個性『英雄』   作:ゆっくりシン

78 / 172
明けましておめでとうございます。
今年もgdgdと続く駄作ですがこれからもよろしくお願いします。

あと、遅れましたがお気入り400件突破、本当にありがとうございます。


78話 『始まりと突撃。不遇枠の少年の戦い』

 “『ベアーズ』壊滅作戦”決行日。

 俺たちの緊張は極限まで高まっていた。

 勝てるかどうか分からない戦いになる事は確実だ。

 だから、全員が戦闘態勢に入り、最後の作戦会議に入る。

 

「作戦は変わらず、俺たちは主面から突っ込んでそっちに意識を集中させる。その間に通理葉真がこのUSBメモリを持って基地に潜入し、『防衛AI』を停止させる・・・・・・停止できる時間はどれぐらいだっけ?」

 

「最低でも5分が限界」

 

「OK。それじゃぁ、各自、身も守る事を考えて行動してくれ」

 

「「「「「「「おう!」」」」」」」

 

 全員が大きな声で答える。

 しかし、『ベアーズ』と戦うのに全精力で行くことになるとは思わなかった。

 インフレする運命は避けられないのか。

 

「ところで、葉真。なんで泣いてるんだ?」

 

「忘れられていると思ってたから、作戦の要にしてもらえてよかった・・・。メインキャストとしての登場なんてホント何時振りか・・・・・・」

 

「何言ってんの、オマエ?」

 

 なんか涙流して喜んでいるが理由は不明。

 とても心当たりはないし、暇があればよく会話とかもしていたので久しぶりという訳でもない。

 なぜこんなにも悲壮感漂っているのか、本気で分からない。

 俺はとりあえず軽いストレッチの後に、腰にベルトを装着する。

 

「さぁてと、行きますか」

 

 俺はポソリとそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 血化石蛇は転生者である。

『ベアーズ』のリーダーを務め、組織を大きくする事を目標に動いている。

 現在は、『ファウスト』を潰して大々的なアピールをする為に細かい作戦を練っていた。

 一度、高い金を払って刺客を差し向けたこともあったが、あっさりと返り討ちに合ってしまい、資金難で活動を休止していたがようやく最低値は溜まったので動き出そうとしている所であった。

 一部メンバーは離れて行ってしまったが、それでも防衛システムを信じて残ってくれた者も多い。

 そんな彼ら・彼女らを前に血化は言う。

 

「しばらく止まってしまっていたが、これより“『ファウスト』壊滅作戦”及び“『仮面ライダー』撃破作戦”の会議を始める。“博士”、例の物を」

 

「任せなさい! サイエンスが未来をk

 

「あ、そういうの良いので」

 

「ショボン」

 

 決め台詞をバッサリと斬られた“博士”は肩を落としてしょんぼりとする。

 だが、『ベアーズ』メンバーの大多数がこの決め台詞に飽きていたので庇うものはいなかった。

 

「これが、過去の遺物―――ロストテクノロジーを基に作り上げた物、“T6ガイアメモリ”と“コズミックスイッチ”だ。これを使えば大きな力を得る事ができる」

 

「“博士”。ガイアメモリはしばらく前に“組織”に売り渡したヤツと違うのか?」

 

「あれの数段上の性能のヤツさ。しかも副作用は少なめ」

 

 そう言って笑う“博士”を見て血化は内心ゾッとしていた。

 前の“試作型T4ガイアメモリ”は制度だけは高かったモノの副作用が大きく、一度使用すれば遅かれ早かれ死が待ち受ける。

 一番長く生きた者でも一年と少しが限界であった。

 それを、副作用を抑えてより強力にしてあるなんて考えただけでも恐ろしい。

 “博士”は得意げな顔で鼻歌交じりに足をバタつかせる。

 

「しかし、随分と凄いモノを作りましたね。そんな小柄で華奢な体で」

 

「黒猫ちゃぁん。性別や体格は当てにならないよぉ」

 

 血化の秘書である黒猫暗矢は特に深い意味を込めて発言したわけではないのだが、“博士”的にはそれがどうも釈然としなかったらしい。

 身長140cm半ばに腰まである赤茶色の髪、大きな丸眼鏡とぶかぶかの白衣にクマさんがプリントされたTシャツを着た少女。

 それが“博士”である。

 見た目は完全に小学生だが、実年齢は30過ぎのいい大人である。

 

「はいはいは~い。ではではぁ、これを配っちゃいま~す」

 

 “博士”がそう言った瞬間、いくつかのメモリとスイッチが浮かび上がり、『ベアーズ』メンバーの下へ勝手に移動した。

 半分のメモリとスイッチが行き渡り、それぞれが自分の手の中に納まったアイテムに視線を落とす。

 だが、

 

「オレの所に来てないぞ」

 

 と軍長身武がげんなりとしながら言う。

 それを見て“博士”は口を手で押さえてケラケラと笑う。

 

「どうやら、メモリどころかスイッチとも適正が無かったようだね。まぁ、馬鹿に使われたくないってことだね。プギャーwwwww」

 

「うっっっぜぇぇええええええええ!!!!!」

 

「二人とも抑えなさい。今は仲間割れをしている時ではない」

 

 黒猫が二人の間に割って入り、仲裁をする。

 “博士”と軍長はあまり仲が良くない。

 っと言っても、軍長が嫌っているだけで“博士”の方は嫌っている訳ではなさそうだが・・・。

 そんないつも通りのハチャメチャなやり取りをしていると、いきなり緊急事態を知らせるブザーが鳴り響く。

 それに一番驚いたのは血化であったが、それを表に出すことなく言う。

 

「モニターに映像を!!」

 

 ちなみに、大きな声で言ったのはブザーが大きいのと驚いたことを誤魔化すためである。

 少しビクッとなってしまったのだしょうがない。

 モニターに映し出された映像には、『ベアーズ』基地に向かって猛スピードで突き進む『ファウスト』メンバーの姿が見られた。

 

「こっちから出向くよりも前に来るとはな。“博士”! 『防衛AI』は!?」

 

「ばっちし起動中!! 迎え撃つよぉ!!」

 

 “博士”はそう言うと同時にとあるボタンを押した。

 そして、モニターに文字が表示される。

 

Annihilation(アナイアレイション) Mode(モード) 起動』

 

 と。

 

 

 

 

 

 

 俺たちはひたすら開け抜ける。

 今現在いる所は第Ⅰ防衛ラインである。

 そう、まだ始まりも始まり、序盤でしかない。

 だというのに。

 

「クッソ!」

 

 俺はセルメダルをベルトに投入し、ユニットを出現させる。

 

《ドリルアーム キャタピラレッグ》

 

 そして、ドリルを使用して固定砲台を殴り壊す。

 さらにキャタピラレッグを使って高速移動をし、少し離れた場所にあった固定砲台を移動の勢いそのままに蹴り壊す。

 第Ⅰ防衛ラインは、固定砲台から発射される砲弾とマシンガンによる弾幕がメイン。

 これだけでも破壊力抜群だというのにこれ以上の物がこの先にあるのだ。

 ハッキリ言って、馬鹿じゃないの?

 こんなの、亀みたいに籠っていれば普通に攻め手がない。

 

「固定砲台を全部破壊しようと思うな! ある程度隙間を作れたらすぐさま突破するようn・・・・・・がぁああ!!」

 

 命令を飛ばした瞬間、上からの攻撃が直撃してしまった。

 基地まで飛んでいくという提案も初期はあったが、空にはレールガンや爆撃砲などを積んだ無人兵器が飛んでいる。

 しかも小型(2~3メートルほど)。

 足元にも時々地雷。

 360度全方位に警戒を向けないと生身なら死ねる。

 この作戦は突破メインだが、一番は少しでも時間を稼いでこちらに意識を向けさせ、通理が『防衛AI』を止めてくれるのを待つしかない。

 っと言うか、第Ⅳ防衛ラインから明らかに突破が不可能なレベルに上がるので、無理に突き進むのも得策ではない。

 だから、早く。

 早くウイルスを打ち込んでくれ通理ィ!!!

 

 

 

 

 

 

 ギチギチギチと首を絞める。

 通理葉真は『ベアーズ』基地に侵入したまではよかったが、丁度トイレへ向かってい敵に発見されてしまい、戦闘になってしまっていた。

 不幸中の幸いに敵は一人だけで、素早く後ろを取れたことが良かった。

 後はこのまま落すだけである。

 そして、数秒後、敵の意識は完全に落ちた。

 だが、少し時間をかけすぎてしまったらしく、異変に気が付いた者たちがぞろぞろと出て来た。

 

「・・・・・・『コックローチ・ドーパント』と『アルター・ゾディアーツ』と『オリオン・ゾディアーツ』、か。生身で戦うのはキツそうだね」

 

 通理はそう言って腰にベルトを装着する。

 そして、ナックル状のアイテムを取り出し、手に平に押し付ける。

 

《レ・ディ・ー》

 

 通理は軽い深呼吸の後に宣言する。

 

「変身」

 

《フィ・ス・ト・オ・ン》

 

 瞬間、通理の体にイクサスーツが装着され『仮面ライダーイクサ(セーブモード)』への変身を完了させる。

 バーストモードではない理由は、元々、初期設定では“通理葉真”が『仮面ライダーグリス』に変身するはずだったのに、ぽっと出の“赤口キリコ”(旧名・安藤よしみ)にその立ち位置を奪われたことに由来する(中の人繋がりというやつだ)。

 ああ、不遇。

 そんな思いを込め、怒気を込め、イクサは叫ぶ。

 

「祭りの始まりだぁぁぁあああああ!!!」

 

 違う仮面ライダーのセリフであるが、気にしてはいけない。

 

 

 

 

 

 

 現在、第Ⅲ防衛ライン半ば。

 まだウイルスはインストールされていないようである。

 第Ⅱ防衛ライン終わり頃から殲滅装置に音声機能が追加されており、やかましいったらありゃしない。

 っと言うか、二足歩行のロボットなんて無駄でしかない。

 

『敵性を持つ者を確認。排除します』

 

 俺は突撃してきたロボットを片手間に破壊する。

 そもそも、二足歩行は人間が思っているよりも難しいモノである。

 例えるなら、人間は自転車で犬猫は車だ。

 人間はその不安定な立ち方が出来るように進化してきたが、それをプログラムで再現するのは至難である。

 初めて作られた二足歩行ロボットなんて一歩歩くのに一分以上掛かったらしい。

 それから技術は発展してかなり軽やかに動く二足歩行ロボットは出来たが、それでもやはり欠点はある。

 俺は完璧なロボットであるが故に生まれる隙を狙って破壊する。

 そんな時、俺の耳に悲鳴が届いた。

 それを脳が認識した瞬間、俺はその人物の下へ駆けつける。

 

「ラクラ!! 何やってんだよ、お前らしくもねぇ」

 

「うる、さい。キミには関係ないだろう」

 

「馬鹿野郎! こんな所で寝転んでたら死ぬぞ!! 今だって変身しているから何とかなってるだけだ!!」

 

『敵性を持つ者を確認。排除します』

 

「チッ」

 

 俺は突撃して来たロボットをドリルアームで正面から破壊する。

 腰辺りから二つに分かれ辺りに部品が散乱する。

 

「だ、めだ」

 

 さらに突撃して来たロボットも同じ要領で破壊する。

 

「ダメだ! 止めてくれ!!」

 

「はぁっ!? 何言ってんだよ、オイ! 少しでも数減らさねえt

 

「娘なんだ!」

 

「っ!!?」

 

 サクラが何を言っているかなんてわからなかった。

 いきなりそんなことを言われても理解できる人間なんていないだろう。

 だけど、それは何も知らない人間からしたら、という事だ。

 

「・・・・・・『あの夫婦』と同じと解釈して良いか?」

 

 俺の問いにサクラは静かに頷く。

 だったら、確かにこれ以上はサクラにはキツイだろう。

 

「お前は撤退しとけ。助けてやる。救ってやる。停止ウイルスなんぞ知った事か。そんなの無視して突撃する」

 

《カッターウィング》

 

 俺は背中にユニットを出現させると、『ベアーズ』基地を直線的に睨む。

 そして、勢いよく飛び出す。・・・・・・と、

 

「私も行くよぉ!!」

 

 紅が俺の後に続いて飛び出していた。

 

「なぁっ!!?」

 

「一応これでも不死性を持ってるからね。これくらいなら突破できるよ」

 

「・・・・・・そうか。だったら、行くぞ!」

 

 俺たちは一直線に突き進む。

 体に受けるダメージなんて無視して。

 ただひたすら。

 第Ⅳ防衛ラインを突破した。

 第Ⅴ防衛ラインを突破した。

 第Ⅵ防衛ラインを突破した。

 第Ⅶ防衛ラインを突破した。第Ⅷ防衛ラインを突破した。第Ⅸ防衛ラインを突破した。

 その時、防衛システムの機能が停止した。

 好機。

 これを逃すほど俺は、いや、俺たちは優しくない。

 

「「「「「「「「「「「進めぇぇえええ!!!!!」」」」」」」」」」」

 

 俺と紅を先頭に『ファウスト』及び『パンドラ』が突き進む。

 そして、最終防衛ラインにある壁を見据える。

 これを破壊すれば基地に侵入するのはとても容易い。

 

《ブレストキャノン》

 

 俺はベルトにセルメダルを大量投入する。

 紅はその両手に深紅の炎を纏わせる。

 

「壊れろぉぉぉおおおお!!!!!!」

 

「必殺『不死鳥の爆炎』!!!!!!」

 

 二つの高エネルギーが壁にぶつかり、そこを中心に壊れる。

 ここから、こっちの攻撃タイムだ。

 

 

 

 

 

 

 イクサは制御ルームの壁に背中を預け、床にへたり込む。

 襲い掛かってくる敵を倒し続け、屍の山を築き、フラフラになりながらようやくUSBメモリをコンピューターに差し込んだ。

 

「やっと、メインキャラらしい行動が出来た・・・」

 

 そう言って達成感を得るイクサだったが、その気持ちはすぐに消え去った。

 

《ウェザー》

 

 そんな音声が耳に飛び込んできたのだ。

 イクサはそれを聞いて「あぁ・・・」と小さく呟いた。

 そして、ゆっくりと立ち上がった。

 

「『ウェザー・ドーパント』かぁ。面倒くさい・・・」

 

「侵入者が。すぐに排除してやろう」

 

「チッ」

 

 イクサはモードチェンジをし、『仮面ライダーイクサ(バーストモード)』へと変化する。

 そして、イクサライザーを取り出し、キーを打ち込む。

 

《ラ・イ・ジ・ン・グ》

 

 瞬間、イクサのアーマーが弾け飛び、『仮面ライダーイクサ(ライジングモード)』への変身を完了させる。

 

「さてと、サブ主人公としての格の違いを見せてやるぜ」

 

 そう宣言するイクサ。

 だが、戦闘シーンは全カットされるのであった。

 

 ああ、不遇。

 





なお、クマ編が終わり次第、また不遇枠に戻る可能性大。



通理「Σ(゚Д゚)

この作品のヒロインって……

  • 白神神姫
  • 使原弓
  • 紅華炎
  • 暗視波奉
  • 赤口キリコ(安藤よしみ)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。