転生とらぶる   作:青竹(移住)

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話数での具体的なタイトルに、1年戦争編の最後まで追加しました。
鏡あきらさん、ありがとうございます。


2729話

「じゃあな。野菜を下ろす手伝いをしてくれて助かった」

 

 そう言い、男は馬車に乗って去っていく。

 エルフ城……正確にはエルフ城のある王都まで連れて来てもらった男に、謝礼として運んできた野菜を店の前で下ろしてやったのだが、それがあの男にとっては嬉しかったらしい。

 別にそこまで感謝する事でもないと思うんだが。

 ともあれ、男は嬉しそうだったのでいいだろう。

 

「で、これからどうするの? 少し話を聞いた限りだと、フラオン王の評判は相当に悪いわよ?」

 

 先程の男だったり、他にも何人かからフラオンの話を聞いた為か、マーベルは不機嫌そうな様子を見せる。

 思ったよりもすぐにここが異世界だというのは受け入れたらしい。

 その順応性の高さはともかく、物語によくある典型的な愚王とも呼ぶべきフラオンの様子に、不満そうな様子を見せているのは理解出来た。

 

「そうだな。俺もフラオンには多少興味がある」

 

 正確には、フラオンではなくフラオンが持っている兵器にだが。

 これもまた道中で話を聞いたのだが、フラオンは少し前に特別な兵器を手に入れたらしい。

 正確には、ドレイクが開発した物を買ったか贈られたかしたらしいんだが……

 その兵器の名前はオーラバトラー。

 話を聞いた相手も自分で直接見た訳じゃなく人聞きなので正確ではないが、それでも分かるのはオーラバトラーというのが人型機動兵器だという事だ。

 この世界は、魔法とかがあるファンタジー系の世界だとばかり思っていたのだが、どうやら実際にはロボット物の世界らしい。

 とはいえ、ファンタジー系の世界である以上、装甲とかそういうのはどうしたんだろうな。

 ファンタジー世界らしく、ドワーフとかそういうのがいるのか?

 

「興味って……もしかして、接触するつもり?」

「そこまでは考えてないな」

 

 マーベルの言葉に、躊躇なく首を横に振る。

 フラオンの評判を聞く限り、会っても不愉快な思いをするだけだろう。

 ぶっちゃけ、会うというだけなら影のゲートがある以上すぐに会えるのだが……愚王という印象の強いフラオンに、そこまでして会う価値があるとは思えない。

 とはいえ、愚王にありがちな女癖の悪さというのがないのはせめてもの救いか。

 そういう奴の場合、もし何らかの機会に会うとしても、マーベルを連れていくような事は出来ない。

 

「なら、どうするの?」

「俺としては、オーラバトラーというのを見たいし、出来れば手に入れたい」

「手に入れたいって……ああいうのって、操縦するのが難しいんでしょう? 戦闘機とかも、かなり難しいらしいし」

「だろうな。けど……俺なら大丈夫だと思う。まぁ、最初は操縦方法を習得するのに若干苦労するだろうけど、そういうのには慣れてるし」

「慣れてるって……どういう事? ロボットなんて、アメリカ軍でも採用されていなかった筈よ?」

 

 アメリカ軍……アメリカ軍か。

 そう言えば、非常に今更の話だったから聞いてなかったが、マーベルがいた世界ってどのくらいの文明の発展具合なんだ?

 今の話を聞いた限りでは、ロボットの類は存在してないのは間違いない。

 戦闘機の類はあるのか? それともまだそこまで発展していないのか。

 

「その前に聞かせてくれ。アメリカ軍で運用されている戦闘機って、何か知ってるか?」

「え? 何よ急に」

「いいから、頼む。その辺も俺が色々と説明する上で重要な事なんだ」

「そう言われても……私は別に戦闘機には詳しくないもの」

 

 よし、俺の戦闘機って言葉に不思議そうな顔をしていなかったし、マーベル本人も戦闘機という言葉を普通に使っている。

 取りあえず戦闘機の類があるのは間違いないか。

 

「それでもだ。その辺の事情を教えてくれたら、俺もある程度事情を話せると思う」

「……そうね。そういうのに詳しい大学の友達が、ハリアーがどうこうって言ってたのを覚えてるけど」

「ハリアー……なるほど」

 

 どこで見たのか……そもそも、どの世界で見たのかも忘れたが、以前何かで見た記憶によるとハリアーというのは1970年、もしくは1980年くらいに開発された戦闘機だった気がする。

 俺が想定していた年代よりは若干前だが、それでも古すぎるといった訳ではない。

 

「で? 色々と教えてくれるのよね?」

「ああ。……ただ、ここで話すのは色々と不味いか。他人に聞かれると妙な事になりそうだしな」

 

 普通に考えて、俺とマーベルが別の場所からやって来た……なんて事を話しているのを聞かれれば、どうなるか分からない。

 こいつら正気か? といったような視線を向けられただけならともかく、実はこの世界において異世界からやって来た連中は何か特別な意味があるといったような事になる可能性もある。

 勿論、地球人――俺を地球人と呼ぶのは無理があるが――の存在が全く知られておらず、地球から来たと言ってもそれがどこか別の国の……アの国のどこかの地方か、もしくは別の国の地方だと思われる可能性もあるが。

 その辺りについては、慎重に判断する可能性がある。

 

「じゃあ、どうするの?」

「出来れば、どこかに部屋を取りたいんだけどな。問題なのは、この世界の金がない事だ」

 

 色々な世界の金は持っているが、それがこの世界で使える筈もない。

 そうなると、どうにかしてこの世界の金を手に入れないと食料も満足に入手する事が出来ない。

 だとすると、一体どうやって金を入手するかだな。

 手段を問わないとなれば、それこそ幾らでも金は手に入れられるのだろうが、マーベルの性格を考えると乱暴な手段は止めた方がいいだろう。

 まだ少ししかマーベルとは一緒にいないが、それでもマーベルの性格はある程度理解出来ている。

 正義感が強いのは間違いない。

 ……この世界の原作の主人公か、もしくはヒロイン……はたまた単なる仲間の1人といった感じなのかは分からないが、ある意味らしい性格と言ってもいい。

 

「それは……何か売るとか?」

「何か売る物はあるのか? いやまぁ、俺には色々とあるけど、俺の持ってる物がこの世界で売れるとは思えないんだよな」

 

 見るからにファンタジー世界……ネギま世界の魔法界や、もしくは門世界の向こう側といったような感じの世界である以上、迂闊な物を売ると間違いなく面倒な事になる。

 俺達を乗せてここまで運んでくれた男からは、フラオンは珍しい物、新しい物を非常に好むと言われていた。

 そうなると、もしここで俺が何か迂闊な物でも売ってしまい、それが珍しいという事でフラオンに献上されるような事になった場合……向こうはもっと珍しい物、新しい物を求めて俺達と会おうとするだろう。

 

「それは……」

 

 戸惑うマーベル。

 とはいえ、本人は気が付いていないようだが、マーベルの着ている服は売れる。

 というか、俺の服もだな。

 俺とマーベルは、明らかにこの世界の人間とは着ている服が違う。

 つまり、それだけ目立つのだ。

 

「取りあえず……脱げ」

「っ!?」

 

 脱げという俺の言葉に、マーベルは鋭い視線を向けてくる。

 マーベル本人はそこまで強い訳ではない……どころか、何らかの戦闘訓練をしているようにも思えないが、意思の強さという点ではかなりのものだ。

 

「安心しろ。別に何か妙な事を考えてる訳じゃない。……いやまぁ、マーベルならそういう対応をするのも分かるが」

 

 マーベルは美人だ。

 それでいて大学生ともなれば、間違いなく今まで多くの男に言い寄られてきただろう。

 そんな中には、露骨にマーベルの身体を欲しているような者もいる筈だった。

 だからこそ、マーベルは俺の言葉から俺もそういう輩であると判断して鋭い視線を向けてきたと思われる。

 

「なら、どういうつもり?」

「俺達と街の住人達の様子を見比べてみろよ。明らかに服装が違うだろ。つまり、俺やマーベルの着ている服はこの世界だと珍しい。少なくてもこのアの国では珍しいんだから、それなりの値段で売れる筈だ」

 

 珍しさという点でも大きいが、生地の質という点でもこのファンタジー世界の物よりも上なのは間違いない。

 勿論、フラオンといったような王が着ている服ともなれば、それこそマーベルが着ている服よりも質のいい服を着ていてもおかしくはないが。

 もしくは、ファンタジー世界である以上は魔法が込められた服とか。

 だが、一般人達にしてみれば、そこまで高価な服は着ることは出来ない以上、俺達が気軽に金を手に入れる手段としては悪くない。

 ぶっちゃけ、マーベルが服を脱がなくても俺の空間倉庫の中に色々と服は入ってるんだが。

 

「服……? 売れるの?」

「ああ。俺やマーベルの服は珍しいし、生地の面でもこの世界の一般的な服よりも上質な代物だ。間違いなく売れる。……問題なのは、その服が一体どのくらいの値段で売れるかだが、それは実際に試してみないと何とも言えないな」

 

 日本とかと違って、こういうファンタジー系の世界だと店に定価というのはない。

 あくまでも交渉次第だ。

 ……それはつまり、交渉が下手だとぼったくられるという事を意味してるのだが。

 そういう意味では、実は俺にこの世界での買い物は向いてないんだよな。

 力を見せて高圧的に話を進めるのならまだしも、普通に交渉するとなると、どうしても俺向きじゃない。

 いっそ宝石でも売るか? と思ったが、宝石も宝石で色々と問題がある。

 そもそもの話、この世界で宝石が一体どれくらいの価値があるのかも分からないのだから。

 場合によっては、ダイヤでも石ころ程度の価値しかない可能性もある。

 ……逆に、値段がつけられない程に高額という判断をされる可能性もあったが。

 

「話は分かったけど……私やアクセルの服を売るのはともかく、服を脱いだ後はどうするの?」

「そっちはこっちで適当に何とかする。……とはいえ、俺の持ち物に女物なんてないんだよな」

 

 当然の話だが、俺の空間倉庫に入っている服は俺が着る物の予備だ。

 あるいは何かあった時に使えるような男物。

 女物の服となると……いやまぁ、男物のTシャツやYシャツを着ているというのは、色々と刺激が強いが……うん、マーベルにそれを言えば、間違いなく不機嫌になるだろうから、止めておくとしよう。

 

「何とか? どうやって?」

「……そうだな。まぁ、今は一蓮托生なんだ。これも俺についての情報だし……」

 

 そう言い、空間倉庫の中からマーベルが着ることが出来るような大きめの服を数枚取り出す。

 

「……え?」

 

 マーベルの口から出たのは、間の抜けた声。

 魔法とかそういうのが存在していない世界から来たのだとすれば、こうなる事は当然か。

 

「これが俺の秘密の1つだ。勿論、他にも色々と秘密はあるけど、それはまた今度な。取りあえず、マーベルの服を売ったらその服を着てくれ。……男用だから、少し着にくいと思うけど」

 

 アメリカ人の血なのか、マーベルの胸や尻は日本人の平均よりも明らかに上だ。

 そうである以上、男物の服を着てもかなり動きにくいのは間違いない。

 

「……それなら、別に私がわざわざ服を脱ぐといったような真似をしなくても、アクセルの服だけを売ればいいんじゃない?」

「それならそれで構わないけど……マーベルは自分の生活する金を俺に出して貰って、いいのか? マーベルとは会ってからまだそこまで時間が経ってないけど、その性格は多少なりとも理解しているつもりだ」

「それは……」

 

 何かを言い返そうとしたマーベルだったが、結局それ以上何かを言うような事はない。

 俺の言葉が事実だと、そう判断したのだろう。

 自立しているというのはいいんだが、今はここで俺から金を借りておいて、後でその金を返すといったような事をしてもいいと思うんだが。

 この辺はマーベルの性格だから、何とも言えないな。

 

「で、どうする?」

「……服を借りるわ」

 

 そう言い、建物の陰に向かう。

 

「言っておくけど、覗くような真似はしないでよ」

「分かったから、早く着替えてこい。出来るだけ早く着替えて、服を売って……今日の宿も決める必要があるし、それ以外にここでも目立たない服とかを買う必要があるしな」

 

 そんな俺の言葉に納得したのかどうかは分からなかったが、それでもマーベルはそれ以上不満を口にせず建物の陰に向かう。

 そして、1分もしないうちに俺の服を着て姿を現した。

 服を着替えたにしては、随分と早いな。

 レモン達が身嗜みを整えるとなると、結構な時間が掛かるんだが。

 その辺の事情を考えると、マーベルの着替えは早かった。

 着替えたマーベルも、俺の服だったから違和感があるかと思ったが……そうではないらしいので安心した。

 

「早いな」

「そう? 取りあえず、アクセルも服を……いえ、アクセルは服があるんだし、着替えなくてもいいのよね」

 

 薄らと頬を赤くしているのは、やはり外で着替えるといったような真似をしたからか。

 マーベルの性格を考えると、そのくらいのことは特に気にしないような気もするが。

 ともあれ、マーベルの準備も整った以上は服を売る店を探す必要があった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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