季節は春。山の上にあり剣術道場でもある篠ノ之神社、そこに彼、篠ノ之 剣は一人住んでいた。高校進学を断ち、療養を兼ね実家である此処へと帰ってきたのだ。その際、政府の人に小言を言われたが彼の決意は変わらなかった。
誰も来ず今や閑静と化したその地は昔は道場に剣道を習いに来る子もいたが、白騎士事件以降徐々に減りやがて誰も来なくなった。
仏閣部分も滅多に人は来ず来たとしても夏に行われる祭りの時なので普段は無人である。
そこで剣は日課の神社の境内の掃き掃除を行っていた。
「……………」
黙々と落ち葉を掃いていく。隅から社の下まで…8割を超えもう終わりが見えた時、石段の下からどたどたと騒々しい足音が登ってきた。
「剣くん!!!」
剣の首に彼を君付けで呼ぶ見た目は彼と同じ位の黒髪のトレンチコートを着た少女が抱きついた。
「剣くん剣くん♫ マイスウィートソーデン♬」
変なリズムと一緒に首に顔をうずめながら。
このテンションが高い少女の名は
そこから顔色一つ変えずへばりつく碧を剥がし掃除を終え、家宅の方へと戻った剣。
畳とちゃぶ台だけが置かれている広い居間で碧と向かい合って正座の姿勢で座る。
「.............」
「.........むぅ........」
碧の自分で持ってきた茶をいれた茶碗(勝手に買ってきた)が啜る音だけが響く。
「.............」
「................」
ついにお茶が無くなると同時に碧の口が開いた。
「ねぇ剣くん?」
「..............」
「ねぇーえー、ねーーえーー!」
無視を続けていると痺れを切らしたかついに両手を伸ばし、剣の方を前後に揺らし始めた。
斑白の髪の毛が揺れるが、それでも彼の口が開かない。何か思いついた様ににっこりと笑みを浮かべ碧は深く息を吸い───
「......すぅ.......ねぇえぇぇぇぇえ
ええええええええええええ!!!」
「なんだ」
碧の部屋中に響く絶叫の後、固く閉ざされていた剣の口が開いた。
「ぜぇ....ぜぇ...やっと聞いてくれたー! ひどいよもー!」
「これ以上大声を出されたら流石に近所迷惑だ」
「わざと!? ひっどーい! 」
「何度も言うが僕はお前に君付けされるほど親しくなった覚えはない。」
「えー?いいでしょ?剣くんは剣くんなんだから合ってるでしょ?」
「..........そういうものか」
「そういうもーの! 次からはちゃんと反応してねっ♪」
「理解、了解した。それで何の用だ」
「うんうんその言葉、碧ちゃんは待ってたよ! 見よ!」
全てボタンが嵌められたトレンチコートわざわざ見せつけるようにを一つずつとりバッと広げる。
「なんだそれは」
剣の顔はシワ一つ動きがなかった。
...碧の下に着ていたものがわかるまでは。
「IS学園の制服だよ♪」
「.......そうか」
一瞬、その顔にかげりが表れたが眉はすぐに戻った。
碧はその反応に分が悪そうに顔をうつむける。
「……私もね、ホントは剣くんとずっとずうっと一緒にいたいよ。 でも、でもでもそれでも家の───」
「──気にしなくていい」
「え...?」
「僕とお前は他人だ」
剣の遮った言葉といい放った言葉に碧は少し困惑した。
その反応も気にせず語っていく。
「他人だから他人にどうこう言われる筋合いはない。」
「たとえ、歩まされた道だろうが──そこから始めることはお前次第だ。」
「剣くん...!」
感極まった碧が再び抱きつこうとしたその時、玄関の引き戸の音が聞こえた。
「...少し離れろ」
ピタリと止まった碧を隣の同じく畳しかない部屋へと押し込み、何やら言おうとしたが有無を言わせず襖を閉めた。
目を閉じ、深く息を吸う。
「...」
木板が軋み廊下の足音が近づいてくる。
碧が押し込められた方と反対側の廊下側の障子がゆっくりと開き立っていたのは───
「..........剣」
「.......姉さん」
数年ぶりに出会った剣の姉の一人、篠ノ之 箒が息苦しいような表情で立っていた。
何か相変わらず地の文が変ですね、あと何言ってんだろうか。
よかったらアドバイスか何かお願いします。