転生したのはいい...けどなんでゼットン?しかもノイズ   作:蝙蝠男

36 / 55
待たせたな!(大塚○夫さんVoice)

サブタイトル 目覚めよ勇者 諦めるな!


ULTRAMAN 絆ーネクサスー

ダークザギと化したアダムはその場に佇んでいた。傍から見れば隙だらけだと思うが、ザギと相対していた者たちは、冷や汗が止まらなかった。

 

(何故だ?何故動かない.....)

 

全員の思考は一致していた。叫び終わってから一言も喋らず、動くこともない。それが不気味でしょうがなかった。

 

「どうする?我々から先に仕掛けるか?」

 

「そうしたいのは山々だが.....」

 

翼たちはザギを知らない。それ故にどんな能力を持っているのかが分からない。能力が分からないなら自分たちから攻めて能力を確かめるというのも一つの手段だろう。だがどれ程危険な能力をもっているも分からないから攻めきれない。そのジレンマが延々と続いており、翼たちはそのため動けずにいた。だがその状況は直ぐに動き始めた。沈黙していたダークザギが動き始めた。

 

「ッ!奴が動き出したぞッ!」

 

翼がそう叫んだ事で、その場にいた全員の意識は警戒から迎撃へと変わる。だがその意識が切り替わる瞬間、ザギは瞬間移動したと錯覚するかの様な速度で走り出した。

 

『君だよ、最初は』

 

ザギが最初に狙いを定めたのはゼットンだった。

 

速いッ!

 

ザギはゼットンの目の前に迫っていた。そして頭の角を掴みとり膝で顔面を蹴り、地面に叩きつける。

 

なんだよ.....この威力.....

 

さらにザギは倒れたゼットンの頭を力強く踏みつける。

 

グウァァァ!

 

「このぉッ!」

 

黙って見ている響たちではなかった。響がザギにパイルバンカーの様になった拳でアダムを殴りつけようとする。アダムは倒れているゼットンを持ち上げ盾の様に構える攻撃を防ぐ。

 

「なッ!」

 

響の拳はゼットンに直撃する。ゼットンの体からは火花が散り、ゼットンは苦しそうな声を上げる。そして、ゼットンの足を掴み、武器の様にゼットンを振り回し、響へ叩きつけた。

 

「うああああッ!」

 

ゼットンを響に叩きつけたザギは、向かってきたサンジェルマンたちの元へとゼットンを投げ飛ばす。カリオストロがゼットンを受け止め、地面に寝かせる。

 

「以前のアダムとは比べ物にならないワケダな.....」

 

ザギと化したアダムの力は想像を絶する力だった。ここにいる最高戦力のゼットンが簡単に倒された事により、全員に動揺が走る。だがそれで諦める者たちではない。

 

「だがここで諦めるわけにはいかないッ!人類のためにもッ」

 

『聞き飽きたよ、そんなセリフは』

 

サンジェルマンはtypeIIのラピスの刃でザギを斬り裂こうとする。ザギはラピスの刃を掴み、圧し折る。

 

「なにッ!」

 

ザギはサンジェルマンの腹部へ強烈な打撃を放つ。

 

「ぐはッ!」

 

サンジェルマンは吐血しながら地面に膝をつく。そんなサンジェルマンへとザギは追い打ちをかけようと両手を構え、エネルギーを込める

 

「サンジェルマンにはッ!」

 

「これ以上やらせないワケダッ!」

 

カリオストロが腰に取り付けられた巨大なメリケンを拳に取りつけザキへと殴りかかる。プレラーティはけん玉型のラピスでザギへと殴りかかる。だがそれはサンジェルマンたちの仲の良さを利用した作戦だった。

 

『そうすると思ったよ、君たちなら』

 

ザギは両腕の構えを解き、腕を左右へと伸ばす。そしてカリオストロの拳とプレラーティのラピスを掴む。

 

「フンッ!」

 

アダムは両腕に力を込める。するとカリオストロの左拳のメリケンサック、プレラーティの玉状のラピスを握り潰した。

 

「うそッ⁉」

 

「なにッ⁉」

 

ザギは両腕を離すとカリオストロとプレラーティの頭を掴み、互いの頭を叩きつける。

 

「ぐううッ!」

 

ザギは2人の頭から手を離し、プレラーティの方へと向き直り、そしてプレラーティの腹部へと蹴りを放つ。プレラーティはボールの様に転がり、瓦礫の山に叩きつけられ、次に後ろのカリオストロの腹部へと肘で裏拳を叩き込み、吹き飛ばす。

 

『脆いなぁ、人間は』

 

ザギがそう言った直後、足元にアンカーが打ち込まれる。

 

「だったらザババの刃でッ!」

 

「真っ二つにしてやるデスッ!」

 

調と切歌はザギを斬り裂こうと左から調がアームドギアを回転させ、切歌がギロチンの様に変化させたアームドギアで、ザギに迫る。ザギはその場から動かず、自分へと迫る二つの刃を黙って見ていた。

 

「動かないならこのままッ!」

 

「真っ二つデスッ!」

 

二つの刃がザギを斬り裂こうとしたその瞬間、ザギは両腕を調と切歌の方へと向ける。そして、両腕から紫色のエネルギー弾を発射する。回避する事ができない距離まで接近していたため、回避も防御する事もできず、エネルギー弾は調と切歌に命中する。煙が立ち昇る。

 

「この程度でッ!」

 

「ザババの刃は止まらないデスッ!」

 

エネルギー弾の威力が低かったのか、後ろに後退するだけでそのままザギへと迫る。煙を突き破った先には.....

 

「いないッ⁉」

 

「いったい何処に隠れたデスかッ⁉」

 

2人が辺りを見渡すと、頭上から影が2人を覆う。

 

「調ッ!切歌ッ!上よッ!」

 

マリアが2人にそう叫ぶ。マリアの叫び声を聞いた調と切歌は上を見ようとする。だが間に合わなかった。

 

『遅いよ、気づくのが』

 

ザギは流星の様なスピードで調と切歌へと迫り、2人の頭を掴んで地面に叩きつける。

 

「「うわあああッ!」」

 

調と切歌は地面に叩きつけられ、動かなくなった。動かなくなった2人へマリアが駆け寄る。

 

「調ッ!切歌ッ!」

 

マリアはザギへと向き直る。ザギはマリアの方を見ておらず、翼の元へと歩きだそうとしていた。余裕の態度のザギの背後からマリアが逆手持ちにしたアームドギアを振り下ろす。

 

「隙がありすぎよッ!」

 

ザギの背後を攻撃しようとするマリアを翼が静止させようとする。

 

「待てマリアッ!それは奴の罠だッ!」

 

翼が叫ぶが間に合わなかった。ザギは僅かに体を下げ、そのままマリアへと足払いをしかける。マリアは体制が崩れ、転びそうになるが何とか持ちこたえる。ザギは立ち上がると同時に突き上げる様な拳をマリアへと放つ。マリアはとっさに右腕で防ごうとするが、防御など意味を成さないかのようなザギの拳にマリアの体が地面から浮き上がる。

 

「グッ!」

 

浮き上がったマリアをザギは回し蹴りで吹っ飛ばす。マリアが地面に落ちる前に翼がマリアを受け止める。その直後にザギが翼へと迫る。ザギは体をきりもみ状に回転させ、マリアごと翼を蹴り飛ばす。

 

「うああッ!」

 

「先輩ッ!このヤロウよくもッ!」

 

クリスはガトリングやミサイルなどの全火力による集中砲火でザギを攻撃する。ミサイルがザギに着弾し、煙を立つ。

 

『足りないなぁ、火力が』

 

ザギは埃を払う様な仕草をしながらクリスを挑発する。クリスはその挑発に乗った訳ではないが、ザギへと攻撃を続ける。

 

「だったらコレでッ!」

 

クリスはアームドギアを弓状に変化させ、矢をザギの額へと撃ち放つ。ザギは額へと撃ち放たれた矢を難なく掴み取った。避けるのではなく、掴み取ったのだ。

 

「嘘だろッ!」

 

『ふんッ!』

 

ザギは両腕で大きく円を描く様に動かし、両腕をクリスへと突き出す。ザギの手から紫色の光線。ザギ・グラビティが発射される。

 

『教えてあげるよ、火力とは何かを』

 

手から放たれた光線はクリスへ命中し、地面を抉りながらクリスを吹き飛ばす。

 

「うわあああッ!」

 

クリスを吹き飛ばしたザギは、両腕を大きく空へ広げる。

 

『溢れ出る、力がッ!さらにッ!』

 

ザギの体からさらにエネルギー放出される。するとザギの体に変化が現れ、苦しみだす。

 

「gggggggggggggggggggggggggg!aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaauuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu」

 

ザギの背中から触手の様なナニカが生える。

 

「uuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuurrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrgggggggggggggggggggggggaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!」

 

その触手の様なナニカは形を変えた。その形はまるで、全ての闇を凝縮したかのような翼だった。名前があるとしたらザギイージスだろうか。だがザギにはノアイージスに相当する器官は存在しない。それが何故ザギに出現したのか?その原因はアダムにあった。アダムという完全な存在がザギを完全な存在へと昇華させてしまった。

 

『フハハハハハ!超える事ができたッ!遂にッ!完全をッ!』

 

ザギは自分から溢れ出るエネルギーに歓喜する。体から発せられるオーラの量は格段に上がっていた。

 

「だとしてもぉぉぉぉぉ!」

 

倒れていた響は起き上がり、ザギへパイルバンカーの様な拳を放つ。

 

「うおおおおおおおッ!」

 

ザギは響の拳を避けるのでもなく、防御するのでもなく、ただ黙ってその拳を胸に受けた。響は腰のバーニヤを起動させ、さらに加速する。

 

『その程度かい?神殺しの力というものは』

 

「くッ!まだまだぁぁぁぁぁ!」

 

響はさらに拳の力を強める。それこそ全ての力を振り絞って。だが.....

 

『もう終わりかい?』

 

ザギへダメージは与えられなかった.....

 

「そ、そんな.....」

 

ザギは響の腹を殴る。すると響が消える。そして殴り飛ばされた響はビルに叩きつけられる。

 

「立花 響ッ!おのれよくもッ!」

 

サンジェルマンがザギへ突進する。だがラピスの刃は破壊されているため、近距離での戦闘は出来ない。サンジェルマンは取り付けられた銃での中距離戦での戦闘を展開する。

 

『勝てると思うかい?進化しただけのファウストローブで』

 

「だからといって諦めるワケにはいかないッ!人類の明日のためにッ!」

 

サンジェルマンはスペルキャスターからはダメージ重視の銃弾と連射性能の高い銃弾を発射する。ザギは銃弾を払い除けながら前進する。

 

「動きを止めることも出来ないというのか....」

 

サンジェルマンが放った銃弾ではザギを足止めする事は出来なかった。サンジェルマンの銃弾を払い除けていたザギは足を止め、突然ムーンサルトジャンプで後ろからの攻撃を躱した。

 

「今のが見えてたのッ⁉」  

 

攻撃をしたのはカリオストロだった。残された右の巨大なメリケンサックでザギを殴りつけようとしていたのだが、ザギに気配を悟られてしまった。ザギはムーンサルトジャンプをした直後、カリオストロの首に足をかけ、カリオストロを宙へ持ち上げ、背中から地面に叩き落とした。

 

「がはッ!」

 

カリオストロの肺から強制的に空気が吐き出される。ザギは追い打ちをかけようと拳を握り、振り下ろそうとする。その直後、ザギの目の前にゼットンが瞬間移動し、追い打ちを阻止する。

 

これ以上カリオストロさんに手は出させない.....

 

ゼットンがカリオストロを守るようにザギの前に立ちはだかる。

 

『守れるかな?君に』

 

守れるかじゃないッ!守るんだよッ!

 

ゼットンとザギが激突すると周囲の瓦礫が浮き上がるほどのエネルギーが発生する。

 

おおおおおおおおッ!

 

ゼットンは連続でザギにパンチを繰り出す。ザギはゼットンの連撃を全て紙一重で躱していく。

 

『当たってないなぁ、一撃も』

 

ナメんなぁ!

 

ゼットンは後ろに下がり、瞬間移動を繰り返してザギを撹乱しながら攻撃のチャンスを伺う。

 

ここだッ!

 

ザギの後ろに転移し、拳に力を込めてザギを殴りつけようとする。だがゼットンの拳は見切られており、受け止められてしまった。

 

『ワンパターンなんだよ、君の動きは』

 

ザギは右フックでゼットンの後頭部を殴る。そしてゼットンの顔面を連続で殴りつける。

 

うがあッ!

 

ザギのフックでゼットンが怯んだ隙にザギが連撃を叩き込む。そのスピードはゼットンの連撃よりも速く、重い拳だった。ゼットンはこれ以上攻撃を受け続けるのは危険と判断し、胸から拡散型の火球を発射する。

 

『ウザったいな.....』

 

ザギはシールドで火球を防ぎながら呟く。そして、ゼットンの後ろで未だに倒れているカリオストロを見つける。

 

『そんなに大切なのかい?、君は。カリオストロが』

 

当たり前だ!これ以上カリオストロさんに傷一つつけさせねぇぞ!

 

ゼットンはザギへの怒りで周りが見えていなかった。そのため、戦闘中にカリオストロのいた位置へと戻ってきてしまったことに。

 

『見せてもらうよ、その言葉に嘘がないのか』

 

ザギは、クリスを吹き飛ばした時と同じように両腕で円を描くように動かし、両腕を合わせ、ザギ・グラビティを発射する。しかしザギ・グラビティはゼットンを避け、後ろのカリオストロへと向かう。

 

このクソ野郎がぁぁぁぁぁ!

 

ゼットンは、ザギ・インフェルノがカリオストロを狙って放たれたことに気づきカリオストロの元へ瞬間移動する。ゼットンアブソーバーで跳ね返そうとしたが間に合わないと判断し、体を盾にして受け止める。

 

ぐああああッ!

 

ノーガードでザギ・グラビティを受けたゼットンの体から大量の火花が散る。しかしどれだけ体力が削られようとゼットンには関係ない。自分の後ろにいる大切な人を、どれだけ傷つこうとも歯を食いしばって守り抜く。死んでも守り抜く。

 

「いつまで続くかな?君の我慢は」

 

ザギは拳から闇の光弾を連射する。ゼットンは全ての攻撃をノーガードで受け続ける。ゼットンの体から火花が散るがゼットンは倒れない。自分の後ろに倒れているカリオストロを守るため、絶対に倒れることはない。

 

まだ.....だ.....ま.....だ

 

ザギはゼットンにトドメを刺そうとゼットンの元へと歩み寄る。

 

「終わらせるよ、これで」

 

ザギはゼットンにトドメを刺そうと拳に力を込める。それを待っていたかの様にゼットンは、ザギを右こぶしで殴りつける。だがザギもゼットンの攻撃を見切っていた。ザギはゼットンの右側面に回り込み、肘と膝でゼットンが振り抜いた右拳の関節を全力で挟み、圧し折る。

 

あッ!があああああッ!

 

ゼットンは圧し折られた腕を抑えながらザギを睨む。体に蓄積されたダメージと腕の痛みで今にも気絶しそうだが、気力で持ちこたえていた。

 

「驚いたなぁ、本当に守り切るなんて」

 

ザギは歓喜と驚きが混じった声を上げる。そしてゼットンに近寄り、腕に暗黒の炎を纏わせながら体を回転させ、ゼットンの胸部を全力で殴る。だがそれでもゼットンは倒れなかった。

 

カ.....リオ.....スト.....ロ.....さ.....ん

 

ゼットンはそう呟き、立ったまま気を失った。自分の体をカリオストロの盾の様にして。

 

「終わらせよう、コレで」

 

ゼットンが気絶したのを確認したザギは左腕から光弾を生成し、空中に撃ち出す。撃ち出された光弾は分裂を繰り返し数えるのも億劫になる程の数に増えた。ザギが右手を下げると、空中の光弾が流星群の様に地面に降り注ぐ。

 

「うわあああッ!」

 

降り注いだ光弾は地面に落下し、連鎖爆発を引き起こす。爆発によって辺り一帯は火の海へと変わり、その場にいた者全てに立ち上がるのが困難になる程のダメージを与えた。

 

ザギは両腕を大きく広げ、獣の様な咆哮をあげる。まるで勝利の雄叫びをあげているかの様だった。

 

(このままでは.....負ける.....)

 

サンジェルマンの心の声はこの場にいた者の総意だった。ザギには一切ダメージを与えることすら出来ず、自分たちは地面に倒れ伏している。そんな状況を見て、サンジェルマンの希望は僅かに薄れかけていた。

 

「トドメを刺そう。神殺し」

 

ザギはまず最初に響にトドメを刺そうと、腕から光線を放とうとする。

 

(力が.....入らない.....)

 

響は必死に体を動かそうと力を込めるが、受けたダメージのせいで力が入らない。そんな中、S.O.N.Gから通信が送られてきた。

 

「未確認飛行物体がそっちに向かっているぞッ!」

 

「何処かの航空機ですか⁉」

 

翼は送られてきた通信に質問するが、答えは航空機かは分からないという答えだった。そしてその直後、さらに通信が送られる。

 

「謎の未確認飛行物体は響ちゃんへ向かっていますッ!」

 

S.O.N.Gの面々及び、その場にいた全員は焦る。敵か味方かも分からないナニカが響へと迫っている。サンジェルマンたちは響を守ろうと体を動かそうとするが、力が入らない。

 

「動けッ!動いてくれッ!」

 

サンジェルマンは叫ぶが、体は動いてくれなかった。すると、突然ザギが弾き飛ばされた。

 

『誰だ、いったい?』

 

ザギは自分を弾き飛ばした物の正体を見る。その正体は赤い光の球だった。

 

「私を.....助けてくれたの?」

 

響は、ザギを弾き飛ばした光の球へと問い掛ける。光の球は響の方へと向き直る。すると赤い光の球は響に接近し、響を呑み込んだ。

 

「どういう事だ?これは」

 

ザギは困惑し、サンジェルマンたちは絶句する。

 

「嘘.....だろ?」

 

「立花が.....」

 

「呑み込まれちゃったデスよ⁉」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

赤い光の球に呑み込まれた響は、青と緑のトンネルの様な場所にいた。進んでも進んでも、青と緑のトンネルが続くだけだった。誰かいないのかと声をあげようとした瞬間、前から光が見えた。

 

「アレってさっきの.....」

 

それは先程、自分を呑み込んだ赤い光の球だった。すると赤い光の球の形が発光し、徐々に変化していった。響はその眩しさに思わず手で顔を覆う。光の球はTと酷似した形へと姿を変えた。さらに血管の様な橙色の線が伸び始め、人の様な姿になった。

 

(この巨人さん.....夢の中で見た)

 

響がそんな事を考えていると、夢の中で見た巨人が響へ話しかけてきた。

 

『光を君に託す。立花 響」』

 

「ま、待ってください!光を託すってどういう事なんですか⁉」

 

光の巨人が響の質問に答える事はなかった。響は答えてもらおうともう一度問いただそうとするが、その前に巨人は消えてしまった。そして響は現実へと戻される。

 

『戻ってきたのか、ようやく』

 

ザギは腕を組み、響を待ち構えていた。だが響にザギの声は聞こえていなかった。先程の光を託すという言葉の意味と、自分の体に漲る力の事しか頭になかった。

 

(力が.....漲ってくる)

 

『聞いているのかなぁ、人の話しを』

 

ザギは手刀で響を斬り裂こうとする。すると、響の目が赤く光った。

 

『何が起きてるんだ、いったい?』

 

響の目が赤く光ったかと思うと、ザギの二の腕と手首を掴み取った。

 

「あなたの様な人でなしを!私は!許さなぁぁぁぁぁい!

 

響が叫ぶと響の体に血管の様な光の紋様が浮かび上がり、白い光に包まれる。その眩しさに、その場にいた者は目を瞑る。そして光が晴れると、響の姿が変化していた。鎧の様な銀色のボディ。背中には背びれの様な突起。所々に筋肉の様な赤い部分と胸にはザギと似た形状をしたエナジーコアがあった。響が夢の中で見た巨人とそっくりな姿だった。その巨人の名はウルトラマン。ザ・ネクストと呼ばれたウルトラマンだ。

 

『力が漲ってくる.....』

 

『変身したのか?僕と同じ様に』

 

ザギとネクストが組み合う。だがネクストでは力及ばず、押し負けてしまう。ネクストがよろけて動きが鈍り、隙が生まれる。その隙を突いてザギは右拳でネクストの右即頭部を殴る。更に連続でネクストを殴る。ネクストは両腕で必死に防御の構えを取るが、防御を上回る攻撃力で押し切られる。ネクストはパンチやキックで反撃する。だがザギには通じず、逆に投げ飛ばされてしまう。

 

『まだこんなに実力差があるなんて.....』

 

ザギは手から光弾を発射して追い打ちをかける。ネクストは腕から光の刃、ラムダスラッシャーを発射して相殺する。光弾と光の刃がぶつかることで爆発が起き、視界が塞がれる。

 

(煙で周りが.....)

 

ネクストは辺りを警戒するが、ザギから発せられる威圧感が大きすぎて位置を把握できないでいた。

 

『ここだよ、僕は』

 

左からザギの声が聞こえた。ネクストが左を向くとザギが目の前まで迫っており、両腕でガードの姿勢を取るが突然ザギの姿が消えた。視認できない程の速度でネクストの目の前へと移動していのだった。そしてザギの拳がネクストを捉えた。ネクストは瓦礫を破壊しながら地面を転がっていく。

 

『呆気ないなぁ、思っていたよりも』

 

ザギは倒れているネクストを見ながら呟く。その口調から呆れや落胆が感じ取られた。

 

『こ、このままじゃ..... 』

 

ネクストのエナジーコアが点滅し始める。元より体力の限界が近かった響の体力はザギとの戦闘で更に消費されてしまった。

 

『私たちは、負けちゃうのかなぁ.....』

 

響の口から弱音が漏れた。圧倒的なザギの力を見せつけられた響の心は、崩れかけていた。

 

「めるな.....」

 

「諦めるなッ!立花 響ッ!」

 

そんな響へサンジェルマンが叫ぶ。

 

『サン.....ジェルマンさん?』

 

響はサンジェルマンの叫びに気づき、サンジェルマンを見る。さらにサンジェルマンは続ける。

 

「私ともっと話し合いたいと言ったのは誰だッ!それは立花 響!お前だろうッ!それとも、私と話し合いたいと言ったのは全て嘘だったのかッ!」

 

『ッ.....』

 

「立てッ!立花 響ッ!まだ私たちがいるッ!お前と手を取り合えていない私たちがッ!お前は誰かと手を取り合うために戦っているのではないのかッ!」

 

サンジェルマンの叫びは、折れかけていた響の心に活力を取り戻させた。

 

(そうだ。まだ私は、サンジェルマンさんたちと手を取り合えていない。そんなままで終わるなんて.....そんなの.....嫌だッ!)

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!』

 

ネクストが立ち上がると、ネクストは響の姿へと戻った。そして響とその場にいた者全ての体から、黄金の光が溢れ出し、響の手に集まっていく。

 

(暖かい.....)

 

光が消えると、響の手には短剣の様な物が握られていた。響はその短剣の様な物、エボルトラスターを夢で見ていたのを思い出した。

 

(これは.....絆。人が人に繋いできた.....)

 

響はエボルトラスターの鞘を左手で持ち、腰に構える。

 

「絆.....ネクサス」

 

そして右腕で本体を前方に引き抜き左肩に当てる。そこから右腕を伸ばし、空に掲げる。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

エボルトラスターから光が溢れ、響が光に包まれる。そして響の姿が変わる。その姿は先程のネクストと似ていたが、筋肉の様な赤い部分は銀色に、手首のカッターは突起に変わっていた。顔つきも少し変わっており、全身が銀色で覆われていた。胸には形の変化したエナジーコアがあった。それはネクサスアンファンスと呼ばれる姿だ。しかし、それだけではなかった。更にネクサスの体に光が集まり、ネクサスが光に包まれる。

 

(光は、絆だ。誰かに受け継がれて、輝いていく.....)

 

光が晴れるとネクサスの姿が変化していた。顔には3本の縦筋の様なライン。全身はネクサスよりも更に美しい銀色へと変化しており、背中からは翼の様なものが生えていた。

 

それはウルトラマン・ザ・ネクスト及びネクサスの本来の姿、ウルティメイト・ファイナルスタイルでもあるウルトラマンノアと呼ばれる存在だ。

 

「綺麗.....」

  

「なんて眩い光なワケダ.....」

 

「それに、暖かい光ね.....」

 

パヴァリアの三人組はそう口にする。ノアから発せられる光は、自分たちの痛みすら忘れさせてくれる程の暖かさを持っていた。

 

「くだらないッ!そんな光ッ!」

 

ザギがノアへと迫る。ノアは両腕でガードし、カウンターのパンチでザギの顔面を殴ろうとするが、ザギは後ろに飛び退いて回避する。後ろに下がったザギは手から連続で光弾を発射する。ノアは全て受けきるのは危険と判断し、回避に専念する。その時、地面を突き破って光弾がノアに襲いかかった。その光弾をノアは、無意識に空を飛ぶことで回避した。ザギはさらに光弾を発射するが、全て回避されてしまった。

 

(飛べる。私はこの空を、飛べるッ!)

 

そしてノアは更に高く舞い上がった。

 

『落ちろッ!カトンボッ!』

 

ザギもノアを追いかけるために、飛び上がった。

 

(不思議.....私は空を飛んだことなんてないのに、どうして飛んだことがある様に感じるんだろう.....)

 

響は自分が飛べることが不思議だった。そんな事を考えていると、頭の中に声が聞こえてきた。

 

『この感覚だ』

 

声が聞こえてきたと同時に、響は戦闘機のコックピットの中にいた。隣にはもう一機の戦闘機が飛んでいる。何処からか聞こえてきた声は、隣の戦闘機から聞こえてくるようだった。

 

『三万フィートの空を、たった一人、空気を切り裂いて飛ぶ。自分が、光になった様だ。まるで、銀色の流星みたいに.....』

 

その声の正体は、最初のデュナミストである航空自衛官の真木 舜一だった。真木の声が聞こえなくなると、響は現実へと引き戻される。

 

『余裕だなッ!随分とッ!』

 

ザギが先程と同じ様に光弾を連続で発射し、ノアへ迫る。ノアは光弾を躱しながらザギへ光弾を発射して応戦する。両者はお互いに光弾を発射するが全てが躱されるか撃ち落とされてしまい、攻めあぐねていた。

 

『どうだい?これならッ!』

 

ザギは手に光弾を作り出し、拳で殴る。殴られた光弾は分裂し無数の光弾へと変わり、ノアへと襲いかかる。ノアは自分に向かってくる光弾を、視界からザギを外さない様にしながら躱す。たがその内の何個かの光弾がノアを追尾してきた。

 

『追尾式ッ!?』

 

ノアは追尾式の光弾を躱そうと飛行するが追尾性能が高く、ノアは光弾でそれらを撃ち落とした。だが、爆風でザギを見失ってしまった。

 

『ここだよ、僕は』

 

爆風を突き抜けて、ザギが接近してくる。右腕には闇のエネルギーで作られた鉤爪の様な武器、メフィストクローが装着されていた。ザギはノアを貫こうとメフィストクローを連続で突き出す。あまりの速さに残像が残る。それに対してノアも残像を残す程の速さでメフィストクローを回避し、頭を下げカウンターのアッパーカットでザギとの距離を空ける。ザギは飛行能力で体制を立て直し、ノアの追撃を警戒する。両者は2分程睨み合い、再び戦闘を開始する。すると、破裂音に似た音が鳴り始める。それは、2人のスピードが、音の壁を破った事を意味していた。両者は飛行しながら互いに攻撃を繰り出す。

 

『ジュワッ!』

 

『uuurrrggg!』

 

ノアの右ストレートがザキの腹部を、ザギの蹴りがノアの顔を捉えた。ノアはザギの足を掴み体を回転させ、ザギを投げ飛ばそうとするが投げ飛ばされる直前にザギはノアの腕を掴み、逆に投げ返した。

 

『uuuuugggggrrrrr!』

 

ザギが叫び声を上げながらノアに近づき、拳に闇の炎をを纏わせる。ノアは腕に炎を纏わせ、迎え撃つ。

 

『うおおおおッ!』

 

『uuuugggg!』

 

互いの拳が激突すると付近の雲が消し飛ぶ程の衝撃が発生し、その衝撃は地上にまで到達した。空を見ると、音速で飛び回るノアとザギの姿がしっかりと目に入った。

 

「銀色の.....流星..... 」

 

誰が言ったのかは分からないが、その場にいた者全員はノアの姿を見て、そう感じていた。光を反射しながら飛び回る姿はそう思わせる程の説得力有していた。

 

『落ちろ、いい加減にッ!』

 

ザギはグラビティ・ザギを発射して撃ち落とそうとするが逃げ場の多い空中では、簡単に避けられてしまう。

 

(どうすればいい、奴を地面に落とすには.....)

 

ザギは飛行しながら考える。すると、地上にいるサンジェルマンたちを見つけた。

 

(そうか、サンジェルマンたちを使えば.....)

 

ノアを追いかけていたザギは動きを止めて、降下していった。

 

『まさかッ!』

 

ノアはザギの思惑を察し、ザギの後を追う。

 

『守ってみろッ!神殺しッ!』

 

ザギは光弾を地上に向けて発射する。向かう先にはサンジェルマンたちがいた。

 

『間に合えぇぇぇぇッ!』

 

ノアは自分の体を盾にして光弾をガードする。

 

『ぐあああッ!』

 

『ハハハハハッ!バカだなぁ、君もゼットンも』

 

ザギはさらに光弾を発射する。ノアは自分の体を盾にして地上にいるサンジェルマンたちを守る。

 

『消えてもらうよ、邪魔な君たちは』

 

ザギはノアのエナジーコアに手を当てる。すると、ノアのエナジーコアからエネルギーがザギに吸収されていく。

 

『うああッ!』

 

ノアは苦しそうな声をあげながらも抵抗するが、体に力が入らない。ザギはその光景をサンジェルマンたちに見せつけている様だった。希望を完全に破壊するために。

 

「このまま黙って見ていられるかッ!」

 

『何が出来るというんだい?君に』

 

サンジェルマンが飛び上がり、ザギの背後へ接近する。

 

『何が出来るというんだい?たかがスペルキャスターで』

 

だがザギはサンジェルマンの接近に気づいていた。だが、サンジェルマンでは自分に勝てない事は分かっていたため何もしなかった。

 

「確かに私では局長には勝てません。だがッ!勝利への道を切り開く事は出来るッ!」 

 

サンジェルマンは一発の銃弾をスペルキャスターに装填し、ザギの背中へ発射する。

 

『立花 響ィィィィィィィィィィ!』

 

放たれた銃弾はザギの背中へ命中し、突き刺さる。

 

『傷つくと思うかい?そんな銃弾で.....』

 

その直後、ザギの体に激痛が走った。

 

『グゥアアアアアアアアアアッ!』

 

ザギはあまりの痛みにノアを手放した。ノアは重力に引かれて落下するが、サンジェルマンが受け止め、地上へと運ぶ。

 

『何をしたサンジェルマンッ!答えろッ体の中から焼ける様なこの感覚は何だッ!グアアアアアアアッ!』

 

怒りの感情を剥き出しサンジェルマンへと怒鳴るが、痛みが増して、ザギを苦しめる。そんなザギの姿を見て、サンジェルマンは笑みを浮かべながら答える。

 

「私が打ち込んだのはプレラーティが局長に撃ち込む為に作った最高純度のラピスの銃弾でもあり、私たちの絆の結晶です。独りよがりなあなたには劇薬に等しいでしょうね」

 

そんなサンジェルマンの態度にザギはさらに怒る。すると全身から闇が溢れ出し、溢れ出た闇が空を覆った。

 

「闇が.....」

 

空中にいるザギを見ると、ザギの体の赤いラインが闇の中でもハッキリ分かるほど発光していた。

 

 

『皆殺しだァァァァァァァァァァァ!僕の邪魔をする奴はァァァァァァァァァァァァァァ!』

 

ザギは両腕を広げ、左手首に右拳を打ちつける様に腕を組む。

 

『消えてなくなれェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!僕に従わない存在はァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!』

 

ザギの腕から紫と黒、赤の混じった禍々しい光線、ライトニング・ザギをノアたちに向けて発射した。

 

『私たちだって、滅ぼされてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

ノアはザギとは逆の右手首に左拳を打ちつける様に腕を組む。ノアの腕から太陽の様に光り輝く光線、ライトニング・ノアが発射され、両者の光線が衝突する。

 

『uuuuuuuuuuuuuuuuugggggggggggggggggggrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!』

 

『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

光線の撃ち合いはザギが僅かに軍配が上がっていた。

 

(ダメだ.....パワーが足りない.....)

 

先程ザギにエネルギーを吸収されたせいで、力が低下してしまっていた。

 

もうダメだという思いが頭の中に浮かんでくる。だがそんなノアの背中を支える者がいた。

 

『サンジェルマンさん?』

 

ノアの背中をサンジェルマンたちが支えていた。

 

「諦めるな立花 響。お前は一人で戦っているのではないッ!その光は私たちの絆が生み出した光。私たちは共に戦っているのだッ!私たちが諦めていないというのに、お前が諦めてどうするッ!」

 

その言葉に響はハッとする。

 

(そうだ、この光は私だけの光じゃない。サンジェルマンさんが、みんなとの絆の力で私は戦えているんだ.....それなのに、私が諦めるなんて絶対に出来ないッ!)

 

『おおおおおおおおおおおおおおッ!』

 

ノアの光線が、ザギの光線を押し始めた。ノアの力が増したことにザギは動揺する。

 

『僕が押されているのか⁉何故だッ!僕は完全だッ!負けるはずがないッ!何処にそんな力が残されているんだ⁉』

 

『これが私たちのッ!絆のチカラだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!』

 

サンジェルマンたちの力がノアに集中するとノアの光線の幅が広がり、ザギの光線を呑み込んだ。そして、そのままザギは光に呑み込まれた。

 

『絶望しろ、明日に、未来に。アヌンナキの降臨は.....近い.....』

 

ザギはそう言い残して、爆発した。ザギが爆発した事によって、空を覆っていた闇は晴れ、雲ひとつない青空が広がる。

 

『やっと.....終わったんですね.....』

 

ノアがそう言うとノアの体が発光し、響の姿へと戻った。その光の行く先を見ると、空へと昇っていきやがて消えてしまった。光が見えなくなると響は、サンジェルマンの方を向く。

 

「サンジェルマンさん、ありがとうございました。サンジェルマンさんが励ましてくれたお蔭で私は、諦めずに最後まで戦うことが出来ました」

 

「礼を言うのはコッチの方だ。お前たちのお蔭で私は人の光を見ることが出来た。だから、ありがとう」

 

礼を言ったサンジェルマンの顔は、とても暖かい笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところでさぁ.....みんな俺のこと忘れてない?

 

これも全て作者って奴の仕業なんだ.....

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はエピローグ。

ネクストとネクサスのセリフを入れてみました。

カリオストロさんといえば何処が一番?

  • オッパイ
  • 仕草
  • 全てに決まってんだろ?

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。