魔法少年 ケンタ☆マグス 古の血を継ぐ者   作:マイスリッド

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第2話

健太「総乃助さん!」

 

総乃助「健太君か、ちょうど良かった。」

 

鶴乃「大変だよ健太君!ういちゃんが!」

 

健太「ああ知ってる、総乃助さん。」

 

総乃助「ういちゃんを拐った連中の特定は進んでるよ。壮介君と俊君を殴った犯人はネオマギウスの構成員だ。しかも龍二君のね。」

 

健太「なに?龍二の…!?」

 

灯花「うん、壮介お兄様と俊兄様が襲われる一時間くらい前に構成員が龍二兄様の指示を聞いていたみたい。」

 

ねむ「彼らの声を逆探知して龍二兄さんの居場所を探知してみたら判明したよ。」

 

ねむはそう言って探知した録音機を机に置く。すると龍二の声が聞こえてきた。

 

 

 

       −録音された音声−

 

 

 

 

赤羽根『龍二様、いよいよですね。』

 

龍二『ああ、これ以上、ギアユニオンとの戦いを長引かせる訳にはいかない。今日、ここで奴らとの決着をつける。』

 

赤羽根『マギアユニオンにはどのように伝えましょう?』

 

龍二『いや、お前たちには伝えるのではなくある人物を誘拐し、ここに連れてこい。』

 

 

 

 

 

 

 

総乃助「龍二君がいったある人物というのが、うい君の可能性がある。」

 

壮介「じゃあ龍二ははなっからういちゃんを狙っていたってのか!?」

 

総乃助「だろうね、龍二君の性格上これ以上マギアユニオンとのいざこざに付き合っていられないと思ってる可能性が高い。」

 

健太「つまり、龍二は俺との決戦を望んでいるのか・・・。」

 

総乃助「だと思うよ。多分うい君を誘拐したのは、君たちがこの新西中央ドームに来るための口実を作るためかもしれない。」

 

桜子「Iうい大丈夫かな・・・龍二に酷いことされてなかったらいいけど・・・I」

 

健太「桜子、安心しろ。龍二はそんなすぐに手を出すようなやつじゃない。あいつはなんだかんだ言って優しい奴だから。」

 

やちよ「健太君まだ、龍二君の事信じてるのね。」

 

健太「ああ、龍二は俺と一緒で不器用なんだ。あいつも俺と同じで大切なものを失ってる。だからこそ、あいつの目を覚まさせる。」

 

そう言って健太は拳を握る。皆の意思を継いだ健太はもう誰も失いたくない思いが強かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       −新西中央ドーム−

 

 

 

 

 

 

 

龍二は中央ドーム内のベンチに座っていた。龍二もまた、己の決意を固めていた。

 

龍二「(俺は、こんな理不尽な世の中を変えるために無我夢中で、どん底から這い上がってきた。夢乃姉さんの意思を守るために・・・)」

 

そんな龍二だが、龍二の頭の中には決意ともう一つ、ある疑問が浮かんでいた。

 

龍二「(何故奴らはこんな理不尽が通る世界を守ろうとする?俺は、それが今だに理解できない・・・)」

 

赤羽根「龍二様。」

 

龍二「っ!・・・どうした?」

 

赤羽根「人質の環ういが到着しました。」

 

龍二「分かった、連れてこい。」

 

構成員は両手を縛った状態のういを連れてきた。

 

龍二「・・・・・・」

 

うい「龍二さん・・・」

 

赤羽根「様をつけろ!」

 

うい「きゃっ!」

 

龍二「ふん!」

 

赤羽根「ごぉっ!?」

 

構成員はういの頭を叩いた直後龍二が構成員に蹴りを浴びせる。

 

龍二「誰がこいつに手を出して良いと言った!?」

 

赤羽根「す、すいません!失礼しました!」

 

龍二「呼び名如きでくだらん・・・。」

 

うい「龍二さん・・・。」

 

龍二「お前たち、ご苦労だった。引き続きよろしく頼む。」

 

龍二がそう言うと構成員はドームから出ていき龍二とうい二人だけとなった。

 

龍二・うい「「・・・・・・」」

 

龍二「環うい、お前に一つ問いたい。」

 

うい「な、なに・・・?」

 

龍二「お前は、自分の姉をどう思ってる?」

 

うい「へ?」

 

龍二「俺は、ガキの時に自分の姉代わりの人を亡くして以来家族の温かさというものが分からない・・・。」

 

うい「家族・・・」

 

龍二「何故、お前達は健太の夢話に乗ってこんな理不尽な世界を守ろうとするんだ・・・下手すればお前の姉も、奴の夢話に付き合っていれば、お前も俺と同じ末路を進むかもしれない・・・。」

 

うい「それでも、私は健太お兄ちゃんを信じるよ。だってお姉ちゃんが健太お兄ちゃんを信じてるなら私もお兄ちゃんを信じる!」

 

龍二「何故だ?」

 

うい「現にお兄ちゃんはちゃんと自分の夢に向かって走ってる!お兄ちゃんは夢話で終わらせるような人じゃないもん!」

 

龍二「・・・・・・」

 

龍二はういの目を見ていた。ういの瞳には穢れなど一切なく輝いていた。

 

龍二「・・・ちっ、何故こうまで・・・とにかく健太にここにくるように連絡する。」

 

 

 

 

 

 

 

       −総乃助のアジト−

 

 

 

 

 

 

健太「っ!」

 

すると突然健太のスマホに着信音が鳴る。宛名は非通知と書かれていたが、スピーカーにして電話に出る。

 

健太「・・・もしもし」

 

龍二『孤島以来だな、健太。』

 

健太「っ!龍二・・・!」

 

龍二『もうお前たちは知っているとは思うが環ういを誘拐させてもらった。』

 

いろは「ういは・・・!ういは無事なんですか!?」

 

龍二『その声は環いろはか・・・安心しろ、何も手出しはしていない。今声を聞かせてやる。』

 

うい『お姉ちゃん!皆!』

 

いろは「うい!」

 

さな「ういちゃん!」

 

うい『私は大丈夫だよ!』

 

龍二『これで分かったな、俺は彼女に一切手は出していない。』

 

健太「龍二・・・お前の狙いは俺達マギアユニオンとの決着か?」

 

龍二『そうだ、これ以上マギアユニオンとのいざこざに長く付き合ってはいられん。だから決着をつけようじゃないか。』

 

健太「ういを拐ったのはどうしてだ?ういは何も関係ないだろう!?」

 

龍二『お前たちが新西中央ドームへ来るための口実を作るためだ。』

 

健太「口実のためだと!?」

 

龍二『そうだ、今夜の10時、新西中央ドームで待つ。環ういを救いたくばそこへ来るがいい、俺達ネオマギウスは持てる力全てをお前たちにぶつけてやる。お前たちも最大限の仲間を集めて来ることだな。』

 

そう言って龍二は電話を切る。

 

壮介「ご丁寧に居場所まで教えてくれたな・・・。」

 

健太「それだけ龍二も本気なんだ。」

 

鶴乃「つまり、今日がネオマギウスと最後の戦い・・・。」

 

フェリシア「うぅっなんか心配になってきたぞ・・・。」

 

俊「でも、どうしましょうか・・・。」

 

健太「龍二の言った通り、俺達も仲間を集めよう。10時まで時間はある。」

 

灯花「じゃあお兄様、みふゆの所に行ってあげて欲しいの。」

 

健太「みふゆさんの・・・?」

 

ねむ「通兄さんが死んでから外にずっと出てないらしいんだ。一応月夜と月咲が見てはくれてるけど。」

 

健太「みふゆさんも兄貴と関わりがあったもんな・・・。」

 

やちよ「みふゆが心配だし行ってみましょうか。」

 

健太「そうっすね。」

 

そう言って健太達はみふゆの家に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       −みふゆの家−

 

 

 

 

 

 

みふゆの家に着いた健太は家のチャイムを押す。すると出てきたのは天音姉妹が出てきた。

 

月夜「あっ・・・皆さん。」

 

健太「二人ともみふゆさんは・・・?」

 

月咲「みふゆさん・・・まだ部屋にこもったままで・・・。」

 

健太「マジか・・・兄貴が死んだのが相当堪えたんだろうな・・・。」

 

やちよ「とりあえず上がっても良いかしら?」

 

月夜「はい、でも散らかってるかもしれませんけど・・・。」

 

壮介「構わねぇよ、みふゆさんが心配だしな。」

 

健太達はみふゆの家に入ると部屋のあちこちにゴミが散らかっていた。

 

健太「マジかよ・・・。」

 

さな「すごく散らかってますね・・・。」

 

フェリシア「ちょーくせーよ・・・。」

 

月咲「これでも片付けた方なんだけど私達が来た時はもっと凄かったんだよ。」

 

由美「来た時はって事は今よりもっとあったんですか?」

 

月夜「はい、もう足場の踏み場がないくらい。」

 

壮介「ゴミ屋敷みたいになってたのか。」

 

いろは「じゃあみふゆさんは?」

 

月夜「今は自室に居ます。」

 

壮介「なら、残ったゴミは俺らで片付けて健太はみふゆさんの様子を見てきてくれ。」

 

健太「分かった。」

 

そう言って健太はみふゆの自室に向かい、壮介達はゴミ掃除に専念した。

 

健太「みふゆさん?」

 

健太は自室の前に立ちノックをして応答するが、みふゆからの返答はない。

 

健太「みふゆさん?いるのか?」

 

一向に返事はないが健太は家に入った際にみふゆの靴があったことから、部屋にいるのは間違いない。

 

健太「みふゆさん、いるんだろ?入るぞ。」

 

そう言って入るとこの部屋もさっきのリビングよりはマシだが散らかっていた。精神的にも中々来ていたと伺える。ふと右を見ると壁に体育座りでうずくまっているみふゆがいた。

 

健太「・・・・・・みふゆさん。」

 

みふゆ「・・・・・・」

 

健太はみふゆの隣に近づいて背中を擦りながらこれまでのことを静かに話し始めた。

 

健太「・・・みふゆさん、あんたの気持ちはよく分かるぜ。俺も、兄貴が死んだとき頭に血が昇って周りが見えてなくてあと一歩で一線を越えそうになっちまってた。」

 

健太「でもな、俺はとある人にある助言をもらったんだ。お前が信じた仲間をずっと信用して前に進めってな。」

 

みふゆ「健太君・・・。」

 

健太「みふゆさん、兄貴は俺ややちよさん、そしてあんたに思いを託して逝ったんだ。逆に兄貴はあんたの今の姿を見たくはないと思う。」

 

みふゆ「健太君・・・じゃあ私はどうすれば良いんですか?」

 

健太「さっきも言ったけど仲間を信じることが大切なんだ。だから兄貴が遺したもんを俺達が引き継がないと、あの人の死が意味を成さなくなっちまう。」

 

みふゆ「・・・そうですね。」

 

健太「だろ?だからさ、一緒に立とうぜみふゆさん。リビングで皆が待ってるぜ。」


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