調整屋の後、健太達は灯花達を連れて南凪埠頭第3番地へ向かう。埠頭に着くと既に悠太達もそこにいた。そしてふと前を見ると大型の船が停泊していた。
健太「由美、あれが・・・」
由美「うん、あそこの中に宗雄さんがいるの。」
壮介「俺達は久々の再会になるな。」
やちよ「ええ、師匠からもきっちり聞かないとね、今回の事件の真相を。」
令「観鳥さんたちも吉信に会ったことはあったけどあの時から何を考えているか分からない顔ぶりだったよ。」
郁美「不気味な人だったよ・・・。」
健太「二人が不気味と言ってるって事はマギウスの時から悪い噂はありそうだな。」
月夜「もしかしたら、私達の知らない間に・・・。」
月咲「なんだか人体実験でもしてそう・・・。」
健太「由美の話だと久之の部下の羽根を大量虐殺したらしいがな。」
月夜・月咲「ひぃっ・・・」
十六夜「それほどあの男は冷酷だと言うことか。」
鶴乃「それじゃあ一番近くにいた灯花とねむが危なかったかもね。」
ねむ「少しでも気に触る事言ってたら容赦なく殺されてたかもしれないね。」
灯花「でも記憶がまだ無いときに私達に話を持ちかけてきたのは吉信なんだよ!!」
ねむ「それももしかしたら吉信の策だったと思うよ。要するに僕達は吉信の手のひらで転がされてたのかもね。」
灯花「にゃーー!!今思い返したら腹が立ってきた!完璧な知能を持つ私を出し抜くなんて許さないんだから!!」
桜子「I灯花、落ち着いてI」
うい「気持ちは分かるけど、桜子ちゃんもこういってるし、ね?」
健太「そうだぞ灯花、それにお前はあんなインテリ野郎より強い知能があるんだ。それをうまく使えば逆に出し抜く事も出来るんだぜ!」
灯花「ほんと!?じゃあ私の知能で吉信を懲らしめないとにゃ〜!」
みふゆ「調子いいですね灯花は・・・」
通「まぁ子供は大体あんなもんや。」
ももこ「にしても、本当でかい船だな・・・あんなとこにおっちゃんがいるのかよ……。」
かえで「ふゅぅ…、凄く高そう……。」
レナ「あれで、軽く日本一周はできそうね……。」
健太「全くだ、普通に乗ろうと思ったら何百万は飛ぶだろうな。」
悠太「むっ、船に誰か立っているぞ。」
健太「えっ?」
悠太さんに言われて船を見ると確かに人がいるが、おっちゃんでは無さそうだ。
健太「もしかして、使いの人か…?」
そう思っていると使いの人らしき人物がこっちにやって来た。
「高坂健太様とマギアユニオンの方々ですね?」
健太「あんたは?」
「吉田宗雄様の元で使いをしている八咫鴉海斗と申します。」
健太「という事は電話をしてきたのはあんただったのか、しかもかっこいい名前だな…。」
海斗「よく言われます。では吉田宗雄の元へ案内致します。」
そう言われ健太達は船の中に案内される。船の中に入ると豪勢な作りで中には本当に何百万や何千万もしそうな骨董品などがあった。そして船内の一室に案内される。
海斗「宗雄様、高坂健太様方をお連れいたしました。」
宗雄「よく来たなお前達、そして健太。」
健太・ももこ「おっちゃん!」
そこにいたのは紛れもない吉田宗雄本人だった。しかし、健太達が前にとは違い杖をついて右足に包帯を巻いていた。
健太「無事でなによりだ・・・!」
宗雄「俺が雲隠れしている間にワルプルギスやイブの事件を解決したそうだな。援軍に行けず、すまなかった。」
やちよ「頭を上げて頂戴師匠、その包帯を巻いていたら無理もないわ。」
海斗「では宗雄様、私は警備に戻ります。失礼します。」
ももこ「おっちゃん、あの海斗って人は?」
宗雄「あの八咫鴉海斗って少年は「孤児」なんだ。」
いろは「孤児・・・。」
宗雄「元々あいつは神浜市の出身じゃなく、神奈川県の横浜にある「伊勢佐木異人町」という街で産まれた。身寄りがなく俺が野暮用でその異人町に訪れた時、一人でホームレスをしていた。そこを俺が引き取って面倒を見ていたんだ。名字がなかったために俺が「八咫鴉」という名前をつけたんだ。」
健太「そうだったのか。」
由美「宗雄おじさん・・・。」
宗雄「分かっている。」
健太「なぁ、健太、そして皆。由美から大方話は聞いているだろうがこれからお前たちにこの神浜市で起きている事件の真相を全て包み隠さず話す。これには健太、通、由美、お前の両親、そして高坂一族も深く関わっている。」
健太「っ!?俺達の、両親と一族が・・・?」
通「オッサンどういう事なんや・・・?」
宗雄「・・・そうだな、お前は龍二から話は聞いているだろう。昔に高坂一族と松井一族が戦っていたという話を。」
健太「ああ、その際高坂一族はワルプルギスの夜を呼んで松井一族を倒したらしいけど、その反動で高坂一族も滅びたらしい・・・。」
宗雄「正確に言えば、完全に潰れたわけではないがな。現に松井一族は当時の神浜東西戦争の生き残りが北部公園養区で潜伏しそこを拠点にしていたからな。」
健太「そうか・・・だから龍二が神浜で生まれた訳か。」
宗雄「ああ、だからこそ話そう。今から数十年前に何があったのかを・・・そしてお前たちの両親の事も・・・。」