インフィニット・ストラトス 桜踊りし希望の剣   作:神近 舞

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学校生活忙しいです...。

圧倒的に時間が足りません..。


Chapter Ⅱ【006】交流

〔Ⅰ〕

 

 IS〈インフィニット・ストラトス〉。

 日本のライトノベルの一つで、ハイスピード学園バトルラブコメというジャンルで発売された作品だ。

 私は前世において、死ぬ2年ほど前に知り、割とハマっていた。 その為、先程のやり取りを見聞きしたことで、この世界がISの世界だと分かったのだが...。

 

「ね...ねぇ、君...。 い、今...IS(インフィニット・ストラトス)って...言わなかった...?」

 

 ......や っ て し ま っ た !

 先程の言葉と反応から察するに...この女子は...篠ノ之 束だ...。

 ...無難な返答をしておいた方が良いだろうか...?

 

「えっと...はい。 確かに言いましたが...」

 

 私が返答すると、篠ノ之 束と思われる女子は焦りの表情を見せながらも、面白そうなものを発見したかのような目を私に向ける。 割と器用なことをするな...。

 

「...君...名前は?」

 

「...シャーロット・エインズワースと申します」

 

 ...なんだろう。 イヤな予感しかしない。 だって、さっき彼女の瞳が妖しく光っていたもの!

 

「...シャーロット...ならシャロちゃんだね。 それでさ...何処まで知ってるの(・・・・・・・・・)?」

 

 最後の部分で、彼女は私にしか聞こえない音量でハッキリと口にした。

 ...やっぱりか。 この状態で誤魔化せる訳がない。 ならば、私もカードを切ろう。 とっておきの切り札(ジョーカー)を。

 

「知ってるも何も...ボクも似たようなものを持っている(・・・・・・・・・・・・・・・・)からですよ?」

 

「...!?」

 

 そう、私は転生時に3本の剣(宝剣)を特典として手に入れたのだが、それらを使っている内に、いつの間にかISのような状態に変化させることが可能となっていた。 今思えば、私が欲した剣はISとしてこの世界に顕現したのかもしれない。  ...まぁ、あくまで推測でしかないのだが。

 

「そうかぁ...。 ねぇ、シャロちゃん。 シャロちゃんはさ、今の世界をどう思う?」

 

 ...来たか。 ここでもし間違えたら全て御仕舞いだな...。

 

「楽しくあるのと同時に...退屈だと思う」

 

「へぇ...。 それは...何故?」

 

「一日の中における一つ一つの出来事は楽しいと感じる。 けれど、長期的に見ると退屈に思える。 毎日が同じことの繰り返し。 これでは機械と一緒になってしまう。 人間としての意味を持たないまま終わってしまう。 分かっていても何も出来ない。 故に退屈。 無価値で、普遍的で、必要性が皆無。 今のボクでは自分の人生に意味を持たせることが出来ない。 その為の全てが足りない。 故に退屈と思わざるを得ない。

 しかし、普遍的であるが故に美しい、と感じるものもあったりする。 家族の仲睦まじい会話。 平和の道を歩む民衆。 人類の可能性の増大。 それらは全て当たり前に存在するべきモノ。 しかし、存在しているからこそ美しい。 少なくともボクはそう思う」

 

「そっか...」

 

 まぁ、納得はしてもらえないだろうが、理解はしてもらえただろう。 兎に角、これで少なからず私と彼女が全面衝突することは無いだろう。

 

「成程...なら、束さんとシャロちゃんは似た者同士、ってことだね!」

 

 ...まぁ、確かに。 そう思われても不思議ではないのかもしれない。

 この世はつまらない。 そう思うが故に、世界を壊すことにした束。 この世を退屈だと思うものの、世界の良い側面を肯定し、守ることを決めた私。

 両者に共通するのは、世界に弄ばされ、現実における絶望を知ったということ。 しかし、私と束の違いは、絶望を知った後にある。

 絶望を認められず、人を、世論を、世界を恨んだ束。 絶望をすぐに認め、諦める選択を選んだ私。

 はっきり言って、どっちもどっちだ。 どちらも等しく、愚者である。

 

「...束。 ...それにお前も。 2人共、私たちの存在を忘れてはいないだろうな...?」

 

「「「「「............。」」」」」

 

「「............あっ」」

 

 束との会話に夢中で忘れてた......。

 

「...本当に私たちを忘れていたとは...」

 

 織斑 千冬とおぼしき女子が、私と束を現実に連れ戻した直後、織斑 一夏らしき男児が、

 

「ねぇねぇ、お姉ちゃん達ってどこに住んでいるの?」

 

 ...と、私達の家の場所を聞いてきたため、私は正直に話した。 すると、

 

「えっ、そこって僕の家のすぐ近くじゃん!」

 

 ...などと言いやがった。 えぇ......嘘でしょう......?

 

「じゃあさ、この子たちの歓迎会やろうよ! 勿論、皆で!」

 

 さっきまで再起不能になっていた束が突然そんなことを言い出す。 ...もう好きにしてよ...。 私は静かに思考を手放した......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔Ⅱ〕

 

 結局、彼女らの善意に勝つことなど出来るはずがなく、現在私は織斑邸のリビングに居座っている。 ...私、どこで間違えたんだろう? リセットボタンは何処ですか? セーブデータのロード機能はありますか? そもそもセーブデータってあるんですか?

 

「さて、ご近所さんということで、これから仲良くしていこうね! という訳で、早速自己紹介でもしようか! まずは私からだね。 篠ノ之(しののの) (たばね)だよ! 12歳で小学6年生だよ! 好きなことはちーちゃんたちと遊ぶことだよ!」

 

 えぇ、いつの間にそこまで進んでいるのか...。

 

「じゃあ、次は私がやろう。 織斑(おりむら) 千冬(ちふゆ)だ。 束と同じく12歳で小学6年生だ。 束とは同じ学校に通っていて、そこで知り合ったんだ」

 

「こんどは僕! 織斑(おりむら) 一夏(いちか)だよ! 3歳! 千冬お姉ちゃんは僕のお姉ちゃんだよ!」

 

「私の番だね! 織斑(おりむら) 円華(まどか)! 3歳! 千冬お姉ちゃんと一夏お兄ちゃんのことが大好きなの!」

 

「最後は私が。 篠ノ之(しののの) (ほうき)。 3歳だ。 束姉さんは私の姉だ」

 

 はい、原作キャラ組の自己紹介終了~! さて、観念して私たちも自己紹介をすることにしよう...。

 

「じゃあ、私からにしましょうか。 私はアリス・エインズワース。 12歳よ。 千冬ちゃんと束ちゃんとは同級生よ!」

 

「私はエレン・エインズワース。 36歳よ。 アリスちゃんとシャーロットちゃんの母親よ」

 

「「「「「えぇっ!? てっきりお姉さんだと思ってた!」」」」」

 

「ウフフ、ありがとう」

 

 そう、私の母は実年齢以上に若々しく、私と姉と母を並べると、仲睦まじい三姉妹にしか見えないのである。 ...私、生物学的には一応「男」なんだけどなぁ...。

 

「それでは、最後にボクが。 シャーロット・エインズワースと申します。 6歳です。 4月から、帝都大学理学部1年として入学する予定です。 ...このような格好と容姿ではありますが、これでも一応男です」

 

「「「「「「嘘ーーー!? 男だったの!?」」」」」」

 

 いや、そこかい...。 ここにいるほぼ全員が驚きの表情で私を見つめており、御母様だけが静かにニコニコしていた。 ...流石です、御母様。 ...って、アレ?

 

「あの...御姉様? 御姉様は何故、驚愕されているのですか?」

 

「............」

 

 ......完全に忘れていたな、御姉様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔Ⅲ〕

 

 私たちの歓迎会と称したパーティーは結果的に大成功。 私たちのことや、彼女らのこと、時にはこの世界のこと。 色々なことを話したなぁ。

 

「ところでさぁ、千冬ちゃん」

 

「どうしたんだ? アリス」

 

「千冬ちゃんの両親は何処にいるの? 私、挨拶しようと思っていたんだけど...」

 

「「「「「......」」」」」

 

 確かに私も少し気になっていた。 私がここに来たとき彼女たちの両親らしき人物はおらず、いつまで経ってもそのような人物が現れなかった。 アリス姉様がその疑問を口にした瞬間、5人が暗い表情になる。 ...アレ? 何かあったのだろうか?

 

「私たちの両親は............もう、此処にはいない」

 

 ............え? それってまさか............。

 

「...ちーちゃんたちの両親は、つい10日ほど前に亡くなったの。 父親の方は交通事故、母親の方は心臓麻痺で亡くなられた。 それで今は、2人が遺した遺産を使って3人とも生活しているの」

 

 私の知らない所で、そんなことがあったなんて...。 私はその事実に驚愕すると同時に、助けたいという思いが湧いてきた。 少しでも助けになれるのなら、私は今すぐにでもなりたい、と思ったのだ。

 

「......御母様、御願いがあります」

 

「何かしら?」

 

「親を喪った3人に、もう一度親の愛情を与えていただけないでしょうか?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「............」

 

 そう、私は『家族になる』という形で助けることを決心した。 私が出来る範囲では、これ以上のことは出来ないから...。

 

「......いいわよ?」

 

「「「えっ!?」」」

 

 良かった...。 私の言動で3人の命が救えるのなら、万々歳といったところだ。

 

「ただし! 条件があるわよ?」

 

「......条件、とは?」

 

 私は少し不安になった。 まさか、家族にしたのを良いことに、奴隷のような扱いを強いるのでは...と、一瞬思ってしまった。

 

「家族になる以上、貴女も、アリスも、千冬ちゃんも、一夏ちゃんも、円華ちゃんも、皆幸せになってもらうわ。 不幸になんかなったら、許さないからね?」

 

「「「「「......!」」」」」

 

 御母様......貴女って人は......。

 

「そういう訳ですので、改めて宜しくね? 千冬お姉ちゃん、一夏くん、円華ちゃん」

 

 私は今世最高の笑顔を3人に向ける。 すると、3人が涙を流しながら、

 

「シャーロットォォォ!!!」

 

「「シャロお姉ちゃぁぁぁん!!!」」

 

 と言いながら、私に抱きついてきた。 まぁ、こうなるのも無理はないのかもしれない。

 

「今はもうちょっと泣いていて良いんですよ? ボクは皆さんを待っていますからね?」

 

 私は、彼女たちの救いになれたのかもしれない。 そう思う私なのであった。

 ......あと、一夏に円華よ、私は男だから。




こんな形にしてみました。

最終的に、織斑一家はエインズワース家の一員となりました。

......あっ、名字は変わりませんよ?

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