大変や...。
天使ちゃんが泣き出して10分ほど経った...のだろうか?
この空間、どうやら近くに時計らしきものないらしく、時間の経過がよく分からない。
そしてさっきから天使ちゃん...アルシエルだからアルちゃんでいいや...アルちゃんが頬を染め、視線を逸らしている。
どうやら、先程泣きじゃくっていたことに負い目を感じた挙げ句、そのことを恥ずかしがっているのだろう。
...うん、かわいい。
「うぅっ...先程は取り乱してしまいました...。 すいません...」
「別に構わないよ。 私は全然気にしていないから」
「お気遣い感謝します...」
...あれ?
なんだろう...何か大事なことを忘れているような...。
「......あっ、そうだ!? 私死んだんだよ! あのゲス野郎に殺されて!」
「あっ、そうでした!」
...アルちゃん...本題忘れちゃダメでしょ...。
「うーん、やっぱり死んでいたかぁ...」
「はい...申し訳ありません...」
「アルちゃんは悪くないでしょ? 」
「......はい」
「なら良し。 私の死の確認は終わり。 さっさと切り替えよう?」
アルちゃんがこれ以上気にする必要はない。
過ぎたことを考えていたところで、意味などないのだから。
「本題に入らせていただきます」
アルちゃんはそう言い、私を真剣な眼差しで見る。
「シャーロットさん。 貴女の魂はギリギリ輪廻の輪から外れずにいたため、他の魂と同様に、転生していただきます」
「うん」
「普通、人の魂は貴女のように、私達天使や、天神さまと対話をすることなく転生します。 しかし、私達のミスなどで命を落とした方、私達が注目していた方、自分たちの世界に対して一定以上の功績を残した方などは、こうして対話をし、次の人生に多少融通を利かせることが出来るのです」
「俗に言う、特典を持って転生する...ってこと?」
「その認識で間違いないかと。 特典...私達は
私の転生後の状態は、一部が決定されている。
恐らく、私の恩恵はそこに影響しないことが最低条件なのだろう。
「まず、転生後のデータをご覧下さい」
アルちゃんが手を虚空に広げる。
手のひらが示す場所に、ディスプレイのようなものが出現した。
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転生後のデータ
名前: Charlotte Ainsworth
種族: 人間
性別: 男
誕生日: 2020 September 15th (-18)
誕生地: City of Exeter, United Kingdom
必要世界貢献要求: 978
先天的技能容量: 2532
後天的技能容量: 2468
総技能容量: 5000
体躯: 一生涯男の娘(可愛い)
髪色: 金
虹彩: 緑 or 紅
精神成長: 428
肉体成長: 238
限界身長: +15
生殖能力: 94
........................
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えぇ......。
まさかの性転換確定とか...。
私の第2の生を勝手に決めた奴殴りてぇ...。
まぁ、男の娘であるだけまだマシか...。
「...って言うか、必要世界貢献要求って何?」
「転生した世界に於いて、数値分の功績を残すと、次の人生で比較的良い生活をおくることが出来る、というものです」
「...もし、達成出来なかった場合は?」
「...人間に転生しない可能性が高いです」
......Oh, my god.
「ちなみにですが...転生後の世界についての情報は全て秘匿とさせていただきます」
「ん? なんで?」
「第1に、基本的恩恵などによる過剰なチート行為を防ぐため。 次に、転生後の世界を知ることで、世界貢献要求のリソースを必要以上に独占することを防ぐため。 最後に、他の魂に対する公平性を少しでもとれるようにするためです」
...うん、納得。
同じ世界に転生する人達のことを考えたら当たり前のことだよね。
「シャーロットさんは私の思った通りの清い心の持ち主です♪」
アルちゃんはそう言って微笑んだ。
...っていうか、アルちゃん、さっきからしれっと私の心を読んでない?
「気のせいですよ♪」
......そういうことにしておこう......。
「さて、そろそろ基本的恩恵を決めることにしましょうか」
「そうだね。 っと言っても、大体決まっているけどね。」
私が希望する恩恵は、次の通りだ。
1. 前世の記憶と此処での記憶を完全に保持する。
2. 魔法を使える。
3. 三本の剣を保持する。
4. 天使の翼を持つ。
5. 人の感情を知ることが出来る。
6. 世界の記憶に
こんなところだけれど...流石に欲張り過ぎだよなぁ...。
「このような形式にすれば可能です」
...いいんだ...。
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後天的技能容量: 1538/2468
01. 前世に於ける記憶の完全保持(0108)
02. 天界に於ける記憶の完全保持(0120)
03. 魔法の行使能力(0300)
04. 宝剣の所有権の保持(0234)
05. 天翼の保持(0168)
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よく収まったなぁ...。
えっと、あとは魔法と剣の詳細かぁ...。
...よし、これはどうかな?
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後天的技能容量: 0600/2468
[魔法の詳細]
01. 世界の記憶に接続する魔法(0200)
02. 自身を囲む球状領域外からのベクトルを反転する魔法(0144)
03. 人の感情の読み取る魔法(0120)
04. エネルギーを別のエネルギーに変換、又は保存する魔法(0090)
05. 肉体的ダメージを回復する魔法(0070)
06. 自身が認識した物質を別の空間に相互移動する魔法(0050)
[宝剣の詳細]
01. 聖剣エクスカリバー(0078)
02. 聖剣ジョワユーズ(0078)
03. 魔剣レーヴァテイン(0108)
[予備用の技能容量]
0600/2468
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よし、これでOK!
「この確認を了承すると、二度と変更することは出来ません。 その設定で宜しいですか?」
「......はい、了承します」
もう後悔はない。 次の人生では幸せな最期をむかえてやる!
「それでは、しばらくの間、共に同じ世界に転生する方々との会話をお楽しみ下さい」
あっ、そういうこともするんだ。
アルちゃんがそう言った直後、アルちゃんのすぐ後ろから、4つの人影が現れた。
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