星を喰らう者の転生   作:エイリアンマン

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三人娘、三人兄弟と戦う その4

『さあ行くぞ!』

 

ベジルダは走り出し、アギラの元へ向かってきた。アギラも同じタイミングで走り出し、ベジルダと距離を詰める。

 

そして、二人の拳がぶつかり合う。アギラはベジルダの拳に、あっさりと吹き飛ばされる。地面を転がるアギラ。

 

『どうした!貴様の力はそんなものか!』

 

ベジルダは脚に雷を纏った。更に、もう片方の脚には水を纏う。

 

『『エレメント・シュート』!』

 

ベジルダは両脚を使って雷と水の属性を持つエネルギー弾を放つ。水が雷を纏い、水圧と電撃の二つを併せ持つ攻撃となる。それだけではなく、火のエネルギー弾、風のエネルギー弾も含めて、次々と属性持ちのエネルギー弾を放ち続けた。

 

アギラはベジルダの飛ばしてくるエネルギー弾を避けていく。一発でも当たれば致命傷である。火は当たった瞬間に爆発を起こし、風は岩をも切断し、水は水圧で押し潰し、雷は強力な電撃を発生させる。

 

アギラはベジルダの放つエネルギー弾の嵐を掻い潜る。ベジルダの懐に入り込んだアギラだが、ベジルダはポイズンアーマーを纏った。その鎧を見たアギラはすぐに距離を取る。しかし、ベジルダはアギラよりも速く動き、追い付いてしまう。

 

『『デンジャー・シュート』!』

 

そのまま蹴りを入れる。アギラはお腹から蹴り飛ばされ、岩を何枚も破壊しながら吹き飛ばされた。地面に爪を立てて勢いを殺すが、背後の岩に激突してしまう。それだけに留まらず、飛んできた『エレメント・シュート』がアギラに全て直撃し、爆発の後に風で全身を斬られ、水圧で押し潰された後に雷で感電した。吹き飛ばされた後に地面を転がるが、すぐに立ち上がろうとする。動く度に激痛が走り、アギラは涙を流し始める。

 

「無事かアギラ!?」

 

其処へやって来たのは、トッポであった。彼は近くで敵を殴り飛ばした後にボロボロとなったアギラを見つけ、駆け付けたのだ。その後に、ベジルダがアギラを見つけた。トッポの姿も見つけ、更に筋肉を膨張させる。

 

『ほう。味方が居たか。だがこの俺に勝つ事は不可能だ!』

 

「成る程な。合体したという訳か。力を貸すぞアギラ!あれは恐らく、神をも超えた存在!私が共に戦えば勝機はある!」

 

トッポは闘いの構えに入る。切り札として取っていたあの力を使うつもりだった。

 

しかし、アギラは首を横に振る。それを見たトッポは、驚愕のあまり目を見開いた。

 

「アギラ!?何を言っているんだ!?奴はお前が勝てる相手じゃない!」

 

「そうてすね・・・でも・・・だからこそ!だからこそ、僕がやるんだ!そんなに強い人だからこそ、弱い僕がやるんです!」

 

「無茶だ!ジレンがそんな事を許すと思っているのか!?」

 

「覚悟の上だよ!ジレンさんだって分かってくれます!」

 

アギラは重い身体を持ち上げた。其処まで言うには、アギラには解ったのだ。

 

ベジルダの弱点が。

 

「まだやれます!ベジルダさん!」

 

『・・・認めてやる。お前は強者だ。辛い現実を目の当たりにしながら、それでも尚突き進もうとするその意志、しかと受け取った』

 

ベジルダは再び、アギラに向かって走り出した。ポイズンアーマーをその身体に纏い、防御も万全だ。

 

『良いだろう!貴様のその覚悟に敬意を表し、此処で貴様を突き落としてやる!』

 

ベジルダはアギラの元へ走り出し、その距離を徐々に詰めていく。アギラはその脚で、ベジルダの元へと歩み寄っていく。

 

「まさかアギラ!?あれを此処で使うのか!?」

 

「・・・そうです。もう形振り構わない。僕という最弱が、最強のベジルダを倒す為にも」

 

その時、アギラの全身から気が溢れ出す。目を閉じたアギラは、そのまま歩みより始めた。ベジルダはアギラに向けて、掌から生み出した『ヴァイオレットスクリュー』を放つ。猛毒の竜巻が襲い掛かって来るが、アギラはそれを避けた。目にも止まらぬ速度で。

 

『な、なにっ!?』

 

ベジルダは脚から『エレメント・シュート』を放つ。しかし、火の爆発も、水の水圧も、風の鎌鼬も、雷の電撃も、アギラは難なく避けた。

 

そして、アギラは目を開く。その瞳は赤く輝いており、ベジルダを睨み付ける。

 

「僕は、全力をふりしぼる!」

 

その瞬間、アギラの姿が消えた。その時、ベジルダの身体の急所を何者かに殴られたような激痛が走り、鎧越しでダメージを受けた。

 

『な、何故だ!?急に速くなっただと!?』

 

「全力を出すと、人間の肉体は動けなくなるんだよ!全力を出そうとすると、脳が勝手に力を抑えてしまうからね!だから僕は、脳のセーブ能力を解除して、全力を振り絞るんだ!」

 

だとしても鎧に触れている筈だ。毒は確実に回っている筈。

 

『ならば来るが良い!貴様の全力とやらをな!『トライアングル・デンジャービーム』!』

 

ベジルダが三つの色を螺旋状に変えて放つビーム。神にすら届くその一撃を、アギラは避けた。そのままビームを辿っていき、軈てベジルダの元へ迫る。

 

『なにっ!?』

 

アギラはベジルダの頭に顔を近付けて、拳を強く握り締めながら静かに語りかける。

 

「歯を食いしばれ最弱(さいきょう)。僕の最強(さいじゃく)は・・・少し・・・痛いよ」

 

アギラは静かにベジルダに語りかけると、握り締めた拳をベジルダの顔に向けて振り下ろした。

 

鈍い音と鎧が砕ける音が、周囲に響く。

 

ベジルダは破壊された兜と共に、自身の攻撃吸収を超えた重い拳の一撃によって、場外に向かって吹き飛ばされた。アギラも、鎧の毒と一気に襲い掛かる疲れや負荷によって意識を失い、その場で倒れてしまう。

 

(見事だ・・・・ああっ、負けてやろう・・・今回はな・・・)

 

ベジルダは心の中でそう呟いた。場外まで吹き飛ばされそうになるが、突然自分を覆う程の蜘蛛の糸が彼を捕まえ、武舞台へ戻される。助けたのは、蜘蛛の身体から糸を伸ばすクモンガであった。その顔は涙と鼻水でグショグショになっていた。

 

『クモンガ?』

 

「ベジルダざん・・・いえ、ベルガモざん・・・ざっぎの話、聴いでまじだ・・・酷いでずよ!貴男は!」

 

鼻声になってはいるが、ベジルダにはクモンガの言っている事が伝わっていた。其処へホップも現れて、ベジルダの隣にある岩に座る。

 

「アタシ等はさ。アンタに感謝してんだよ。ガキの頃、飢えに苦しんでたアタシ等姉妹を、アンタは助けてくれたじゃないか。そんなアンタがこんな形で脱落させてたまるかよ。ほら泣き止めよクモンガ」

 

「でも”お”お”お”お”お”!」

 

『すまなかったな・・・お前達には迷惑を掛けた』

 

「何を言ってんだよ。生きてる内に誰かに迷惑掛けない奴なんて居ないさ。というか、アンタに迷惑な事された覚えは無いよ」

 

「・・・うん」

 

ホップの言葉に賛同するように、クモンガは泣き止んだ後に首を縦に振った。

 

『・・・そうか』

 

ベジルダは笑った。今まで見えていなかった、いや考えないようにしていたが、皆が自分の事を心配してくれている。これ程心が安らぐ事は無かった。

 

『・・・』

 

「行かないのかい?今なら彼奴を落とせるよ?」

 

『・・・いや、良いんだ』

 

そう言うと、ベジルダはホップやクモンガと共にその場を歩いて去っていった。

 

──────────────────────

 

アギラは目を覚ますと、先ず最初に見たのはジレンの顔であった。ジレンは上半身裸になっており、所々には痣が出来ていた。勝ったのか負けたのか、それだけでは分からないが、アギラには分かる。ジレンさんは勝ったのだ。だから此処に居るんだと。しかしその顔は怒っており、自分をどれだけ心配しているのか見るだけで解った。

 

「アギラ・・・またお前は、無理をしたな」

 

「ごめんなさい。でも、僕は自分が正しいと思える事をやれた。後悔も反省もしないよ」

 

「・・・だが、無理をしないでくれ」

 

「ありがとうジレンさん」

 

その言葉は反則だと、心の中でツッコミを入れるアギラであった。ジレンは多くを語らない。しかし、アギラには解るのだ。どれだけ言葉が短くても、自分を心配してくれているのだと。

 

すると、アギラの名を呼ぶ二人の少女の声がした。ミクラスとウィンダムであった。

 

「「アギちゃああああん/アギさああああん!」」

 

二人は同時に抱き付いた。アギラの身体から良からぬ音が響き、激痛も走る。

 

「いだだだだだぁぁっ!?痛いよ二人とも!」

 

「煩い!アギちゃんの馬鹿ああああああああ!」

 

「心配したんですから!もう、アギさんの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿あああああ!」

 

二人は泣き付いていた。それを見たアギラは、二人に申し訳ない事したと反省した。二人を泣かせた事は、流石のアギラも反省した。

 

「ごめん・・・皆・・・・・・ホントにごめんね」

 

「全くだ。お前は無理をし過ぎだ。少しは心配するジレンや友の気持ちを考えろ」

 

トッポ、そしてディスポも集まった。彼等もアギラの事を心配してくれたのだ。

 

「全く、お前が前に出過ぎるせいで俺達は何時もハラハラさせられるんだぞ」

 

ディスポの言葉に、何も言えなくなるアギラ。

 

「うん・・・でも、此が僕だから」

 

「・・・ああっ。確かにそれが、お前だな」

 

ジレンは呆れていたが、内心認めていた。自分の愛する者は単純だ。真っ直ぐ過ぎて、危なっかしい。だからこそ、自分が護ってやらなくては。誰かが傍に、居てやらなくては。

 

ジレンはアギラを抱き締めた。その力を強くしてしまい、アギラに「痛い!」と顔を殴られたのであった。

 

観客席もVIP席も、アギラが見せた逆転劇に拍手を送り、ベジルダとホップ、クモンガの見せた絆に涙する者も多く居た。

 

 

 

力の大会。未だに脱落者は、現れていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

その頃、ハルオはトニーと交戦中に邪魔に入られる。それは、ビー玉サイズの黒い蟲のような軍団に身体に取り付かれ、攻撃されていたからだ。

 

『ひゃあああっ!全身に変なのが来てるううう!』

 

『キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!』

 

アリとライトニングは、全身に這い寄る無数の生き物に絶叫する。

 

ハルオには大したダメージは入らないが、全身をチマチマと攻撃されるのは気味が悪い。

 

『ハァッ!』

 

ハルオは全身から衝撃波を放ち、身体に取り付く生き物達を全て吹き飛ばした。

 

しかし、また新たにやって来た小型の生き物達がハルオに取り付いていく。

 

『キリがありませんわ!』

 

『おいおいどっからくんだよコイツら!』

 

『何処かに母体が居るのかもしれません。母体さえ見つかれば・・・』

 

ハルオはセンサーで小型生物達が産まれている者を探す。すると、直ぐに見つかった。

 

産み出していたのは、昆虫人間とも取れる見た目をした存在だ。エメラルドグリーンの目でハルオを見上げている。その胸元から次々と小型生物が産まれていた。

 

『奴が母体ですね』

 

ハルオは小型生物を取り付かせたまま、昆虫人間───レギオンの元へ飛んだ。

 

その一方、レギオンソルジャーを全身から吹き出した酸で溶かしたトニーは、レギオンの元へ向かうハルオを深追いしなかった。

 

『追い掛けないでおこう。今は奴だ』

 

トニーは空から見つめた。杖を持つ白衣を身に付けた男と。

 

「第12宇宙の選手とお見受けする。この私と戦ってもらおうか」

 

『マッドサイエンティストか?まあ僕も似たようなものだけど』

 

その時、トニーは横へ避けた。いや正確には、『F.R.I.D.A.Y.』が動かしたのだ。すると、先程までトニーが居た場所に青い液体が降ってきたのだ。青い液体はすぐに人型へ戻り、少年のような姿に変わる。

 

「ちぃ!外したか!」

 

『スライムか。まっ、面白いな』

 

トニーは右手にムジョルニルを握り締めて、左手にシールドを持った。マッドサイエンティストとスライム。その二人を前にしても、トニーは顔色一つ変えていなかった。


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