白々しくも地表を照らし、日々の安寧を
「チッ! どうなってやがるんだ、この街はよォ!」
黒曜の甲冑と同色の夜を孕む外套を血に濡らしながら、長身の巨躯――ガッツが叫んだ。
今まさに斬り払ったヒトガタの怪物は、異様に発達し獣が如く剛毛を携えた腕に
旅を続けるさなか、夜も更けた折に訪れた人の消えた小さな協会の跡地にて、神を呪いながら眠りについたガッツが目を覚ましたのは、人とも獣とも区別が付かぬ遠吠えと悪臭が支配する、しかし不自然なまでに静かな場所。
意識が浮上した時は何の冗談かと
「薄気味わりぃ街だが、住んでる奴らも街に似るのかよ」
斬撃を放てる鉄の塊、即ちドラゴン殺しにこびり付く血糊をひと薙ぎで振り払うと、ガッツは路地裏から倒壊しかけた家屋からその屋根から街路樹の影から次々と幽鬼の様に現れる人影――否、人を模した獣たちを鋭く見据える。
「――ッ!!」
問いかけにはしかし、言の葉を忘却し、己が胸中で
狩ってくれ。と。
「・・・・・・そうかい」
その意を汲んだのか、それとも唸り声を開戦の笛の音と受け取ったのか、ガッツは巨剣を構え、
それに応えるように、或いは死へと飛び込むように、それとも灯りへ誘われる虫のようにフラフラと駆け寄るは獣の人影。
「しっ!」
先駆けにと放たれた投げナイフは、先頭を走る手斧の獣、その心臓を確かに穿つもその歩を僅かに遅らせる事しかままならず、しかしその揺らぎこそが獣の死出を
「まず、一つ!!」
一閃。
最小限の動きにて大上段から放たれた剛の一撃は、獣の身体を文字通り両断してもまだ止まることなく突き進み、石畳を粉砕して
破砕された石畳の破片が、巨剣を振るい足を止めるガッツを囲もうと急ぐ獣たちへと飛来。
辛くも生き残った者達は、しかし既に攻め入る気勢を失い土煙の中でゴボゴボと唸るばかり。
そして、その様な隙を見逃すガッツではない。
「らあぁぁ!」
石畳に深く食い込むドラゴン殺しを鋭く抜き放ち、淀んだ空気ごと薙ぎ払う横一線の斬撃を繰り出す。
放たれた斬撃は、土煙を一息で吹き飛ばし、もはや危機管理能力すら獣性の
ガチン、と一瞬の火花と共に束の間の静寂を得るこの場所は、古都ヤーナム。
獣狩りの夜が延々と繰り返される悪夢の街。
狩人が夜を駆け、肉を裂き、骨を断ち、意志を砕き、血を焼き尽くす終わらぬ月光の従僕。
今宵、降り立った黒衣の剣士は、果たしてこの久遠の悪夢を抜け出せるのか。
異邦人が獣狩りの掟に沈むのが先か、天中より見下ろす上位者を超越し、醜悪なる月を打ち砕き
ゲームショップでBloodborneとベルセルク無双を持った人を見かけて思いついたので書きました。
今思うとすげー組み合わせで買ってったな、あの人。
・・・・・・ろくにガッツが喋っとらんやんけ!! クロスオーバーってなんやねん!!! 嘘やんけ!!! そんなツッコミが乱舞するのが目に見えます(予防線)
続きは書けませんので、気になる人や脳に眼と使徒が生えた人は是非是非この漫画界で最もハードな人生を送る主人公を悪夢の底に叩き込んでみてください。
ぴーえす、ガッツの義手って「火薬庫」の人達が見たら凄く興奮すると思うの。