健太とみふゆが部屋から出てリビングに行くと、さっきのゴミが全て綺麗さっぱり片付けられていた。
健太「お、ずいぶん早く終わったんだな。」
壮介「まぁこんだけ多くいればすぐに終わるさ。それよりみふゆさんはちゃんと説得出来たのか?」
健太「おぅ、少し喝を入れたら説得出来たぜ。」
やちよ「みふゆ!」
月夜・月咲・いろは「みふゆさん!」
みふゆ「皆さん・・・」
俊「みふゆさん、大丈夫ですか?」
みふゆ「・・・・・・」
さな「みふゆさん・・・まだ、どこか・・・。」
みふゆ「いえ、大丈夫ですよ。心配させてすいません。」
フェリシア「健太にせっきょーされてスッキリしたのか?」
みふゆ「説教ってほどではありませんが、健太君に色んな助言を頂いても私も覚悟を決めたんです。」
鶴乃「みふゆの覚悟・・・。」
みふゆ「えぇ、私は藤村君が死んでから自分の無力さに打ちひしがれていました。けど、それでは藤村君の死が無駄になってしまう・・・通君が遺した物を私達で引き継いでいくという覚悟を決めたんです。」
健太「ふ、目にくまはあるけど腹は括ったみたいで良かったっす。兄貴もあの世で喜んでるぜ。」
みふゆ「月夜さん、月咲さん、そしてやっちゃん達皆心配させてすいませんでした。けど私はもう大丈夫です。灯花とねむにも後で謝らないといけませんね。」
健太「覚悟を決めた所ですまないが、実は俺達みふゆさんや月夜さん、月咲さんに協力してほしい事があって来たんだ。」
みふゆ・月夜・月咲「「「協力してほしい事?」」」
健太は龍二がいろはの妹を拐った事等一連の件をみふゆ、天音姉妹に話す。
健太「という訳だ。引き受けてもらえるか?」
みふゆ「もちろんです!私達はマギアユニオンに所属していますから少しでもやっちゃん達の戦力になれれば嬉しいです!」
月咲「龍二さんもいよいよ本気出してきたんだね。」
月夜「今日が、ネオマギウスと最後の戦いになるのでございますね・・・」
健太「ああ、龍二が夜10時までに味方を集められるだけ集めてこいと言ってな。協力してくれてありがとう。」
みふゆ「いえいえ、私達は仲間ですから!」
健太「フッ・・・ん?」
するとまた健太のスマホの電話が鳴る。電話に出ると相手は雄一郎だ。
健太「もしもし。」
雄一郎『もしもし、健太さん、少し時間よろしいでしょうか?』
健太「雄一郎から電話かけてくるなんて珍しいな…どうした?何かあったのか?」
雄一郎『少し、あなたとお話したいことがございまして。どうです?』
健太「ああ、時間はまだあるしな。場所はどこだ?」
雄一郎『神浜セントラルタワーの屋上でどうでしょうか?』
健太「分かった、そこに向かう。」
雄一郎『了解しました、お待ちしていますよ。』
健太「驚いたな、まさか雄一郎から電話が来るとはな。」
やちよ「雄一郎ってななかさん達の?」
健太「ああ、突然呼び出されたし行ってくるわ。」
そう言って健太はセントラルタワーへ向かった。
−神浜セントラルタワー 屋上−
セントラルタワーの屋上につくと雄一郎が屋上のフェンスに体を預けていた。
雄一郎「お待ちしていましたよ、健太さん。」
健太「よぉ・・・ってかお前タバコ吸ってんのか。」
雄一郎「私達は魔法少年ですよ、タバコなんてバレなければ何も言われませんから。」
健太「ハハハ・・・まぁある意味自由にならないといけないかもな。それより話ってなんだ?」
雄一郎「そうですね・・・健太さん、あなた龍二と戦うそうですね?」
健太「誰から聞いたんだ?」
雄一郎「観鳥令さんからですよ。彼女の話では今日の夜に決着をつけるそうで。」
健太「ああそうだ。」
雄一郎「ではあなた問いたい。松井龍二が最期を遂げたいと言った場合、あなたは彼を殺せますか?」
健太「っ!」
雄一郎「あなたの性格上、彼を殺せないことは重々承知しています。ですがマギアユニオンの中には龍二の死を望んでいる声が時々聞こえてきます。」
健太「・・・・・・」
雄一郎「特に、つつじの家の人達の謙吾さん達はそう思っています。現にマギウスが呼んだイブやワルプルギスの夜によってつつじの家は半壊となりマギウスを今でも目の敵にしているんです。」
健太「……だから、マギアユニオンにも加わらずに間接的に協力をするって言ってたのか……。」
雄一郎「だから私はさっきあなたは龍二を殺せるかという残酷な質問をしました。それを踏まえて私はあなたから知りたいのですよ。あなたの「覚悟」の強さをね。」
健太「覚悟の、強さ・・・」
そう言って雄一郎はフェンスから移動する。そして雄一郎は健太に対し攻撃体制を取る。健太は雄一郎の行動を察し、構えを取る。
雄一郎「私はあなたの覚悟の強さを知りたい、貴方が勝てば、龍二さんの処罰はあなたにおまかせします。逆に私が勝てば私や神浜の魔法少年少女達のやり方で松井龍二を処罰させていただきます。よろしいですね?」
健太「ああ、構わないぜ。」
雄一郎「了解しました。・・・では、参ります!健太さん!!」
健太「来い!!」
戦闘BGM「End of Rematch」龍が如く5
「VS ななか一派 高島雄一郎」
雄一郎はすかさず健太に急接近し足技を連発する。
雄一郎「はぁ!そらぁ!」
健太「うぉっ!?」
雄一郎のフィニッシュキックを受けた健太は反動で吹っ飛ぶが受け身を取る。
健太「見た目な割に結構強えな!」
雄一郎「私は過去にテコンドーやその他足技に関する武術を覚えてましてね、今のは私なりアレンジした我流の技です。」
健太「へっ、そりゃあ強え訳だ!オラァ!」
雄一郎「はっ!ふん!」
健太「ぐぉっ!?」
健太の拳をかわし、足払いで健太をこかした雄一郎は倒れた健太に肘をぶつけるが直前でかわし、立ち上がる。
健太「お前とは戦ったことなかったから完全に油断してたぜ。お前ほどの男がマギアユニオンにいたらある意味即戦力になれたかもしれねぇぜ?」
雄一郎「お褒めいただき光栄です。しかしながら私はななかさん達のグループが私にとって居心地が良いんです。それに・・・」
健太「それに・・・?」
雄一郎「「あの時に誓った」んですよ。彼女と仲間は意地でも、自分の身に変えても守り抜くとね。」
健太「っ!」
雄一郎がそう言った瞬間、健太になんとも言えない「何か」が体中に走る。雄一郎の目やななか達を守り抜くという覚悟が「本物」である事を健太は察した。
健太「・・・ふっまるで「登龍門」みたいだな。俺も多くの魔法少年少女達から意思を受け継いだ以上、負けてらんねぇ!!」
雄一郎「っ!」
その時健太の魔力に変化が起きる。普通の魔法少年少女達が持つ魔力とはうって変わり、まるで「神に近い」ような魔力を感じ取れた。
雄一郎「(彼のこの感じ・・・なるほど、健太さんも本気になったのですね。)」
健太「さぁ雄一郎!本気でやり合おうぜ!」
雄一郎「良いでしょう、私もあのとき以来の本気を出させていただきましょう!!はぁああああ!!」
雄一郎はそう言って健太と全力で勝負する。雄一郎の足技は先ほどのテコンドーからカポエイラ、ジークンドー、さらにキックボクシングを混ぜた我流の技で健太に攻撃を浴びせる。そして雄一郎がジャンプして回し蹴りをした時、健太に勝機が訪れた。
健太「今だぁ!オラァ!!」
雄一郎「ぐぅぅっ!!?」
健太のカウンターをまともにくらい吹っ飛ぶ。健太の勝利に終わった。
健太・雄一郎「「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」」
健太「はぁ・・・はぁ・・・どうだ?俺の覚悟は・・・」
雄一郎「はぁはぁ・・・あなたの覚悟の強さ、しかと体験させていただきました。あなたの強さは紛れもなく本物ですよ・・・。」
健太「そうか・・・」
雄一郎「あなたの力や強さには淀みが一切ない純粋なもの・・・あなたには「華」がありますね。」
健太「「華」か・・・。」
雄一郎「えぇ、貴方には自然と周りの人を焚きつける力がある・・・それは良くも悪くもあなたの純粋な力です。」
健太「あんたには俺みたいな「華」はないのか?あんたほどの強さを持ってる魔法少年は他にはいないぜ?」
雄一郎「いえ、私は健太さんほどの力や「華」は持ってはいませんよ。それははあの時に棄ててきました。」
健太「そういや戦ってる時も言ってたな・・・あんたの言える範囲で良いから教えてくれないか?」
雄一郎「良いでしょう、お教え致します。あれは貴方が神浜に来る数年前の出来事です。」
雄一郎は健太に過去の出来事を伝える。
数年前に静葉このは達が神浜に来た事である一つの事件が起きた。
その事件の真相を追う中ある一人の魔法少女が疑惑になる。
健太「その魔法少女は?」
雄一郎「「更紗帆奈」という魔法少女です。その魔法少女がその事件の犯人でした。」
その更紗帆奈という魔法少女が起こした事件に雄一郎達も知らぬうちに巻き込まれていた。犯人を特定し、やっとの事で帆奈を追い詰めた。
健太「そいつを捕まえることが出来たのか?」
雄一郎「死にましたよ。私達の前でソウルジェムを砕いてね。」
健太「なっ!?」
雄一郎「更紗帆奈の死に様は今でも忘れることは出来ません。たまたまその場にいた私達はこの事が外部に漏れれば魔法少年少女達に混乱を生み出すと言い、辻褄の合う理由で事を収め、事件は幕を閉じたんです。」
健太「そうだったのか・・・。」
雄一郎「本題はここからです。」
健太「本題・・・?」
雄一郎「ええ、あれはその事件が終わった1ヶ月後の事です。」