ソードアート・オンライン Alter Heaven   作:留確惨
<< 前の話 次の話 >>

35 / 39
収穫

「てやああ!」

 

慣れない丸太を抱えて草原をかける足の生えた丸太の集団に突貫する。

重くて長くてバランスも悪い丸太は数あるVRMMOをプレイしてきた中でも間違いなくダントツで使い勝手の悪い武器ナンバーワンだ。

それを体全体を使って振るというよりは揺らすイメージで丸太の頭頂部に叩きつける。

すると気持ち悪い体毛もじゃもじゃの足が消えてただの木材と化した。

 

「えい!やあ!はあああ!」

 

丸太を中ほどに持ち替えて逆サイドでラリアットの要領でバルバトス杉の進行方向を塞ぎながら殴りつける。

するとまたバルバトス杉の足が引っ込んでただの丸太になる。

 

「なにこれ!おもしろーい!」

 

丸太収穫は思いのほか楽しい。もぐら叩きみたいな爽快感と無双感をもたらしてくれる。

最初こそ面白がって説明してくれなかった二人に不満を持っていたがそんなものは吹き飛んで丸太収穫に熱中する。

すると左サイドからこの怒涛の行進と乱戦にも負けない声でイヴリースの声が響いた。

 

「オラオラオラァ!丸太収穫祭の始まり始まりィ!!」

 

経験者の二人、特にイヴリースは槍使いなだけあって獅子奮迅の活躍を見せている。

二人で背中合わせに周囲の化け物を殴ってボコって蹴り飛ばしてボクが4本ほど倒したころにはもう15本は討伐して周りには大量の丸太がキャンプファイヤーの薪の如く積み上がっていく。

 

「すっご!息ぴったり!」

 

丸太という無駄に攻撃範囲が広い武器で同士討ちせずに連携しているあたり一朝一夕のコンビネーションではない。

何で今まで組んでいなかったのか疑問なほどに見事な連携だ。

10分ほど人足丸太、バルバトス杉を殴り続けていたら周囲にはもう動く丸太はなくなってた。

走り去っていくバルバトス杉はその数を最初の三分の一にまで減らし、西の方角へと走り去っていく。

 

「おい何本いった?」「俺6。」「よっしゃ一本勝った!」

 

周囲から収穫本数の自慢の声が聞こえてくる。どうやら収穫もひと段落といったところ。

村人たちはさっきまで走っていた丸太の上に腰を下ろしてお互いの健闘を讃え合っている。

 

「ふひー、つっかれた~。」

 

重いデカい取り回しずらい丸太をブンブン回して戦い続けるのは流石に肉体的にしんどいものがある。

具体的に言うと腰が痛い。

丸太の山腰かけて休憩すると目の前に飲み物が出現する。

 

「お疲れ。何本やった?」

 

アルファルドが水が並々注がれたコップを両手に持って片方を手渡してくる。

 

「いや~全然勝手わかんなくてさ、多分15本くらいかな。」

「じゃ俺の負け。13本だ。ったく、どっかの誰かが大暴れしやがって。身内じゃなかったら後ろからズドンしてたとこだっつーの。」

 

もう片方の水を飲みながら愚痴が零される。

ちなみにどっかの誰かは元気バリバリで27本も殴り倒したことを騒いでいる。

 

「それにしてもイヴって強いよねー。昔からなんかやってたの?」

「アイツは教会の武闘派で有名人だったからな。たしかあだ名はバーサクシスターだとかーーぐえ!」

 

聞き覚えのありすぎる二つ名が漏れた後すぐに木製のコップがアルファルドの側頭部にストライクする。

下手人は相も変わらず大騒ぎしているあたり恐ろしい。

そんなお疲れモードでまったりした時間は突如として一人の村人の絶叫によって破られた。

 

「なななな、なんじゃありゃ───────────!!」

 

絶叫がする方を向くとそこには()使()()()()

忘れるわけがない。

あれは夢で見た通りの奇妙奇天烈な羽根つき人面にんじんエンジェルが音もたてずに舞い降りた。

それもにんじんだけではない。

筋骨隆々とした四肢と斜め下を見続ける目を持つきゅうり。

半開きの表情をした筋肉モリモリマッチョマンの変態ぶどう。

間抜け面に妙にすらっとした手足を伸ばすリンゴの天使。

 

奇妙奇天烈なクリーチャーが何の前触れもなく空から舞い降りてきた。

 



※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。