個性『英雄』   作:ゆっくりシン

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一か月ほど投稿せず申し訳ございませんでした。
簡潔に申しますと萎えてました。

他には、仕事が忙しかったり文が思い浮かばなかったりポケモンの技遺伝を忘れ最初っからになったり友達とモンスターを狩りに行ったりと忙しくしていました。

今日からまたまったりと投稿して行きますのでまっていただければ幸いです。


115話 『お待たせしました by.作者』

「文化祭があります」

 

「「「「「「ガッポォォオオイ!!」」」」」」

 

 学校っぽい、の略である。

 相澤先生の言葉にみんなのテンションは最初っからクライマックスへと突入する。

 それを横目に俺は発目と共同開発をしている新たなサポートアイテムの設計図の修正をする。

 発目のアイテムは画期的で中には時代を変えそうな物も数多くあるのだが、思いついたら感覚でポンポンと作ってしまうので中には生死に係る物も多い。

 この前なんて上半身と下半身がさようならしそうになった。ちなみに腕は軽く飛んで行った。

 それもあって説教&設計図を描いて俺に渡すように強く言い聞かせたのだ。

 再生するとはいえ痛い物は本当に痛い。ってか千切れるブチィって感覚もあまり気分のいいモノではない。

 俺が説明を聞き流して目の前の事に集中していると、出し物をどうするかの話し合いになっていた。

 

「ここからはA組委員長、飯田天哉が進行を務めさせていただきます!」

 

 張り切っている飯田と八百万さん。

 俺自身、出し物に興味はないのだが気分転換に手を止めて周りの様子を確認する。

 

「まず候補を挙げていこう! 希望ある者は挙手を!」

 

 瞬間、ノリの良さなのか何なのかほぼ全員が我先にと手を上げる。

 その圧に押されながらも飯田は一人一人の意見を聞いて行く。

 

「上鳴くん!」

 

「メイド喫茶にしようぜ!」

 

「メイド・・・奉仕か! 悪くない!」

 

 飯田、多分お前の考えているモノと上鳴の考えているモノは別物だ。

 真面目過ぎてメイド喫茶に言った事が無いのだろう。今度暇な時にでも社会勉強がてら連れて行くか。

 ボケーっとそう考えていると峰田が本気の形相で声を上げる。

 

「ぬるいわ上鳴ィ!!」

 

「峰田くん!」

 

「オッパb

 

 瞬間、俺と蛙吹さ「梅雨ちゃんと呼んで」―――梅雨ちゃんのダブルラリアットが峰田の首を襲う。

 さらにどこからか取り出した麻袋とロープを使って縛り上げるとさかさまに吊るす。

 変態はこのような事にするのが正解だろう。

 ついでと言わんばかりに両手両足の親指同士を結び付けて抵抗すらままならないようにしておく。何になるか決定するまでそのまま放置である。

 

 その後、多くの意見が飛び出すも決定には至らない。

 しかも議論は熱を持ち始めもはや話し合いと言うよりも叫び合いになってきた。

 青山くんの提案は真っ先に却下されただけでなく元々問題になりそうだった殺し合い(デスマッチ)も同じく却下された。うん、正しい判断だと思う。

 そうこうしている内に授業終了のチャイムが鳴り、今まで寝ていた相澤先生がゆったりと立ち上がりふらふらと歩きながらとんでもない事を言った。

 

「実に非合理的な会だったな。明日、朝までに決めておけ。決まらなかった場合・・・公開座学にする」

 

 今まで出た提案では多分一番盛り上がりに欠けるだろう。

 多分見ている方も見られている方も死ぬほどキツイ時間になる。

 少し教室をグルリと見渡せば、何とか公開座学回避のために頭を抱えている者が多数だった。

 俺は頭を抱えず冷静(笑)にソレを見ているが公開座学だけは嫌だ。少しは楽しみたい。

 

 

 

 

 

 

 ハイツアライアンス1階共有スペース。

 そこにみんなで集まり動画投稿サイトで過去のデータを見ながらなんとか公開座学回避のために話し合う。

 何本目かの動画を見終わった所で飯田がソッと口を開いた。

 

「落ち着いて考え直してみたんだが・・・。先生の仰っていた他科のストレス、俺たちは発散の一助となる企画を出すべきだと思うんだ」

「そうですわね。ヒーローを志す者がご迷惑をおかけしたままではいけませんもの」

 

 飯田の言葉を肯定する八百万さん。

 二人の言葉を潤滑油にみんながある一定の方向性にある意見を出し始め、どんどんと出し物が絞られていく。

 それを横目にオリジナルサポートアイテムの設計図を描いて行く。

 すると、

 

「なあ、機鰐は何かないのか?」

 

 と横から声が掛けられた。

 声のした方へと視線を向けると砂藤くんが不思議そうな顔をしていた。

 ああ、そうか。みんなは文化祭について話し合っているのに一人だけ違う事をしていたらそりゃ不思議に思うか。

 俺は持っていたペンを置いて視線を合わせて言う。

 

「なんもない」

 

「いや、そう即答しなくても・・・」

 

「ないモノはない!」

 

「断言!!」

 

 だってどうせすぐに決定案が轟の口から出るだろうし。

 設計図を折りたたんでいると、端から轟が話に入ってきた。

 

「ダンス、いいんじゃねぇか?」

 

「超意外な援軍が!」

 

 うん、彼からこの提案が来るなんて誰も想定していなかっただろう。

 

「ちょっといいか?」

 

 轟は皆が使っていたノートパソコンの前に行くとカタカタとキーボードを打つ。

 そうして一つの動画が再生された。

 

「なんかあっただろ。なんて言うか知らねェけど・・・バカ騒ぎするやつ」

 

 そうしてPCの画面にはどこかのライブ会場の映像が再生される。

 映像からして地下アイドルだろうか。

 

「パーティーピーポーになったのか轟・・・!?」

 

「違ぇ。飯田の意見はもっともだと思うしそのためには皆で楽しめる場を提供するのが適してんじゃねぇか。―――仮免補講からの連想なんだが」

 

「どんな補講だったんだよ・・・」

 

 ホント、それは気になる。

 轟の言葉にみんなのスイッチが入り方向性が定まったようだ。

 無論、懸念の声を上げる者(瀬呂)もいる。

 

「言っとくが素人芸程ストレスなもんはねぇぞ?」

 

「私、教えられるよ!」

 

 瀬呂の言葉に芦戸さんがそう答えた。

 ここまで燃料が投下されれば後は淡々拍子で話が進むのがこのクラスの長所だ。

 その証拠にもはや皆のテンションがノり出している。

 

「奇っ怪な動きだった素人(青山)が一日でステップをマスターした! 芦戸の指導は確かだ!」

 

「待て素人共!! ダンスとはリズム!! 即ち”音”だ!! 客は極上の”音”にノるんだ!!」

 

「音楽と言えばぁ―――――!!」

 

 瞬間、俺含めて全員の視線が一か所に集中する。

 全員からの視線を受けた耳郎さんは顔を赤くしてオドオドしている。そんな耳郎さんに葉隠さんが元気に言葉を投げかける。

 

「耳郎ちゃんの楽器で生演奏!!」

 

「ちょっと待ってよ・・・」

 

「何でェ!? 耳郎ちゃん、演奏も教えるのもすっごく上手だし、演奏している時がとっても楽しそうだよ!」

 

 葉隠さんの言葉に耳郎さんは少し間を置いてから静かに口を開いた。

 

「芦戸とかさ、皆はさ、ちゃんとヒーロー活動に根差した趣味じゃんね? ウチのは本当只の趣味だし・・・正直、表立って自慢できるモンじゃないつーか・・・」

 

 その表情はどこか恥ずかしそうであり、その謙遜はいつもの耳郎さんの雰囲気とは少し違った。

 その姿に皆が口を紡ぐ中、上鳴だけがズイズイと場の空気を押すように入ってくる。

 

「なあ、耳郎・・・。あんなに楽器できとかめっちゃカッケーじゃん!!」

 

 上鳴の真っ直ぐな言葉に少したじろぐ耳郎さんを相手に続けるように普段無口な口田くんが口を開いた。

 

「・・・っ耳郎さん、人を笑顔にできるかもしれない技だよ。十分ヒーロー活動に根ざしていると思うよ」

 

 その言葉は、期末テストの演習試験でコンビを組んだ口田くんだからこそ言える事なのだろう。

 二人の言葉を聞いた耳郎さんは恥ずかしそうに頭をワシャワシャと掻く。そして、スッ腰頬を赤らめながら言った。

 

「ここまで言われてやらないのも・・・ロックじゃないよね・・・・・・」

 

「じゃあ、A組の出し物は――――生演奏とダンスでパリピ空間の提供だ!!!」

 

 おお、盛り上がっているね。

 みんな頑張れよぉ(他人事)。

 

 

 

 

 

 

 いつも通り、俺は尾白くんを相手に拳を振るう。

 尾白くんはそれを上手に弾き、受け流して直撃を避ける。

 今はそれぞれの必殺技の向上又は派生の訓練をしている中で尾白くんの特訓に付き合っている。

 彼の個性はその尻尾で終わってしまっている為、身体能力の向上と技術(ワザ)を磨く事に専念している。

 教えているのは攻撃のいなし方の初歩中の初歩なのだが、これができないとそもそも話にならない。

 

「ふぃー、いいね。練度が上がって来てる」

 

「はは、そう言ってもらえると嬉しよ。・・・やっぱあ、少しできることがあるだけで格段に選択肢が増えるな」

 

「そうだねぇ。・・・・・・そうだ、俺がずっと前に喰らった大技を食らわせるから肌で感じてみてよ」

 

「嫌な予感がするんだけど」

 

「大丈夫、大丈夫。俺はあばらが折れただけで済んだから」

 

「それは大丈夫と言わないぞ!!」

 

 尾白くんのツッコミを笑ってスルーした。

 いやさ、本気でやる訳が無いじゃん。これで怪我されたら怒られるのこっちだし。

 

「ほれほれ、細かい事は気にせず構えろ」

 

「うぅ・・・」

 

 どこか不満そうにしながらも構えを取る尾白くん。

 俺は軽く息をはいてから先ほどの様に殴りかかった。ジャブと右ストレートの単純な攻撃に尾白くんが少し眉を顰めているが気にせず殴り続ける。

 そして、何回目かの右ストレートが弾かれたところでその流れに逆らう事無く体を回転させると、そのまま後ろ回し蹴りをその腹部へと撃った。

 

「ごっ・・・!!」

 

「あ、」

 

 足に伝わる感覚がクリーンヒットした事を伝えてくる。

 

「す、すまん。ちょっと力み過ぎた」

 

「ゴホッ、だ、大丈夫だから。・・・・・・それで、今のは?」

 

「受け流された時の力の流れをそのまま蹴る力にしたんだよ。こういった体の使い方もあるのさ」

 

「えっと、つまり・・・?」

 

 尾白くんの額からタラリと汗が流れる。

 俺自身、言葉が足りないのは十分理解しているがこれだけで理解してくれるとは長ったらしい説明の手間が省けて有り難い限りだ。

 その喜びを前面に出してニッコリと笑いながら言う。

 

「力の流れの使い方、動きの流れ―――使えるようになれば戦闘の際に自分の動きが良くなるだけじゃなくて相手の動きも読めるようになる。使えて損の無いスキルだからな。徹底的に叩き込むぞ」

 

 この言葉に尾白くんは震え声になりながら答える。

 

「お、お手柔らかに・・・」

 

「残念な事に優しくやるのは不得意なんでな。体に叩き込むからしっかりとついて来いよ」

 

 その後、体育館内に尾白くん(となんか途中から混じってきた切島含む数人)の悲鳴が上がる事になった。

 うん、みんな元気でよろしい(他人事)。

 









機鰐龍兎が基本他人事なのは、今までの人生でこういったイベント(文化祭などの祭りとか)はほぼ事件があって参加できた試しがないので経験測からまた何かあるだろうと諦めているからです。



この作品のヒロインって……

  • 白神神姫
  • 使原弓
  • 紅華炎
  • 暗視波奉
  • 赤口キリコ(安藤よしみ)

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