破壊光線に自分にしか分からないルビを振って使ってたらとんでもないことになった。   作:筋肉大兄貴
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マーズ「この裏切り者ぉぉぉっ! 」
ジュピター「このジュピター、容赦せぬっ! 」
サターン「貴様らを超えて、俺は真の王道に舞い戻るのだっ! 見ていて下さい、ワタル様っ!! 」

ワタル「ア、ハイ」
フライゴン「うわぁ……」
アカギ「引くわ……」



多分こんな話。でも、本編に関わりのない前書きだからって何をしれっと出てきてんだアカギィィィッ!!


主人公視点 50 ー 1 + サターン視点 1 + 主人公視点 50 ー 2

主人公視点

 

 

 

まさかのサターンの突然の乱入に、先ほどまで大いに殺気立っていたマーズさんとジュピターさんの雰囲気が、一気に怪訝なものに変わっていったのが手に取るように分かった。

 

無理もないことだ。この三人はたった数日前まで同じ組織に身を置いていた仲間同士。

その内の一人が急に反旗を翻して自分達の前に現れたのだから、それを「はい、そうですか」と素直に受け入れろという方が酷な話だ。

 

俺の場合で例えるのなら、深刻な顔をしたカンナが「もう、貴方のお世話をするのは疲れました。実家に帰らせていただきます」と言いながら辞表を差し出してくるような感じだろうか。

 

 

 

「サターン、アンタ……! 最近姿が見えないとは思ってたけど、だからって何であたし達の敵として現れてんのよ!? 」

 

「見てのとおりだ、マーズ。俺はトバリのギンガ団本部が陥落する前にワタル様と出会い、この方の強さと気高さに魅せられた。その方のピンチと聞いて駆けつけないほど、俺は薄情な人間ではない」

 

 

 

……いや、この場合はどう考えても俺の自業自得なのだろうから少し違うか。あり得ない未来じゃないというのが中々に辛いけどね。

 

 

 

「薄情ではない、ねぇ……。出会って数分の坊やに簡単に靡いた貴方がそれを言っても、正直全然説得力はないと思うけど? 」

 

「ふっ……何とでも言うがいいさ、ジュピター。だが、最近のギンガ団のやり口には俺も疑問を覚えていたからな。それを考えれば、危険なほどにボスのことを盲信している君達と敵対するのはある意味必然だと思うが? 」

 

 

 

しかし、ただの想像に過ぎないとはいえさっきのカンナの下りはかなり心臓に悪いな。そんなことにならないように俺も日々努力しなければならないが……実際問題、一体何をどうすればいいのだろうか?

 

 

 

「……っ! あたし達だけなら兎も角、ボスのことまでバカにしたわね……! 絶対に許さないんだからっ!! 」

 

「そうね。流石にさっきのは聞き捨てならないかしら。どうやら裏切り者の貴方には、きっつ〜いお仕置きが必要みたいね? 」

 

「裏切りか。誤解しているようなので訂正させてもらうが、俺は決してギンガ団を裏切ったわけじゃない。……単純に目覚めたのさ、俺達を取り巻く現実って奴にな」

 

 

 

日頃から感謝の言葉は欠かさず伝えているつもりだし、カンナの好きなものもある程度は熟知している。仕事の量なんかも、なるべく彼女の負担になりすぎないように配慮しているが……多分それだけじゃあ足りないんだろうな。

 

 

 

「現実に目覚めたぁ? はっ! なら次はあたしの手で、アンタを一生目覚めのない地獄の底に叩き落としてやるっ!! 」

 

「ついでに、そこの坊やも一緒にね。ふふっ、久しぶりに滾ってきたわ……! 」

 

「……やれやれ、未だに幻想の呪縛からは解き放たれず、か。最初から分かってはいたことだが、中々辛いものがあるなーーだが、それでもここは押し通らせてもらうぞ! 行きましょう、ワタル様っ!! 」

 

「ア、ハイ」

 

 

 

何てことを考えていたら、いつの間にかこの四人でダブルバトルをする流れになっていたでござる。

 

 

 

……やべ。さっきまでのこの三人の話全然聞いてなかったんだけど……大丈夫かな?

 

 

 

サターン視点

 

 

 

ワタル様がボスのいるもどりのどうくつに向かったことを聞き、密かに彼の後を追いかけていた俺は、そこでかつての仲間にしてギンガ団の幹部であるマーズとジュピターに再会した。

 

相変わらず人の話を聞かない上にボスに対する盲信がひどいマーズと、そんな彼女とは逆に理性的な面を持ち合わせながらも何処か狂気めいた光をその目に宿すジュピター。

すでに袂を分かった二人であるとはいえ、出来れば穏便に話し合いたいところだったのだが……そう上手くいくはずもなし、か。

 

 

 

しかし、そんな醜い内輪揉めを目の当たりにしても、当のワタル様は何も言わずに俺のことを受け入れてくれた。何と器の大きい人なのだろうか。やはり俺が付いていくべきお方はこの人以外にはありえない。

 

そんなことを考えながら、マーズやジュピターとのダブルバトルを始めた俺とワタル様だったのだがーー。

 

 

 

「ドグロッグ! あっちのフライゴンにれいとうパンチだよ! 」

 

「いい判断ね、マーズ。なら、アタシ達もその流れに続きましょうか。ゴルバット、どくどくのキバをフライゴンに」

 

「……フライゴン、『みきり(流水制空圏)』で相手に攻撃を上手くいなしてくれ。その後は『おいかぜ(疾きこと風の如く)』で戦況を有利にしよう」

 

 

 

先ほどから、どうにもワタル様とフライゴンの動きがおかしい。スモモさんからいただいたこのワタル様大全集(著 : フエンジムリーダー・アスナ、編集協力 : 流星の民・ヒガナ)から考えれば、先ほどフライゴンの繰り出した技はみきりとおいかぜ。

 

それ以外にも、みがわり(神の複製体)はねやすめ(超速再生)というような補助技を多く出してる反面、未だにこれといった攻撃技は出していないようだし……。本当に、ワタル様は一体何を考えておられるのだろうか?

 

 

 

「あー、もーっ! 何なのよアンタはさっきから! 少しは真面目にバトルしなさいよ! 」

 

「……もしかしなくても、明らかにアタシ達のことを嘗めてるわよね? いいわぁ、そういうの。何だかゾクゾクしてきた……! 」

 

 

 

それが証拠に、マーズとジュピターの両名も段々と焦れて来ているようだ。……もしや、これがワタル様の狙いか? だが、それにしては色々と腑に落ちないことが多いような……。

 

そこまで考えた後、俺が隣にいるワタル様の方をふと見やると、彼は一瞬だけこちらの方に目を向けた後、ほんの僅かに頷いて見せたのだった。

 

 

 

 

そうまでしてもらって、俺はようやくワタル様の真の狙いに気づくことが出来た。

 

この方は、俺とあの二人の間にある因縁を断ち切るためのお膳立てをしてくれていたのだ。それ故にフライゴンには攻撃技を指示せず、敢えて彼女達の狙いを俺のブニャットから逸らすための行動ばかりを取らせていたのだろう。

 

何という……何という細やかな心遣いだろうか! まさか俺のような者にまでそのような気遣いを向けてくださるとは……!

 

俺は……俺は今! 猛烈に感動しているっ!!

 

 

 

ならばこそっ! 俺はこの方の期待に全力で応えなければならないっ!!

 

 

 

「ブニャット! つめとぎを終えたらゴルバットにみだれひっかきーー」

 

 

 

そんな俺の指示を聞いて爪を鋭く光らせたブニャットは、未だこちらの動きに気付いていないゴルバットに向かって軽やかに飛びかかると……。

 

 

 

「グォレンダァ!! 」

 

 

 

その凶悪な爪を一閃、二閃と連続で振るい、遂には空中のゴルバットを地に落とすことに成功したのだ。

 

 

 

「っ!? サターン、貴方いつの間に……!? 」

 

「ちょっ!? 何やられてんのよ、ジュピター! 」

 

 

 

今までワタル様のフライゴンに狙いを付けていたマーズとジュピターは、俺のブニャットがもたらした予想外の戦果に大いに戸惑っているようだった。やはり奇襲とはこうあるべきだな。

 

だが、まだだ……! まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜっ!!

 

 

 

「続けていくぞ! ブニャット、そのままドグロッグにさいみんじゅつだ! 」

 

「……!? さ、さいみんじゅつは不味い! 起きて、ねぇ起きてよドグロッグ!! 」

 

 

 

俺の狙いを察したのか、ドグロッグに向かって必死にそう呼びかけるマーズ。

だが、当の本人は既に深い深い夢の中。どう少なく見積もっても、あと数分は目覚めることはないだろう。

 

……だからこそ、そんな君達にはこの技を送ることにしよう!

 

 

 

「これで最後だっ! ブニャット、ゆめくいであのドグロッグを永遠の暗闇に沈めてしまえっ!! 」

 

「だ、ダメぇぇぇっ!! 」

 

 

 

そんなマーズの叫びも虚しく、最後まで目を覚ますことのなかった彼女のドグロッグは、その顔に安らかな表情を浮かべたまま、HPの全てをブニャットのゆめくいによって根こそぎ持っていかれてしまったのだった。

 

 

 

そして、このバトルの決着を最後まで見届けた俺もまた、自身の顔に晴れやかな笑みを浮かべながらこう呟いた。

 

 

 

「さらばだ、ギンガ団。俺は、俺の信じる道を行くっ! 」

 

 

 

その時の俺の瞳には、満足げな様子で数度頷くワタル様の姿しか写っていなかったのだった。

 

 

 

主人公視点

 

 

 

狭い洞窟の中でのダブルバトルということで、比較的体が大きなフライゴンでは満足に行動が出来ないと判断した俺は、可能な限りマーズさんとジュピターさんの攻撃を上手くいなすことだけを考えてフライゴンに指示を出していたのだけどーー。

 

 

 

まさかサターンくんとその相棒であるブニャットが、ここまで見事な二タテ見せてくれるとは思いもしなかっなぁ。

いやね? そりゃあ少しくらいは彼に期待していたことも確かなのだけど、それでもあそこまで活躍してくれるのは完全に予想外だったわけだよ。

 

いやはや、サターンくんもやるもんだねぇ。流石は元ギンガ団幹部の一人ということかな。

 

 

 

「ワタル様! マーズとジュピター両名の捕縛が完了致しましたっ!! 」

 

「く、くっそぉ〜……! 」

 

「はぁ……アタシの悪運もここまで、か」

 

 

 

それに、仕事も早くて正確だし……この一件が終わったら、彼を俺の秘書として雇えないかリーグのお偉いさん方に掛け合ってみようかな?

 

 

 

「……ありがとう、サターン。君が来てくれて本当に助かった」

 

「……! お、俺などには過ぎたお言葉です……が、ここは有難く頂戴させていただきますっ! 」

 

「……そうしてくれ。では、彼女達のことは君に任せてもいいかな? 」

 

「勿論です! どうかご武運をっ!! 」

 

 

 

まぁ、そんな未来のことは後で考えればいいか。今は、俺の出来る最善手を打つことに集中しなくては。

 

そうしてサターンくんがマーズさん達をしょっ引いていくのを見届けた俺はーー。

 

 

 

「何やら騒がしいと思って出てきてみれば……また君か、ドラゴン使いの少年」

 

「……お久しぶりですね、銀河の求道者ーーいや、アカギさん」

 

 

 

その直後に洞窟の奥から現れた、今回の騒動の元凶であるギンガ団のボスと相見えることになったのだった。




サターンくん大活躍の回でした。

普通にやれば多分幹部の中では一番バトル巧者な気がする彼ですからね。それを考えればこの結果も妥当な気がします。その分、勘違いも凄いですけど。
そして明かされるワタルさんのルビ振り解説書の存在……!これは本人が見たら発狂間違いないですね、はい。

次回はいよいよアカギさんとのバトル! ……になればいいなぁと思います。多分無理ですけど。

そしてそして! 今回は久しぶりにたくさんのルビを使わせていただきました!
みきりは余は阿呆であるさんのアイディアから、おいかぜは山猫ぶたいさんのものを少しはイジって、みがわりは耀太さんから、はねやすめは九尾さんのものから、ぞれぞれ採用させていただきました! 皆さん、本当にありがとうございました!



技名ネタ及び次の行き先に掛かるアンケートは私の活動報告で随時受け付けておりますので、皆さん振るってご参加下さい!


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