ソードアート・オンライン Alter Heaven   作:留確惨
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水面に映る月

「ありがとう。これで契約は成立だ。」

 

わりとノリと流された感が否めないけどアルファルドと契約してしまったらしい。

自分で決めたこととはいえ不安だらけだ。何しろ世界そのものが未知すぎる。

ソードスキルの存在からかろうじてこの世界が仮想世界だっていう推測を立ててみたがそれもどの会社が作ったかも()()()()()()()()()()()()()()()()綿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()さえも分からない。

というかこれ、ホントに仮想世界なのかすら疑問に思えてくる。住人はディフォルメされておらず、現実世界の人間と何ら変わりはない。

会話の受け答えだっていくら高度なAIだからってあんなにスムーズにいくなんて考えられない。

思い当たるのはアスナの”娘”のユイちゃんだけど彼女にもAI独特の不気味の谷を越えられていない感じはあった。

これはマジで異世界転生したんじゃないかと本気で疑えてくる。数ある可能性の中での割と高確率なほうで。

メディキュボイドの体感覚遮断と仮想世界での感覚に慣れ切ったボクでさえもここはリアルよりもリアルで生々しいものだ。

ここを異世界だと本気で信じるくらいには。

 

────────こんな状態で本当に彼の荒事の手伝いができるのか?いや、それよりも何なんだ?ここは。

 

「飯にしよう。歩き詰め戦い詰めで腹減ってんだろ。男料理で申し訳ないがまあ食べってってくれ。」

 

そういってアルファルドは厨房に向かう。

 

「あ、手伝うよ。今日は何にす───────」

 

─────ヴィン、と

アルファルドが十字を切るようなアクションをしながら手の中の玉ネギを軽くたたくと青いウィンドウのようなものが出現した。

詳細までは見れなかったがなにかの文字、ないしステータスのようなものが見える。

 

「げ、こいつ結構やばかったのか・・・腐る前に気付いてよかったー」

 

後ろからのぞき込むと黒い縁取りの青黒いウィンドウに白い字で

LIFE 21 OVJECT LEVEL 1

と書かれてある。

 

 

─────ここは本当に異世界なのか?

ソードスキルの時は半信半疑だったけどモノにわざわざラベリングやステータスをつける世界なんてそんな無駄にハイテクな異世界なんてあるものか。

この世界は、誰かが何らかの意図をもってつくりあげた仮想世界の可能性が高い。無論、そういうルールの異世界という可能性も消えた訳では無いが。

 

「ねえアルファルド、これ何?」

 

「おまえその辺の記憶まで落としてんのかよ・・・」

 

「あはははは、ごめんねぇ・・・」

 

笑って誤魔化すしかない。かなり心苦しいがこの世界の人に向こうの話をするのはあんまり得策じゃあないと思う。

 

「こいつは天の窓なんて呼ばれるものでな、さっきの動きをしてモノに触ると鮮度や寿命なんかを見れるもんだ。人間にもついてんだぜ」

 

アルファルドが指でウィンドウを斜めに切ると天の窓はすぐに消えた。

さっきの真似をして十字を切って自分の手に触ってみると玉ネギ同様天の窓が現れた。

LIFE 99987 HUMAN F OCL 25

MAGIC Av:C- A- D+ B+

 

LIFEはおそらくHP、その先は種族と性別なのはわかるんだけどその先がわからない。

 

「このOCLとMAGICは?」

 

「OCLは俺も知らん。戦えば戦うほど上がってって最初は18だったがいまは61まで上がった。なんだけど特に変わりはない。重いものが持ちやすくなったとかそういうのはあったが普通に筋力つけるのと何が違うのやら」

 

「MAGICは魔法の適正だ。左から地水火風の適性を示してる。これも実践経験で変わるんだがOCLよりは伸びないし俺はもう頭打ちだ。」

 

「へぇ~ボクは水と風属性なんだぁ!ねぇ、アルファルドはどんな適正なの?」

 

「地C+水D+火A風A+だ。地は地形操作。俺の適性だと耕作が多少楽になる程度。水は温度の低下と水の生成。D+はじょうろレベルだ」

 

意外としょぼい。ALOとかだったら派手なエフェクトともに巨大な氷や土の壁ができるのに。そんな程度じゃ実戦では目くらましにしかならないだろう。

 

「じゃあ火と風は?そっちは結構すごいんだよね?見てみたいなぁ」

 

「そっちは追々教えるさ。さ、飯の支度するぞ。井戸で野菜洗ってきてくれるか。」

 

そうってアルファルドはキュウリやらジャガイモやらを渡してくる。

 

「りょーかーい」

 

籠に盛られた野菜をもって家のそばにある井戸に向かう。井戸があったり一人暮らしらしいのに家を持ってたりアルファルドは年の割にはお金持ちだ。やっぱり危険な仕事だとそれなるの手当が出るのだろうか。

益体もないことを考えながら水を汲み、たらいに流し込むと波紋はすぐに収まり、鏡のように光を反射した。

 

「────────あれ?」

 

そこに映った光景はユウキの時間を止めるのに十分な代物だった。

 

 

────────────────()()()だ。

水面には現実世界の紺野木綿季ではなくVRゲームA()L()O()()()()()()が映っていた。

 

 



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