健太「やったか!?」
魔法少年少女達全員がありったけの力を込めて魔獣にぶつける。
レイゴウ「これで終わり、なんて言うわけないよなぁ?」
健太「なに・・・?」
すると砂煙を払い巨大な腕が襲い、近くにいた悠太の愚連隊構成員を吹き飛ばす。それに健太も巻き込まれてしまう。
構成員達「うわぁああああ!!?」
健太「ぐわぁ!?」
吹き飛ばされ地面に叩きつけられたその時、当たりどころが悪く健太左腕の義手が壊れてしまう。
健太「だぁっ!くそっ左腕が・・・!!」
いろは「健太さん!!」
その時外道魔獣はまたも姿を変え、今度はまるでデイダラボッチのような巨大なものとなる。
マミ「なっ何なの・・・あれ・・・!?」
レイゴウ「さて・・・」
吉信「彼らに教えてあげましょう・・・「絶望」を!!」
そう言って吉信が両手を叩くと魔獣は手の形となった尾をマギアユニオンに向ける。
雄一郎「吉信・・・何をする気だ!?」
吉信「「木術・挿木流木」!!」
すると手の指から先端が鋭く尖った木の片辺が雨のように降り注ぎマギアユニオンに襲いかかる。
愚連隊構成員達「うわぁああああああ!!?」
隼人「皆僕の盾に隠れて!!」
雄一郎「結界で防ぐ!!」
それぞれが身を守る中、挿木の一本が健太目掛けて落ちてくる。それに気づいた壮介とういが走り出した。
壮介「健太!逃げろぉ!」
うい「健太お兄ちゃん!!」
壮介「くそっ・・・!間に合わねぇ!」
すると健太を誰かが押し倒し、挿木がその者の体に突き刺さる。
由美「・・・お兄・・・ちゃん・・・・・・」
健太「・・・・・・・・・・・・ゆ・・・み・・・・・・?」
健太「由美ぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
健太を守るために身を挺して庇い挿木が由美の背に突き刺さる。
いろは「嘘・・・・・・」
うい「そんな・・・由美ちゃぁん!!」
フェリシア「由美ぃ!!」
俊「そんな・・・由美ちゃんが・・・!?」
壮介「くそぉっ!」
悠太「っ・・・・・・・」
吉信の術で主力となる魔法少年少女達は無事だが、構成員や末端の魔法少年少女達には甚大な被害が出ていた。
BGM「第2部 ストーリー7」−マギアレコード−
健太「くそっ!由美!しっかりしろ!気を失うな!」
由美「・・・お兄・・・ちゃん・・・」
健太「みたまさん!解除薬を!!」
みたま「分かってるわ!!」
みたまは持っていた解除薬を由美の腕に投与する。しかし何故か効果が見られない。
健太「魔力の減りが止まらない!何故だ!?」
レイゴウ「いくら投与したところで無駄だ。吉信が作成した回復阻害弾の原種がこの外道魔獣だ。こいつが原種であれば回復阻害弾の数万倍の阻害魔力が体中にじわじわと流れる。お前達がいくら抗おうとそいつは死ぬ。」
健太「うるせぇ!!」
レイゴウの言葉を遮り、右腕で由美の手をにぎる。
健太「誰か!誰か治せる人はいないのか!!?誰でもいい!由美を助けてくれぇ!!」
健太は懸命に叫ぶが、誰も名乗り出るものがいなかった。
健太「なんで・・・なんで俺の・・・家族ばかりが・・・!」
由美「お兄・・・ちゃんの・・・手・・・温かいなぁ・・・」
健太「由美・・・!」
さな「由美ちゃん・・・」
由美「私・・・ずっとお兄ちゃんを・・・心配させて・・・私…ほんと、ろくでもない妹だよね・・・」
健太「ろくでもなくねぇよ・・・お前は・・・!!」
由美「でも・・・そんな私でも…お兄ちゃんに…最期に…役…立てる時が来たみたい・・・。」
由美は力を振り絞り、失った健太の左腕に手を当て片手で印をゆっくり組んだ。
健太「・・・なにしてんだ・・・?」
由美「私に・・・できる・・・最期の術・・・だよ・・・」
健太「なに・・・してんだよ・・・おい!?」
由美「私にはこんなことしか・・・出来ないけどでも、だからこそ私は・・・お兄ちゃんの妹になれて・・・嬉しかった・・・お兄ちゃんの命は一つじゃ・・・ない・・・から・・・。」
健太「なにしてんだ…!おい…!やめろ…!!」
由美「だから・・・お兄ちゃん・・・吉信に勝ってね・・・!」
健太「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
その瞬間左腕が光り輝き辺りを光が包み、そして光が包み晴れるとさっきまで無かったはずの・・・それも生身の左腕がしっかりとついていた。
健太「うぅっ・・・うぁああああああああああ!!!」
壮介「健太・・・」
やちよ「健太君・・・」
吉信「これが戦争です・・・これからコレが続く・・・。貴方の軽い言葉も、理念も、全て偽りになる。健太さん、いつまでこんな世界に執着するのです?もう、充分貴方は頑張った・・・だからこちらへ来なさい。」
健太は静かに涙を流す。今まで多くの魔法少年少女の生き様、死に様が健太の脳裏に流れる。そしていろはは健太の元に近づき、頬に触れる。
いろは「さっき、由美ちゃんが言った「健太さんの命は一つじゃない」って意味・・・分かりますか…?」
健太「っ・・・・・・・」
いろは「仲間は絶対に殺させない・・・その言葉も信念も、偽りじゃない!由美ちゃんはそれを胸にやってのけたんです・・・。」
健太「いろは・・・」
いろは「健太さんだけじゃない、皆がそうやってその言葉、思いと同じものを胸にお互いに命を繋ぎ合っている。だから、仲間なんです・・・。」
健太「・・・・・・」
いろは「その言葉と思いを皆が諦めて棄ててしまったら、由美ちゃんのしたことが無駄になってしまいます・・・それこそ、本当に仲間を殺すことになる・・・」
健太「・・・・・・」
いろは「だから、私と一緒に立ちましょう健太さん!私も「真っ直ぐ、自分の言葉は曲げない」のがモットーですから・・・!」
健太「(・・・そうだった・・・親父やお袋、兄貴だけじゃねぇ・・・。)」
そう言って健太はいろはの手を握り、二人で立ち上がる。吉信は恨みがましく健太を睨む。
健太「俺の命は、一つじゃない・・!」
その言葉を聞いた魔法少年少女達、そして十間、天部も微笑む。
健太「いろは、ありがとう。お前ややちよさん、そして壮介達がいてくれたおかげだ・・・」
吉信「もういい・・・!」
外道魔獣は天高く咆哮を上げる。それに怯むことなく健太は睨む。
健太「(・・・由美、あの世から俺の生き様を見ていてくれ・・・)」
そう言って健太は生身となった左腕のてを握ると一瞬で十間モードとなる。
健太「行くぞ!いろは!」
いろは「は、はい!!」
悠太「あれは!?」
やちよ「九尾の魔力!?」
十六夜「なるほど、健太は我々に九尾の魔力の衣を纏わせるのだな・・・!」
壮介「流石だぜ健太!!」
レイゴウ「ほぅ・・・高坂健太め、九尾の魔力を渡すことが出来るみたいだな。」
吉信「今更そのような事をしたところで・・・・・・」
健太「影分身!!」
健太は3体の分身を作り、それぞれの場所に向かう。
健太「皆!手を出してくれ!」
その言葉を聞いた魔法少年少女達は手を出し、健太がタッチするとその人に衣が覆う。それがどんどん広がり、そして仲間達全員に衣を纏わせた。それはまるで、闇を照らす灯火のようである。
吉信「・・・貴方は仲間の死・・・ましてや家族である者から何も学ばない幼稚な魔法少年です!」
健太「確かに、由美は死んだ・・・だがな、俺達の繋がりがある限り、由美は俺達の中で生き続けている!」
吉信「いい事を教えてあげましょう、その繋がりが今の私を作り出したのです!それは同時に強い呪いであると知っておきなさい!!」
その言葉と同時に魔獣は近付く。そして健太達も魔獣に向かっていく。
健太「行くぞぉ!!」
全員が走り出し、一斉に飛ぶ。その姿はまるで伝説の鳥である「鳳凰」を彷彿させる形となり、二人が制御している茎を切り落とし吉信とレイゴウを地上に引き落とす。
健太「俺はてめえと違って繋がりを切るつもりもねぇし切りたくもねぇ・・・」
吉信「やはり、貴方は幼稚です。仲間の死を繋がりだとのたまうなら仲間を守る必要もないはず・・・」
健太「っ・・・いい加減にしやがれ!そう言う意味で言ったんじゃねぇんだよ!仲間のためなら俺は痛くても我慢するっつってんだ!俺はそれを捨てたくないんだよ!お前からしたらわがままかもしれねぇが、ここに、仲間がいないのが一番痛いんだよ俺は!以上!!」
レイゴウ「・・・・・・で?それが、なんだと言うんだ?」
健太「なに?」
レイゴウ「こうして俺達を引きずり下ろしたことは認めてやるよ、よくやった。だが、結局は変わらない。寧ろ「厄介」になったかもなぁ。」
吉信「繋がっていた私達を切るからです。抑えが聴きませんよ!?」
レイゴウ「さぁ、天地創造の始まりと行こうか!!」
その瞬間戦場に竜巻が吹き荒れ、大爆発を起こす。