IS ~世界は私達4姉妹を中心に回っている~   作:とんこつラーメン
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今回は金剛が未攻略ヒロインに会いに行きます。

誰かは……言わずとも分かりますよね?






金剛 部活に行く

 前にも言ったと思うが、IS学園の寮は学年ごとに分かれており、それぞれの寮にも食堂が一か所ずつ完備されている豪華仕様だ。

 私は『一年どもの様子を見に行く』と言った千冬さんと別れて、部屋に一旦戻って制服に着替えてから食堂に向かった。

 妹達はもう食堂に行っているようで、行く途中で会う事はなかった。

 確かに私達は仲睦まじい四姉妹だが、いつでもどこでも一緒にいるというわけじゃない。

 姉妹だからこそ、それぞれのプライベートは尊重しあっている。

 

「あ! 金剛さんよ!」

「おはよう、金剛さん」

「Good morning! 今日もいい天気ネ~!」

 

 もう完全にテンプレと化した挨拶を道行く同級生と交わす。

 軽く手を振るだけでワーキャーと騒ぐ彼女達を見ると、どうして朝からこんなにも元気なんだろうと疑問に感じてしまう。

 精神年齢が完全にオッサンだからだろうか。

 

 軽い足取りで食堂に入り、そのまま食券を購入。列に並ぶことに。

 今日の朝食はフレンチトーストとレモンティーのセット。

 榛名の淹れてくれる紅茶も絶品だが、この食堂の紅茶も中々に侮れない。

 

「あいよ。おまちどうさま」

「Thank youネ~」

 

 注文の品を受け取ってから食堂を見渡すと、すぐに妹達を発見した。

 隣には目立つ水色の髪の少女がいた。あれは間違いなく楯無だ。

 

「Good morning! ここいいですカ?」

「「「金剛お姉さま! おはようございます!」」」

「金剛ちゃん。おはよう」

 

 妹達はともかく、楯無は家の方で色々と忙しかったはずだけど、疲れた様子が無い。

 私達程ではないけど、彼女も彼女で結構タフだ。

 

「あら? 金剛ちゃん……ちょっと元気無い?」

「楯無さんも気が付いたんですね。榛名も一目見てそう思いました!」

「私も! 私も!」

「ふっ……。幾ら金剛お姉さまとは言え、私の目は誤魔化せませんよ?」

「どうやら、そうみたいですネ……」

 

 妹達だけでなく、楯無にもバレているとは。

 いやはや、隠し事は出来ないもんだ。

 

「実は……また見ちゃったんですヨネ……」

「見たって……まさか」

「アレ……ですか?」

「Yes……」

 

 妹達も私と同じ境遇が故に、『体の記憶』を夢と言う形でよく見ている。

 だけど、今回見たのは私だけみたい。

 

「どうして今更……。最近は全く見なくなっていたのに……」

「恐らくですケド、(原作に)入ったからでしょうネ……」

 

 真の意味で物語が始まった事で、私達にも何らかの影響が出ているのかもしれない。

 あくまで可能性の話だが。

 

「でも、心配は無用デ~ス! 悪夢程度でどうにかなる程、心も体も軟な鍛え方はしていまセ~ン!」

「そうですよね。あの金剛お姉さまが夢如きに屈するなんて有り得ません!」

「比叡の言う通りです」

「私達の心配は杞憂だったようね」

 

 私が大丈夫なように、この子達もきっと大丈夫であると私は信じている。

 何故なら、共に無数の苦難を乗り越えてきた掛け替えのない同志なのだから。

 

「なんだか分かんないけど、何か嫌な夢でも見たの?」

「そんなところデス。でも、もう大丈夫デス。妹達と楯無の顔を見て元気が出ましたし、さっきは千冬さんとも会いましたしネ」

「え? 織斑先生と?」

「えぇ。すっかり励まされたネ~」

「どんな風に励まされたかは……聞かない方が良さそうね」

「別に聞いてもいいですヨ? さっきまでずっとキスしてただけだシ」

「なっ!?」

 

 ここで楯無の顔が真っ赤に沸騰。

 少し声量を抑えていたので、周囲の生徒には聞こえていないかったみたい。

 

「流石は金剛お姉さま……朝からお盛んですね」

「いや、キスから先はしてませんからネ?」

「でも、続きはするんでしょう?」

「Of course! 夜にすると約束したネ~!」

「あらら」

 

 今度は頭から湯気が出始めた楯無。

 普段は大人ぶっているくせに、根っこの部分は純情少女なのよね~。

 だからこそ、一緒にいて楽しいんだけど。

 

「よかったら楯無もご一緒しますカ? 偶には3Pも悪くないネ~」

「えええええええええっ!?」

 

 もう何回もセックスしたのに、この乙女な部分はどうにかならんもんか。

 これで原作では水着エプロンとかしてるんだから、意味が分からない。

 

「わ……私はその……ゴニョゴニョ……」

「金剛お姉さま。楯無さん、完全にキャパオーバーしてます」

「榛名の言う通りみたいネ。どうやら、Overheatしちゃってるみたいね」

「後で虚さんでも呼んでおきましょうか」

「それが良さそうネ~」

 

 全く……こんな可愛い顔を見せられたら、普通に夢の事なんて忘れてしまう。

 今日は楯無の初心さに感謝ネ。

 

 それと一応言っておくけど、こうして話しながらも器用に食事はこなしていマ~ス。

 そこら辺は抜かりがないのが金剛四姉妹ネ~。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 昼食時になにやら食堂で一悶着あったみたいだけど、今日の昼食は姉妹揃って中庭のベンチで優雅にクロワッサンを初めとしたパンを食べながらのティータイムだったので、全く知りまセ~ン!

 どうせ原作と同様に上級生が織斑一夏に迫って、それを篠ノ之箒が追い払ったって感じでしょうケド。

 

 午後の授業が終わり、放課後になった。

 私達姉妹はそれぞれが所属している部活をする為に部室棟へと向かうが、私だけは違う方向へと足を向けた。

 私の部の活動場所は部室棟がある場所から少し離れているから。

 

「どうしてここまで弱くなっている!」

 

 おやおや? なにやら剣道場から大きな声が聞こえてきた。

 なんて、声の主はもう知っている。

 剣道場に大勢の女子生徒が群がっているのが、私の予想が当たっている事を示している。

 

「皆サ~ン。どうしましたカ~?」

「こ……金剛お姉さまっ!?」

「えっ!? どこどこっ!?」

 

 Ou……あっという間に見つかってしまったネ~。

 

「えっと……道場で織斑君と篠ノ之さんが試合をしてたんですけど……」

「Ah~……もう大体分かりましたネ~」

 

 そういや、二日目だったっけ。

 あの二人が剣道場で揉め事を起こすのは。

 

「ちょっと失礼~」

 

 人込みを丁寧に掻き分けながら進み、道場に入る。

 

「Hey Hey! そこのBoy&Girl! どうしましタ~?」

「あ……」

「こいつは……!」

 

 早速の先制攻撃。

 篠ノ之箒から睨みつけるを喰らったネ~。

 

「どうして貴女がここにいるのですか?」

「そりゃいるでしょ。だって、金剛さんは剣道部の部長をしてるんだもの」

「な……なにっ!?」

 

 HAHAHA~! 原作ヒロインの驚いた表情を見れて満足ネ~!

 そこにいる剣道部の子が言った通り、私こそがこの剣道部の部長なのデ~ス!

 

「こ……この人は二年の筈だ! なのになんで部長なんだ……」

「それは単純だよ。金剛さんがこの中で一番強いから」

「強い……だと?」

「お……おい? 箒?」

(この似非外国人のような喋り方をする女が、この部で最強だというのか? 馬鹿馬鹿しい。こんな女に部長が務まるのなら、IS学園の剣道部もたかが知れているな)

 

 な~んて思ってるんだろうな~。

 思っている事が顔に出過ぎて、一瞬で理解出来た。

 

「今……私とこの部の事を馬鹿にしましたネ?」

「なっ……!(心を読まれたっ!?)」

 

 ……この子はpokerfaceと言う言葉を知っているのカシラ……?

 

「まぁ、初対面の人間の実力を疑うのも無理はありまセン。それなら、今からアナタと私とで戦ってみますカ?」

「いいだろう……! IS学園の剣道部の実力、見極めさせて貰う!」

「ちょ……止めとけって箒! 仮にも先輩なんだぞ!」

「お前は黙っていろ!」

 

 Wow……一蹴したし。

 完全に立場を無くした織斑一夏がちょっとだけ哀れに感じた。

 

「それじゃあ……」

 

 ここで本気を出すのは大人げないから、ちょっとした趣向をしようと思う。

 竹刀が置いてある場所でなくて、木刀が立てかけられている場所に向かって、二本の木刀を手に取ってから、その内の一本を彼女に向かって投げた。

 

「っと……。これは……」

「防具をつけての試合も悪くはないけど、私はこっちの方が好みなのよネ」

「フン! 私に木刀を持たせるとは、いい度胸だ」

 

 私の意図を読んでくれたようで、篠ノ之箒はその場で防具を脱ぎ去って道着姿になった。

 

「あの……金剛さん。その赤いテープが巻いてある木刀って……」

「ウフフ……♡ 血気盛んな新入生には丁度いいhandicapよ」

 

 軽く木刀を振って具合を確かめる。

 うん。悪くない。

 

「道着には着替えないのか?」

「そんなもの着なくても、何も支障はないでショウ? それよりも、いつでも掛かってきていいですヨ? C,mon~」

「ならば……お言葉に甘えさせてもらうぞ!」

 

 真っ直ぐに向かってくる彼女を見据えながら、だらんと木刀を持った手を下に下げる。

 

「舐めているのか! 貴様!!」

「舐める……ねぇ……」

 

 眼も剣筋も、その性格を表すかのように真っ直ぐ。

 でも、それじゃあ私は倒せない。

 

「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

 

 両手持ちからの真っ向唐竹割り。

 それを私は軽くガード。

 

「な……んだと……! ビクともしない……!」

「ホラホラ。これでfinishですカ?」

「いいやまだだ!」

 

 次々と繰り出される鋭い剣。

 斬り上げに薙ぎ払い、連続突きに渾身の力を込めた一撃。

 そのいずれもが、私の前では無力だった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……。どうして一発も打ち込めない……!」

「もうマジで止めろって! 長い間剣道から離れてた俺でも分かるぐらい、その……金剛さんって人と箒の実力差は開いてるぞ!」

「五月蠅い! 今のお前に何が分かる!!」

「分かるさ! だって金剛さん、いや先輩か。兎に角、さっきからその人、その場から一歩も動かないで(・・・・・・・・・・・・・)左手一本だけで戦ってたんだぞ(・・・・・・・・・・・・・・)!」

「なん……だって……?」

 

 なんと……。まさか、私のhandicapを一目で見破るとは。

 成る程、その観察眼だけは原作通りのようね。

 

「ほ……本当……なのか……?」

「バレたのなら仕方がありまセ~ン。確かに私は、この場から全く動かないで、利き腕じゃない方での腕でやってましタ」

「そんな……」

 

 剣道の全国大会で優勝をしたとは聞いていたけど、その程度で調子に乗られては困る。

 世の中には、想像を絶するような強者が腐るほどひしめいているんだから。

 

「ついでに言うと、もう一つハンデはあったわよね? 金剛さん」

「そうネ。そこのえ~っと……織斑くん? ちょっとこっちに来てくれますカ?」

「は……はい」

 

 年上の先輩のご指名を受けて、ちょっと緊張気味?

 なんか顔が赤いですよ?

 

「コレ、持ってくれマス?」

「分かりまし……ぬわぁっ!?」

 

 私の木刀を持った途端、彼は床に倒れ込んだ。

 

「ちょ……この木刀……マジで何キロあるんだよ……! 全然持てなかった……」

「200㎏ちょいだった……カナ?」

「「ハァッ!?」」

 

 木刀を落とす直後に手を放したお蔭で大事には至らなかった様子。

 こんな事で怪我でもされたら、流石に悪い気がする。

 

「この木刀は私がtrainingをする為に作って貰った特注品で、いつもこれで練習をしてるんデスよ?」

「じょ……冗談だろ? 200キロを片手でって……」

「一応言っておくと、織斑先生もこれと全く同じ木刀で自主練を行ってマス」

「千冬姉もっ!?」

「私がコレの事を話すと、自分も欲しいと言ってきたので、もう一本注文しましタ」

「なにやってんだよ……」

 

 弟としては、姉がこんなとんでも木刀を所持しているのは複雑なんだろうな。

 私の妹達も、私がこれを購入した事を話すと同じような顔をしていたし。

 特に楯無の顔が凄かった。あの顔は一生忘れないだろう。

 

「私の……私の剣が……どうして……」

 

 あらら。どうやら少しやり過ぎてしまった様子。

 床に膝をついて、呆然自失になっていた。

 これは、アフターケアが必要かもしれない。

 

 

 

 

 

 




意外! まさかの二話構成!

私の小説あるあるの、書いていく内にいつの間にか想像以上に長くなっているの巻。

今回は接触編。

次回、箒攻略の第一歩?

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