東京喰種:re cinderella   作:瀬本製作所 小説部

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僕は困難に出会ってしまった

そいつは僕よりはるかに強い喰種で、僕と同じ隻眼の喰種だ


Caring Feeling

志希Side

 

 

「今頃何してるんだろ?」

 

私は床に転がり、天井に会話するようにつぶやいてみた。

 

しばらくベランダで外の空気を吸っていたのだけど、秋風が肌寒く感じたため部屋に戻り、床に転がった。

 

少し開けた窓からびゅーびゅーと聞こえる秋風の音がまるで状況を教えているように聞こえる

 

その音は怖く聞こえるけど、あたしの胸の中に好奇心が生まれる。

 

他人から見れば気が気が狂ったと思われるだろうね。 

 

だけどそれがあたしと言う人間だ

 

ただ安定した生活をするよりも、スリルを感じられる刺激のある生活を望むのが、あたし

 

「そういえば、ササハイさんは生きているのかな?」

 

オークション会場にはものすごい喰種がいると耳にしているから、おそらく犠牲者は多いかもしれない。

 

でもササハイさんは強い人だから、太刀打ちはできるかも。

 

「まぁ、明日には答えが出るから、待ってみようか。あたしの望みはもちろん生きて欲しいけどね」

 

 

あたしは天井と会話するように呟き続けた。

 

 

 

そういえば、あの子も同じくオークション会場にいたよね?

 

あの子は帰っているのかな?

 

それとも死んでいるのかな?

 

あたしがそう考えても、日が明ければ答えがわかる

 

 

 

あたしはササハイさんとあの子が生きて帰ってくることを望むよ

 

 

 

 

 


 

 

琲世Side

 

 

 

 

緊張感が背中に張り付いたかのようにまったく抜けない。僕たち。

僕たちは会場の外から出て、急いで管理棟に向かっていた。

 

「たく...トオルを襲った喰種はなんなんだよ...しかもその仲間が赫子を分離って、あんなのありかよ?」

 

「まさかあんな喰種がいるとは驚いたよ」

 

先ほど六月くんを襲った喰種と戦いあともう少して駆逐できるその時、ある一匹の喰種が現れた。六月くんを襲った喰種を赫子で引っ張り出し、退路に赫子の壁を築いたのだ。通常のクインケでは破壊することができず、別のルートに行くことになった。

 

「なぁ、サッサン?本当に瓜江に任せて良かったのか?」

 

「和修准特等が瓜江くんを指名したから、きっと大丈夫だよ」

 

「ウリボーイは少なくとも私らより優秀だからいいじゃね?」

 

「そ、そうだけどよ...才子、痛いことを言うなよ」

 

今、僕と一緒にいるのは不知くんと才子ちゃんだけで、六月くんと瓜江くんはいない。六月くんはこれ以上の戦闘はできないと判断し、和修准特等に退却の許可を頂いた。伝えた直後は許可を頂けるか心配だったが、和修准特等は拒否せず六月くんの退却に許可をし、ついでに瓜江くんを同行させるように僕に伝えた。僕は和修准特等が退却を許可をするのは驚いた。あの人は人を使い捨てることがあるため、おそらく退却を認めることはないだろうと考えていたのだが、まさか退却を認めるのは驚いた。

 

「とにかく僕たちは管理棟にむかうよ。あそこを攻略すれば他の喰種の居場所が特定できるからね」

 

「なんだよ?上層部はこの建物の全体を把握できてないのか?」

 

不知くんは僕の言葉に少し頭を傾げた。

 

「一応情報部も全体を把握しているよ。だけど今僕たちが戦ってきた喰種のほとんどはアオギリに所属する喰種だよね?」

 

「確かにはアオギリの喰種しか見てねぇな」

 

「そう、オークションに参加した喰種はどこかに隠れているよ。おそらくは隠された場所にね」

 

廊下で倒れる喰種や僕たちを襲う喰種のほとんどはアオギリの樹に所属する喰種ばかりで、まるでオークションが行われた様子がない。

 

「だから管理棟を占拠して、オークションに参加していた喰種を今すぐ見つけないと逃げられるよ」

 

「そうだな。さっさとぶっ殺さねえとな....あ、そういや、阿藤さんたちはどうしたんだ?」

 

「阿藤さん?今、僕たちと一緒に管理棟に向かっているはずだけど....」

 

通信から阿藤准特等率いる阿藤班は僕たちクインクスと一緒に管理棟に向かうのだが、合流するのがやけに遅い気がする。阿藤班は数々の作戦に参加した経験豊富な班なのだが、未だに僕たちクインクスの元に合流しない。

 

「とにかく、合流する前に管理棟に向かうよ。管理棟を抑えているナッツクラッカーを駆逐しないと」

 

「オウ」

 

会場の外から聞こえるのは夜の静けさではなく、羽赫クインケの発砲音や鋼同士が打ち合う音、あとは喰種か捜査官の悲鳴。僕と不知くんはなんども喰種と戦ってきたから戦闘の音を気にすることはないのだが、才子ちゃんは全く慣れていないせいかその音が出るたびにビクッと体を震わせる。

 

「ママン...本当に戦場にいるんだよね?」

 

「うん、そうだね。ちゃんと僕に離れないようにね」

 

今の所、他のところでは犠牲者が出ているため、気が抜けない。考えたくはないが、僕が指導しているクインクスの誰かが死ぬ可能性がある。だからちゃんと戦わないといけない。生き残るために。

 

「っ!」

 

管理棟へ続く道に歩いていると、僕は何かに気がついた。誰かが草木の中に倒れていたのだ。近づいてみると倒れていたのは喰種ではなく、僕たちと同じ喰種捜査官だった。しかもその捜査官に見覚えがあった。

 

「あなたは大芝班の..?」

 

「林村だ...佐々木一等」

 

草むらの中で倒れていたのは大芝班所属の林村一等捜査官だっだ。

 

「お怪我のほうは..?」

 

「管理棟から落下したが、木がクッションになって、幸いかすり傷程度だ...」

 

林村一等を見る限り目立った怪我はなく、自分で立ち上がれそうだった。

 

「佐々木一等は今、どこに向かうのだ?」

 

「僕たちは今から管理棟に向かいます」

 

「管理棟....まだ上司と部下が取り残されている...」

 

「.....」

 

林村一等の言葉を耳にした僕は思わず口をつぐんでしまった。先ほど和修准特等から管理棟にいた大芝班は全滅と聞いたためだ。林村一等の顔を見る限り、自分の班が全滅したと知らされていない。

 

「....すぐに医療班の要請をーーー」

 

僕は大芝班が全滅したことを伝えず、医療班の要請しようした。

 

 

 

 

 

その時だった

 

 

 

 

 

「っ!」

 

後ろから気味の悪い気配を感じた。その気配は不知くんに狙っていた。

 

「あぶないっ!!」

 

僕はすぐ様不知くんの前に出て、持っていたソード型クインケ"ユキムラ"で立ち向かった。

 

 

 

 

しかしーーー

 

 

「っ!!??」

 

「オッほぁぁぁ!!!!!マジかッッ!!止めやがった!!」

 

気配を出していた喰種は片足だけでユキムラに力をぶつけ、そのユキムラの刃を僕の肩に押し込んだ。僕は必死に押し返そうとするが、その喰種に力負けをしてしまった。

 

「ぐはぁ!!」

 

僕はその喰種に力を押され、地面に叩きつけられるように倒れた。僕の体から伝わる痛みはユキムラに受けた痛みだけではなく、噛まれたような痛みが感じた。

 

「...んメェ!??!!!な、なんだこの味!??こんなの食ったことねぇよ!??!」

 

大きく咀嚼音を立て、気が狂っているかのように声を上げる。

 

「さっさささささささ....そうか...オメェが...」

 

前を向くと白髪で黒いマントを着ていて、大きく目を開いていた喰種はが立っていた。まるで死神と思われるかのように恐ろしい格好をしていた。

 

「くっ....」

 

普通ならば医療班の助けが必要なほどの攻撃を受けた僕だけど、それは必要はなかった。ヤツから受けた傷は自然と修正されていく。しかし回復までの時間はヤツから与えてくれない。

 

「なぁ??もう一度、口にさせてくれぇよお!?!?」

 

ヤツは再び僕に突っ込むかのよう接近した。

 

「.....っ!!」

 

赫子を腰から出させ、接近してきたヤツの体に貫かせた。僕が使っているクインケでは歯が立たないため、僕の赫子で攻撃させた。

 

(...やったか?)

 

僕の赫子に貫かれらヤツの口から血が出た。おそらくこれは致命傷だ。僕はそう思っていたのだがーーー

 

「ひひひ....こんぐらいじゃ全然響かねぇ...全然響かねぇよ」

 

するとヤツは痛がる様子はなく、発狂しているかのように笑いをし出した。体に赫子が貫かれているにも関わらず、ヤツは余裕そうに話していた。普通ならば致命傷のはずの攻撃なのに、まったく怯んでいる様子はない。

 

「"慣れている"からななななんぁああぁあ!!!???」

 

するとヤツの左腕から大きなブレードをした赫子が現れた。はるかに僕の赫子よりも大きく、しかも僕の赫子をいとも簡単に切り裂いた。

 

「不知くん!!!林村一等と一緒に行け!」

 

「でもサッサン...!」

 

「行くんだ!!行け!!!」

 

危機感を察した僕は叫ぶように不知くんたちに指示をした。このままでは不知くんたちの命が危なくなる。不知くんたちは僕の言う通り、林村一等と一緒に僕の元から立ち去った。

 

「いいね!!...上司の鏡だねぇ!」

 

ヤツは気味の悪い笑いで僕に話しかける。今まで僕と戦ってきた喰種の中では一番気が狂っていて、強敵だ。

 

「秘密に話でもしようぜ...二人きりで」

 

 

ヤツは首を大きく傾けると、勢いをよく僕に急接近をした。

 

 

 

 


 

 

瓜江Side

 

 

俺はオークションが行われたと思われるホールに入っていった。

 

「瓜江くん、本当にこの道であっているの?」

 

「おそらくな(まったく違うが)」

 

俺は佐々木一等から六月を退却するように言われたが、俺は気に食わなかった。勲章を得るのにうってつけの大規模作戦の時に前線から撤退するなど腹立たしい。他の班に獲物が奪われる。それで俺は六月に"わざと"道を忘れた仕草をし、別のルートに向かっていた。

 

「六月はここでオークションにかけられたのか?」

 

「うん、ここにたくさん喰種がいたんだけど...どこに逃げたんだろう..?」

 

誰もいないホールを見ていると、舞台上に何らや小さな小屋があった。

 

「六月、お前はあれに見覚えがあるか?」

 

「うん、俺はそこから舞台に出たんだ」

 

「そうか、入ってみるか(もしかしたら..)」

 

俺たちは舞台に立ち上がり、小屋の中に入ってみるとあることに気がついた。

 

「見ろ、床に昇降装置がある。これで商品を舞台上に運び出すんだろう。奥のフロアに進んでみよう」

 

「先行班はいるのかな?」

 

「ああ...(いないと願う)」

 

俺はそう言うと床にあったハッチを取り出し、俺たちは下に入っていった。中は視界が悪く、光が見当たらない。

 

(おそらく...ここは...)

 

俺たちはその薄暗い通路を進む。大きな音を立てないようゆっくり、ゆっくりと進む。喰種は音に関しては俺たち人間よりも敏感だ。少しでもヘマをしたら俺の功績は消えてしまう。

 

「っ!」

 

すると暗い通路の先に微小な光が見えた。近づいてみると小さなハッチが光を遮断するように閉まっていた。ゆっくりハッチを開くと、ある光景が俺の目に映る。

 

「....ビンゴ」

 

俺はその光景をみるとニヤリと口を少し歪ませた。俺の狙い通りだ。俺たちは商品を一時的に保管する倉庫にたどり着いたのだ。そこには俺の狙い通り、オークションに参加していた正装を喰種が無数にいた。早く逃げたしたいばかりかイライラを募らせた喰種や、恐怖に怯える腰抜けの喰種がいた。

 

 

 

 

こいつらは俺の獲物だ

 

 

 

 

 

誰にも邪魔されてたまるたか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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