転生とらぶる   作:青竹(移住)

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次の世界当てクイズにて見事正解したしゃあっ!さんのリクエストにより、今日は番外編となります。


また、鏡あきらさんから1年戦争編のキャラ一覧を貰ったので、「機動戦士ガンダム 宇宙編 2544話~2727話」を更新しています。


番外編114話 if HUNTER×HUNTER編

 目の前に広がる草原……それを見ながら、ここがグリード・アイランドかと納得する。

 いつものようにホワイトスターで寝ていた俺が目覚めてみると、何故かこの妙な世界にいた。

 そして色々と行動しているうちにゴンという子供と一緒に行動する事になり、ハンター試験というのを受ける事になり、その途中でヒソカとかいう変態に目を付けられたり、キルアというゴンの友達の兄をボコボコにしたり、それで引かれたり……まぁ、色々とあってハンター試験に合格した。

 ……ネテロとかいうハンター協会の会長に、ヒソカと似て非なる意味で目を付けられて、本気で戦ってみないかと言われたりもして、天空闘技場に行くというゴンやキルア、医大に入る為の試験勉強をするというレオリオや、一族の仲間が皆殺しにされた時に死体から奪われた緋の目を取り返す為に行動するというクラピカとヨークンシティで会う事を約束した俺は、ネテロにこの世界特有の技術……念というものを教えて貰った。

 というか、俺の場合は自分でも気が付かないうちに自然とその念を覚えていたので、それを制御したというのが正しい。

 そんな訳で、念を習得した俺はヨークシンシティに行き……そこでも蜘蛛と呼ばれる盗賊団と戦闘になり、何人かを殺す事に成功したものの結果的に殆どに逃げられてしまう。

 そんな諸々が終わった後で、ゴンの父親が作ったと言われている念のゲーム、グリード・アイランドにバッテラとかいう奴の依頼で入る事になったのだ。

 

「本当にここがゲームの世界だとは思えないな」

 

 視線を感じつつそんな事を考えていると、やがてゴンとキルアの2人も姿を現す。

 ……ちなみに、現在の俺は10代始めの姿なので、ゴン達と一緒にいてもそこまで違和感はなかったりする。

 

「アクセル!」

「……見られてるな」

 

 俺の名前を呼ぶゴンと、素早く視線に気が付くキルア。

 そんな2人に手を振り……すると次の瞬間、キイィィィンという音と共に誰かが近付いてくるのに気が付く。

 何だ?

 俺、ゴン、キルアの3人が揃ってそちらに視線を向けると、ドレッドヘアの男が俺達の前に姿を現す。

 

「ブック」

 

 そして、本を取り出す。

 この本はグリード・アイランドのゲームをする上で使える基本的な魔法の1つだ。

 つまり、こいつは俺に対して敵な訳で……

 次の瞬間、俺は瞬動を使って男のすぐ前に移動すると本を取り上げる。

 

「え? ……ぐっ!」

 

 何が起きたのか分からず、戸惑った声を出した男だったが、次に瞬間には鳩尾を俺に殴られ、意識を失うと地面に崩れ落ちた。

 

「ゴン、キルア。取りあえずこいつから色々と情報を聞くぞ。幸い向こうからやって来てくれたんだから、いい情報源だ」

「お、おう。……相変わらず常識外れな動きをするな」

 

 キルアが俺を見ながら呆れの視線を向けてそう言ってくる。

 まぁ、キルアにしてみればゾルディック家という暗殺者一族の生まれであるにも関わらず、今の動きに気が付かなかったというのが大きかったのだろうが。

 

「常識外れか? この世界の者なら、そこまで変でもないと思うんだが。ネテロとか、同じような動きをしたぞ、それに、キルアも素早く動けるだろ?」

「動けるけど、アクセルの速さと一緒にするなよ」

「キルア、アクセル。それより早くこの人から情報を聞こうよ」

 

 そうゴンに言われ……俺達はドレッドヘアの男を離れた場所まで連れて行き、色々とグリード・アイランドの情報を得るのだった。

 ちなみにカードの方も有用そうなのはそれなりに入手しておいた。

 その後は、カードを入手したりと色々とあったのだが……取りあえず俺は別行動する事にする。

 何だか後を付けてきている奴がいたので、それが気になったというのもあるが……幸い、その相手は特に悪意の類を持っているようには思えなかったから、向こうの狙いが俺であっても、ゴン達であっても悪い結果にはならないだろう。

 そうして街中を歩いていると……

 

「君、プレイヤーだろ?」

 

 と、不意にそんな声を掛けられる。

 その相手は金髪を逆立てて、三角の眼鏡をしている……一見、人当たりのよさそうな奴だったが、どこか胡散臭い相手。

 そんな相手が、俺に笑みを浮かべて話し掛けてくる。

 

「君も気をつけた方がいい。何しろ……」

 

 そう言いながら手を伸ばしてくるが、俺は素早く後ろに下がり、ゲイ・ボルクを空間倉庫から取り出す。

 

「具現化系か? ……そこまで警戒しなくてもいいだろう? 俺は君に有益な情報を教えようとしているだけなんだから」

「……そうか? 俺の目にはお前が悪党だと……それも蜘蛛並の悪党だと見えてるんだけどな」

「蜘蛛、だと……?」

 

 この様子からすると、蜘蛛の事は知っていたのだろう。

 いやまぁ、蜘蛛はA級の賞金首として知られているので、グリード・アイランドに来る事が出来る者……念能力者がそれを知っていてもおかしくはないのだが。

 

「お前、相当殺してきてるな?」

「……貴様、何者だ?」

 

 先程までの人当たりのいい笑みが消え、殺気を放つ。

 へぇ……なかなかの殺気だな。

 とはいえ、それはあくまでもなかなかの殺気であり……蜘蛛の連中やキルアの兄と比べると、数段劣る。

 

「取りあえず、ここは人目が多いし……お前にはこっちに来て貰うぞ」

 

 そう告げ、瞬動で一気に男との間合いと詰めると殴り飛ばす。

 街中でのいきなりの喧嘩だったが、基本的にここにいる連中はNPCが大半だ。

 人間もいるが、取りあえずそいつに関しては見られてもしょうがないと切り捨てる。

 掲示板とかそういうのはないので、あまり情報が拡散しないというのも嬉しい。

 そんな訳で男を殴り飛ばし……そのまま街の外にまで移動する。

 街に入ってすぐのところで男に声を掛けられたのが幸いしたな。

 とはいえ、男も街の外に行くのは望むところだったのだろう。

 途中から、意図的に俺を街の外に誘ってるような動きすらしていた。

 そして、俺と男は街から十分離れた場所で向かい合う。

 

「参ったな。もう少し正体は隠しておきたかったんだが」

「なら、もう少し擬態を上手くするんだな」

「……てめえみたいなガキに見破られるとは、思わなかったよ」

 

 そう告げ、男は指を鳴らす。

 何だ? あの男、指……というか、自分の手にかなりの自信を持ってるな。

 多分、あの手が男の念能力といったところか。

 この世界で厄介なのは、念は気や魔力と似た性質があるので、普通に俺にダメージを与えられるんだよな。

 その辺は蜘蛛との戦闘やネテロとの戦闘で十分承知している。

 だからこそ、この男のような相手と戦う時にはしっかりと注意しておく必要があった。

 ……それでも、ここまで先手を取られながら、まだ俺を子供だと侮っているのはどうかと思うが。

 ただ、これは何の意味もなく俺を侮っている訳ではない。

 ゴンやキルアのような年齢の念能力者は、念能力者全体の数が見れば少ないが、それでもそれなりの人数がいる。

 それでもこの男がこうして侮っているのは……純粋に子供だと念能力はともかく、戦闘経験という意味で圧倒的に劣っているからだろう。

 戦いの中で、経験というのは非常に大きな意味を持つ。

 だからこそ、今のこの状況において男は俺をまだ侮っているのだろうが……それは俺にとっても好都合。

 

「それで、お前は一体何を考えて俺に接触してきたんだ?」

 

 そう言いながら空間倉庫の穴を開け、そこからスライムを少しずつ出す。

 男は勝手に俺を具現化系……念能力の持つそれぞれの属性のうち具現化系が俺の属性だと判断したようだが、それは甘い。

 そもそも、ゲイ・ボルクは俺の念能力でも何でもなく、純粋に俺が持っている特殊能力の空間倉庫に収納されていた代物だ。

 ……まぁ、ゲイ・ボルクは一目見ただけでその辺の槍とは大きく違う宝具なのだから、そんな風に思っても無理はないのだが。

 純粋な俺の念能力は、このスライム。

 正確にはこのスライムが俺の念能力として半ば融合してしまった……といったような、妙なスライムだ。

 他にも色々とあるんだが、それは今はいい。

 ともあれ、男から見えないように空間倉庫からスライムを出し……そして、地面を堀りながら地中から男の方に向かう。

 凝という念の使い方があり、当然男もそれを使っているのだろうが……俺の気配遮断が影響したのか、隠という相手の凝を誤魔化す能力は非常に高く、少なくても向こうにこちらの動きを見破られるといったような事は今のところない。

 

「何を考えて? それは決まってるだろ? お前に……っ!?」

 

 喋っている途中でも、地面の震動を感じた辺り、やはりこの男は腕利きなのだろう。

 俺が何かをしていると悟ったのか、それとも反射的な動きだったのか……それは分からないが、男は咄嗟にその場から跳び退ろうとするも……遅い。

 次の瞬間、地面を貫くようにして姿を現したスライムが広がり、男を包み込む。

 

「くっ!」

 

 その言葉と共に男はスライムを掴み……次の瞬間、スライムが爆発する。

 ただし、爆発したのはあくまでもスライムの一部だけで、それ以外の場所は男の身体に纏わり付いていく。

 忍び寄る銀の浸食者。

 これが俺の念能力であり……スライムの特性を受け継いだものだ。

 基本的な能力は、以前までのスライムと全く変わらない。

 だが、そんな中で唯一変わったのが……

 

「その手で触れた場所を爆発する能力……使い勝手がいいな。ありがたく貰おう」

「ふざっ! ……くそ……サブ……バラ……」

 

 その言葉と共に、男はスライムに吸収されて消滅する。

 そして……周囲にあるのは静寂のみ。

 

「さて、どうだ?」

 

 呟き、スライムの一部を切り離して投擲すると……次の瞬間、着弾した場所で巨大な……それこそ家の一軒や二軒は吹き飛ぶんじゃないかというくらいの爆発が生まれる。

 

「やばっ!」

 

 慌てて瞬動を使って、その場から離れる。

 俺の念能力、忍び寄る銀の浸食者。

 これは吸収した相手の能力を奪うという……特質系の能力だ。

 とはいえ、吸収した相手の能力がどのような能力なのかを俺が自分の目で見る必要がある訳で……例えば今の場合だと、男が握った場所を爆発させるといった能力は奪えたが、他にも何か能力……いわゆる発の類があった場合、俺がそれを奪うといった真似は出来ない。

 そして奪った能力は純粋に俺が使えるのではなく、あくまでもスライムを経由して使うといったような制約もある。

 とはいえその結果……なのかどうかは分からないが、奪った能力は俺の持つ莫大な念――個人的には魔力という認識だが――によって、その威力は大きく変わる。

 それが、先程の一件だ。

 男が持っていた能力は、握った場所を爆発するといったものだったが……俺の念の量が影響してか、その威力は家の一軒や二軒は吹き飛ばせるだけの能力となっていたが。

 代わりにスライムの一部を投擲する必要があるが、スライムは何かを吸収すればその分体積は増えるし、俺の念を消費する事で増やす事も出来る。

 

「さて、取りあえず……次はどうするかな。とにかくカードを集める必要があるんだが……ゴン達と合流するか」

 

 そう判断し、俺は影のゲートて転移するのだった。

 ……ちなみに、この影のゲートも何故か俺の念能力の一部という事になっていたので、かなり便利だったする。

 

 

 

 

 

「何だわさ!」

 

 いきなり姿を現した俺を見て、ゴンとキルアの近くにいた女がそんな言葉を発する。

 

「……わさ?」

 

 その妙な語尾に疑問を抱くも、女は一瞬戸惑った様子を見せ……

 

「ヲホホホホホ。一体誰かしら?」

 

 慌てて取り繕ったようにそう言う。

 この様子からすると、ゴン達の敵じゃないらしいが。

 

「ビスケ、こいつはアクセルだよ。俺達を探ってたんなら分かるだろ?」

「アクセル?」

 

 ビスケと呼ばれた女……それこそ俺達とそう年齢が変わらないように見える女は、俺の顔を見て納得した様子を見せる。

 

「ネテロの爺から、話は聞いてるよ」

「何だ、ネテロの知り合いか」

「言ってみれば、姉弟子だわさ」

 

 姉弟子? ……一応、俺もネテロの弟子って扱いになるのか?

 いやまぁ、ネテロから念について色々と教わったのは間違いないが。

 ただ、俺の場合は既に念が目覚めていた状態で、それを俺が認識していなかったって事らしいけど。

 俺の念は魔力だったので、そう言われるとそうなのかとしか言えなかったが。

 

「で、その姉弟子が一体何をしてるんだ?」

「何をって、見て分からないかい? この2人を鍛えてるんだわさ」

 

 この2人をね。

 ゴンとキルアの才能があるのは理解出来る。

 念についても、色々と話を聞く限りでは相当な才能を持っているらしいし。

 ただ……それでも今の状況を思えば、この2人を鍛えるというのはそう悪い選択肢ではないような気がする。

 

「分かった。俺は教えるのには慣れてないから、もう少し適当にグリード・アイランドを楽しんでくるよ」

 

 そう告げ、その場から影のゲートで転移する。

 ゴンはともかく、キルアが恨めしそうな視線を向けていたが……ともあれ、気にしない。

 こうして俺は暫く1人で行動し、途中で11人の海賊との戦いがあったり、ツェズゲラを倒したりとしながらもグリード・アイランドを楽しみ……最終的にクリアをするのだった。

 その後、キメラアントとの戦いにも巻き込まれることになるのだが、それはまた別の話。


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