彼女達と奏でる音   作:オオル

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話は終わりを迎えます...それではそうぞ!


今井リサの憂鬱 後編

 リサside

 

「バンドの帰りも送ってくれてありがとね」

「いえいえ、これが彼氏の役めなんで」

「...なんかおどおどしなくなったね?」

「え!?いや、そ、そんなことないですよ!」

 

 気のせいなのかな?でも今日言ってくれたこと...とても嬉しかった。アタシはこんな見た目だけど今まで彼氏なんていなかったからあんなこと言われたの初めてだった

 

「...ただ、ちょっと怖いんです」

「怖い?」

「はい、まだ死にたくないなーって、リサさんともっとこうしたいなって」

「っ!」

 

 死にたくないって言葉に引っかかるけど

 

「あ、アタシも!」

「え!?そうなんですか!?」

 

 もうこの際言ってしまおう!

 

「あのね!将人君!」

「...!リサさん!」

「え?」

 

 目の前には覆面を被った人がいた。

 

「おい、今井将人」

「な、なんだよ」

「忠告したはずだぞ、今井リサと別れろと」

「そして別れなかったら殺すとな」

 

 え?そんなこと言われてたの?いつ?

 

「今日手紙見たばっかりなんですけど...」

「うるせえ!」

「リサと付き合っていいのはこの僕だけなんだよ!」

「お前みたいな童貞野郎が付き合っていい存在じゃないんだよ!」

「...違う!」

「リサさん?」

「アタシが付き合う人はアタシが決める!あなたに決められる権利はない!」

 

 そう、アタシが付き合いたい人は自分で決める、やっとこんな感情も持ったのに誰かになんて邪魔されたくない!

 

「な、なんだと!」

「そーゆうことだ!手を引け!このストーカー野郎!」

「ありえない!ありえない!」

「リサが僕にそんな言葉を言わない!いつも敬語だ!」

「え?」

「今井将人...お前がリサを変えたんだ!」

 

 覆面の人がナイフを突き立てて走ってきた。

 

「リサさん!」

「あっ!」

 

 将人君に飛ばされて尻もちを着いた。でもそれじゃ将人君が!

 

 グサッ!

 

 sideout

 

「ここまででいいのか?」

「ああ、近すぎると車の音で気づかれるかもだからな」

「...俺も車を止めたら直ぐに向かう」

「わかった」

 

 どこだ、どこにいる?いなければいなくて連絡が取れれば何も起きてないってことだ

連絡を取ろうと思って携帯を出した、蘭とモカからの電話がたくさんかかっていた。でもそんなことより今は将人かリサと連絡を取ることだ...電話をかけたが反応がない、やっぱり何かあったのかもしれない!

 

「うるせぇ!」

 

 誰かの怒鳴り声が聞こえた。この声は聞き覚えがある、俺が盗み聞きした声だ

 

「クソ!やっぱり店長だったか!」

 

 ストーカー野郎は店長が犯人だった。

 俺は聞こえた方に急いで向かった。

 

「はっ!」

 

 曲がり角を曲がったら目の前で将人にナイフを突き立ててる覆面を被った人がいた。

俺は意識的に体を動かし

 

「さぁぁあせるかぁぁぁあ!!!」

 

 覆面野郎と将人の間に入り、ナイフを持ってる手をとった。

 

「将人!!!お前がケリをつけろ!!」

「な、誰だ!お前!」

「この作品のオリ主だよ!!」

 

 そう、この物語の主人公は俺だ、けど今ぐらいはこいつに主人公役を譲ってやろう

 

「決めろ!!将人!!」

「ああ、お前の恩は絶対に忘れない!」

「くたばれクソ野郎!!!!!!」

 

 将人のストレートが覆面野郎の顔面に入り、覆面野郎は完全に気を失った。

 

「有翔!大丈夫か!?」

「ああ、なんとかな」

「それより見ろよ」

 

 覆面を外すと

 

「うそ...店長?」

「昨日の人か!」

「...昨日彼女を家に送ったあとお前らの姿が見えたからな」

「盗み聞きしてた、すまん」

「でもそのおかげで犯人の目星がついてたんでしょ?」

「まあーな」

 

 俺はあらかじめ持ってきていたギターの弦で犯人を縛った

 

「...これでもう大丈夫だろ...後は...警察を呼ぶ...だけ...だ」

 

 もう限界だ

 

「お、おい有翔!なんだよその血の量!」

「アリト君!?」

「やらかした...思いっきり腹に刺さったぜちくしょ...」

 

 カラカラ

 刺さってたナイフを抜き出しその場に捨てた。

 

「くっ、めっちゃいたい」

「待ってて!今すぐ救急車呼ぶから!」

「...それより警察呼べよ」

「なんでだよ!お前優先だろ!」

「...今は気絶してるけどそのうち起きるかもしれない」

「それにな...ギターの弦ってのは脆いんだよ、力があればすぐにちぎられる...」

「どっちも呼ぼう!」

 

 ずっと傷口を手で塞いでいたが限界のようだ、血が止まらない、意識が薄れていく...

 

「待て!」

「あ、あなた!」

「そんなことはどうでもいい!とりあえず運ぶぞ!」

「え、あ、はい!」

 

 薄れていく意識の中そんな話し声が聞こえた。

 

 

 目を覚ますとそこは見覚えがない天井だった。そうだ!将人達はどうなった!てかここはどこだ、体を起こしてあたりを見渡した。すると枕もとで寝ている蘭の姿があった。

 

「ごめんな...心配かけたな」

 

 髪をなでながら一人で話していた。

 

「ん、ありと!」

「蘭...その、こんばんは!」

「こんばんはじゃないよ!もう心配したんだからね!」

 

 泣きながら怒ってる、俺は蘭を泣かせてばっかりだな...モカに怒られそうだよ

 

「本当にごめん」

「もう無茶しすぎ!」

「ごめんって」

「許さない...」

「蘭...」

「んっ」

 

こんな時にキスするなんて間違っていると思う、けどなんかとてもキスしたかったからしてしまった。それに最近この事件のせいであんまり蘭とこーゆーことしていなかったからな

 

「いきなりキスするのはずるい...」

「蘭が可愛くてな」

 

 窓から差し込む月の光が蘭の顔を照らしてとても可愛く見える

 

「月が奇麗だな」

「っ!」

「蘭、返事は?」

「このまま時が止まればいいのにね」

 

 意味を知っててよかったよ、知らなかったら恥ずかしかった。

 

「蘭...」

「ありと...」

 

 またお互いの唇を重ねてキスをした。

 その直後だ

 

「アリト!起きたかしら!」

「お嬢、仮にも病人の部屋ですよ」

「あら?二人とも何をしているのかしら?」

「な、な、何でもないぞ!こころ!」

「そ、そうだよ?」

「あ、無事に元気になったみたいわね!」

「ここは...こころの家なのか?」

「ええそうよ!」

 

 ですよねー

 

「治療もしてくれたのか?」

「ええ!アギトが連れてきたときは驚いたわ!」

「急いでドクター呼んで手術したのよ」

「こころ...ありがとな」

「友達を助けることが当然なのはアリトが一番知ってるはずよ!」

 

 ああ、そうだな、今回で改めてわかったよ

 

「あ!それより将人とリサは!」

「違う部屋で寝ているわ」

「そうか...」

「まあー話するなら明日だな」

「アギトさんも助かったよ、マジでありがとな」

「気にすんな、仕事仲間だしな」

「え?仕事仲間?」

「あーそうなんだよ」アハハ

 

 今井リサのストーカー事件は俺が少し?怪我をしただけで終わった。明日詳しいことは聞こうとするか...

 少年はまた深い眠りについた。

 

 




次回で後日談を書こうと思っています!それだはまたお会いしましょう!

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