転生したのはいい...けどなんでゼットン?しかもノイズ   作:蝙蝠男
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予告したのと違うお話で申し訳ない。メフィストの話を書くなら今回は必要だと思い書きました。ネクサスで言うとメフィストVSツヴァイです。

この番外編の時系列とかは別に設定してないです。

因みにですが、この世界でネクサスになったのはマリアさん(ジュネッス)エルフナインちゃん(ジュネッスブルー)です。


番外編 飛び立てない私にあなたが飛び立つ勇気をくれた。

かつてダークメフィストとして暗躍し、特異災害対策機動部二課。そして二課が再編成された形となって誕生したS.O.N.Gと幾度となく激闘を繰り広げてきた天羽 奏はマリアとの決戦の影響で記憶を失っており、S.O.N.Gに拘束されていた。だが隙をついて逃げ出した先で任務中の翼と遭遇してしまった。

 

「お前は.....」

 

「やっぱり.....何も覚えてないの.....?」

 

奏は翼を睨みつけながら問い詰めると、翼の顔は悲しみで歪む。

 

「覚えてないだぁ?アタシはお前なんて知らねぇ!潜水艦にいた奴らだってそうだ!自分たちの事を覚えてないかなんて聞きやがって!お前らの事なんざ知らねぇんだよ!」

 

奏の叫びを聞いて翼は涙を流し始めた。ノイズによって命を落としたと思っていた嘗ての自分の片翼。敵として現れた時は生きていたという喜びと、刃を向けなければいけないという悲しみが心の中にあった。それが今では記憶を失い、初めて会った時と同じ様に自分を敵視する姿がとても悲しかった。

 

「私は.....」

 

「あ?言いたい事があんならハッキリ言えよ」

 

「私はアナタの嘗ての片翼!貴女と一緒に歌って、一緒に戦ってきた風鳴 翼!貴女が覚えていなくても私は覚えている!貴女は私の最高の相棒!」

 

「ッ⁉」

 

その時、奏の頭にズキンと痛みが走った。そしてボンヤリとだが過去の記憶が浮かび上がる。

 

「片翼.....ツヴァイウィング.....やめろやめろやめろ!ボンヤリと浮かび上がってくるコレは何なんだよ⁉アタシは.....アタシは誰なんだよ⁉」

 

「思い出して!私が貴女と過ごした毎日を!リディアンでツヴァイウィングで!シンフォギア装者として過ごした事を!」

 

翼の叫びで奏の記憶に掛かっていた靄が晴れ、全てを思い出した奏は叫び声を上げる。

 

「う、うあああああああああああッ!」

 

叫び声を上げた奏は地面に倒れそうになる。だが翼が支え、抱き締める。

 

「ゴメンね奏。今まで貴女がそんなに苦しんでいたなんて気づけなくて、本当にゴメンね.....」

 

「ア、アタシは.....ッ⁉」

 

「奏?どうし「どけッ!」なッ!?」

 

奏が翼を突き飛ばした。翼は何で自分を突き飛ばしたのかと聞き出そうとするが、奏が脇腹から血を流して倒れたのを見て顔が青ざめた。奏の元へ駆け寄ろうとするが、奏に傷を負わせたであろう犯人の声を聞いてその足を止めた。

 

「そんなくだらない友情ごっこで手に入れた力を捨てるとは.....この力は英雄となる僕にこそ相応しいですねぇ。貴女もそう思うでしょう?」

 

その声を聞いた翼は全身の毛が逆だった様に感じた。その声の主はS.O.N.Gの面々には苦い思い出しかなかった。

 

「何故だッ!何故お前が此処にいるッ!」

 

 

 

 

 

「ドクター・ウェル!」

 

 

 

 

翼の反応を見て、狂気を含んだ笑い声を上げながらドクター・ウェルは答えた。

 

「ヒャーハハハハハハハハハハ!何で僕が此処にいるかだって?僕の英雄になる為にアンノウンハンド様が力を貸してくれたからですよ!そして僕が英雄になるためにはシンフォギア装者たちは邪魔なのでね、先ずは貴女から死んでもらいますよッ!風鳴 翼!」

 

ドクター・ウェルは懐から黒い棒の様な物を取り出した。

 

「そ、それは奏が使っていた....」

 

ドクター・ウェルが取り出した物、それは奏がメフィストに変身するために使っていたダークエボルバーだった。

 

「僕が英雄になる為には、お前は邪魔なんだよッ!」

 

ドクター・ウェルはダークエボルバーを左右に伸ばすとドクター・ウェルの姿が変わる。

 

「ア〜ヒャヒャヒャヒャヒャ!お前を殺して僕の英雄への第一歩だぁ!」

 

「そう簡単に倒せると思うてくれるなッ!」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

翼は聖唱を歌い、アメノハバキリのギアを纏う。奏に危険が及ばない様にするために場所を変える。そしてアームドギアを手にし、ダークメフィストIIへと斬りかかる。メフィストはアームドギアを腕に装着された鉤爪状の武器、メフィストクローで受け止める。両者の武器から火花が散る。

 

「想像以上の重さだな.....」

 

「当たり前でしょう!何故なら僕は英雄になるのですからねぇ!」

 

翼はダークメフィストIIのパワーに驚いていた。非力なドクター・ウェルが変身したならば苦にはならないだろうと僅かにだが油断していた。

 

「その程度かぁ!」

 

「くッ..... 」

 

その油断で隙が生じ、押し負けてしまった翼はメフィストクローの連続攻撃を受けてしまう。

 

「此れはオマケですよッ!」

 

メフィストIIは光弾を翼に狙いを定めて発射する。

 

「うあああッ!」

 

翼は何とか立ち上がるがダメージが大きく足元はフラついていた。

 

「まさかこの程度で終わりですかぁ?貴女とあろう者がぁ!」

 

メフィストIIの目が赤く光り、翼へ殴る蹴るなどの追い打ちをかける。翼は防御する事も出来ず攻撃を受け続けるしかなかった。

 

「それじゃあ貰いましょうかねぇ。貴女のエネルギーを!」

 

メフィストIIが翼のペンダントに触れると、ペンダントからエネルギーが吸い出されていった。

 

「ぐ、ぐあああああッ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

天羽 奏は翼がメフィストIIに追い詰められているのをただ見ているしかなかった。ギアもなく、ダークエボルバーはメフィストIIが持っているため今の奏に出来る事は何もなかった。

 

「どうしてこんな時に限ってアタシには力がないんだッ!くそッ!」

 

奏は地面に拳を叩きつける。その拳には、目から溢れ出た涙が落ちる。

 

「頼むッ!一度でいいんだッ!力をッ!翼を助けられる力をくれぇぇぇ!」

 

その時だった。奏の右手に光が集まってきた。

 

「これは.....」

 

やがて光は大きくなり、目が眩む程の輝きへと変わる。すると光は奏の体全体へと集まり、奏の体から光の粒子が解き放たれた。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 

奏の体にヒビが入りダークメフィストに姿を変えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(ダメだ.....力が入らない.....)

 

メフィストIIにエネルギーを吸収され続け、翼の体力は限界に近づいていた。

 

「これでお前も終わりだぁぁ!」

 

(私は此処で終わるのか.....情けないな.....)

 

翼が諦めかけた直前、メフィストIIが殴り飛ばされた。

 

「デュアッ!」

 

「ぐがああッ!」

 

翼はメフィストIIを殴り飛ばした者の姿を見ようとすると、そこにはメフィストが立っていた。

 

「奏.....なの?」

 

メフィストが翼の問いかけに応えるはなかったが、メフィストの正体が奏であることに気づいた。

 

「一度は力を手放した愚か者がぁ!」

 

メフィストIIはメフィストクローで斬りかかる。メフィストは体を捻って回避し、蹴り飛ばした。さらにメフィストIIの顔面を右ストレートで殴りつける。

 

「おのれぇぇぇぇ!」

 

メフィストIIは激昂し殴りかかるが投げ返されてしまった。立ち上がったメフィストIIはクローでメフィストを突き刺そうとするが左手で受け流され、右拳でアッパーカットで反撃を受けた。

 

(このまま一気に畳み掛けるッ!)

 

メフィストは追撃をしようとするが、撃たれた脇腹が痛んだ。

 

「ぐッ.....」

 

メフィストIIは痛みで動きが鈍った隙を逃さず、クローで何度もメフィストを切りつけた。

 

「隙ありだぁ!」

 

「ぐああああッ!」

 

トドメの一撃と言わんばかりにメフィストIIは脇腹にクローを突き刺した。

 

「う.....」

 

「邪魔が入ったが此れでッ!」

 

メフィストIIはクローを引き抜こうとするがメフィストはその手と肩を掴み、ガッシリと押さえつけた。

 

「貴様何をする気だッ!離せッ!」

 

「こうするんだよッ!」

 

メフィストIIの手と肩を掴んだメフィストは、体を翼の方へと向けて叫んだ。

 

「アタシごとコイツを斬るんだ翼!」

 

「嫌だよ!私には、私には奏を斬るなんて出来ないよッ!」

 

翼は斬りたくないと叫ぶが、メフィストはそれでも続ける。

 

「巫山戯んなッ!お前の剣はなんの為にあるんだよ!お前は防人だろッ!人を守る為にシンフォギアを纏ったんだろ!人を傷つける悪が此処にいるんだッ!やれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

翼は涙を流し、その手は震えていた。だが奏の叫びを聞いて翼は目を見開くとアームドギアをしっかりと握り、力を込める。

 

「ああああああああああッ!」

 

翼のアームドギアから蒼色のエネルギーの刃が放出されメフィストとメフィストIIを呑み込む。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翼は奏を探していた。森の中を歩き回り、奏の名前を叫びながら辺りを見渡していた。

 

「奏ッ!」

 

すると、脇腹から大量の血を流し、木に寄りかかっている奏を見つけた。

 

「アハハハ.....何だか寒いし周りも暗くなってきたよ」 

 

「ダメだよ奏ッ!生きて、生きて私たちと一緒に!」

 

翼は涙を流しながら奏の意識を保たせようとするが奏は首を振る。

 

「翼のお蔭でアタシは.....飛び立つ勇気が持てたよ.....それに翼?お前はもう、一人でも飛べるさ。お前をもっと見ていたかったけどさ、お別れだ」  

 

「嫌だ.....これでお別れなんて嫌だよ!もっと歌いたかった!学校生活を送りたかった!なのにこれで終わりなんて奏はイジワルだよ!」

 

「最後に、最後に伝えておくよ。アンノウンハンドは、お前たちの近くにいる。気を.....つ..... けろ.....」

 

そう言って奏は目を閉じ、腕からは力が抜け地面に落ちる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

S.O.N.Gの休憩所では、一人のオペレーターがパソコンに文字を打ち込んでいた。

 

天羽 奏(ダークメフィスト) Delete

 

ドクター・ウェル (ダークメフィストII)Delete

 

文字を打ち込み終わったオペレーターは席を立ち、自身の職場へと向かった。席を立った直後、女性オペレーターの友里 あおいがそのオペレーターへと声をかけた。

 

「温かいものどうぞ」

 

そう言って友里はコーヒーを渡した。そのままオペレーターはコーヒーを受け取る。

 

「温かいものどうも」

 

「それにしても随分と熱心に打ち込んでたね。何か大切な仕事なの?」

 

「いや、趣味みたいな感じかな?人にみせるほどでもないけどね。アハハハハ」

 

「そうなの?だけど程々にね。疲れを感じたらちゃんと休んでね

 

 

 

 

             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        藤尭くん」

 

 

そう言われて藤尭は苦笑いを浮かべながら答える。

 

「ま、まぁ善処するよ」

 

 

藤尭は友里に背を向ける。その時の藤尭の顔は不敵な笑みを浮かべていた。




次回で番外編は終わるかも?


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