魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第3話

日が落ち、桐生の話した通り健太達は南凪埠頭の造船所に向かいそこに桐生も待っていた。

 

桐生「来たな、高坂健太。」

 

健太「あんたは俺達を知ってるけどこっちはほとんどあんたを知らない。えらく不公平な気がするんだけど?」

 

桐生「・・・意外と細かい事を気にするんだな。」

 

健太「細かいこたぁないだろ!普通気になるだろうが!?」

 

桐生「じゃあ聞く。俺が誰だか知るのと伊東吉信が次に何をするか?奴の次の一手が何か?って情報、どっちを、知りたいんだ?」

 

健太「それは・・・ここに来た理由は、一つだよ。」

 

桐生「分かりゃあいい。だが、俺からも一つ条件がある。」

 

健太「条件だと・・・?」

 

桐生「お前と、お前の仲間達がこの情報を渡すに値するかどうか、確かめさせて貰いてぇ。」

 

健太「なに?」

 

そう言って桐生は後ろを向き、ジャケットに手をかける。そしてジャケットを脱ぐと桐生の背中に歌彫と描かれた応龍の入墨が現れる。これを見た健太以外の全員が驚いた。

 

壮介「なっ!?」

 

俊「お、おじさんの背中に龍が・・・!!」

 

フェリシア「カッケェ・・・デカゴンボールの龍みたいだぞ・・・。」

 

鶴乃「っていうかこのおじさんヤクザ屋さんなの!?」

 

やちよ「雰囲気的にはただの人じゃない事は分かってたけど…。」

 

いろは・うい・さな・由美「・・・・・・」

 

桐生「俺をヤクザだと言ったが、俺はもう堅気・・・一般人だ。」

 

壮介「そんなゴリゴリの入墨入れた一般人がいてたまるか…。」

 

桐生「あいにく俺ぁ、拳で人を見るタイプなんでな。」

 

健太「そういうの、嫌いじゃないんすけど・・・止めとかないっすか?情報だけ、教えてもらえないっすか?」

 

桐生「何故だ?」

 

健太「ここんとこ、俺の周りで大事な人が二人も死んでとても気が立ってるんだ。だから、あんたを殺りかねない・・・。」

 

桐生「ふっ、そりゃあ好都合だ。」

 

健太「何だと・・・!?ふざけやがって!?」

 

健太も魔法少年服のマントを脱ぎ、服の炎龍の刺繍を顕にする。

 

     BGM「Receive you」龍が如く1

 

健太「吐いた唾ぁ、飲むんじゃねぇぞ、オッサン!!」

 

桐生「ふっ、お前の欲しがっている宝はこの奥にある。宝の番人は俺だ。宝が欲しけりゃ、その番人を倒して前に進め。」

 

健太「いいぜ、その挑発乗ってやるぜ!」

 

そう言って健太と桐生は拳を構える。その姿は2匹の龍が相打つまさにその瞬間だった。

 

健太「行くぜ!オッサン!」

 

桐生「死ぬ気で来い!」

 

 

  戦闘BGM「Receive you Ver7」龍が如く7

 

健太「こいつを食らいやがれぇぇ!!」

 

桐生「ふん!」

 

   「VS 元東城会四代目会長 桐生一馬」

 

健太はありったけの魔力を込めたパンチをぶつけるが桐生は頭突きで拳を受け止める。健太は驚いた。

 

健太「何ぃ!?」

 

桐生「せいやぁ!!」

 

健太「うぉっ!?」

 

桐生「死にてぇ奴だけ、かかってこい!!」

 

壮介「今のって確か、魔女すら吹き飛ぶほどの威力が入ったパンチだよな…?」

 

俊「あのおじさん、普通に受け止めましたよ…!?しかも頭で…!」

 

健太「クソが!なんなんだこのオッサンは!?とにかくやるぞ!二人とも手を貸せ!いろは達は待機だ!」

 

そう言って健太、壮介、俊で攻撃を開始する。槍や素手等の攻撃で当てようとするが桐生は避けて当たらない。

 

健太「スウェイ速すぎだろ!?」

 

桐生「はぁ、せい、オラァ、てぃやぁ!」

 

健太「うぉぉっ!?」

 

桐生は健太の隙をついて連続攻撃(ラッシュコンボ)を浴びせる。ジャブから右フック、そして左ボディ、右ストレートという強烈な連続攻撃が健太を襲い、吹き飛ぶ。

 

壮介「健太!?」

 

桐生「よそ見は禁物だぞ。」

 

壮介「っ!?ぐふっ、うわぁ!?」

 

即座に桐生は壮介に右ボディからジャンプパンチ(ボディストライク)を決める。

 

健太「壮介!」

 

壮介「平気だ!」

 

俊「今度は僕の方に!?なら!」

 

桐生「はぁ!」

 

俊「うわ!?」

 

桐生「せいやぁ!」

 

俊「うわぁ!?」

 

桐生は俊の予想した攻撃とは別のダブル・ロー(2連下段回し蹴り)を食らわせる。

 

壮介「俊!大丈夫か!?」

 

俊「は、はい・・・まさか予想外でした!」

 

健太「何なんだよこのオッサン!?攻撃といい絶対おかしいだろ!?」

 

桐生「どうした?もう終わりか?」

 

健太「クソが!まだだぁ!うおぉ!」

 

壮介「健太!よせ!」

 

俊「突出しちゃだめです!」

 

健太「オラオラオラァ!!」

 

桐生「はぁっ!」ドゴォ!

 

健太「ぐふっ!?」

 

桐生「せいやぁ!!」

 

健太「うわぁっ!」

 

壮介「健太ぁぁ!?」

 

俊「健太さん!!」

 

健太は不意を付かれ桐生の大技カウンター(虎落とし)を食らい吹き飛ぶ。

 

健太「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!!」

 

桐生「・・・悪くなかったぜ、高坂健太。」

 

健太「何ぃ・・・!?」

 

壮介「嘘だろおい・・・」

 

俊「息一つ見せないなんて・・・。」

 

桐生は健太に近づき、拳を構える。

 

桐生「はぁぁぁぁ・・・!オラァァァ!!」

 

健太「ぐおああああ!?」

 

健太は桐生の拳を喰らい倒れる。気絶する寸前壮介達の声を最後に深い闇の中に落ちていった。

 

健太「・・・うぅっ・・・こ、ここは、どこだ・・・?」

 

健太が目を覚ますとそこは白い無の空間だった。

 

健太「俺、確か・・・名前の知らないオッサンにやられて・・・」

 

「気を失ってここにいるんだろ?」

 

健太「そうそu・・・えっ?」

 

健太が驚いて後ろを見るとそこに健太をもう少し老けた感じにした男が立っていた。健太はその男を見て目を見開いた。

 

健太「まさか・・・親父なのか・・・?」

 

影信「ああ、久しぶりだな健太。」

 

その男は高坂影信、紛れもない血の繋がった父親だ。健太は感極まって涙を流す。

 

健太「親父ぃ・・・」

 

影信「・・・うっ!?」

 

健太は影信に近づきボディーブローを当てる。突然の攻撃にわけが分からないでいた。

 

影信「健・・・太・・・?」

 

健太「なんで、なんで先に息子の俺と由美を置いて逝っちまったんだよ!!?」

 

影信「・・・健太・・・。」

 

健太「親父がいなくなってから由美も死んだと思って自暴自棄になって、それであの胡散臭い白タヌキと契約して魔法少年になって、それで多くの仲間達に会え・・・ってあれ?これじゃあ感謝してるみたいじゃ…ああもう!何を伝えたらいいか分からなくなって来ちまったじゃねぇか!!」

 

健太は影信に殴りかかろうとするが影信は健太の腕を掴んで引き寄せ、抱きしめた。

 

健太「うぅっ・・・うぅっ・・・!!」

 

影信「今まで一人にさせてすまなかった。辛かったよな・・・息子のお前を一人にして先に逝ってしまった俺が今更父親面するのも違うか・・・。」

 

健太「うぅっ・・・親・・・父ぃ・・・。」

 

影信「だが、安心した。」

 

健太「えっ・・・?」

 

影信「お前が、皆の意志を持って俺が期待した通り真っ直ぐに育ってくれた。」

 

健太「皆の意志・・・?」

 

影信「ああ、お前には宗雄さんや通に由美、多くの神浜の魔法少年少女達の意志が見える。そしてそれをしっかり受け止めて進んでるってな。」

 

健太「そ、そうか・・・?」

 

影信「ああ、昔の俺にそっくりだ。」

 

健太「親父と・・・そっくり・・・?」

 

影信「ああ、俺も皆の意志や思い、大切なものを背負っていた・・・今のお前と同じようにな。」

 

健太「そうなんだ・・・。」

 

影信「そろそろ、時間、らしいな。」

 

健太「え?」

 

すると影信の足元が光り輝いていた。

 

影信「健太、お前に皆の意志を託す。それで多くの魔法少年少女達を救ってやってほしい。お前なら出来るはずだ。何せ俺の息子だから・・・。」

 

健太「親父・・・。」

 

影信「お前に俺達の宿題を押し付けてすまない…。お前ならその夢を叶えられる・・・。」

 

そう言って影信は光の粒子となって消え、健太も再び黒い空間に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・ん・・・・・さ・・・健・・・太・・・健太さん!」

 

健太「っ!?」

 

いろは「健太さん!良かったぁ・・・。」

 

健太「皆・・・。」

 

桐生「フッ、ちったぁ頭冷えたか?」

 

桐生は健太にそう言っててを差し伸べる。

 

健太「頭冷えたかって・・・」

 

健太はいろはたちの方を見る。皆健太に対し万円の笑をしていた。そして影信の言っていた事を思い出す。

 

影信「健太、お前に皆の意志を託す。それで多くの魔法少年少女達を救ってやってほしい。お前なら出来るはずだ。何せ俺の息子だから・・・。」

 

健太「・・・フッ、ああ、きっちり頭冷えたよ」

 

桐生「ならいい・・・」

 

健太「マジか、そのためだけに喧嘩吹っ掛けて来たんすか?」

 

桐生「お前は、頭に血ィ登って真っ直ぐ突き進むだけになってた。敵に勝ちたいんなら、考えろ。向こうの気持ちになって次にどんな手を打ってくるか、どんな手を打たれたら一番イヤなのか・・・考えて動け。」

 

健太「・・・確かに。」

 

桐生「それがお前自身のためにも、仲間のためにもなる。」

 

健太は頷き桐生の手を掴んで立ち上がる。

 

桐生「行くぜ・・・伊東吉信がこれから何をする気かはっきり見せてやる。」

 

健太「ああ・・・」

 

健太達は桐生についていく。すると総乃助さんがいた。

 

健太「総乃助さん・・・」

 

総乃助「その人に頼まれていたんだ。神浜でいずれ起きるはずの事を事前に調べたいとね。」

 

健太「起きるはずの事…?」

 

総乃助「そのために伊東吉信にまつわる連中を見つけてほしいと言われたんだ。」

 

桐生「で、見つかったんだな?」

 

総乃助「はい、システムをフル稼働すれば探しものが限定されていれば、網を貼ることは容易いものです。」

 

健太「探しもの・・・?」

 

総乃助「ああ、これを見てほしい。」

 

総乃助は健太にある写真を見せる。その写真には吉信とローブの人物が写っていた。

 

総乃助「探しものというものはそのローブの人物を追っていたんだ。」

 

桐生「このローブは吉信にある命令を下され、神浜の北東へ向かっている。吉信は北東にある最後のキモチをこいつに回収するよう命令された。」

 

総乃助「最後のキモチを吉信の手に渡れば神浜だけではなく、日本という国そのものが無くなる可能性があるんだ。」

 

健太「どういう事なんすか?」

 

総乃助「吉信の監視を続けていた所、北養区の山中の地下にとんでもない物を成長させていたんだ。」

 

壮介「地下に?一体何を・・・?」

 

総乃助「・・・「外道魔獣」という物だ。」

 

全員「っ!?」

 

健太「外道魔獣!?」


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