ちょっと変わった変異人形達   作:Big Versa
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416「まさかこうなるとは……」45「災難にゃのか分からにゃいわね……」

CUBE作戦から二か月後、416は欠伸をしながら通路を歩いていた。

 

 

「猫ねぇ……」

 

 

思い出されるのはあの衝撃的な光景。45に猫耳と尻尾が生えるなんて誰が予想できただろうか。完璧と自負している自身の電脳をもってしても、答えはおろか原因の欠片すらも判明することは無かった。その証拠に、ここ最近は思い詰めることも多く眠りが浅い日が続いていた。

 

 

「ハァ……」

 

 

私がしっかりしていれば、と考えてしまう電脳を取り払いたかった。首を二、三度横に振り、416は45がいるという特別収容室の扉まで来た。認証パネルの目の前に立ち、右目をセンサーに近づける。

 

 

《網膜スキャン開始……完了。戦術人形『416』の認証が完了しました》

 

 

ゲートが開かれ、416は中に入った。中は病室のように殺風景で窓に近い位置にベッドがあるが、白いカーテンで仕切られている。

 

 

「45?開けるわよ」

 

 

416がカーテンを開ける。すると、

 

 

 

 

 

「お、416じゃないか。どうしたんだ?」

「んにゃ……?」

 

 

 

 

 

ウロボロスに身体を摺り寄せている45がいた。

 

 

「随分と甘えられたものね。ハイエンドモデルさん?」

「それは仕方ないことだ。45も独り身が嫌だと言っていてな」

「45、そうなの?」

「うん……にゃんか、一人が怖くて」

 

 

45は猫耳をぺたんとさせながら呟くように言った。猫のパーツが生えただけでこんなにも気弱な性格になるのか、と思わざるを得ない416は腕を組んで思考に走る。

 

 

(一体何が原因なのかしら……この前の精密検査ではウイルスの類は一切見つからなかったし、今のところ生活に支障が出てるわけでもない。ただ性格は変わりに変わって戦闘に参加できる状態ではないという結果がグリフィンの見解……参ったわね)

 

 

416もその場で見ていたが、45に戦闘シミュレーションをさせたところ、鉄血兵に一発も撃てないという判定結果が出た。それはすなわち、戦場で鉄血人形やハイエンドモデルに遭遇したとしても対抗手段が取れないことになる。

 

 

(確かに戦闘には参加させることはできないわよね……)

 

 

416は深い溜め息をついた。

 

 

「このままじゃ404も活動が限られるわね……」

「戦力バランスとしては都合がいいんじゃないか?鉄血が早くにいなくなれば、グリフィンの選択肢は二つ。一つは退屈な巡回」

「……もう一つはELIDとの交戦。それだけは勘弁願いたいわ。PMCごときでELIDなんかに敵うわけがないもの」

 

 

それを聞いて、ウロボロスは僅かに笑った。

 

 

「このまま隠居すれば平和に暮らせそうだがな」

「それが出来たら苦労しないわよ。多分グリフィンは私達を放す気なんてさらさらないと思う……」

 

 

二人は息をついて今後を思案した。互いの電脳の中では様々な自問自答が繰り広げられていたが、それもついには45の声によって切断されることになった。

 

 

「あの、ごめんにゃさい……私がこうにゃっちゃったせいで」

「ん?ああ、別に大丈夫さ。わたしは死ななかっただけマシだからな」

「私も気にしてないわよ。とにかく、今は観察期間が終わるのを待つだけよ」

「う、うん……」

 

 

45は安堵したのか、頬を緩ませてウロボロスに顔を摺り寄せていた。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 

 

 

 

「ほ~れほれ~。猫じゃらしだよ~」

「あっ、んにゃ!」

 

 

昼を過ぎた頃、9は猫じゃらしを上から左右に振って遊んでいた。45も猫じゃらしに反応し、手を伸ばすが中々取れない。

 

 

「と、取れにゃい……」

「アハハ、45姉すごく飛びつくよね~。可愛いな~もう」

「にゃふ……」

 

 

45は9に抱き寄せられ、胸に顔をうずめられた。柔らかい感触に包み込まれ、45は手足をバタバタと動かす。顔を離した45は頬を赤く染め、息を荒くさせていた。

 

 

「ハァ……ハァ……苦しかった……」

「あ、ごめん……45姉が可愛くてつい」

 

 

そう言って9は自身の頭を軽く小突いた。

 

 

「でも本当に可愛いと思うよ?その猫耳だってさ、AR小隊にも見せちゃおっか!」

「えっ!?そ、それは駄目よ!あの小隊に見せちゃ……」

「何で?」

「だ、だって……にゃんか、馬鹿にされたり、とか……」

 

 

同じ404小隊ならともかく、AR小隊にまでこの姿を見られては隊長としての面子が保てないこともあった。いくら猫みたいになった45と言えど、小隊長としての立場を完全に捨てたわけではない。

 

 

きっと笑われるに決まっている。そういう思いが電脳内で反芻していた。

 

 

「私だって隊長にゃのに……」

「だーめっ!ちゃんと皆にも理解してもらわないと。それに、もしもの時は私達が守ってあげるから、ね?」

「ニャイン……」

 

 

9はいつものような明るい笑顔でそう言った。45は俯いていた顔を上げ、笑みを浮かべる。

 

 

「……分かった。じゃあみんにゃに頼ることにするわ」

「さっすが45姉!早速だけどぎゅーってしてあげる!」

「にゃ!?」

 

 

9は突然45の背中に手を回したかと思うと、そのまま45の身体を持ってきて抱きしめた。顔の距離も近く、45は9の吐息を間近で感じる。

 

 

「にゃ、ニャイン……!?あの、えっと……」

「45姉大好き!ずっと抱き枕にしたいな~」

「か、顔が……近いよぉ……」

 

 

45の視線は既に左右に泳いでいて9の顔を直視できないでいた。しかし9は両肩を掴み、45の顔を強制的にこちらに向かせる。45はもはや耳まで赤くなっていた。

 

 

「ん~恥ずかしいのかな~?」

「にゃ……」

「えへへ~、耳も触っちゃうぞ~?」

「んにゃあ!?」

 

 

突然耳を触られ、45は身体を震わせた。しかし9の手は止まることなく、指全体で猫耳をほぐすように触っていく。45は力が抜けるのを感じて抵抗するように動かしていた両腕も、糸が切れた人形のように垂れ下がっているばかりだった。

 

 

「にゃ、にゃんか変だよぉ……」

「すごい触り心地いいよ45姉~。癒されるなぁ~」

「力が、入らにゃい……」

 

 

45は抵抗も叶わず9に身体を預けた。そしてそのまま寝息を立ててしまった。

 

 

「んにゃ……」

「ちょっと遊びすぎちゃったね45姉。おやすみ」






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