俺は大きな欠伸をしながら目を覚ます。現在は6時。まだまだ朝ご飯には早すぎる時間である。この前までは布団に潜っていると暑くて布団から出るのだが、ここ最近は朝になっても涼しく、布団やタオルケットをずっと肌身離さず被っている。隣にいるレミリアとフランも寒いのか俺にぎゅっと抱き着いている状態だ。
レミリア「んぅ…寒い…。」
レミリアは寝言を言いながらさらに俺に抱きついてくる。その小さな手で俺の腕を擦って暖かくしようとしているようだ。
可愛いと思った俺は布団をかけたあと、レミリアの頭を優しく撫でる。
フランもレミリアと同じように俺に抱き着いている。レミリアと同じく布団をかけて頭を優しく撫でた。するとフランは心なしかニコッと笑った。
小声で呟き、二度寝しようとしたその時、レミリアがカプっと噛み付いてきた。
レミリア「むにゅむにゅ…」
レミリアは俺の腕を甘噛みしている。吸い付きながら俺の腕をぺろぺろと舐める。
…吸血でもしようもしてるのか…?まぁ、吸血鬼の習性だし仕方ないことだよな。…それにしても甘噛みするなんて可愛いこったなぁ。
少々癒された俺は早速布団の中に潜って再び眠りにつこうとする。その時、ふっと音を立てずに部屋に入ってきた咲夜さんが立っていた。
咲夜「あら?今日は起きてらっしゃったんですね?」
咲夜さんをレミリアたちを起こさぬよう小声で俺に話しかける。それに応えるように俺は
と返した。今日“は”と言っていたのでいつも俺達の様子を見に来ているのだろう。少し心配性な咲夜さんだからこその気遣いだ。優しすぎてレミリアたちが甘えたくなるのも分かる気がする。咲夜さんが悪い…とは言わないけどなんか甘えたくなるオーラ的なものがあるのだ。
咲夜「眠れないのなら私が子守唄を歌って上げましょうか?眠れる程度には歌えますよ♪」
子供じゃないんだから…と思いつつも自信満々に歌えるという口ぶりだったのでどんな歌声なのか少し気になった。咲夜さんの歌う子守唄を聴いてみたいと思ったのだ。そして俺は咲夜さんに歌って貰えるようにお願いした。
すると咲夜さんは椅子を持ってきて俺の近くに来て座った。
咲夜「ねんねん〜ころりよ〜♪おころりよ〜♪」
咲夜さんはゆったりと美しく、静かな様子で子守唄を歌ってくれた。その歌声にはほんのりと温もりを感じる。懐かしいその歌からは穏やかな記憶を彷彿とさせる。その美しい歌声に俺は眠気を誘われ、自然とまぶたを閉じて眠ってしまった。
あれから何時間たったか…。目を開け、体を起こすと横にはもう誰もいない。時計を見ると現在の時刻は9時。もう朝ごはんの時間だ。…それなのに咲夜さんは椅子に腰掛けて座って眠っている。
…みんな起こさなかったのか…。まぁ、咲夜さんなら朝ごはんまでには起きると思っているんだろうけど…。というか咲夜さんも椅子に座って眠っていないで普通に寝ればよかったのに…。
咲夜さんがレミリアたちの世話をせずに寝過ごしてしまうなんてほとんどないのだ。なのに寝過ごしてしまったということはそれほど咲夜さんが疲れているということだろう。なにより椅子に腰掛けて眠るほど疲れているというのが良い証拠だ。レミリアはそこまで重労働させた気はないのだろうが、さすがにワガママレミリアの言うことを聞くのは少々骨が折れる。疲れるのが当たり前というもの。
俺は1人ぼそっと呟きながら椅子に座っている咲夜さんをベッドに寝かせる。スースーと寝息を立てて寝る彼女の顔はなんとも妖艶で非常に美しかった。一緒に寝てしまいたい…なんて思いもしたが、咲夜さんの代わりの仕事をしなきゃならないのでそれは止めた。
そして俺が部屋を去ろうとしたその時、咲夜さんが目を覚ます。そしてキョロキョロと辺りを見渡したあと、俺に尋ねる。
咲夜「…あの…今何時です…?」
咲夜「ですけど…」
俺は体を起こそうとする咲夜さんを無理矢理止める。
俺は咲夜さんの頭を撫でる。
咲夜「…わかりました。あんまり無理なさらないでくださいね?」
そう言うと咲夜さんは再び眠りにつく。
無理しているのは咲夜さんの方だろ…。疲れているのなら言ってくれればいいのに…。
そう思いながら俺は朝ご飯を食べに食堂へと向かったのだった。
日常っぽいのが書きたかった…。