個性『英雄』   作:ゆっくりシン

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伝説(レジェンド)大集結。



32話 『二人の天才』

「ア・ホ・かぁぁぁああああああああ!!!!!」

 

 つい、そう叫んでしまった。

 脳無の数がさすがに多すぎる。

 どれだけ倒そうとゴキブリみたいにワラワラと湧いて出てくる。

 しかも、半分近くが転生者脳無。

 爆豪みたいにこの状況を言ってみるとしたら『死ね』、だ。

 クッソ。

 いくら何でも多すぎるし強すぎる。

 俺はベルトのボトルを素早く入れ替える。

 

《Are you ready?》

 

「ビルドアップ!」

 

《シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング! イェイ! イェーイ!》

 

 フォームチェンジ完了と同時に特殊部隊を襲っている脳無を叩き潰す。

 ・・・・・・しっかし。

 これは不味い。

 数が多すぎてエンデヴァーもシンリンカムイもエッジジェットも足止めされている。グラントリノはとっくに行ってしまった。

 これじゃ、オールマイトの元に援軍が向かう事が出来ない。

 だから、

 

「エンデヴァー! シンリンカムイ! エッジジェット! ここは俺が何とかするからオールマイトの元に向かってくれ!!」

 

「なぜお前に任せて行かなくてはならない! 向こうにもプロが・・・・・・」

 

「良いから黙って行きやがれ!! あっちで問題が発生したみたいだってことは分かってるだろ! こっち以上に問題が発生しているかもしれないんだぞ! ここは“仮面ライダー(オレ)”に任せてさっさと行け!!」

 

 俺がそう叫ぶように言うと、エンデヴァーは近くにいた脳無の炎を浴びせながら大きく舌打ちをした。

 そして、

 

「シンリンカムイ! エッジジェット! 行くぞ!!」

 

 そう言って走って行った。

 二人も相手をしていた脳無を無力化してからその後に続いて行った。

 さて。

 ここからが正念場だ。

 俺が脳無どもを睨みながら腰を落とし、構えた瞬間、建物の影から見た事のある人物が現れた。

 その人物は・・・・・・、

 

 

 

 

 

 

《ロックオン! ソイヤァ! カチドキアームズ いざ出陣 エイエイオー!》

 

 鎧武はカチドキアームズを纏うと同時に背中の旗を抜き、脳無をその旗で殴り飛ばす。

 何体も、複数で鎧武に襲い掛かる脳無。

 だが、そこに連携というモノは感じられなかった。

 そう、脳無は単体で、連携も無く、ただ、本能のままに襲い掛かっているのだ。

 鎧武はそれを見て軽く舌打ちをした。

 脳無は元々は人間であるという事はエンデヴァーから聞いていた。

 だから、鎧武はやるせない気持ちがあった。

 鎧武の頭に浮かぶのは“あの二人”の事。

 ヘルヘイムの果実を食べ、バケモノとなり、死んでいった者の事。

 一人は助けようとして目の前で殺された。

 一人は知らなかったとはいえ自身の手で殺した。

 だからこそ、目の前の人間だったモノと戦うのを一瞬だが躊躇ってしまった。

 でも、その躊躇いはすぐに打ち消された。

 いや、打ち消した。

 そんなところで止まっていたら誰かが傷付くだけだから。

 鎧武は脳無を火縄大橙DJ銃で切り飛ばし、“とあるロックシード”を解錠する。

 いや、そのロックシード自体がロックシードを解錠するためのカギだ。

 

《フルーツバスケット!》

 

 鎧武を中心にクラックが開き、複数のアーマーが現れる。

 そして、そのアーマーが鎧武に襲い掛かる脳無を弾き飛ばしていく。

 鎧武は極ロックシードを戦極ドライバーに出現した鍵穴に差し込み、回して解錠する。

 

《ロックオープン!》

 

 複数のアーマーが鎧武の周りをゆっくりと旋回する。

 

《極アームズ! 大・大・大・大・大将軍!!》

 

 複数のアーマーが融合し、カチドキアームズの鎧が弾き飛ばされる。

 鎧武の鎧が白銀色になり、その背にはマント、すべてを極めた姿、『仮面ライダー鎧武 極アームズ』へと変わった。

 そして、鎧武は脳無の群れの中に突撃していった。

 

 

 

 

 

 

「なあ、戦兎。結局、このバケモノって何なんだ?」

 

「いや。俺にもよく分からない。そもそも、脳みそを丸出しで大丈夫なハズが無いんだがブツブツブツ」

 

 俺の前に現れた人物。

 それを見た時、俺は言葉を発することが出来なかった。

 だって、そこにいたのは伝説(レジェンド)だったから。

 俺は保須市襲撃事件からずっと持ち歩いていた色紙を取り出し、走る。

 そして、

 

「サインください!!」

 

 と頭を下げる。

 二人は何を言われたか分からずポカーンとしていたが、真っ先に動いたのは万丈だった。

 

「何? 俺のファンなの? しょ~がないな。ほら、貸してみ」

 

 万丈は滅茶苦茶上機嫌でサインを書いてくれた。

 俺の姿にツッコミを入れない時点でかなりのバカだと思う。

 

「な、なあ。その姿は何なんだ?」

 

 そう聞いてきたのはもちろん戦兎だ。

 

「俺の個性です! 仮面ライダーに変身する個性(チカラ)です!!」

 

「そ、そうなのか・・・・・・」

 

 なんか引かれた。

 なんでや。

 俺は引かれたことに落ち込みながらこの世界、俺の存在、この状況について話した。

 戦兎はふむふむと相槌を打って聞いてくれていたが、万丈は首をかしげていた。

 

「つまり、ラブ&ピースの為に戦ってるんだな」

 

「まあ、そんなところです」

 

 俺がそう答えると、戦兎は俺の肩をポンポンと叩き、言った。

 

「それじゃ、サクッと世界を救っちまおう」

 

「はい!」

 

 俺と戦兎は示し合わせたかのように同じアイテムを取り出す。

 そして、

 

《マックスハザードオン!》

 

 ハザードトリガーをベルトに差し込み、フルフルラビットタンクボトルを振る。

 そして、成分を選択する。

 

《ラビット!》

 

《タンク!》

 

 俺はラビットを、戦兎はタンクを選択した。

 そして、

 

《ラビット&ラビット!》

 

《タンク&タンク!》

 

《ガタガタゴットン! ズッタンズッタン! ガタガタゴットン! ズッタンズッタン! Are you ready?》

 

「「ビルドアップ!」」

 

《オーバーフロー!》

 

 そんな音声と共にラビットアーマーとタンクアーマーがどこからともなく現れ、分裂し、空中を浮遊する。

 

《紅のスピーディージャンパー! ラビットラビット! ヤベーイ! ハエーイ!》

 

《鋼鉄のブルーウォーリア! タンクタンク! ヤベーイ! ツエーイ!》

 

 そんな音声と共に俺たちはアーマーを纏い、『ラビットラビットフォーム』と『タンクタンクフォーム』にフォームチェンジする。

 そして、二人で宣言する。

 

「「勝利の法則は決まった!」」

 

「そういや戦兎。何で二人に増えてんだ?」

 

 

 

 

 

 

 紅華火は目の前の脳無と睨み合う。

 脳無の身長は3メートルほどで、ネコミミに猫の尻尾、巨大な人型猫系脳無だった。

 先ほどまでは、大体2メートルほどの大きさの脳無だったのに、戦闘になると同時に巨大化し、ネコミミと尻尾が生えたのだ。

 紅華火はそれがどういった転生個性なのか判断がつかなかった。

 だが、そんな事、気にするような性格ではない。

 紅華火は体を炎で包み、脳無目掛けて突撃する。

 脳無の攻撃を避け、アッパーパンチで脳無を真上に吹き飛ばす。

 そこからくり出される必殺技。

 

「フェニックス・インパクト!!」

 

 紅華火は拳に炎を纏わせ、飛び上がり、脳無を殴り飛ばした。

 脳無の体が紅い炎で包まれ、燃え尽きて行った。

 

 

 

 

 

 

 俺と戦兎は共に脳無どもを叩き潰していく。

 フルボトルバスターの機能をフルに使って一体一体確実に倒す。

 何体倒しただろうか。

 後方から滅茶苦茶うるさい音が聞こえてきた。

 

《極熱筋肉! クローズマグマ! アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!》

 

 滅茶苦茶うるさい。

 少し後方を確認すると、万丈がマグマをほとばしらせながら脳無を殴り飛ばしていた。

 さすが筋肉バカ。

 そのパワーを使って脳無がどんどん無力化されていく。

 まあ、とりあえず万丈の事は放っておこう。

 俺はフルボトルバスターにボトルを装填する。

 

《ラビット! ゴリラ! タカ! ドラゴン! アルティメットマッチでーす》

 

 フルボトルバスターのブレードにフルボトルのエネルギーが集中する。

 そして、トリガーを引く。

 

《アルティメットマッチブレイク!》

 

 強力なエネルギーを脳無どもに叩き込んでいく。

 一体目。

 二体目。

 三体目。

 四体目。

 五体目、六体目、七体目・・・・・・・・・。

 何体も、何体も斬り伏せていく。

 戦兎はビルドドライバーからフルフルラビットタンクボトルをフルボトルバスターに装填した。

 

《フルフルマッチでーす! フルフルマッチブレイク!》

 

 戦兎の持つフルボトルバスターの銃口にエネルギーが収束し、それが一気に放たれる。

 それによって射線にいた脳無は全て吹き飛んでいく。

 やっべぇ。

 滅茶苦茶格好いい。

 当たり前だが、俺以上に戦い慣れているし、劇中そのままの戦いがナマで、しかも間近で見れるなんて幸せすぎるだろ。

 あ゙ぁ~~。

 色々な転生者と会ってきたけど未だに仮面ライダー好きのヤツと出会えてないからなぁ。

 こういった気持ちを共有できる友が欲しいぜ・・・・・・。

 俺はそう思いながらもはや作業ゲーとでも言わんばかりの勢いで脳無を蹴散らし、もっとも脳無が暴れている方面へと走って行った。

 

 

 

 

 

 

FINAL FORMRIDE(ファイナルフォームライド)・・・・・・BLADE(ブ・ブ・ブ・ブレイド)

 

「ちょっとくすぐったいぞ」

 

「は? ちょ、何を勝手n・・・・・・」

 

 ディケイドはブレイドの意見を、反論を一切聞くことなくカード効果を発揮させる。

 ブレイドは一切の抵抗が出来ずにブレイドブレードへとその姿を変えた。

 そして、

 

FINAL ATTACK RIDE(ファイナルアタックライド)・・・・・・BLADE(ブ・ブ・ブ・ブレイド)

 

 ブレイドブレードの刃にエネルギーが収束する。

 ディケイドに襲い掛かる十数体もの脳無。

 数では圧倒的に脳無の方が上だった。

 だが、その程度の数では“世界の破壊者”には到底かなわない。

 勢いよく振るわれるブレイドブレード。

 その威力はすさまじく、脳無はチリ一つ残すことはできなかった。

 ディケイドはブレイドブレードをまるで用済みを言わんばかりに投げ捨てる。

 そんなディケイドの目にあるモノが止まった。

 それはテレビの画面だった。

 複数現れた仮面ライダー。

 (ヴィラン)と交戦しているオールマイト。

 そして、二人の仮面ライダービルド。

 ディケイドは少し微笑を浮かべながらカードを取り出す。

 何をするかなんて明白だった。

 

KAMENRIDE(カメンライド)・・・・・・BUILD(ビルド)! 鋼のムーンサルト ラビットタンク イェーイ!》

 

「ビルドが3人、なかなか粋な計らいだろ」

 

 ディケイドは誰に言う訳でもなくそう言い、少し笑った。

 そして、加熱する戦場へと突き進んでいく。

 

 なお、ブレイドは適当に放り投げられたところに運悪く脳無が居たため、元の姿に戻って間もないのに、全力で戦う事となったのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 黒い少年と白い少女がテレビ画面に釘付けになっていた。

 画面内ではオール・フォー・ワンと戦っているオールマイトの映像と、大量の脳無と戦っている仮面ライダーの映像が流れていた。

 

「なァ、この中にどンだけ本物がいると思う?」

 

「・・・・・・ビルドが二人になったと思ったら三人に・・・・・・。いや、これは・・・ラビットラビットかタンクタンクのどっちかが本物だと思う」

 

「そォか。・・・・・・どうすンだ? ここにカチコミにでも行くか?」

 

「いや、止めておこう。ココで行ったとしても現場がより混乱するだけだ」

 

「そォかよ」

 

 白い少女はそうつまらなそうにそう言う。

 黒い少年は慰めるように、

 

「大丈夫。仮免取ったら戦えるから」

 

 そう言って“ガシャット”を起動させる。

 

《ゴッドマキシマムマイティX》

 

「コイツを使ってな」

 

 その言葉を聞いて白い少女はニヤリと笑った。

 美しく、それでいて不気味に。

 




伝説(レジェンド)大暴れ。
そして、ラスボス登場。

この作品のヒロインって……

  • 白神神姫
  • 使原弓
  • 紅華炎
  • 暗視波奉
  • 赤口キリコ(安藤よしみ)

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