個性『英雄』   作:ゆっくりシン

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ああ、どんな展開にしようか思いつかない・・・・・・orz



10話 『雄英体育祭① 予選通過』

 一斉に走り出す1年生。

 だが、スタートゲートが狭く、思いっ切り詰まっていた。

 あ~あ。大変そうだな。

 俺はそう他人事のように思いながらボトルを入れ替える。

 

《パンダ ロケット ベストマッチ! Are you ready?》

 

「ビルドアップ」

 

《ぶっ飛びモノトーン ロケットパンダ イェーイ!》

 

 俺はロケットパンダフォームへとビルドアップ(フォームチェンジ)し、左手のロケットを使って一気に飛翔する。

 前の方では轟くんに凍らされて動けなくなる者多数。

 そこをうまく切り抜けているのは1-A組の生徒が大半だ。

 少し進んですぐ、障害物が見えてきた。それは、

 

『さぁ、いきなり障害物だ!! まずは手始め・・・・・・第一関門! ロボ・インフェルノ!!』

 

 俺のセリフを取るな、プレゼント・マイク。

 と、司会に言うセリフじゃないか。

 俺はとりあえずどうなるかの様子見をする。

 いや、どうなるかは知っているんだよ。ただ、ナマで見てみたいじゃん。

 などと考えている内に、轟くんが0P(ヴィラン)を凍らせて先へと進んで行った。

 俺はみんなが突破するところを見てから先に進む。

 

『オイオイ。第一関門チョロイってよ!! んじゃ第二はどうさ!? 落ちればアウト!! それが嫌なら這いずりな!! ザ・フォーーーーール!!!』

 

 う~ん。マンガ読んでた時からそうなんだが、こんな大きな穴をどうやって掘ったんだろう?

 そして、どこまで深いんだろう?

 まあ、飛んでいるから関係ないけど・・・・・・あれ?

 

「必殺!! 私が勝つキーーーーーーック!!!」

 

「ゴファアア!!」

 

 少し疑問が頭に浮かんだとほぼ同時に後ろから思いっきり蹴られ、穴へと真っ逆さまに落ちそうになった。

 落下途中で体をひねり一気に急上昇して、途中の島に着地する。

 ああ、蹴られた場所が痛い。

 俺を蹴った犯人はもちろん神姫だ。

 

「痛ってぇ。何だよ」

 

「最近私の影が薄い気がするんだけど」

 

「・・・・・・で? なんで俺の背中を蹴飛ばした?」

 

「お祭りのため」

 

「ハァ・・・・・・。だったら勝ち上がって午後のトーナメントで戦えばいいだろうが」

 

「あ、そっか」

 

 そっか、じゃねえよ。

 俺は大きなため息をついてから障害物競争へと戻った。

 前方では地雷の爆発によって生じた煙が見えた。

 ・・・・・・出遅れた。

 俺は大慌てで地雷原の上を飛行したが、結局5位だった。

 ちなみにだが、飛んでいるときに何人か吹き飛ばしてしまった。その中には原作で第二種目まで勝ち残った人もいたが気にしない。気にしたら負けだ。

 

 

 

 

 

 

 騎馬戦。

 2~4人で1チームを作り、相手のポイントを奪い合うゲーム。

 俺は神姫と組むことにした。

 

《爆走バイク!》

 

「二速変身」

 

《ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! 爆走! 独走! 激走! 暴走! 爆走バイク!》

 

 そんな音声と共に俺は『仮面ライダーレーザー バイクゲーマー レベル2』への変身を完了させる。

 そう。俺が馬役だ。

 バイクだけど。馬役だ。

 ヘルメットをかぶり、俺にまたがる神姫。

 準備万端だ。さあ、ショータイムだ。

 え? セリフが違うって? 気にすんな。

 

『さァ上げてけ(とき)の声!! 血で血を洗う英雄の合戦が今!! 狼煙を上げる!!! よォーし。組み終わったな!!? 準備は良いかなんて聞かねえぞ!! いくぜ!! 残虐バトルロイヤル!!』

 

 うるせえ。

 

『カウントダウン!! 3!! 2!! 1・・・!! スタァーーーート!!!』

 

 プレゼント・マイクによって騎馬戦がスタートした。

 みんな一斉に緑谷に襲い掛かっている。

 

「行くぞ! 神姫!!」

 

「はいよ!!」

 

 神姫は俺のエンジンを吹かし、緑谷に集中しているヤツらへと一気に走り出す。

 やはり有個性と言ってもバイクの早さにとっさに対応できるようなヤツはそうそういないだろう。

 一気に駆け抜け、ハチマキを取るついでに物間寧人の騎馬を轢き倒しておく。

 

「すまない!! 勢いを出しすぎて止まれなかった!!」

 

 もちろん嘘である。

 俺は物間寧人の性格がかなり嫌いなんだ。

 ほら、今も後ろからは、「これだからA組は~うんぬんかんぬん」だの「一人で騎馬戦はルール違反で~あれこれそれやれ」等々聞こえてきているがまるっと無視する。

 ルールでは悪質な騎馬崩し目的の攻撃をした場合、一発で退場になるが、今ノハ止マレナカッタダケダカラショウガナイヨネ。

 そんな俺の横では緑谷と爆豪と轟くんがポイントを廻って戦っているがそれをまじまじと見ている暇はない。

 騎手が地面に足を付けたらその時点でアウトだ。

 だからこそ走り続けるしかない。

 

「ねぇねぇ。これやっていい?」

 

「は? 何を?」

 

「だから~、これだよ」

 

 そう言った神姫の手にはキメワザスロットホルダーにあったガシャットが握られていた。

 俺が言葉を発する前にそのガシャットを起動させる神姫。

 

《ギリギリチャンバラ》

 

「お、おい・・・・・・。まさか・・・・・・」

 

《ガッシャット! ガッチャーン!》

 

 こいつ・・・やる気だ・・・・・・。

 あぁー!! もう!!

 

「三速!!」

 

《ガッチャーン! レベルアップ! 爆走! 独走! 激走! 暴走! 爆走バイク! アガッチャ! ギリ・ギリ・ギリ・ギリ! チャンバラ〜!》

 

 そんな音声が鳴り、チャンバラゲーマーがバラバラになり、俺と合体する。そして、俺の姿が『仮面ライダーレーザー チャンバラバイクゲーマー レベル3』へと変わる。

 さっきまでバイクそのままにまたがってもらっていたが、人型になった事で背負う羽目になった。

 この姿は見た目に反して身軽で速さに関しても特に影響はないのだが、バイクに比べるとバランスが悪い。

 

「そこだぁ!」

 

「うわっと・・・・・・!!」

 

 っと、ヤバイヤバイ。

 考え事だけじゃなくて周りの事も見ないとな。

 

「障子くん! 梅雨ちゃん! 峰田!! 恨みはないが、一気にやらせてもらう!!」

 

《ガシャコンスパロー! ス・パーン!》

 

 俺はキメワザスロットホルダーにギリギリチャンバラガシャットを差し込む。

 

《ガシャット! キメワザ!》

 

 ガシャコンスパローの刃にエネルギーが収束する。

 

《GIRIGIRI CRITICAL STRIKE!》

 

 そんな音声と共に俺は地面に向かってガシャコンスパローを振る。

 バゴドォ! という大きな音と共に砂煙が巻き上がり、峰田チームの視界を妨げる。

 だが、それだけじゃ止まらない。

 

「三人ともごめんね! レインレーザー(弱)&アイスキャプチャー!!」

 

 神姫がレインレーザーで障子くんたちを濡らし(威力的に水鉄砲)、辺りの外気を操り、三人を凍らせて動けなくした。

 フハハハハハ。

 相手が悪かったな三人とも。

 俺は動けない三人からタスキを奪おうと思ったが、よく見ると一つもタスキを持っていなかった。

 チッ・・・・・・。無駄骨か。そう思うと同時に、

 

『そろそろ時間だ。カウントいくぜエヴィバディセイヘイ!』

 

 マジか。

 もう時間かよ。早すぎるだろう。

 

『10! 9! 8! 7! 6! 5! 4! 3! 2! 1! TIME(タイム) UP(アップ)!!』

 

 ああ、終わった。

 ポイント的に俺と神姫の勝ち上がりは決定だが、それだと数が合わなくなる。

 原作では4人チームが4組勝ち上がって、その中から2名が辞退。2名繰り上がりで16名が揃ったが、これだとそれが合わなくなる。

 などと考えている内に上位チームが発表された。

 

『1位、轟チーム!! 2位、爆轟チーム!! 三位、鉄て・・・アレェ!? オイ!! 心躁チーム!!? いつの間に逆転してたんだよ、オイオイ!!!』

 

 ここまでは原作通り。

 問題は、この後だ。

 

『4位、まさかの同点!! 緑谷チーム&機鰐チーム!!! 以上5組が最終種目へ進出だああーーーーーーーーー!!』

 

 ・・・・・・あっぶねぇ。

 原作じゃ何ポイント獲得していたかは表示されなかったからな。

 一応覚えておいて良かった。

 

『一時間ほど昼休憩を挟んでから午後の部だぜ! じゃあな!!! オイ、イレイザーヘッド、飯行こうぜ・・・!』

 

『寝る』

 

『ヒュー』

 

 私語を話すならマイクの電源をオフにしてからにしろよ・・・・・・。

 俺はそう思いながら一旦会場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 会場内にも食事所はあったが、俺はあえて外の売店を練り歩く事にした。

 たこ焼き、焼きそば、唐揚げからブロック肉まで色々な売店があった。いくつの売店を回っただろうか。

 ある売店が視界に入った瞬間、驚きのあまり咳き込んでしまった。

 売店の店名、それは[美味しいケーキ]だった。

 そして、そこにいたのは“スイーツマスター”とユウ、仕原の三人がいた。

 何で(ヴィラン)が堂々とヒーロー校最高峰のイベントに屋台出してるんだよ。

 しかもかなり長蛇の列が出来てるし。

 俺は関わりたくなかったので、その場から回れ右をして立ち去ろうとしたのだが、

 

「龍兎ちゃ~ん」

 

 という声と共にいきなり抱き着かれた。

 誰であろう。勿論、紅である。

 

「すっごかったよ~。いいね~若いって。私、興奮しちゃったよ」

 

「そうか、だが、まず離せ」

 

「え~、良いじゃん。お姉さんの言う事は聞いた方が良いよ~」

 

「お姉さんって。紅、お前何歳なんだ?」

 

「20歳」

 

「違う、前世の年齢もプラスしてだ」

 

「ん~、26歳」

 

「ずいぶんと若かったんだな。まだまだ未来があっただろうに・・・・・・」

 

「いや、こっちの世界の方が楽しいからまったく気にしてないよ。で、龍兎ちゃんは何歳なの?」

 

「えっと・・・・・・、33歳」

 

「え!?」

 

 驚くような事か?

 前世が18歳、今世が15歳。足して33歳だろう。

 この体は15歳そのものだが、前世分を引き継いだとしたらもう魔法使いだよ。

 

「年上だったんだね・・・・・・」

 

「前世ではな。今世ではお前の方が年上だろ」

 

「じゃあ! お姉ちゃんって呼んで!!」

 

「断る」

 

「即断言!!」

 

 当たり前だろう。

 紅の事を「お姉ちゃん」と素直に呼ぶほど俺は優しくない。

 ひねくれ者だからな。

 

「俺はそろそろ行くから」

 

 そう言って離れようとしたが、ギュッと掴まれて縋られた。

 

「ねぇ~~。デートしようよ~~」

 

「断固拒否だ!! それにこの後試合なんだ!! 紅の気まぐれに付き合っているほど暇じゃないんだ!!」

 

 俺は紅の手を外し、全速力で走りだす。

 後ろから何か泣き言が聞こえて来たけど気にしない。

 気にしている余裕なんかない。

 

 

 

 

 

 

「がっつり食べてるな」

 

「うん!!」

 

 俺の隣では神姫がカツ丼にラーメン、大盛りカレーから唐揚げ(大)を美味しそうに頬張っている。

 コイツの個性は燃費が悪く、大技を使えば使うほどお腹がすく。

 だから、今の内に満腹になっておこうという算段なのだろう。

 ああ、いい喰いっぷりだな。

 俺はそう思いながら炭酸抜きコーラを飲む。

 コーラの味は好きなのだが、昔っから炭酸は苦手なんだ。

 

「・・・・・・もしかしたらさ、“アレ”使うかもしれない」

 

「“アレ”って、転生するときに特典としてもらった“アレ”の事?」

 

「そうだよ」

 

「・・・・・・死なない?」

 

「3分だけで終わらせるから大丈夫だよ」

 

「無理はしないでね」

 

「おう」

 

 俺の当たり障りのない返事を聞いた神姫は食事を再開した。

 コイツも一位を狙っているんだろう。

 いや、コイツだけじゃない。勝ち上がった全員が一位になる事を狙っている。

 

「・・・・・・そろそろ昼休憩終わるぞ」

 

「分かった、すぐ行くね」

 

 神姫はそう言うと同時に猛スピードで目の前の料理をかっ込み、ぺろりと平らげた。

 ・・・・・・お腹は膨らむことなくすっきりしたまま。

 質量保存の法則とは?

 

 

 

 

 

 

 その後の展開は概ね原作通りだった。

 違うところと言えば俺と神姫が同点で勝ち上がった事により、B組の二人が上がれなかったところだろう。

 ああ、悪いことしたなぁ。

 だからといって何かするとかはないけどな。

 その後、くじ引きが行われ、組み合わせが決まった。

 結果としては、

 

 第一試合:[緑谷]VS[心操]

 第二試合:[轟]VS[瀬呂]

 第三試合:[芦戸]VS[上鳴]

 第四試合:[飯田]VS[発目]

 第五試合:[白神]VS[機鰐]

 第六試合:[常闇]VS[八百万]

 第七試合:[青山]VS[切島]

 第八試合:[麗日]VS[爆豪]

 

 となった。

 わ~お、初っ端から神姫とかよ。

 死ぬぞ。

 

『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いといて。イッツ束の間、楽しく遊ぶぞレクレーション!』

 

 レクリエーションが始まり、俺はとりあえず緊張をほぐすために借り物競争を元気にこなそうとした。

 だが、ゴールはおろか、借りる事すらできなかった。

 誰だ、[海賊の麦わら帽子]とか書いたアホは。借りられるわけ無いだろう。

 

 

 




龍兎を勝たせるか、神姫を勝たせるか・・・・・・。

この作品のヒロインって……

  • 白神神姫
  • 使原弓
  • 紅華炎
  • 暗視波奉
  • 赤口キリコ(安藤よしみ)

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