向日葵の太陽になりたい   作:曇メガネ
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ありがとうございます!

 今回、タイトルの“夕焼け”で察している通り、あのバンド(喋るのは2人だけですが)が登場します!ほんの少しですが・・・


それではどうぞ!


第4話 Scarlet Sky(夕焼け)での別れと───

ーーーside陽穏ーーー

 

 

 山吹さんの過去。それを聞いた僕は、しばらく黙り混んでしまった。

 

 それはこの年齢だからこそ、トラウマみたいなモノになってしまうんじゃないか?と聞いて思った。そしてなにより、彼女だからこそ、誰にでも優しく接するキミだからこそ、ここまで悩んでしまうんだよね。

 

 

「ありがとうね、山吹さん。正直に話してくれて。辛くなかった?」

 

「うん……やっぱり少しは、ね?誰かに話すなんて、初めてだったから」

 

 

 そう言った山吹さんは、座りながら背伸びをした後に───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───僕の肩に、頭を置いてきた。

 

 

「え?その……山吹、さん?」

 

 

 あまりに突然の出来事に、思考がフリーズする。薄柿色の髪が風に靡いて、不意にいい匂いがフワッと空に舞った。

 

 て!違う違う!この状況を何とかしないと……!

 

 

 と、思っていたが───

 

 

「いきなりごめんね。でも、少しだけ……このままでいさせて」

 

 

 ───山吹さんの一言で、僕にある気持ちは霧のようにサーッと消えていった。

 

 それからは、お互いに一言も言葉を交わさず、僕はただ夕焼けを見つめていた。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「色々と……大丈夫?山吹さん」

 

「う、うん。もう大丈夫、ありがとう」

 

 

 5分位経って、山吹さんは僕から離れた。だけど、自分のしていたことを思い返したのか、顔をほんのり赤くして俯いてしまった。

 

 対する僕も顔が赤くなっているのと、バクバクと鼓動を刻んでいる心を落ち着かせるために、彼女から目を逸らしていた。

 

 それから5分経って、今に至る。

 

 

「もう、帰ろっか?」

 

「そうだね。もう暗くなってきたし」

 

 

 人のグー一個分の距離を開けながら、僕と山吹さんは公園を出ていった。時間はもう18時を過ぎようとしていて、太陽は辛うじて姿を見せているけど、彼女の言う通り、それなりに暗くなってきた。

 

 しばらく歩くと、山吹さんの家に辿り着いた。あー、なるほどね。そういうことだったのか。

 

 

「ここが私の家だよ。流石に、もう察したみたいだね」

 

「まぁ……流石にね」

 

 

 へぇ……パン屋さんだったんだ。山吹さんの家って。手伝いって言うのは、パン屋の手伝いのことだったのか。

 

 これは、確かに“あの一件”があった後じゃ、いつも通り“バンド”を続けるのは難しいかもしれない。

 

 

「じゃあ、ちょっとお店の裏で待ってて。」

 

 

 此処でさよならかなと思ったら、山吹さんはそう言い残して、家に入って行ってしまった。なんだろう?と考えつつ、言われた通りにお店の裏で待つ。

 

 

「お待たせ。はい、これ。受け取ってくれるかな?」

 

 

 玄関から出てきた山吹さんは、茶色い袋を持っていた。それには薄茶色で『やまぶきベーカリー』と書いてある。受け取って中身を確認すると、美味しそうなパンが綺麗に入っていた。

 

 焼き立てではないものの、絶対に美味い。そう確信出来た。

 

 

「いいの?こんなに貰っちゃって」

 

「うん。勉強も教えてもらったし、それに───」

 

 

 

 彼女は頬を赤くしながらも、言葉を紡いだ。

 

 

 

「───私の過去を、気持ちを、受け止めてくれたから。それの感謝の気持ちを込めて、お礼をしたかったんだ」

 

 

 太陽の光を浴びて───

 

 

「だから、もう一度言わせて」

 

 

 満開に花開いた───

 

 

「本当に…ありがとう」

 

 

 向日葵のような笑顔を見せながら。

 

 

「……!」

 

 

 (ハート)が、大きく鼓動(ビート)を刻んだ気がした。というより、刻んだ。顔が赤くなって、熱くなっていくのが分かる。それと同時に、心がポカポカと温かくなった。

 

 

「……う、うん。山吹さんの力になれたなら、僕も嬉しいよ」

 

「空野君、顔赤いよ?」

 

「…そう言う山吹さんこそ、赤いじゃないか」

 

 

 山吹さん、僕に過去を話してから、ちょっと弄ることが増えた気がする。これが彼女の素顔なのかもしれない。

 

 ただ、まだ恥ずかしさもあるのか、自分の顔も赤くなっているけれど。本人は「え?ほ、本当だ……」と言いながら、公園にいた時と同様に、俯いてしまった。

 

 取り敢えず、素の山吹さんが見れて嬉しかった。ポカポカとしていた心が、もっと温かくなった。

 

 

「じゃあ…また明日、学校でね」

 

「う……うん。また明日、空野君」

 

 

 山吹さんに手を振って、僕はやまぶきベーカリーを後にした。

 

 やっぱり、あの笑顔は反則だよ~。まだ顔が少し赤く、熱い気がする。明日の学校でどうやって顔を合わせればいいんだろう。

 

 

「貰ったパンでも食べようかな」

 

 

 この気持ちを少しでも抑えようと、袋からパンを取り出す。メロンパンにクリームパン、チョココロネなど、美味しそうなパンが一杯あった。その中から僕が最初にチョイスしたのは、チョココロネ。

 

 心の中でいただきますと呟いて、一口。その瞬間、僕の中で革命が起きた。

 

 

「……美味い。凄い美味い……!」

 

 

 一人にも関わらず、思わず口に出てしまうほど、美味しかった。

 

 前にも言った通り、僕の家の食卓に出るご飯は基本和風だ。だからパンなどの洋風の食べ物を食べることなんて滅多にない。

 

 だからなのもあると思う。まだチョココロネしか食べてないけど、僕はやまぶきベーカリーのパンの虜になってしまった。

 

 

「後は家で食べよっと」

 

 

 チョココロネを食べながら帰路を歩いていると、僕の前から来た5人の女の子とすれ違った。

 

 違う高校の生徒かな?でも、なんだろう───

 

 

 

 

 

 ───この変な感覚は一体……。あの人達のことなんて、全く知らないはずなのに。

 

 

「……?まぁ、いいかな」

 

 

 気のせいだろう。向こうは何も思っちゃいないだろうし。

 僕は、チョココロネを頬張りながら家へと帰っていった。

 

 

 

ーーーside三人称ーーー

 

 

 

「……!」

 

 

 陽穏とすれ違った5人の女の子の内、1人だけ、その足を止めた。そして、離れていく陽穏の背中を見つめていた。

 

 

「なんだろう。今の、懐かしい感じ……」

 

 

 彼女───美竹蘭(みたけらん)は、呆然と立ち尽くしていた。そして考えた結果、一人の少年を思い出した。

 

 小学1年生のある日を最後に、突然姿を消してしまった……大切な幼馴染。忘れたことなんて一度もない。

 

 

 

 子供の頃、一番仲が良く、好きだったのだから。

 

 

 

「……もしかして、“陽穏”…なの?」

 

「おーい!蘭ー!どうしたんだ?」

 

「……!ううん。何でもない、今行く」

 

 

 幼馴染に呼ばれ、現実に引き戻された彼女は、首を横に振った。そんなわけないじゃないか、と。

 

 第一、彼が戻ってきているのなら、親を経由して私達にも連絡が来るはずだ。

 

 

 

「“陽穏”……いつ会えるんだろうね?」

 

 

 

 彼との再開に思いを馳せつつ、誰もいない空にそう呟いて、蘭は幼馴染の元へと歩き出した。

 

 

 

 




 本当に少しだったでしょう?推しの方……大変申し訳ない。
 このバンドの本格的な参加は、かなり後になります。少なくともポピパの結成ストーリーが終わるまでは……。だけど、重要な立ち位置になっているので、暫しお待ちを!

 それと今回の話の序盤に対して、沙綾はこんな積極的な子じゃない!と思う方もいるかもしれません。それは私も承知しております。
 ですが、彼女が過去の一件を話した友達は、陽穏が初めてなのです。それ故に、普段の友達とは違い、素顔の自分(誰かに甘えたい気持ち)を見せつつあるというのを表現したかったのです。

 そんなことより有咲を出せって?ごもっともです……。
次回には、次回には出せるんで!


それでは!







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