃「もう、ダメなのかな......。」

 

さな「......」

 

十六夜「自分の攻撃すら届かないとなれば......」

 

悠太「完全に、詰み、だな......。」

 

みたま「.........」

 

もはや皆、諦めに入ってしまっていた。だが、俺はまだ諦めることが出来なかった。いや、諦めたくなかった。俺のプライドが許さなかった。そして、口を開く。

 

健太「.........お前ら、何腑抜け面してんだよ......!まだ...、まだ、諦めねぇぞ......!!」

 

俺は渾身の力で立ち上がる。とはいえ、立つこともやっとである。

 

巧「なんだ、まだくたばってなかったのか。さっさと俺らを倒してみろよ?」

 

久之「ま、そんな気力すらないだろうがな。ハハハハハハ!!」

 

アリナ「なら、アナタが先にデストロイするワケ?」

 

健太「まだ......、くたばりもしねぇし......、デストロイされるわけにもいかねぇ......!」

 

俺は目を瞑りこの状況を打開する策を考える。考えろ......考えろ......!

 

健太「......っ!」

 

そして俺の中でひとつだけこの状況を打開する策を見いだした。だが、それは一か八かの賭けでもあった。その方法は......

 

 

 

 

健太「ねむ。ひとつ良いか?」

 

ねむ「どうしたの......?」

 

健太「......俺も、「ウワサを着込む」。」

 

ねむ「っ!?」

 

壮介「なっ!?」

 

俊「け、健太さん正気ですか!?」

 

その方法とは、俺もウワサを着込む事だ。考えている中であることわざが脳裏をよぎった。「目には目を、歯には歯を。」ということわざ。

それを踏まえて、俺はある考えに踏み切った。ならば、「ウワサを着込む者には、同じウワサを着込む者を対峙させればいい」と。

だが、これにはかなりのデメリットを伴う可能性もあり得る。何故なら、相手が10と換算すれば自分は10以上のレベルのウワサを着込む必要があるからだ。

これだけならまだ良いが10以上のウワサを着込むとなれば身体が耐えられるのかという事になる。この他にもデメリットは数多くあるが今はそんな事を言っている場合ではない。やらねば、やられる。本当に一か八かの賭けに頼るしかない。

 

壮介「止せ健太!いくらお前でも鶴乃さんの時みたいになったら!?」

 

鶴乃「そうだよ!ダメだよ健太君!!これ以上体に負荷をかけたら......!」

 

悠太「ただでさえ危険な状態だと言うのにそれにウワサを着込めば確実に死ぬぞ!」

 

やちよ「そうよ!あなたが死んだら......、死んだら......。」

 

フェリシア「健太......止めろよ......。」

 

ももこ「ダメだ......健太......!」

 

健太「......」

 

確かに、批判されてもおかしくはない。一か八かでバチを引いてしまえば、確実に俺は死ぬ。俺が死ぬのならまだしも、仲間達が悲しむ。究極の選択だ。

 

健太「......大丈夫。」

 

壮介「大丈夫ってお前......。」

 

健太「根拠はない。もしかしたら皆が生きている俺を見るのも今日で見納めかも知れねぇし......。もしかしたらウワサと共鳴して一緒に戦える事にもなるかもしれないし。人生の分岐ってのは難しいもんだよ。」

 

壮介「けど......」

 

健太「やるしか、ないんだ。頼む、俺を信じてくれ。」

 

そう言って俺は、皆の前で頭を下げる。

 

皆「.........」

 

悠太「......良いだろう。」

 

壮介「悠太さん!?」

 

悠太「俺は構わん。健太も腹は括っているだろうからな。ただ、約束してくれ。」

 

健太「?」

 

悠太「生きて、帰ってこい。俺とお前の約束だ。」

 

健太「......はい!」

 

壮介「......だぁああ!!いつも俺は振り回されちまう!!良いか!?絶対に帰ってこいよ!良いな!?」

 

健太「ああ!任せとけ!」

 

皆も俺の態度を見て気持ちが固まったのかウワサの受け入れを許可してくれた。

 

健太「ねむ。例のウワサを頼む。」

 

ねむ「例のウワサ?」

 

健太「ああ、「九尾のウワサ」だ。」

 

ねむ「......うん、わかった。」

 

そして、俺はねむに背中を向け、両手を合わせる。これは精神を集中させるための形である。これを使い、ウワサの受け入れを整える。そして意識が徐々に暗転していく。


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