今回、ところどころ変なところがあるかも。
『ここは地獄だ。』
それが私の感想だった。
倒壊した建物、あたり一帯に広がる炎、おぞましい骨だけの亡者。生命の鼓動は感じられず、ただ、ただ熱かった。
そんな世界に私は飛ばされた。
48人のマスターの中で最底辺とも言っていい私が。
ーー怖かった、恐怖で足が竦んだ、逃げ出したかった、泣きわめきたかった。なんで、どうして、と叫びたかった。
そんなこと言ったって意味は無いことは分かっている。
『レイシフト適性がある。』それだけの私に戦うすべはない。
喧嘩もした事がない、攻撃魔術も使えない、武器を持っている訳でもなく、武術を修めている訳でもない。
目の前に近づいて来る亡者達に何も出来ない。
絶望的な状況の中、私の意識は曇っていく。
そこで、誰かの声が聞こえた。
その声は問う。
ーーじゃあ、黙って殺される?
それは嫌だ。
ーー戦えないのに?
それでも。
ーー生きたいの?
うん。
ーーこんな地獄が続いたとしても?
あぁ、私は生きたい。こんな所で終わりたくない。
ーー面白いね。じゃあ、少し手伝ってあげる。
声が途絶える。瞬間、クリアになる現実。目の前には亡者がその手に持つ錆びた剣を私に振り下ろそうとしている。
『ーー悔しいな。』
私は今は何も出来ない。あの剣は私に死を言い渡すだろう。
『ーー死にたくない。』
だから、頼ろう。
知らない世界、本来の人類史にはなかったこの空間、特異点。
だけど、
何故かいると分かる。さっきまでは分からなかった、居場所も分からない、どんな人かも分からない私の味方。
ーー助けて下さい。私ではこいつらに勝てません。だから、頼らせてください。
次は、必ず勝つから。
だから、だから、だから、
「助けて」
振り下ろされる剣。ゆっくりとなる視界。そんな中、私は紅く輝く自分の右手を見た。
結論から言うと、私は死ななかった。
守られた。
その少女は戦闘服を身に纏い、身の丈ほどもある大盾を携え、私と亡者の間に入り、その大盾で亡者達を叩きつけ、払い、潰していった。
私がカルデアで1番最初に出会った人。薄い紫色の髪に白磁のような肌、端正な顔立ち、眼鏡を掛けていないが見間違えるはずがない。
亡者達を払い除け、唖然としている私に彼女はこう言った。
『大丈夫ですか?マスター。』
マシュだった。
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マシュに助けられた後、オルガマリー所長と再会し、1人の英霊と出会った。
クーフーリン
太陽神とアルスター王の妹の間に生まれた子。クランの猛犬とも呼ばれ、必中必殺の槍を持って戦場を蹂躙したと伝えられるケルト神話の大英雄。
その彼は槍ではなく、杖を携えていた。
本人曰く、
『キャスターとして召喚されちまったから仕方がねぇ。ま、俺が槍だけじゃねぇってところを見せてやんよ。』
実際、彼が槍だけではない所を見せつけられた。
彼が使用したのはルーン文字を用いた魔術。彼はそれで敵を追い詰め、消滅させた。その手並みは鮮やかであり、彼の言葉が真実だと理解させられた。
その彼と仮契約を結び、召喚に失敗するなどのハプニングがあったが何とか切り抜け、この特異点の原因であろう聖杯のもとまでやってきた。そして、
現在、私たちは聖杯を守護するセイバーと戦っている。
相手は聖杯によって反転した騎士王。一度は宝具を令呪の一角とマシュの宝具によって受けきり、勝利したが、セイバーが消滅する間際にあいつが現れた。
レフ・ライノール
彼は敵だった。
近づいた所長はカルデアスに呑まれ殺された。
そして、彼は消滅間際のセイバーに狂化をかけ、消えた。先程までは言葉を介してた彼女は唸り声を挙げ突撃してきた。
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「マシュ!!」
「はい!!」
突撃してきた彼女の初撃をマシュが防ぐ。
ガキィィィン!!
金属と金属をぶつけ合う甲高い音が響く。一瞬、拮抗するがまだ令呪での強化が残っているはずのマシュを徐々に押していく。
「なっ!?」
ただの攻撃に押されていくことにマシュが驚愕の声を挙げる。
「アンサズ!!」
クー・フーリンが放った魔術が彼女に飛んでいき、直撃するが
倒れない。そのままマシュを押していく。
「チッ」
対魔力B
反転して、下がっているとはいえ3工程以下の魔術を無効化する力。1工程であるルーン魔術では彼女にダメージを与えられない。
「嬢ちゃん!!一発でけぇのをお見舞いするから魔力を回せ!!」
「分かった!!マシュ、一旦下がって!!」
マシュが離脱するなか、魔力をクーフーリンに回す。体から魔力が大量に抜けていく。
「我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社。」
クーフーリンが詠唱に入るが彼女は何故か動かない。しかし、仮面に隠れていない口だけがニヤニヤ笑っている。
「ーーとっておきをくれてやる。焼き尽くせ木々の巨人。『焼き尽くす炎の檻』!!」
燃える木の巨人が彼女をその腹の中に捕え、燃やし尽くす。
はずだった。
ズパンッッッ!!
黒い極光が木の巨人を両断する。木の巨人はバラバラになり消えていくなか
「おいおい……マジかよ。」
彼女は立っていた。
多少ダメージは与えただろう。しかし、彼女は揺らがない。当然のように立っている。
「嬢ちゃん、あれは不味い。現状、最高火力の一撃でも歯がたたん。しかもアイツは魔力を聖杯から貰って現界してやがる。」
「つまり、魔力切れによる消滅は狙えない?」
「あぁ。しかも、魔力の供給源が聖杯なら実質、宝具を撃ち放題だ。アイツを倒すんなら一撃で決めるか、聖杯をぶっ壊すしかねぇ。」
「だけど、彼女がそれを邪魔しない訳がない。」
彼女を見つめながらクーフーリンと会話する。
「そうだ。今、アイツは不気味なぐれぇ何もしてこない。体勢を立て直すなら今しかねぇぞ。」
「なら……」
背筋がぞくりとした。
さっきまでいた彼女がいない。目は離していなかった、私も、マシュも、クーフーリンも。
ただ背中を押された。
肉を断つ音が聞こえた。そして、前に倒れる私に降りかかる赤い、紅い血。空に飛んでいく腕。
杖を持った腕。
「チッ」
クーフーリンの腕だ。
「先輩!!」
薙ぎ払いが私に迫る。
「オラァッ!!」
クーフーリンに蹴飛ばされて、なんとか助かる。
「ハアアアァァァァァッ!!」
マシュが袈裟斬りを防ぎ、彼女を後方へ弾き飛ばす。
「クーフーリン!!」
彼の腕からはいまだ血が流れ落ちている。数少ない使える魔術で回復をするが治りが悪い。
「大丈夫だ、嬢ちゃん。こんぐらいで死なねぇよ。」
「それよりあの盾の嬢ちゃんの宝具を使え。アイツ、宝具を使う気だ。尋常じゃあねぇほどの魔力が集まってやがる。防げなきゃ死ぬぞ。」
彼女の方を見ると聖剣を大上段に構えている。その聖剣は天を衝くほど高く、黒く染まり、先の戦いで防いだものより何倍も魔力が集まっている。
「マシュ、宝具を!!」
「はい!!宝具展開します!!」
『エクスカリバー』、彼女が有する聖剣、湖の妖精から彼女へと渡された神造兵器。反転して悪に染まっているがその威力に変わりはない。
「AAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
黒き光を纏い、その聖剣が振り下ろされる。
「宝具展開、『仮想宝具 疑似展開/人理の礎』!!」
彼女の宝具とマシュの宝具がぶつかり合う。
ーー駄目だ。押し負ける。
黒き奔流に押し負ける人理の光。チカチカと明滅を繰り返し今にも消えそうになっている。
ーー足りない。
力が足りない。クー・フーリンがルーン魔術でサポートしているが足りない。
ーーこのままじゃ全員死ぬ。
令呪を使っても時間稼ぎにしかならない。
ーーどうすれば、どうすればみんな助かる?
目の前には黒の奔流とそれを何とか防いでいるマシュ。
ーーどうすれば。
今にも消えそうなほど淡い光を放つ盾
ーー盾?
思い出すのはここにたどり着く前、私たちはこの盾を何に使用した?
ーー召喚。英霊を呼び出すための召喚サークル。
「令呪をもって命ずる!!マシュ、少しでもいいから時間を稼いで!!」
消えそうだった光がよみがえる。
少しでもいい。時間を!!
「ーー素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」
ここは聖杯が置かれていた地。なら、地脈については大丈夫なはず。
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。」
「アアアアアアァァァァ!!」
マシュの声が聞こえる。あのマシュが大声を上げて耐えている。
「ーーーー告げる。汝の身は我が下に、汝の命運は汝の剣に。聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応じよ。」
私に残る魔力を絞り出して、
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者。我は常世総ての悪を敷く者。」
私の願いを届ける。
「汝 三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ。」
マシュの盾がか細く光る。そして、
「お願い。みんなを助けて。」
光が消えるマシュの盾。終わると思ったその時。
「了解した、マスター。」
黄昏色の極光が黒を消し飛ばした。
FGOクリスマスイベントが始まってしまいました。私は部活で手一杯なので出来ないと思います。はい。
大会が近いんです。はい。
結構ぐだった今回、とりあえず言えることは戦闘って書くの難しいですね。
それだけです。現在、頭が回っておりません。眠たいです。
おやすみなさい。
次回も楽しんで頂けたら幸いです。