チャーハン大好き高梨くん   作:マトン

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チャーハン大好き高梨くん

 チャーハンとは。

 

 某インターネット百科事典によると炊き上がった米飯を様々な具材と共に油と炒めた料理とある。しかしながら心からチャーハンをこよなく愛する高梨くんは言うのだ。

 

「チャーハンってのは……そんなあっさりと一言で表せるような料理ではないんですよ」

 

 憂いに満ちた表情で呟く彼の手元にはマイレンゲ、マイスプーンが用意してあり。彼はその二本の神器をクロスで磨きながら思案する。用意してあるクロス、高そうな銀のスプーンから彼の裕福さというものが大体想像できる。

 

 というかそもそも高校二年生にしてふくよかすぎる体格は少しばかり痩せたほうがいいのでは? と周りに心配をかけるレベル。コレステロールが気になるところだ。

 

「例えば、そう焼き飯とチャーハンの違いが貴方にわかりますか? 一緒? いいえ、違います。チャーハンには必ず卵が入りますが焼き飯には卵が入らない場合もあります。しかしながら僕はその程度で彼らを差別するようなことはしません」

 

 クロスで磨き終えたスプーンを教室の蛍光灯に反射させ、汚れが残っていないか丁寧に確認する。

 

「勿論、ピラフは別ですよ。彼は少々奔放だ。美味しいのは認めますけど、やんちゃ過ぎて手に負えない。なにせ、こっちが大事に炊き上げようと想ってもいつの間にか鍋の中に居る。ふふっ、でもそんな彼もまた素敵だと思いますよ」

 

 肩をすくめてやれやれとばかりに首をふる。その振った首は果たして首なのだろうかと疑問視する程度には顔と繋がっていた。二重、三重と顎が完全に繋がっているにも関わらず彼に一切の恥じる様子は見られない。

 

「チャーハン、焼き飯、ピラフ。実はこの三人にはルーツがある。一説によるとプラーカ、インドの料理です。鶏肉や豚肉の煮汁でお米を炊き、炊き上がったら肉と一緒に炒める。そんな料理がかのインドには存在するのです。そんなルーツがある三兄弟をまるで別種の食べ物であり不倶戴天の敵であるかのように扱うのはナンセンスだ」

 

 少しばかり長い髪の毛をふぁぁぁさぁぁぁっとかきあげて、完璧なスマイルを浮かべる。

 

「チャーハン、焼き飯、ピラフ。調理方法、米の違い、具材の違い。そういった諸々の問題があるのは重々承知しています。けれども彼らは決して敵ではない、兄弟だ。争う必要などどこにもない。だから、チャーハン、焼き飯、ピラフ。それにプラーカも含めてどれが一番美味しいのかなどという論議は実に下らない。彼らは皆、美味しいのです」

 

 ふっと寂しげに笑い、教室の窓枠に頬杖をつく。彼に注目していた集団の面々は心の底から思った。

 

 なんだ、この豚。と。実に心の底から思った。それはもういちいち語り口調がイライラするのを我慢しながら思ったのだ。なんでこの豚はいちいち恰好つけてるのだろう、と。

 

「つまり、米を食べなさい。そういうことなのですよ。だからあなた方の転校生である僕の好きな食べ物はというものに答えるとするのならば――彼らの中から代表を選ぶとしてチャーハンである……というところですね。お米は日本の誇りなのです……ラーメン?」

 

 ふと、誰かがラーメンについてどう思いますかと尋ねる。

 

「ら……らーめんとはアレですよね? えぇ。存じております。チャーハンのおかず? みたいなものですよね? えぇ、食べたことはありますよ。でもアレはチャーハンのオマケでしょう?」

 

 その瞬間、教室の隅っこで必死に我慢していた一人の女子高生の怒りが、今、頂点に達した。

 

「なんですかァ? あなた……」

 

 小泉さん、キレた!!

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 転校生である高梨くんの評価はかなり低い位置から始まったといえよう。好きな食べ物の一つの下りで男女生徒から総スカンを受け始めている。けれども高梨くんは周りからの評価を気にしないので実に音程よろしく日本の米について歌っている歌を口ずさむ。

 

 それが逐一、上手だというのだから周囲の人間をイラッとさせるには十分であった。絶対こいつは童貞だと言われもないレッテルが高梨くんに貼り付けられる。しかしそんな周りの評価など気にも留めずに高梨くんの頭の中は既に食堂のチャーハンに対する期待で胸が一杯だった。まさに柳に風、暖簾に腕押し、デブに体重計といったところである。

 

 高梨くんは確かに童貞である。見た目の第一印象の悪さから彼を好ましいと思う女性は殆ど居ない。デブ専であったとしても彼のちょっぴり……いや、かなり鼻につく喋り方と態度にイライラが止められなくなる。

 

 しかしながら、高梨くんは鬼のようにモテるのだ。それこそ後ろの席で小馬鹿にしている木場君の数百……いや、数千倍はモテるのだ。彼が女性に告白された数はこの高校に通う人間と比べてもトップクラスであろう。

 

 それもこれもすべてチャーハンのおかげである。

 

 高梨くん自身はデートのつもりはないが、彼と話しているうちにチャーハンに対して少しばかり魅力を感じてしまう人間が沸いてくることがある。そして、彼と一度でも同席をすれば最後。中華料理屋、チャーハン専門店、ピラフを出す喫茶店を出る時には女性は既に腰砕けになっている。そして食事をして別れようとする高梨くんは女性から「捨てないでっ……何でもするからっ……」と縋りつかれた経験は数多として存在する。

 

 むしろそれはもう既にチャーハンに何かヤバいお薬を混ぜ込んだのでは? と思うような変わりようである。

 

 それほどまでに高梨くんは恋愛強者なのだ。そこらへんに居るモブ男子よりか遥かに女性に言い寄られた数は多く、前の学校では「私が高梨くんとチャーハンを食べにいくのよ!」「わたくしが彼と共に焼き飯を食べにいくのですわ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」と刃傷沙汰になった事件は多数存在していた。

 

 だが、彼は紳士でありチャーハンに身をささげたと言っても過言ではない聖なる童貞……いわゆる聖帝のような男。争う女性を前に和解を説き、前の学校の戦争に終止符を打った間違えることなき救世主のような男だ。女子達は専ら「もぅ、マヂで尊ぃ、ぅち無理ィ……」と失神○○○をキメるほど。

 

 これより二時間後に行われる体育のマラソンでぷひぷひと鼻を鳴らしながら走る姿も盲目状態(バットステータス:状態異常:魅了)の女子達からすれば最高に愛くるしい姿なのである。

 

 やっぱラブフェロモン(都市伝説:恋愛強者が持つという謎のフェロモン。女子が異物を入れるお呪いの効能はだいたいラブフェロ出すため)を自然と出す男は違うといえよう。

 

 そんな恋愛強者の高梨くんに声をかけてきたのはこちらもラブフェロモンを自然に出す恋愛強者である小泉さんと呼ばれる少女であった。

 

「……高梨くん。少しお話をよろしいでしょうか」

 

 その時! クラスの男子に激震走るッ……

 

 校内一の美少女。抜群のスタイルに、ハーフであり恐ろしいまでに美しい顔立ちとどこまでも綺麗な黄金の髪、どこか冷たさを感じる雰囲気も美貌もあいまって神秘さすら漂わせる。そんな究極美少女生命体である小泉さんが転入生に話しかけてきたのだ。

 

 ざわざわと不穏な空気を醸しだす男子達。約一名の女子も男子以上に厄の混じった雰囲気を出しているが割愛。

 

「えっと、貴方は?」

 

「小泉です」

 

「ウィ、マドモワゼル小泉。どこでお話を聞きましょう?」

 

 唐突に入ったフランス語。周りの怒りのボルテージを上げるには十分である。そして無駄に発音が良かったから皆をさらにイラッとさせる高梨くん、まさに全方位敵だらけ。

 

「今から屋上へよろしいですか?」

 

「仰せのままに」

 

 椅子から立ち上がり一礼をする。もう傍から見てたら苛立たしいを通り過ぎて謎の感情を抱き始めてしまう。ある意味、これって恋かな? と勘違いしてしまう子まで出てくる始末。やっぱラブフェロ持ちは凄い。

 

 

 小泉さんの後に続き高梨くんは階段を昇る。ひふーっ、ひふーっとかなりきつそうな高梨くん。階段を昇るのも精一杯。しかし小泉さんはそんな彼のことを気にせずにずんずんと進む。

 

 そんな様子を見て「ふっ、元気でお転婆なお嬢さんだ」とニヒルに零す高梨君の姿を背後から見つめる女子が居た。厄をばらまくように暗澹とした雰囲気を持つ女子はそのまま彼を階段から転げさせてしまおうかと悩んですらいた。けれども断腸の思いで我慢し二人の後をつけまとう。

 

 さてそんな二人(+一名)は屋上で対峙するかのように立つ。

 

「……高梨くん。先ほどの自己紹介で私は貴方に一つだけ赦せない部分がありました」

 

「ホワァイ? 一体、何ですかな。小泉さん」

 

 屋上の片隅で見つめる女子はフランス語なのか英語なのか統一しろよ、と苛立たしげにその光景を見つめる。そんなことを露とも知らない二人はバチバチと睨み遭う。

 

「ラーメンがチャーハンのオマケという何だか冗談みたいな台詞が聞こえたもので?」

 

「……?」

 

 高梨くん。困惑。圧倒的に意味がわからない。彼女が一体何の疑問を持っているのかとんと検討がつかない。

 

「チャーハンがラーメンのオマケでは? 言い間違えてましたよ」

 

 にっこりと笑みを浮かべる小泉さん。恋愛なめくじのそこらへんのモブ男子なら即座に土下座して間違いを認めるレベル。ついでに告白して振られる。

 

「小泉さん、病院を紹介しましょうか?」

 

 しかし高梨くん。ここでガチの困惑。本気で小泉さんが頭の病気か味覚の病気か精神病にかかっている可能性を検討しはじめる。

 

「日本人の主食は米でしょう……? 子供でも知っていることですよ」

 

 高梨くんの言葉はまるで聞かん坊を言い聞かせるかのように優しい。けれども小泉さんにはこの事実がまた癪に障る。

 

「あなたは何も知らない子供のような人なんですね。今の日本のソウルフード、らーめんはオカズではなく主食として十分に認められていますよ?」

 

「それは貴方だけでは?」

 

 小泉さんの言葉に高梨くん天然の煽り炸裂ッ! まるで自分の価値観が正しいとばかりに言うその態度に小泉さんの内心は激おこぷんぷん。

 

「……いいでしょう。もとより口論で決着をつけるつもりはありません。ラーメンとチャーハン、どちらが日本人の主食なのか放課後にわからせてあげましょう」

 

「オゥケィ。デートの誘いということですね、勿論こちらも最高のおもてなしを用意しましょう。いやはや、まさかラーメンを主食なんていう人が居るなんて世の中広いものです」

 

 ふぅ、やれやれとばかりに高梨くんは肩をすくめる。小泉さん、ここで俯いて顔真っ赤。怒りのあまりに殴りたくなるレベル。何故、自分が少数派扱いされなければいけないのかまったく理解できなかった。しかも勝手にこちらがデートを申し込んだとばかりの態度。聖人も流石に殴りかかるレベル。キノコは主食だよ! とばかりに釈迦も殴りかかってくる勢い。

 

「では、放課後にマドモアゼル小泉」

 

 髪をふぁぁぁぁぁぁさぁぁぁぁぁっとこれでもかとばかりにかきあげ去っていく高梨くん。様子を見ていた女子も、屋上に未だに怒りに打ち震える小泉さんもぶん殴りたくなる。仕方ないね。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 放課後。

 

 小泉さんと高梨くんは二人で移動する。高梨くんの移動スピードが予想よりも遅いことに小泉さんはイライラしつつも二人は特に口を開かずに目的地へ。

 

「では、先攻めの僕から貴方に米、チャーハンが主食であることをお教えしますよ」

 

「ここは中華料理店ですか」

 

「では、こちらへ」

 

 先に扉を開けて中へ促す高梨くん。こういう紳士的な部分が体格にあっていないために普通の人はイラッとするところであるが小泉さんは普通ではなく超絶美少女。こういう紳士的な対応に関して高梨くんを真っ当に評価する。

 

 けれどもそれは女性の扱いが上手いという部分であり何ら彼女にとってプラスにはならない。

 

 そして、二人は通された席はそこそこ良い席であった。少なくとも高校生が通うような店ではなさそうである。お嬢様育ちとはいえ普段は一杯あたり八〇〇円前後である。少しばかり萎縮してしまうのも無理はないといったところ。

 

「高梨くん、高級店であることが必ずしもプラスであるとは思わないでください」

 

「あぁ、安心してください。ここは夜は高級中華料理を振舞ってくれますが、お昼から夕方までは比較的リーズナブルな値段で食事を提供してくれるのですよ。うら若い乙女達もよくここを利用しているそうです。それにここは僕が連れてきたのだから僕が会計を持ちますよ」

 

 微笑む豚、もとい高梨くんに対して小泉さんはにこりともしない。

 

「……私をそこらへんの女と同系列に扱ってもらっては困りますね」

 

 らーめんに対する覚悟が極まっている女を舐めて貰っては困るとばかりに小泉さん。聞きようによってはちょっとした痴話喧嘩かな? と思わなくも無い。

 

「シェフ、例のアレを」

 

 パチンと指を鳴らして高梨くんは注文をする。代物は出来てからのお楽しみらしく彼は品名を告げなかった。二人は特別に会話をせずに沈黙の中、料理を待ち続ける。

 

 これがカップルなら気まずさに耐え切れないであろうが、別段と彼らはカップルではない。高梨くんは目の前の女性が自分が勧める渾身の一品を口にした時にどういう変化が訪れるのか楽しみに待っており、小泉さんは小泉さんで絶対に負けぬという強い意志を心の中で強く燃やす。

 

 そして――運ばれてきた。

 

「こ、これは――ッ!?」

 

 小泉さんの目の前に出されたのはチャーハン。勿論、ただのチャーハンではない、白濁としたスープがかかったチャーハンからは鼻の奥を刺激するような強烈な臭いが飛び込んでくる。

 

「あっ、んぅっ……!?」

 

 この時点で小泉さんは全身を震わせてしまう。その余りにも強烈な臭いが食欲を刺激し、下腹部から胃にかけてを中心に暴力的なまでに殴りかかってくるのだ。

 

「では、どうぞ、召し上がれ」

 

 高梨くんの言葉にレンゲを手に取る小泉さん。手は震えて、目には半分涙すら浮かんでいた。

 

 ――駄目ッ、こんなの駄目ぇ……

 

 しかし手は止まらない。強烈ともいえる暴力的な臭いが自分の意思と身体を完全に別離していた。そして抗いがたき臭いに腕は止まることを忘れたかのごとく進む。

 

 トロッ、としたスープ。そこにハラハラと崩れたチャーハンが包まれていた。まるで羊水の中に居る子供のような米。

 

 ――駄目ッ、やめてッ、いやなのッ。

 

 腕は止まらない。意思は拒んでいるにも関わらず、身体は動いてしまう。口にしてしまえば今までの自分が消えてしまいそうになるという直感は必死に危険を訴え続けているが、身体は動いてしまうのだ。

 

「――ッ~~~~!?」

 

 ガクガクガクガクと腰が震える。襲ってきた衝撃に机に突っ伏しそうになる。口に入った瞬間に広がった濃厚な豚のエキスが口内を犯しつくして胃に落ちる。

 

 それでいながら、まだ口内には彼女の意思を犯そうとする第二陣が待ち構えているのだ。

 

 シンプルなネギ、卵、焼き豚といったチャーハンは見事な黄金比であり、濃厚なまでの豚骨スープを含んだ米と共に舌の蹂躙を始める。外側のスープだけでも十分に暴力的な旨さだったにも関わらず、残った固形は素材の甘みと旨味をふんだんに駆使して犯しつくしている。

 

 ――こ、こんなの駄目ぇ……堕ちちゃう、駄目になっちゃう……

 

「あ、うぁ、あぁ、んぅ……」

 

 喘ぎにも似た声が小泉さんの口から零れ落ちる。しかし麻痺した脳とは裏腹にレンゲは見る見るうちに残りの山へと動き出す。

 

 ――駄目、好きになっちゃう。こんなの……恋しちゃう……

 

 完全に目が堕ちきり、目の前の男の子が素敵な男性に見える寸前ッ! 走馬灯の如く、彼女の中に眠るラーメンの記憶が呼び起こされる。

 

 

 醤油、塩、味噌、豚骨、鶏白湯、魚介系、豚骨醤油、魚介豚骨、煮干、油、胡麻坦々、カレー、Wスープ、牛骨、馬油、つけ、本返し、黒胡麻大蒜、焦がし大蒜、生、ハリガネ、バリカタ、カタ、ヤワ、油増し、ネギ大目、貝柱出汁、辛子高菜、辛モヤシ、ニラマシ、メンマ、キクラゲ、焼豚、パイナップル、ココア、デミハンバーグ、トマト、唐辛子、辛さ十倍、地獄。

 

 などなど様々な光景が小泉さんの脳裏に蘇る。

 

 ――ッ!? ここで私が屈してしまえば――

 

『誰がらーめんを主食と主張するのか!』

 

 そんな思いが小泉さんに力を与える。動く右手に襲い掛かる旨味の暴力、そして食べ終える頃には全身を震わせていた。

 

「……ッ、高梨くん。見事です」

 

 小泉さんは相手の一品を褒める。確かにこのチャーハンは極上であった。

 

「ふっ、お褒めに預かり光栄です」

 

 前髪を払いながら当たり前だとばかりに微笑む。その笑顔を見て、少しばかりときめいてしまうのはきっとチャーハンの熱のせいだと小泉さん。

 

「けれど、それでも私はらーめんは主食だという持論を曲げる気はありません」

 

 微笑みが固まる高梨くん。今まで彼が堕としてきた女は一皿完食した後には舌を出してぴくぴくと震えるばかり。

 

 しかし彼女は違う。彼女は負けなかった。小泉さんは決して負けなかったのだ。チャーハンに負けなかったのだ! らーめんに対する愛は負けない!

 

「……ふっ、素敵な女性だ」

 

 ここぞとばかりにニヒルに決める高梨くん。そんな台詞を受けてほおを染めて俯く小泉さん。傍から見れば病院に連絡したほうがいいのかな? と心配になるレベル。

 

「……あなたにも私の渾身の一品をご馳走してあげたいのですが今日は無理そうです」

 

 未だにぷるぷると震える小泉さん。立ち上がろうとした彼女はバランスを崩し、ふらりと倒れこむ。瞬間、高梨くんは彼女をそっと支えた。

 

「おっと、危ないですよ。お手をどうぞ、レディ」

 

「……きょうだけです」

 

 不満とばかりに呟く少女の顔。逸らした顔には朱がささり、その色の意味が理解できるほど高梨くんは女心に強くは無かった。紳士さと女心に対する理解度は必ずしも比例しない。

 

「……ほんと、今日だけなんですから」

 

 優しく握られた手を強く握り返す。こうして高梨くんと小泉さんの戦争は幕を開けた。

 

 チャーハンとラーメン。どちらが主食なのかは誰にもわからない。

 

 ただ、一年後にとある仲のよさそうな男女がとある定食屋のAセットを「チャーハンセット」と呼ぶのか「ラーメンセット」と呼ぶのかで喧嘩をしていたらしい。




小泉さん……らーめんばっかり食べる女子高生って初体験の時に失敗すると思う。

高梨くん……オリ主。イメージ的には太って拗らせたテイルズオブ西野。

大沢さん……クレイジーサイコレズ。場面外でチャーハン二コマ即落ち。R18なら描写があった。

中村さん……背油ジャンキー。好き。

高橋さん……アニメ版視聴しても欠片もラーメン食べない理由が理解できなかった。難しいね、女心。

続きません。


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