ソードアート・オンライン Alter Heaven   作:留確惨
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カイナ町へ

家に帰ってからは大爆睡して後、(自分でも命を懸けた殺し合いした後に熟睡できるほど神経が太いとは思ってなかった。)作戦決行当日。

若干オーバーな演技とともにランファルとワーカントを町に売りに行くという建前で村から連れ出し、西の正門から馬車で出発し、途中でジョーとウィンを拾って馬車に揺られて半日。

獣人キャンプ襲撃部隊の拠点、カイナの町前くらいの道中で敵拠点の精確な確認をして、そのあとにボクとアルファルド、それとランファル(耳は帽子でごまかした)でカイナ村に入った。

 

「ここがカイナ町ギルドだ。手筈通り情報収集を頼むぜ。」

 

町の中央部に木製の大きな建物がカイナ町のギルドだ。

エルナ村のギルドはさびれた小屋に一人のやさぐれ受付嬢がいるだけのエルナ村と違い、RPGに出てくるような立派な冒険者ギルドのいでたちをしていた。

中に入ると30人ほどの男たちの騒がしい声が聞こえてくる。

様々な装備に身を包んだ男たちが賭け事やら武器の手入れやらナンパなんかに精を出し、3つのカウンターで受付嬢たちがナンパをうまくスルーしながら事務に励んでいる。

ゲームや異世界物の小説に出てくるような本格的な異世界っぽい光景がそこにあった。

 

「なんか、これぞって感じだねー!」

「君が何を考えているのかは知らんがここは国境沿いの防人の町だ。それなりに常駐戦力もあるし、仕事も多い。俺の仕事も7割はここからもらっていたりするんだ。」

「へー!じゃあこれからボクもお世話になるわけだ。」

 

それになにより、今日はにっくっき敵の拠点を割り出し、殲滅する日。

いつもより多くの戦力が集まっているのも無理はなかった。

 

「それじゃ、俺は色々話付けてくるからよ、ユウキはついてきてくれ。ランファルは酔ってそうな奴からなんか聞き出してくれ。酔っぱらいの与太話でもなんかの役に立つことはあるだろ。」

 

アルファルドの指示に従ってギルド内での情報収集と情報操作にあたる。

今は少しでもハーフの一族の被害を抑え、ボクたちが逃げやすくするための準備段階だ。

 

 

 

2時間後に情報収集ののちに村はずれの林に集合した。

 

「手筈は整ったな。襲撃の時間は夜9時、俺が連中にキャンプの位置を伝えた。手薄なのは東側だってことも含めてな。」

 

ハーフの一族の収容所はキャンプの西側。

主戦場を反対側にすることで救助、離脱をしやすくするための情報操作に抜かりはない。

すでに傭兵として信頼を得ているアルファルドがいるからできることだった。

 

「これで準部完了だね!しっかしこの国、なんで主戦力を傭兵に頼ってるの?正規軍とかないの?」

 

カイナ町には結構な数の戦力がそろっていたが皆騎士というよりはならず者に近いような身なりのものばかりだ。

こういう世界には華々しい騎士がいることはお約束だが、カイナ町でそういった人をいくらか見かけたもののギルドの中にはいなかった。

 

「騎士様は基本的に貴族連中しかなれないからな。それに連中に命張ってビースト共と戦える根性なんかねえよ。」

 

嘆息しながら聞きたくない情報が返ってくる。

 

「皇国は貴族たちによって作られる騎士団がありますが、基本的に事なかれ主義で全体的な街の管理業務はおこなうものの前線に立つことはあまりありませんからね。連合のほうは身分制度がないですが土地がやせているため浮浪者が多く、その結果皇国に人が流入してこういう結果になっているんですよ。」

「ダメダメじゃん・・・」

 

ランファルの注釈が入るがアルファルドの悪態を補強するものでしかない。

腐敗した貴族と金のかかる正規軍の代わりとして外注して使われている傭兵。

なるほど。アルファルドが騎士を嫌っていた理由がわかった。

騎士という立派な肩書を持っている割に前線に出てこず、後ろから指示だけ出す連中がいるならそりゃあ腹も立つだろう。

 

「騎士の話はいいがよ、これからどうするんだ、アルファルドの旦那。具体的な作戦案は決まったが結構のタイミングを教えてくれ。」

 

口を挟んできたのはジョーだ。差別されてきた経験からか、彼らはアルファルドの指示には従っているものの、信頼はしていない。

そもそもが即席チームだ。分かりやすい合図は必要不可欠だろう。

 

「作戦開始の合図は俺が思いっきりデカい花火を上げてやるから楽しみにしててくれ。」

「いや、あれだけの火力をぶちかましたら救助対象まで巻き込んじゃうでしょ。」

 

正門前の大爆発を思い出す。あんなのが無差別にぶっ放されたらおしまいだ。

 

「少しは加減するさ。それにあの規模でぶっ放したら俺自身巻き添えを食らう。もっと適材適所の爆発にするさ。」

「ぜひそうしてね。それじゃ、切り込み隊長は任せたよ。」

「任された。この作戦のかなめはお前らだ。よろしく頼んだぜ。」

 

差し出された拳を合わせて応える。後ろからランファル、ウィンの拳も続く。

唯一ジョーは渋ったものの、ランファルに諭されて仕方なくアルファルドと拳を合わせた。



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