健太「なるほどな・・・」
雄一郎「あの事件があって、実際に帆奈の死を目の当たりにした静海このはさんはひどく動揺はしていましたがね・・・。」
健太「そうだろうな、多分俺らが今こうして会話している間にもあの白タヌキが上手く言いくるめて契約に持っていこうとしているだろうよ。契約する際にこう言った事実を知らない魔法少年少女はたくさんいるだろうしな・・・まぁでもその事件に関しては仕方ないとは俺も思う。」
雄一郎「ええ、あの時は私も魔法少年少女達がこの事実を知ればかなり混乱するのは目に見えていました。しかし、私自身もななかさんの抱える思いを見抜けなかった事がまだまだ未熟だと思いましたよ。」
健太「・・・・・・」
雄一郎「ともかく、あなたは私との戦いに勝利しました。私は、あなたの思いを尊重して龍二の処罰をおまかせします。」
健太「ああ、任せてくれ。必ず龍二の目を覚まさせる。」
雄一郎「フッ・・・期待していますよ。」
健太はそう言って雄一郎の元から去っていった。それを見ながら雄一郎は再びフェンスにもたれかかり、タバコを吸い始めた。
雄一郎「フゥ、不思議なものです。私自身ななかさん達以外の誰かに興味など全くありませんでしたが彼の不思議な魅力のおかげか健太さんの行動には惹かれるものがある・・・私も彼の「華」の香を嗅いだのかも知れませんね・・・」
雄一郎はその場でタバコを吸いながら呟く。その言葉には健太を褒める一方でどこか哀愁が漂う言葉だった。
−神浜セントラルタワー入口−
健太「マミにも連絡しておくか。」
健太がセントラルタワー入口を出て、マミに連絡をかける。
健太「もしもし、マミ、今大丈夫か?」
マミ『私は大丈夫だけど、何か進展があったの?』
健太「ああ。」
健太は電話越しでこれまでの事を逐一話す。それを聞いたマミは静かに聞いている。
健太「・・・という事があってな、龍二の居場所も判明した。マミ、お前はどうする?」
マミ『・・・・・・』
健太「俺は無理強いはしない。全てマミの判断に任せる。」
マミ『・・・決まってるじゃない、今度は私も加勢するわ』
健太「・・・・フッ、そう来ると思ってた。」
マミ『私はもう、大切な人が離れていくのは嫌なの。だから私も龍二くんとの戦いに参加するわ。』
健太「ありがとう、マミ・・・やっぱりお前も最高の親友だぜ!」
そしてこのあとも仲間集めに奮走し健太の身の回りもある程度固まってきた所で風見野に行っていた壮介から連絡が入る。
健太「壮介、どうした?」
壮介「少し、お前と二人きりで話したいことがあってな。北養区の山の展望台で待ってるぜ。」
そう言って壮介は電話を切る。不思議に思いつつ、健太は壮介の元へ向かう。
−北養区 山頂展望台−
展望台まで繋がるロープウェイに乗り、展望台に着くと壮介がそこで待っていた。
壮介「突然呼び出して悪いな。」
健太「気にすんなよ、それよりどうした?こんなとこに呼び出して。」
壮介「電話でも言ってた通り、お前といろいろ腹割って話したいんだ。」
健太「・・・そうか。」
壮介「俺とお前の出会いは不思議なもんだったな・・・。」
健太「そうだな、お前との出会いは中々不思議だったな・・・龍二が俺に刺客として送ってきたのがお前だったもんな。」
壮介「あんときは俺も青かったから龍二の言葉に真に受けてお前を襲撃したもんな。」
健太「本当、お前とは不思議な出会いだな・・・。」
壮介「全くだぜ・・・俺はなあんときのお前との戦いを思い出してな・・・。」
健太「そうか、俺をここに呼んだのはあのときの決着ってわけか。」
壮介「いつか、強くなったら健太にタイマンを挑もうって思ってたんだ・・・」
健太「なるほどな・・・お前のその挑戦、受けてやるぜ。」
壮介「本当か!へっ、なら全力でやらないとな!!」
そう言って壮介は変身し、健太も変身して槍を構える。
健太「こうやって槍を合わせるのも久々だぜ。」
壮介「全力でいかせてもらうぜ!健太ぁ!!」
健太「いくぞ壮介ぇ!!」
戦闘BGM「The Awakening 戦闘1」三國無双8
「VS マギアユニオン幹部 長崎壮介」
健太「はぁああああ!!」
壮介「うぉらぁあああああ!!」
健太と壮介は一気に詰め寄り槍同士でつばぜり合いを起こす。
健太「やるな!前のときとはえらい違いだ!」
壮介「俺もお前の戦いを見てきたからな!よっ!雷神槍!」
健太「あっぶね!!」
壮介「せい!オラァ!」
健太「ふん!はぁあ!!」
健太は壮介の攻撃を回避しつつ反撃をする。互いの力が拮抗しているせいか攻撃が当たらず回避ばかりである。そして健太が壮介の攻撃をかわしカウンターを浴びせる。
健太「オラァ!!」
壮介「ぐふっ!?」
健太「なに!?吹っ飛ばないのか!?」
壮介「確かに効いたけどよ、俺はスーパーアーマー持ちだっつうの!!」
健太「うおっ!?」
壮介「まだまだ行くぜ!!」
健太「(この槍の鋭さや壮介の回りの雷を見ると前の壮介じゃあ考えらんねぇ動きするな。やっぱこれも日に日に成長したってとこかな。)」
壮介「はぁああ!!」
健太「まだまだぁ!オラァ!」
壮介「せいやぁ!!」
健太「ここだぁ!オラァ!」
壮介「ぐぅっほぁ!!」
健太・壮介「「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」」
健太「やっぱ、俺もお前も成長してっから決着つかねぇな・・・へへっ・・・。」
壮介「全くだ、ここまで力が拮抗してるなんて思いもしなかったぜ。」
健太「へへっ・・・俺達もまだまだこれからだな。」
壮介「ああ全くだぜ・・・あっ、そういや今仲間集めはどうなってんだ?」
健太「とりあえず、姉貴とレナとかえでは一緒に戦うって言ってて、郁姉も戦うそうだ。あと総乃助さんと令と灯花達がバックアップで支援してくれるみたいだ。」
壮介「なるほどな、龍二の言ってた通りしっかり仲間は集められたな。みふゆさんや天音姉妹も協力してくれて感極まるぜ。」
健太「ああ・・・俺達もそろそろみかづき荘に戻って待機するか。」
壮介「だな、龍二がいつ動くかも分からねぇしな。」
−神浜新西中央ドーム−
龍二「・・・・・・」
うい「・・・龍二さん」
龍二「・・・なんだ?」
うい「龍二さんって悪い人には見えない・・・。」
龍二「・・・何故そう思う?」
うい「だって龍二さんの目・・・悪い人がするような目つきじゃなくてなんだか「哀しそうな目」をしてるって思ったの・・・。」
龍二「・・・・・・」
うい「龍二さんは、本当にこの世界を終わらせる気なの?」
龍二「当たり前だ。俺はこんな理不尽な事がまかり通る世の中に未練は無い。それが魔法少年少女達の平和を望んだ夢乃姉さんの意思だ。」
うい「その夢乃さんの思いは本当に望んだ事なの?」
龍二「・・・何が言いたい?」
うい「夢乃さんは魔法少年少女達の平和を望んでいたなら、今の龍二さんのやってることはおかしいよ。」
龍二「・・・・・・」
うい「龍二さんはもし本当に世界を終わらせるなら、夢乃さんの望んでいた平和をも終わらせちゃうかもしれないんだよ?」
龍二「・・・うるさい。」
うい「えっ?」
龍二「・・・貴様に何が分かる!!家族を失った事が無い貴様に俺の何が分かる!?」
うい「確かに私には龍二さんの事までは分からないけど・・・それでも私は、龍二さんを信じてる。」
龍二「っ!?」
その時、龍二の頭にとある光景が蘇る。
夢乃「大丈夫、龍二君は弱くなんか無いわ。君はまだ自身の力が追い付いてないだけ、龍二君の力は静かに上がっているのが見て取れるわ。」
夢乃「私がいなくなっても、龍君の側に入れれば良いなって思ったの。龍君が幸せに生きていけるようにね。」
夢乃「ごめんね……でも、私はあなたを、龍君を信じてるわ……。」
龍二「くぅぅっ…!!」
龍二は過去の記憶が鮮明に蘇り、忘れようとすればするほどはっきり映し出され、龍二を苦しめる。
うい「龍二さん!?大丈夫!?」
龍二「うぅぅっ・・・うぅうううううっ!!?」
夢乃『あなたを信じてるわ・・・・・・』
龍二「ぐぅううああ!!」
うい「龍二さん!!」
龍二「くっ、来るなぁっ・・・!!」
うい「きゃっ!?」
そう言って龍二はういを突き飛ばす。
龍二「はぁ・・・はぁ・・・止めろ!信じてるだと・・・!?俺の、俺の何を信じているんだ!俺は、俺はそんな言葉が不快で堪らないんだぁ!!信じてるとか、そう言う繋がりを感じる言葉が俺をここまで突き落としたんだ!!」
うい「龍二さん・・・」
龍二「信じてるとか・・・そんな言葉、二度と俺の前で話すな!!」
そう言ってフラフラよろめきながら椅子に座る。ういは龍二の本質に感づいていた。
うい「(龍二さんは、もしかして健太お兄ちゃん達と刺し違えるつもりなのかな・・・?)」