ソードアート・オンライン Alter Heaven   作:留確惨
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四天王との戦い 前半

「オイこれどうする?」「わかるかよ、とりあえず様子見しとくか・・・」

思わぬ謎の野菜&果物軍団に『丸太を丸太で殴って収穫する』ことをおもいついた変態集団エルナ村バルバトス杉収穫部隊もしり込みする。

 

「ねぇアル、あれなんなの?丸太で殴れば倒せるものなの?」

「知るか。初めて見るわあんなん。」

 

この村で最も外敵との戦闘経験の豊富なアルファルドでさえこの珍妙極まりない植物?軍団は未知のものらしい。

膠着する戦況。1分ほどたっただろうか。最初に動いたのはマッスルグレープ(命名イヴリース)だった。

ドスドス足音を立ててこっちに近づくと強烈な拳を放ってくる。

見た目の屈強さに裏打ちされた拳の威力は草原にめり込むほどのパワーを持っていた。

人がこれを受ければたちまちぺしゃんこだろう。

 

「これで!どうだァ!」

 

めり込んだ拳を引き抜くスキを狙ってイヴリースが丸太で殴りつける。

多少は効果があったようでマッスルグレープはよろめくが、決定打にならない。

しかし反撃の糸口にはなった。右サイドからアルファルドの蹴りと逆からボクの丸太の殴打が入り、ブドウの粒が落ちる。

 

「Arrrrrrrrrrrr!!!」

 

絶叫しながらマッスルグレープは後退し、痛がるそぶりを見せる。

その隙に追撃して何発か丸太の殴打をお見舞いする。

粒が5.6個落ちたところでイヴリースが大上段から丸太を打ち下ろさんとがジャンプする。

 

しかし、マッスルグレープもただ攻撃を受ける訳じゃなかった。

空中で身動きが取れないイヴリースを狙ってカウンターパンチをお見舞いする。

 

「「イヴ!!」」

「しまっ!」

 

あわてて丸太を盾にして直撃を避けるが、それでも勢いは殺し切れず丸太は折られ、イヴリースは後方に2m吹っ飛ぶ。

 

「そんな!丸太が折れた!」

 

後方からリカードが叫ぶ。いや、なんでそんなに丸太に信頼置いてんのこの村の住人は!

ちょっとはイヴの心配しなよ!

しかし後方に注意を逸らしたのがあだとなった。続く第2の拳がボクを狙う。

それをギリギリで気づいて丸太で逸らして避ける。なんとかパンチの軌道が変わり、直撃コースを外れて地面に刺さる。その隙にアルファルドが足払いをしてマッスルグレープを転ばすと、そのまま背中から乗っかって締め技にかかる。

 

「ユウキ!そいつの実をもげ!もぎ取るんだァ!」

 

イヴリースは起き上がって叫ぶ。実をもぐ?たしかにマッスルグレープの実はもげるけどそれになんの意味があるんだ?

 

「そいつのパンチの威力、弱体化してる!全部もいだら無力化できるんじゃねェか!」

 

なるほどそうか!アルファルド抑え込んでいるうちに1個づつ身をもいでいく。

じたばた動き回るマッスルグレープだったが実をもいでいくごとに抵抗は弱くなり、筋肉も見る見るうちに細く、弱弱しくなっていった。最後の実をとるとマッスルグレープは動かなくなった。

 

「はぁはぁ、これで終わり?」

「いや、これ「『奴は四天王の中でも最弱・・・』みたいなやつだろ。」

「はは・・・違えねェ。」

 

1匹倒すのにかなり苦労したのにこんな奴が残り3匹もいると思うとぞっとしない。

特にマッスルグレープを押さえつけていたアルファルドの疲労とガードの上とはいえ一発もらったイヴリースの負傷はかなりの痛手だ。あと一匹ならどうにかできるけど見ての通り敵にはまだ残機がたくさんある。

唯一の救いといえば奴らがいっぺんに来ないことだ。

 

2番手はムキムキュウリ(命名者略)がきた。

キュウリもブドウ同様に鋭い拳を繰り出すが、今回は弱体化ギミックがない。

どこ見ているかわからない視線が行動を読めなくしてすごくうざい。

筋肉質な外見とは裏腹にパワーはブドウよりないけれどその分フットワークが軽い。

ボクサーのごとき軽やかなステップと無駄のないジャブの連打がアルファルドを襲う。

 

「Shi!shi!shiiiiii!」

 

アルファルドは攻撃を躱したりガードしたりしてしのぐものの、完全には防ぎきれず少しづつダメージを負ってきている。

 

「おりゃ!」

 

長い丸太でリーチの短いキュウリの射程外から横薙ぎをお見舞いする。丸太を使った戦いになれてしまった自分が怖い。

キュウリは腰の入ったフックで丸太を迎え撃ち、丸太は地に撃墜する。

 

「アタシを忘れちゃいけねえなァ!」

 

後ろからイヴリースがタックルをかまし、逆方向からの諸手狩りのようにしてキュウリを倒す。

 

「でかした!」

「オラアアアアアアア!」

 

イヴリースはそのまま圧し掛かった体勢のままきゅうりの胴体に腕を回して剛体を折りにかかる。

ギリギリと締め上げられるきゅうり。後ろ手を回して最後の抵抗をしようとするところでアルファルドの蹴りがきゅうりの目に容赦なく突き刺さった。

 

「SHIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!」

 

きゅうりは絶叫を上げ、イヴリースは渾身の力できゅうりの胴体をキャメルクラッチで折りにかかる。

 

パリッ。という音とともにキュウリが両断され、動かなくなった。

 

「クソ、痛えなこの野郎、あとで酢の物にして食ってやる。」

 

なんとか2戦目も勝利を収めた。

恨みつらみを込めてアルファルドは猟奇的なことを吐きながら文字通りきゅうりの死体蹴りをしている。

 

「油断すんなよ、これでまだ折り返し地点だ。それはそれとしてお前の料理は楽しみにしてるがな」

 

アルファルドはなおも警戒を解かずに残りの2匹を見つめている。

残りは羽リンゴと羽にんじん。(イヴリース命名)

2体は仲間を2体も倒されたにもかかわらず全く表情を変えずにこちらを見つめているのが不気味だ。

 

「そうだね。それじゃ、行こっか!皆!」

 

気を締めなおして正面のリンゴに向き直る。これから後半戦、不謹慎ながらも仮想世界での戦いと青春の日々みたいで楽しかった。

 



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